ホーム > 県政情報・統計 > 知事のページ > 県議会の議案説明要旨 > 議案説明要旨(令和7年第1回県議会定例会) - 令和7年2月25日 -
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本日、ここに、令和七年第一回県議会定例会が開かれるにあたり、提案をいたしました令和七年度当初予算及び令和六年度補正予算並びにその他の諸議案につきまして、その大要をご説明申し上げます。
天皇・皇后両陛下におかれましては、昨年十二月十七日、奥能登豪雨によって甚大な被害を受けた輪島市にご来訪いただき、避難所において被災者の方々に慈愛に満ちた優しいお言葉をかけていただきました。両陛下の被災地へのご来訪は、地震の発生以降、三度目となるものであり、両陛下の温かなお心遣いは、被災者の大きな励みとなったものと考えており、心より感謝申し上げます。
能登半島地震の発生から一年の節目となる本年一月一日、ご遺族並びに石破内閣総理大臣、岸田前内閣総理大臣をはじめとする政府関係者、県選出国会議員、県議会、県内市町など多くの皆様にご列席いただき、令和六年能登半島地震及び令和六年奥能登豪雨犠牲者追悼式を開催いたしました。犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、地震・豪雨からの一日も早い創造的復興の実現に向けた決意を新たにいたしました。
被災地では、被災者の方々の懸命な取組や、県内外からの温かいご支援により、復旧から復興に向けた動きが少しずつ進展しております。本年を「復興元年」と位置づけ、被災者の方々の生活と生業の再建を加速させるとともに、創造的復興に向けた具体の取組を始動させ、「新たな能登の未来」の構築に全力を傾注してまいります。
同時に、「幸福度日本一の石川県」の実現に向け、「石川県成長戦略」を実行に移し、県民の安全・安心の確保をはじめ、飛躍・成長する産業づくり、新幹線県内全線開業効果の持続・発展、個性と厚みのある文化の継承・発展、デジタル化、グリーン化などの施策を推し進めてまいります。
また、国の補正予算に呼応し、電気料金をはじめとする物価高騰対策、防災・減災、国土強靭化対策等に係る令和六年度第一次三月補正予算を令和七年度当初予算と一体的に編成いたしました。
本日提案をいたしました令和七年度当初予算及び令和六年度第一次三月補正予算は、以上申し述べた考え方を基本に編成したところであり、以下、その主な施策につきまして、概要をご説明申し上げます。
はじめに、大きな柱の一つである「地震・豪雨からの復旧・復興」についてであります。
地震に係る仮設住宅につきましては、要望戸数約六千九百戸全てが昨年中に完成し、希望者に入居いただいております。一方、豪雨に係る仮設住宅につきましては、要望戸数二百八十六戸のうち、今月中に五十二戸が完成予定であり、残る戸数については、来月末までに完成する見込みであります。
仮設住宅等に入居されている方に対しては、引き続き、個別訪問による定期的な見守りや相談支援、栄養指導を行うほか、新たに、運動不足による心身の不調を防止するため、国のハイパフォーマンススポーツセンターや日本体育大学等と連携し、体力測定やダンス等の運動不足改善プログラムを実施するなど、被災者の状況に応じた健康維持を図ってまいります。
被災者等のこころのケアにつきましては、本日、輪島市内の商業施設内に精神科医や保健師等を配置した新たな拠点を開設いたしました。今後は、奥能登と金沢の二拠点で、きめ細かな支援を行ってまいります。
住まいの再建に向けては、昨年末から、市町と連携し、仮設住宅の入居者等を対象に住まいの意向調査を実施しております。これを踏まえ、自宅再建、災害公営住宅や民間賃貸住宅への入居など被災者のニーズに応じた各種支援制度や相談窓口をまとめたハンドブックを作成することといたしました。
また、自宅再建の希望者が具体の再建イメージを持てるよう、「いしかわ型復興住宅」のモデルプラン集の作成を進めており、昨年十二月に四十四プランを公開いたしました。来月には十一プランを追加するとともに、支援制度等の紹介を盛り込み、取りまとめることとしております。民間賃貸住宅については、能登地域では賃貸物件に関する情報が少ないとの声を受け、県宅地建物取引業協会と連携して賃貸物件を掘り起こし、希望する世帯とのマッチングを行うことといたしました。
さらに、特に支援が必要な被災者の生活再建に向け、新たに、生活再建支援アドバイザーを設置し、伴走支援を行ってまいります。
生業の再建に向けては、多くの事業者が営業を再開している一方、本格的な再開は約半数に留まっております。特に、奥能登では厳しい状況が続いており、支援をさらに充実させてまいります。
なりわい再建支援補助金の申請は、来年度にピークを迎える見込みであることから、「能登事業者支援センター」の職員を増員するとともに、商工会議所・商工会の増員に係る経費を支援し、伴走支援を強化いたします。
被災地では、人口や観光客が減少する一方、支援者向けの新たなサービスのニーズが生まれるなど、経営環境が変化しております。これに対応するため、新たな業種や事業、市場にチャレンジする事業者を支援することといたしました。
副業人材につきましては、経営課題が複雑化する中、専門知識を持った外部人材へのニーズが高まっております。このため、新たに、事業者が副業人材に支払う報酬に対して支援するとともに、能登の事業者には、現地滞在に必要な交通費や宿泊費も支援することとしております。
