知事の発言集 - 知事の窓 - 2000年秋季号

地域の個性が問われる「IT」時代

最近「IT」いう言葉を頻繁に目や耳にしますね。

情報通信技術という意味ですが、確かに、インターネットや携帯電話をはじめとするITの急速な進展によって、わたしたちの暮らしは大きく変わってきています。

例えば、自宅に居ながらにして仕事やショッピングができたり、海外の人たちとも瞬時に情報のやり取りができます。ほんの少し前まで、ドラマや空想の世界でしかなかったことが次々に現実のものとなり、ITは今後、人間の生き方までも大きく変化させます。

こんなことを言うと、逆説的に聞こえるかもしれませんが、「IT」時代だからこそ、わたしは暮らしに密着した地域の視点を大切にしたいと思うのです。

なぜなら、国際化が進めば進むほど、その他大勢に埋没しない本物の個性が本領を発揮するようになるからです。

そのためには、これまでそれぞれの地域を支えてきた中小企業や商店街などを、簡単に「時代遅れ」と言って切り捨ててはいけません。それは、地域社会の個性喪失につながる危険性があります。

今回の「ほっと石川」で、中心市街地の活性化を取り上げたのもそんな理由からです。地域の核となり、個性的な顔を形づくってきたのが中心市街地であり、新しい時代への体質改善を目指し、自主、自立に向けて取り組む皆さんのやる気を、県は積極的に応援していきたいと思います。

ITを先取りはするが踊らされず。その功罪を冷静に見つめながら、暮らしていきたいですね。

 

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