知事の発言集 - 知事の窓 - 2011年夏季号
人知を超えた災害ほど 地域の絆がカギになる
この度の東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。そして、多くの県民と企業の皆様から、被災地の一日も早い復興を願ってたくさんの義援金をお寄せいただきました。この場をかりて厚く感謝申し上げます。
この4月、義援金の贈呈や石川県から参加するボランティアの激励などで宮城県を回りましたが、惨状を目の当たりにして言葉もありませんでした。自然の前では、人間も、人間が造り出したものもいかにもろく、一方、普通に暮らすことがいかに尊いかをかみしめました。
風光明媚(めいび)な松島湾に浮かぶとある島では、大津波が襲ったものの、人的被害はなかったそうです。その理由は、島民が助け合いながら、お年寄りや寝たきりの人がいる家を一軒ずつ確認して、いち早く高台に避難したからと聞きました。能登半島地震の際も、地域の強い絆のおかげで、安否確認や避難誘導がスムーズに行われましたが、人知を超えた災害ほど、地域の絆が生命を守るカギであることを、あらためて痛感しました。
未曾有の被害を出した今回の地震と津波を踏まえて、県では防災計画の見直しを進めています。特に津波対策では、これまでの浸水想定区域図の精度をさらに高め、市町ごとに作成する避難場所や避難経路などを知らせるハザードマップに活用してもらう計画です。
これと並行して、自然災害から地域の安全を守るリーダー役として期待される防災士の養成に力を注ぎます。石川県は人口当たりの防災士の数が全国第3位ですが、現在の約1100人から1400人にまで増やすことで、より安心・安全なふるさとづくりを進めることができると思います。
一刻を争う自然災害では、地域ぐるみで安否確認や避難、誘導を行う「共助」や行政の「公助」が重要です。そして、災害発生時に最初に必要なのは、自分自身や家族を守る「自助」の力です。皆さんもこの機会に、まず身の回りの点検をしてみませんか。
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