起業支援につきましては、昨年十月に金沢市香林坊に開設した「いしかわイノベーションベース」内に、新たに、専門家によるワンストップ窓口を開設し、起業に関心を持つ若者等を呼び込み、具体の相談から起業までを伴走支援することといたしました。また、能登での起業を支援するため、現地の移住・定住支援団体等と連携し、現地視察や事業者との交流の機会を提供するほか、新たに、建物の修繕費等を支援することといたしました。
事業承継につきましては、県内外から広く買い手事業者を呼び込むため、新たに、民間のマッチングサイトを活用し、売り手事業者の情報を開示するオープンネーム方式による第三者承継に取り組んでまいります。また、金融機関と連携し、起業関心層と能登の売り手事業者とのマッチングの場を提供し、事業承継型の起業も促進することといたしました。
雇用対策につきましては、ILAC能登とハローワーク等が連携し、合同企業説明会による求人・求職マッチングや、新たな職場で必要とされるスキルの習得について、引き続き支援してまいります。
また、国は、先の補正予算で、雇用調整助成金の特例措置を延長するとともに、在籍型出向に係る助成制度を創設いたしました。県としても、在籍型出向の促進に向け、出向に係る準備費用を助成する県独自の制度を拡充し、出向元に加え、新たに出向先も助成対象とすることといたしました。
農地の復旧につきましては、豪雨により土砂・流木が堆積した約四百ヘクタールのうち、約百七十ヘクタールの農地において、春の営農に間に合う五月までに復旧が可能となる見込みとなりました。一方、その他の農地の復旧には長期間を要することから、担い手農家の収入確保を図るため、引き続き、市町が農家に簡易な復旧工事を発注する直営施工を進めるとともに、代替農地で営農を再開する際の地代等のかかり増し経費を支援いたします。
漁業に利用されている港につきましては、応急復旧が完了し、操業が可能となった港から順次、本復旧を進めております。
輪島港については、浚渫土砂を活用して、マリンタウン横に、漁業共同利用施設を移転・集約するための新たな埋立地を造成することとし、まずは物揚場の整備に着手いたします。また、地盤隆起による大きな被害を受けた鹿磯漁港において、来月中に仮設物揚場の整備が完了いたします。狼煙漁港においても、五月頃には浚渫などの応急復旧が完了し、両漁港ともに水揚げが可能となる見込みとなりました。両漁港の本復旧に向けた工法の検討を進め、秋頃には本復旧工事に着手いたします。
観光振興につきましては、能登の宿泊施設の本格的な受入再開まで数年を要するため、各施設の復旧状況を踏まえ、誘客を進めてまいります。
「今行ける能登」の情報発信を充実させるほか、再開した観光施設を巡る「のと里山空港を活用した復興応援ツアー」、のと鉄道の語り部列車やポケモン列車を活用した誘客促進、ポケモンを活用したPR動画の制作、アジア圏からの誘客再開に向けた旅行商品の造成支援を行うなど、取組を強化いたします。
また、能登をはじめ県内全市町で観光振興に取り組み、観光面から能登の復興を後押しするため、市町が主体となって実施する観光拠点の整備や国内外からの誘客に資するハード・ソフト両面の取組を支援することといたしました。復興基金の基本メニューに、総額二十億円の枠を設け、来年度以降、各市町の事業の実施に合わせて交付いたします。
能登地域有数の観光拠点として重要な役割を担っているのとじま水族館につきましては、来月二十二日に完全再開できる見込みとなりました。春休み期間中は来館者の方々に記念品を配布するなど誘客に努めてまいります。また、能登への誘客の本格再開を見据え、魅力向上に向けた計画を策定することといたしました。
能登の財産、地域の絆となっている祭りにつきましては、「いしかわ県民文化振興基金」を活用した開催経費などへの支援により、昨年は全体の四分の一が開催されました。再開には担い手の確保も課題となっていることから、キリコの担ぎ手や祭りの運営を補助する学生を含めたボランティアを県内外から募集し、「祭りお助け隊」として、地域の要望に応じて派遣することといたしました。
東京国立博物館等に特段のご配慮を頂いた復興支援特別展「ひと、能登、アート。」につきましては、本年秋に、県立美術館、金沢二十一世紀美術館、国立工芸館での初の合同展覧会として開催し、東京国立博物館をはじめ在京の美術館・博物館が所蔵する名品を一堂に展示いたします。能登の皆様を無料でご招待するとともに、収益は復興支援に活用してまいります。
能登の応援消費の促進につきましては、首都圏アンテナショップ「八重洲いしかわテラス」の売上が、旧店舗の約二・六倍と好調に推移しております。来年度は、JRグループと連携し、東京駅構内やルミネ等の商業施設において積極的に出張販売を展開し、復興支援のイベントを切れ目なく開催いたします。
昨年十月に発足した(一社)能登官民連携復興センターは、復興に取り組む地域団体と全国からの様々な支援を結びつけるコーディネーターとしての役割を担っております。ロックユニット「COMPLEX」より頂いた多額の寄附金を活用し、能登の未来を創る先導的な取組を複数年度にわたり継続的に支援することとしており、センターにおいて、先週二十日より、事業の公募を開始いたしました。
