知事の発言集 - 知事の窓 - 2002年秋季号

風雨で逆に知った  白山の尽きない魅力

十年ぶりに白山に登ってきました。新しい登山靴を履いて意気軒昂の出発でしたが、途中から土砂降りの雨と雷鳴に見舞われ、リュックに詰めた着替えまでずぶぬれになってしまいました。

悪天候にたたられ、室堂までの所要時間が六時間。でも、新装なった室堂センターと宿泊棟は快適で、トイレも清潔。これなら、どなたにも安心して来ていただけると思いました。翌朝は三時半に起床して御前峰へ。しかし、辺りは一面の霧で、ご来光を拝むことはできませんでした。

がっかりしながら室堂に戻る一行を慰めてくれたのが、群生して咲くクロユリでした。室堂周辺でも、たくさんの高山植物が短い夏を惜しむかのように咲き誇り、そのかれんさに心が洗われました。  この日は、室堂センターの落成式が午前九時からありました。その直前になって、霧がうそのように消え、雲ひとつない青空が広がったのです。白山も粋な計らいをしてくれたものです。地元の小学生の誓いの言葉も、元気よく山頂へこだましました。そして、式典と座談会が二時間ほどで終わると、それを待っていたかのようにまた霧がかかってきたのでした。

「せっかくの登山なのに」と思われたかもしれませんが、前回はずっと晴れていた分、逆に、気づかなかったり見落としていた白山のいろんな表情に、今回は触れることができた気がします。何より、力強い自然の営みから受けたパワーと山での楽しい出会いが、わたしの心をほぐし疲れを吹き飛ばしてくれました。ありがとう、白山。

  

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