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更新日:2014年3月22日

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知事の発言集 - 知事の窓 - 2014年春季号

動物とふれあい 命の大切さを肌で 

 

 動物も植物も冬の眠りからさめる春。能美市のいしかわ動物園では、鳥たちのひなが誕生ラッシュを迎えます。小さな体を必死にふるわせ、親鳥にエサをねだるひなの姿に、いとしさが募ります。

 私がまだ小学校低学年のころ、両親にせがんで犬を飼ったことがあります。エサやりはしましたが、散歩まで手が回りませんでした。両親も仕事が忙しくて世話ができず、ある日、学校から帰ると犬がいなくなっていました。

 「どこへいったの」。泣いて訴える私に、母は「かわいそうだから、よその人にあげた」と申し訳なさそうに答えました。

 それから半年ほどたち、用事で母の実家へ行ったところ、その犬がいたのです。犬は庭先を元気に走り回り、新しい飼い主となった従弟(いとこ)にすっかりなついて私には目もくれません。寂しさとばつの悪さをかみしめながら、しょんぼりと家に帰ったのを思い出します。

 動物を飼うときには、その命に重い責任を負わなければなりません。この経験を通して、多感な子どもの心には育てる喜びや別れの悲しみなどが刻まれるでしょう。命の尊さを学ぶのに、これほどいい経験はないと思います。

 しかし、マンションやアパート暮らしの家庭が増え、動物を飼いたくても飼えないケースが増えています。だからと言うわけではありませんが、動物園や水族館を訪れて動物たちとぜひふれあってほしいと思うのです。

 これまで大型ハイビジョンモニターのライブ映像でしか見ることのできなかった、いしかわ動物園のトキも、公開展示に向けた準備を進めています。公開展示ではトキの棲(す)む里山の環境を再現し、臆病(おくびょう)なトキを驚かせることなく間近で観察できるよう工夫を凝らしていきたいと考えています。

 本州最後の生息地となった能登から姿を消して40年余り。県民の記憶の中に生きるトキを、再び肉眼で見られる日が、本当に待ち遠しいですね。

  

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