災害ボランティアにつきましては、これまで県内外から延べ十八万人を超える方々に参加いただき、市町のボランティアセンターに寄せられた約三万件の要請の九十八%以上の対応が完了しております。なお、豪雨により堆積した土砂等については、撤去が必要な約二千七百カ所の約九割が完了しております。これまでの関係者のご支援に改めて心より感謝申し上げます。引き続き、関係者と連携し、被災者のニーズに対応してまいります。
また、行政、社会福祉協議会、災害支援のNPOなど関係機関の連携を強化するため、被災地のニーズ等の情報共有や、ボランティア、NPO等の活動の調整を担う災害中間支援組織の設置に向けた検討を行ってまいります。
義援金につきましては、地震分として七百八十九億円を超える額が、豪雨分として三十八億円を超える額が寄せられており、改めて心より感謝申し上げます。昨年十二月の配分委員会において、豪雨分の第一次配分について、人的・住家被害に応じた配分額を、地震と概ね同額とすることが決定され、現在、各市町で配分手続が進められております。
被災した公共土木施設につきましては、今般、災害査定が年度内には全て完了する見込みとなり、今後、早期の本復旧に全力で取り組んでまいります。
現在通行止めとなっている「ツインブリッジのと」につきましては、県が七尾市から受託して進めている応急復旧工事が順調に進み、六月中旬より、車両の重量規制を行ったうえで、片側交互通行による暫定供用が可能となる見込みとなりました。
洪水浸水想定区域につきましては、地震による地盤の隆起など地形変動を踏まえた見直しを行うこととし、まずは、顕著な地形変動が生じた外浦の十六河川については、今年の出水期までに見直しを行い、他の見直しが必要な河川については、来年の出水期までに順次対応を進めてまいります。土砂災害警戒区域についても、地震により土砂災害が発生した箇所の測量など現地調査を行い、来年の出水期までに見直すことといたしました。
和倉温泉の護岸につきましては、自力復旧が困難な民有護岸について、公共帰属させたうえで復旧を進めており、市が施工する港湾区域内は国が権限代行により工事に着手し、港湾区域外は、県が今月三日に工事に着手いたしました。引き続き、関係機関と連携し、令和八年度中の復旧を目指してまいります。
公費解体につきましては、申請棟数の推移や豪雨の影響を踏まえ、先月、公費解体加速化プランを見直し、解体見込棟数を約三万二千棟から約三万九千棟に改め、現在、その約四十六%となる一万八千棟の解体が完了しております。引き続き、最大一千二百班体制を維持し、当初計画の本年十月末までの解体工事完了、来年三月末までの廃棄物処理完了を目標に、国や市町、関係団体と連携し、取り組んでまいります。
初動対応の検証につきましては、先月末に二回目の検証委員会を開催し、検証結果を中間案として、先日、お示ししました。県議会でのご議論や、県民向けのアンケート、市町からの意見聴取の結果も踏まえ、検証委員会において取りまとめ作業を進めてまいります。一方、検証結果の取りまとめを待たず、来年度から着手可能なものは今回の予算に盛り込んだところであります。
まず、災害対応に係る組織体制の強化については、危機管理監室を危機管理部に改組するほか、自衛官OBの一名増員、金沢市消防局OBの新規配置を行い、災害時はもとより、平時からの市町・関係機関との連携体制を強化することといたしました。
県総合防災情報システムについては、国のシステムや、県のデータ連携基盤との接続により、県管理道路、河川、孤立集落等の様々な情報を地図上に重ね合わせて表示するなど関係機関が有する災害情報の「見える化」を図るほか、市町職員がスマートフォンにより避難所情報を現地からシステムに登録できるよう機能強化を図ることといたしました。これにより、災害時の速やかな初動対応につなげるとともに、県民への情報提供を強化してまいります。
加えて、トイレカーや簡易ベッドなど避難所の生活環境の改善につながる資機材を整備するほか、県歯科医師会による歯科診療車や、県薬剤師会によるモバイルファーマシーの導入を支援することといたしました。
県立学校の体育館については、災害時に避難所となる施設であり、授業や部活動の熱中症対策も急務であることから、全県立学校に空調設備を整備することといたしました。令和十年度末までの完了に向け、四年間で計画的に整備を進めることとし、来年度は、特別支援学校九校を優先して整備してまいります。
看護師の災害対応力の強化については、防災に関する幅広い知識を有し、避難所等において適時適切に行動できる看護師を育成するため、看護教育の拠点である県立看護大学において、全国初となる「災害実践看護学」の寄附講座を開設することといたしました。
「奥能登版デジタルライフライン」については、奥能登四市町における災害時に避難所となる公民館等でのモデル事業として、市町が実施する衛星通信サービスであるスターリンクや、災害時のみならず平時にも活用可能なデジタルサイネージの整備を、国と連携して支援することといたしました。さらに、避難情報を迅速に把握するため、マイナンバーカード等を活用した避難所管理システムの導入も支援してまいります。
また、来月五日には、ソフトバンク(株)と包括連携協定を締結することといたしました。同社には、被災地の子どもたちの運動を支援するアプリの市町への提供やデータ活用に向けた職員向け研修の実施など、幅広い分野でご協力いただくこととしております。
