知事の発言集 - 知事の窓 - 2004年夏季号

上海で「世界の工場から世界の市場へ」を実感

今年四月下旬、上海を中心に中国を視察してきました。これまで中国へは、副知事時代の平成四年以来、十回訪れていますが、かの国の変ぼうぶりはわたしたちの想像をはるかに超えています。

例えば上海市では、かつて郊外に広がっていた水田や原っぱが消え、巨大な空港やリニアモーターカー、高速道路ができています。洪水のようだった自転車の人波も、今ではすっかり車に取って代わられました。

低廉な人件費と豊富な労働力を背景に、先進国から多くの企業が進出する中国。確かに、「世界の工場」は健在ですが、国民所得の伸びによるマーケットの成長にも目を見張るものがあります。

「高くても品質のいい日本製の鞄が人気」「日本製パワーショベルは、性能、耐久性と万全のメンテナンスで選ばれています」。これらは、上海に拠点や生産工場を置く石川県ゆかりのメーカーで聞いた話です。どのメーカーも、中国市場の未来に確かな手応えを感じ取っていました。

現在、国内産業の多くは、中国から輸入される製品との価格競争で苦しんでいます。しかし、これからは中国への販路を開拓し、日本製品を輸出すれば勝算はある！との印象を、今回の視察で強くしました。

ますます拡大するであろう中国ビジネス。世界の商都となった上海と北陸との時間距離を縮めるためには、小松空港と上海を結ぶ定期便の就航がどうしても不可欠です。

定期便の利用は、当面は北陸からの人が大半かもしれませんが、やがて中国から大勢の観光客がやって来る日も夢ではありません。そう確信できるぐらい、今の中国には発展のエネルギーが満ちあふれています。

日本経済に活力を呼び込む中国パワー。その追い風に石川県が乗り遅れないよう、大胆細心に取り組んでいきたいと思っています。

 

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