地震被害想定調査につきましては、これまで二度にわたり県防災会議震災対策部会を開催し、県内に影響を及ぼすと考えられる「七尾湾東方断層帯」を調査対象に追加するなど最新の知見に基づく調査を進めているところであります。取りまとめた結果は、初動対応の検証結果と併せて、石川県地域防災計画などに反映させてまいります。
来年度は、能登の創造的復興に向けたプロジェクトを始動させてまいります。
まず、トキの放鳥につきましては、今月十四日、令和八年度上半期中の放鳥が決定いたしました。今後は、放鳥ケージの設置や観察マナーの普及啓発など具体の準備を加速するとともに、気運醸成に向けた記念イベントを開催するほか、ブランド化に向けたロゴマークやPR動画等の制作も進めてまいります。
さらに、放鳥を契機とした農業者の所得向上を図るため、令和八年度からの販売開始を見据え、米のブランド化に向けた認証制度を創設するとともに、ブランド米の生産拡大を図るため、江や魚道等の設置、省力化機械の導入などを支援してまいります。
能登駅伝につきましては、基本計画の策定に着手することとし、外部有識者を交えた準備委員会において、具体のコースや大会規模等について、専門的な見地から議論いただくことといたしました。具体の開催時期については、インフラや宿泊施設の復旧状況などを十分に見極め、決定してまいります。
輪島塗の復興につきましては、これまでの官・民・産地からなるワーキンググループでの検討を踏まえ、「若手人材の養成施設の創設」と「卒業生の雇用の促進」に向けて取り組むこととしております。来年度は、まず、検討委員会を設置し、養成施設の整備主体や規模、運営方法、カリキュラムなどの基本構想を策定してまいります。
輪島漆芸技術研修所につきましては、今年度頂いた多額の寄附金を活用し、新たに寄宿舎の整備に向けた実施設計に着手するとともに、成績優秀者等を対象とした給付型の奨学金制度を創設するなど、研修環境の充実を図ってまいります。
サテライトキャンパスにつきましては、学生による地域課題の解決や災害ボランティアと併せた地域との交流を促進するなど、今年度、県全体で約三百五十名の学生に活動いただいております。来年度は、単位認定も見据えたフィールドワークを実施することとしており、研究プログラムを大学に提案するなど、積極的なPRを展開し、県内外の大学からの受入学生数の倍増を目指してまいります。
震災の影響により人口減少が進む能登では、地域活性化や将来の移住者の増加に向け、地域と継続的な関わりを持つ「関係人口」の拡大が重要となっております。このため、能登に関心を寄せる方々や、災害ボランティア等の支援者、やむを得ず転居された被災者等を「関係人口」として「見える化」するとともに、地域との交流を継続させる仕組みづくりを推進することといたしました。
まず、来年度は、県、市町、民間団体などからなる官民連携の協議体を設置し、具体の取組について検討を深めるとともに、関係人口を「見える化」する登録システムの構築に着手いたします。
ジオパークなど震災遺構の地域資源化につきましては、専門家の協力を得て、白山手取川ジオパークの取組事例も参考としながら、能登地域での地域資源の調査を行うとともに、市町など関係者との認識の共有を図ってまいります。
また、能登の豊かな自然や風土に触れながら歩く自然歩道を「のとSDGsトレイル(仮称)」として整備することとし、国と連携し、先行事例の調査に着手いたします。
ふるさと教育につきましては、創造的復興をテーマとした地域における探究活動を全ての県立高等学校で行うことといたしました。奥能登地域では、輪島高等学校と飯田高等学校を拠点校として、高校と地域をつなぐコーディネーターを二名配置し、復興に向けた探究活動に取り組むとともに、県内のその他の地域の全日制高等学校では、震災遺構の見学など、能登でのフィールドワークを通じた防災教育を実施することといたしました。
のと里山海道の全線四車線化につきましては、能登の大動脈の強靭化に加え、金沢・能登間の移動時間の短縮を図る、創造的復興を加速させる重要な柱であります。このため、柳田インターチェンジ以北二キロメートルの四車線化を年内に供用するとともに、先月には、国に対し、徳田大津インターチェンジから穴水インターチェンジ間の管理の県から国への移管、国直轄施工による徳田大津インターチェンジからのと里山空港インターチェンジ間の四車線化を強く要望したところであります。
珠洲道路、門前道路、奥能登横断道路の高規格化等や、国道二四九号、県道輪島浦上線、県道大谷狼煙飯田線など眺望に優れた道路である「能登半島絶景海道」の整備につきましては、来年度、ルートの検討などに着手することといたしました。
「道の駅」につきましては、市町と連携し、停電や断水時にも使用可能な自立型トイレの整備など、防災機能の強化を図ることとし、まずは来年度、利用者の多い、「高松」、「なかじまロマン峠」、「桜峠」の三カ所の調査・設計に着手いたします。
能登地域の公共交通につきましては、県、能登全域の市町、国、交通事業者、利用者等で構成する法定協議会において、持続可能な地域公共交通の確保に向けた検討を進めており、年度内に、JR七尾線、のと鉄道、特急バスなど能登と金沢を結ぶ広域基幹交通について第一次計画を取りまとめることとしております。来年度は、第二次計画として、AIオンデマンド交通を含めた新たな交通手段の導入可能性調査など、市町を結ぶ地域幹線交通について検討を進めてまいります。
復興基金につきましては、各市町の裁量で活用可能な「市町枠配分」について、先の九月補正で総額百億円のうち五十億円を配分したところであります。今般、各市町の配分額の算定に使用している災害復旧費が概ね確定したことから、残り五十億円の配分を行うとともに、三十億円を上乗せし、計八十億円を配分することといたしました。
次に、もう一つの大きな柱である「成長戦略の実現に向けた取組」についてであります。
産業のDXにつきましては、昨年整備した工業試験場のデジタル活用ものづくり支援センター内に、ロボット導入のワンストップ支援拠点を創設し、普及啓発から、現場指導、ロボット操作の人材育成等を一気通貫でサポートする体制を構築することといたしました。
産業のGXにつきましては、ものづくり産業の業種ごとに、製品の原材料調達から製造、廃棄までの、温室効果ガス排出量(CFP)のモデル的な算定手法を策定し、県内企業に横展開することで、競争力強化を図ってまいります。
学生の県内就職の促進につきましては、就職活動の早期化や大手志向等によるUターン就職の減少、また、全国から本県に集まる学生の多くが県外就職していることが課題となっております。このため、石川に愛着を持つ県内学生が主体となり、県外に進学した学生や県外出身の学生を巻き込み、学生目線で石川の魅力を伝えてもらう「Back to ISHIKAWA / Stay ISHIKAWA」プロジェクトを実施し、石川県とのつながりや愛着を早期から深め、UIターンにつなげてまいります。
さらに、奨学金返還助成制度の対象を、従来の理系学生から文系学生にも拡大し、県と企業が連携して、企業が求める学生の確保に取り組むことといたしました。
移住・定住の促進につきましては、地震の影響等により、昨年度の本県への移住者数は、ILAC開設後、初めて減少へ転じております。特に首都圏からのIターン移住者が大幅に減少していることから、全国の多くの自治体が移住相談窓口を設けている東京都有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」の本県のブースを拡大し、就職相談にも対応できる相談員を一名増員するほか、ILAC東京との連携を充実いたします。加えて、北陸三県連携による移住イベントを開催するなど、情報発信を強化してまいります。
外国人材の活用につきましては、県内企業で就労する外国人材が年々増加する中、業務に必要な日本語能力の向上に取り組む業界団体を支援することといたしました。
また、自動車整備人材の確保のため、県自動車販売店協会からの要請を受け、同協会と技能実習生の送り出しに実績のあるベトナムハイフォン社、石川県の三者で、外国人の受入に係る連携協定を締結することとし、これに向けて準備を進めております。また、この取組を、業界団体と行政の連携によるモデルケースとして、他の業界団体へ横展開を図りたいと考えております。
金沢産業技術専門校の整備につきましては、現在地での建替えや訓練内容の見直しに向けた基本構想を年度内に策定し、来年度は基本設計に着手いたします。
海外への販路開拓につきましては、新たに「北陸三県輸出促進協議会」を設置し、三県の連携を強化することで、輸出拡大を図ってまいります。また、今年度、フランスに期間限定で設置したアンテナショップでの県産品のテストマーケティングが効果的であったことから、来年度はBtoB、BtoCの両面で取組を強化いたします。
加えて、台湾の高級百貨店において、来年度も引き続き、本県の特色ある食材や発酵食品、伝統的工芸品などの県産品の販売を行う「石川フェア」を開催し、海外における県産品の魅力発信と販路拡大につなげてまいります。
加賀料理につきましては、今年秋頃の国無形文化財への登録を目指し、文化財的価値の明確化に取り組んでおります。現在、登録に必要な保持団体の設立に向け、学識経験者、関係団体等と連携し、検討を進めており、夏頃には、料理人等で構成する「加賀料理技術保存会(仮称)」を設立することとしております。保持団体の事務局は県が担い、運営を行うとともに、記念フォーラムの開催など機運醸成にも取り組んでまいります。
農業の担い手の確保・育成につきましては、「いしかわ耕稼塾」において、就農までの入口段階の取組として効果的な農業インターンシップ研修を通年化するほか、修了者を対象とした学び直しの場を提供するとともに、個々の経営に応じたスマート農業技術の活用手法を学ぶコースを設置することといたしました。
環境保全型農業の推進につきましては、農業者に対しては、先進事例を学ぶ勉強会の開催や、温室効果ガスの排出削減に向けた生産技術の実証を行ってまいります。また、消費者の理解促進を図るため、金沢美術工芸大学と連携し、化学農薬の削減量等が一目で分かるラベルを制作するほか、環境に配慮した「特別栽培米」を県庁の食堂等でも提供するなど、より一層の普及に努めてまいります。
県民スポーツ大会につきましては、市町や関係団体との協議の結果、二年ぶりに開催いたします。中心会期の前倒しといった熱中症対策を講じるなど、多くの皆様が安心・安全に競技できるよう工夫を凝らし、関係団体等と連携し、取り組んでまいります。
降雨時のプレーに支障があり、かねてより改善要望が寄せられておりました、まめだ簡易グラウンドにつきましては、人工芝化に向けた実施設計に着手することといたしました。
北陸新幹線の敦賀・大阪間につきましては、昨年十二月の与党「北陸新幹線敦賀・新大阪間整備委員会」において、昨年末を目標としていた、敦賀・新大阪間の詳細な駅位置・ルートの決定が見送られ、来年度の政府予算案には、整備費が計上されなかったところであり、極めて残念であります。
政府・関係国会議員においては、早期の全線整備に向け、施工上の課題に対する沿線自治体の懸念や不安の払拭、着工五条件の解決が可能かどうかという点などについて、データを明らかにしたうえで議論いただき、早急に目処をつけていただきたいと考えております。
北陸新幹線の整備効果を最大限発揮するためには、何よりも、一日も早い大阪までの乗り換えなしでの全線整備の実現が必要不可欠であり、今後とも関西圏を含めた沿線地域との連携を密にし、県議会及び関係各位のご支援を頂きながら取り組んでまいります。
県内全線開業から間もなく一年が経過する中、JRと北陸三県が連携し、昨年十月から十二月にかけて実施した「北陸デスティネーションキャンペーン」に続く、効果的な情報発信を年間通して切れ目なく展開し、全国に本県の魅力を発信してまいります。
また、関西圏や中京圏からの誘客に向けては、JR西日本のキャンペーンと連動し、食の魅力をアピールする本県独自の誘客キャンペーンを実施するとともに、マイカーによる来県が多いことを踏まえ、本県の魅力とお得なドライブプランを併せてPRするなど、取組を強化いたします。
県観光連盟においては、データに基づく戦略的な誘客に向け、今年度、観光庁の実証事業の採択を受け、能登の観光施設の再開状況などを表示するデジタルマップを構築しており、来年度は、これを全県に拡大するとともに、地図上から施設の予約・決済まで行える機能を追加いたします。これにより、観光客の利便性の向上を図るとともに、個人の属性や興味・関心といった観光客のデータの収集・分析を行い、ターゲットを絞ったより効果的な情報発信に取り組んでまいります。
海外誘客につきましては、昨年の兼六園外国人入園者数が過去最多となるなど、外国人旅行者が順調に増加しております。一方で、外国人をはじめとした旅行者の増加により特定の時期や場所において住民の生活に影響が及ぶ事態が生じていることから、金沢市と連携し、誘客エリアや時期の分散化、混雑状況の可視化、マナー啓発など、オーバーツーリズムの予防的対策に取り組むことといたしました。
小松空港につきましては、年度内に中期ビジョンを取りまとめ、民間による空港運営のあり方や、ターミナルビルの改築について方向性を示すこととしております。これを踏まえ、来年度、ビルの改築等に向けた基本構想を策定することとし、施設規模や付加すべき機能、工事手法など改築の具体的な内容のほか、民間活力を導入した空港の運営手法について検討を進めることとしております。
国内線については、主要路線である羽田便の利用者が減少傾向にあることから、外国人観光客をターゲットとした乗継旅行商品の造成支援や、福井県や南加賀地域の飲食店等と連携した情報発信に取り組み、利用者数の底上げを図ってまいります。
国際線については、ソウル、上海、台北の三路線とも、コロナ禍からの運航再開以降、順調に利用が回復しており、昨年十二月には、上海便が週二往復から週四往復に増便されたところであります。国際線の安定運航には、インバウンドとあわせ、アウトバウンドの利用促進も重要であり、各種旅行商品の造成支援などに取り組んでまいります。
のと里山空港につきましては、昨年十二月に一日二便に復便されたところであり、引き続き、「復興応援ツアー」や、「災害を学ぶ旅」を通じて利用促進を図ることで、能登の復興を後押ししてまいります。
IRいしかわ鉄道につきましては、金沢以西開業以降の利用者数は、経営計画の予測を上回り、好調に推移しております。さらなる利用促進に向け、来月十五日からの春ダイヤより、運行本数を七本増便するほか、大聖寺・金沢間においては二十二年ぶりとなる快速列車を運行することとしております。今後とも、県や市町、経済団体、交通事業者等からなる「IRいしかわ鉄道利用促進協議会」において、駅舎の活用や駅周辺の賑わい創出など、さらなる利用促進に向け、関係者一丸となって取り組んでまいります。
金沢港につきましては、昨年三月に策定した将来ビジョンを踏まえ、物流や防災面での機能強化を図るため、年度内に港湾計画を改訂し、来年度より、大浜沖合でのコンテナターミナルの新設に必要な埋立護岸や大浜御供田線の四車線化、無量寺大野線の歩道拡幅の整備に向けた調査・設計に着手いたします。
また、自衛隊や海上保安庁が港湾施設を国民保護のための訓練等に円滑に利用できる「特定利用港湾」の指定について、先般、国から申し入れがあり、大規模災害時の効率的な災害支援や港湾整備の促進が期待されることから、年度内の指定に向け、国との手続を進めてまいります。
クルーズについては、これまで積極的な誘致に取り組んできた結果、本年の寄港数は、過去最多に並ぶ五十五本が予定されております。今後とも、万全の受入体制を整えるとともに、クルーズ船社への積極的な誘致活動に取り組んでまいります。
金沢城二の丸御殿につきましては、来月九日に起工式を執り行い、工事現場を覆う仮設の建物である素屋根の建設に着手いたします。素屋根が完成する来年度末には、御殿本体の基礎や柱、梁などを組み上げる建築躯体工事に着手することとしております。併せて、工事中の仮設塀に復元工事を映すモニターを設置するほか、体験型イベントを開催するなど「見える金沢城」として積極的に情報発信を行うとともに、六月頃より、県内外からの寄附を募集するなど気運醸成にも取り組んでまいります。
被災した石垣については、復旧の過程を間近で見て触れて学ぶことができるよう、夏休み前の公開を目指し、いもり堀園地に見学ルートや解説板を整備いたします。
木場潟公園の東園地の未整備区域につきましては、今年度実施したアンケート調査において、昆虫採集などの里山体験、ウォーキングコース、キャンプ場などのニーズが高いとの結果が示されたことを踏まえ、来年度は、基本設計に着手することとし、施設の機能・規模などの検討を行ってまいります。
西部緑地公園の再整備につきましては、来年度は、緑地に植える樹木の種類や配置など、基本計画の策定に必要な調査を行い、今後の事業化に向けた準備を進めてまいります。
先般、県立高校教諭が覚醒剤取締法違反等により逮捕されました。薬物乱用が大きな社会問題となっている中、このような事態に至ったことは本県教育に対する県民の信頼を揺るがす極めて遺憾なことであり、県民の皆様に深くお詫び申し上げます。
県教育委員会では、臨時の県立学校長会議を開催し、服務規律を確保するよう改めて指導の徹底を指示したところであり、教職員に限らず、すべての県職員が、このような不祥事を再び起こすことのないよう、綱紀粛正に努めてまいります。
本県教育の総合的な指針である教育振興基本計画につきましては、国の第四期教育振興基本計画への対応やGIGAスクール構想の推進、教職員の多忙化改善に加え、復旧・復興への対応など、教育を巡る諸課題に対応する計画とするため、来年度中に改定することといたしました。また、同計画の改定や復旧・復興、教育DXなどの施策を推進する組織として、庶務課を教育政策課に改組し、同課内に教育振興推進室を設置いたします。
遠隔授業につきましては、奥能登地域の高校では、入学者の減少に伴い、開講する全ての科目に教員を配置することが難しい状況になりつつあることから、教員が不足する科目での配信による授業を試行的に実施し、課題の洗い出しを行ってまいります。
校内教育支援センターにつきましては、不登校児童生徒にとって安心・安全な居場所となるよう、専任教員を県独自に配置し、きめ細かく対応してきたところ、登校日数や教室での学習時間が増加するなど、着実な成果が現れており、専任教員の配置校を二十校から三十校に拡充することといたしました。
夜間中学あすなろ中学校につきましては、校舎として活用する金沢中央高等学校の改修が完了し、四月の開校に向け、鋭意、準備を進めております。入学者は、十代から七十代まで、幅広い年代の十六名を予定しております。
いしかわ特別支援学校の知的障害教育部門高等部の新校舎につきましては、今月末に完成する予定であり、四月の開校後は、金沢向陽高等学校の生徒との合同授業や地域交流スペースでのカフェの共同運営など、両校生徒が日常的に交流を図る全国のモデルとなる本格的なインクルーシブ教育に取り組んでまいります。
小松特別支援学校につきましては、近年増加している知的障害のある児童生徒の教育環境の向上を図るため、寺井高等学校の敷地内に、新たな特別支援学校を整備することといたしました。来年度は基本計画の策定に着手し、令和十一年度の開校を目指してまいります。
社会福祉会館の建替えにつきましては、年度内に基本構想を取りまとめ、来年度は基本設計に着手することとしております。移転先である金沢西高等学校第二グラウンドについては、校舎西側に隣接する県有地への移転に向け、令和八年度末までの完了を目指し、整備を進めてまいります。旧県立図書館については、社会福祉会館の解体に先行して建物の解体に着手いたします。
能登北部保健福祉センターにつきましては、大規模災害や感染症に的確に対応できる機能を備えた保健福祉の拠点とすべく、のと里山空港隣接地への移転に向け、基本計画の策定を進めているところであり、来年度は基本設計に着手いたします。
奥能登における医療提供体制の確保につきましては、先週、二回目の「公立四病院機能強化検討会」を開催いたしました。のと里山空港周辺に新たな基幹病院を建設するとともに、既存の四病院を主に住民のかかりつけ医としての機能を担うサテライト医療機関と位置づけ、新病院とサテライトが一体的に地域医療を支えるとの方向性について、四市町と合意いたしました。引き続き、公立四病院と新病院の役割分担、医療機能、建設・運営主体など具体的な検討を進め、来年度中には、奥能登地域の医療機能強化の方向性を取りまとめてまいります。
プレミアム・パスポート事業につきましては、より一層、社会全体で子育てを応援する気運を醸成するため、協賛企業のご理解のもと、対象を第一子世帯に拡大することといたしました。これにより、対象世帯は、現行の約五万一千世帯から約九万一千世帯と二倍近くに増加する見込みであり、年内の運用開始に向け、準備を進めてまいります。
介護・福祉人材につきましては、団塊ジュニア世代が高齢者となる二〇四〇年に向け、さらなる確保が求められております。このため、小中学生向けの職業体験型イベント「キッザケア」の開催や、若者を対象とした介護・福祉職の情報発信、さらには、外国人雇用に取り組む介護事業者と人材紹介会社との面談会の開催など、様々な取組により、担い手の確保を図ってまいります。また、介護現場の生産性向上を図るため、県リハビリテーションセンターに相談窓口を設置するとともに、伴走支援等を行ってまいります。
犯罪被害者等への支援につきましては、被害者のニーズを一元的に把握し、関係機関につなぐ犯罪被害者等支援コーディネーターを庁内に配置し、ワンストップでの支援体制を構築いたします。
県庁の業務や執務環境のデジタル化につきましては、業務に応じて働く場所を選択できるよう、WEB会議用のブース等を設けたワークラウンジを庁内に新設するほか、出張先等でも事務用パソコンを利用できるようにするなど、執務環境の向上を図り、行政サービスの質の向上につなげてまいります。
カーボンニュートラルの推進につきましては、国の計画改定を踏まえ、来年度、県環境総合計画と県再生可能エネルギー推進計画を一体的に改定することといたしました。
また、実質的なエネルギー使用量をゼロにする住宅(ZEH)の普及に向け、国に呼応し、より高い省エネ性能を有する住宅に対する支援を拡充することといたしました。
有機フッ素化合物の一種であるPFOS等につきましては、近年、全国の浄水場や河川等で検出され、健康への影響について社会的関心が高まっており、県下全域の河川や地下水の調査を実施することといたしました。国が定める指針値を超過した場合には、周辺で取水する水道事業者へ監視の強化を求めるほか、周辺住民へ井戸水の飲用を控えるよう周知するなど、必要な対応を行ってまいります。
白山の魅力向上・発信につきましては、今月十三日に第二回の検討会を開催し、登山者の安全性・利便性の向上や、国・白山市と連携した周辺施設の魅力向上、効果的な情報発信など今後の取組の方向性について議論いただきました。来年度中の計画策定に向けて、引き続き検討を進めるとともに、これまでの検討会での意見も踏まえ、登山道の難易度マップの作成や白山ポータルサイトの開設など白山麓一帯の魅力向上に取り組んでまいります。
次に、「国補正予算に呼応した経済対策」についてであります。
電気料金をはじめとする物価の高騰が依然として続く中、国の物価高騰対応重点支援交付金を活用し、厳しい状況にある生活者、事業者に対する緊急対策を講じることといたしました。具体的には、これまで二度にわたり実施してきた、LPガス料金の負担軽減、特別高圧契約等の事業者の電気料金の負担軽減、学校給食費の保護者負担の軽減、医療機関・社会福祉施設等の負担軽減、運輸事業者への車両台数に応じた支援などに加え、新たに、畜産農家への和牛子牛価格の補填を実施することといたしました。
賃上げ環境の整備につきましては、今月六日、行政、経済団体、労働団体の代表による政労使会議を石川労働局との共催で初めて開催し、持続的な賃上げの実現に向けて共同宣言を採択いたしました。事業者の活用が年々増加している国の「業務改善助成金」に、県独自の上乗せ支援を行い、生産性向上や収益力強化を支援してまいります。
防災・減災、国土強靱化につきましては、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を最大限活用し、県下全域における河川改修の促進や緊急輸送道路の整備など、災害に強い県土の基盤づくりを一層加速させてまいります。
県職員採用試験につきましては、通常の試験時期より早期に実施する「先行枠」を行政職に導入するほか、即戦力の人材として、国や都道府県などの公務員経験者を対象とした「カムバック採用」を実施するなど、有為な人材の確保に努めてまいります。
以上が、令和七年度当初予算及び令和六年度補正予算における主要施策の概要であります。両予算を合わせた実質的な来年度当初予算の総額は、九千三百四十一億一千八百万円となっており、このうち、地震・豪雨に係る予算は、三千二百五十一億二千八百万円余となっております。
この財源といたしましては、県税一千六百八十五億円、地方交付税一千四百二十五億五千六百万円、国庫支出金二千五百四十四億三千六百万円余、地方債一千五百二十六億七千四百万円などを充てるほか、財政調整基金二十五億円を取り崩すこととしております。
予算総額の内訳は、令和七年度当初予算が八千三百七十九億八千九百万円、令和六年度補正予算が九百六十一億二千九百万円となっております。
特別会計といたしましては、病院事業、流域下水道事業など十六の特別会計や事業会計において、総額三千百四十三億三千四百万円余を計上しております。
金沢競馬につきましては、本年度も好調な売上を維持しており、十三年連続の黒字を達成できる見込みであります。来年度は、ナイター競走を初めて本格的に実施するなど、さらなる魅力の向上と経営基盤の強化に努めてまいります。
地震・豪雨への対応については、国により手厚い財政措置が講じられているものの、事業費の規模が極めて大きいことに加え、きめ細かく県独自の施策を実施することとしたため、多額の財政負担となっております。さらには、職員費、社会保障関係経費、公債費などの義務的経費も大幅に増加しており、来年度の実質県税の計上額は過去最高であるものの、財政調整基金を二十五億円取り崩さざるを得ない厳しい予算編成を余儀なくされたところであります。これにより、財政調整基金の残高は現状の半分程度の水準となる二十八億円まで減少する見込みであります。
なお、今年度の税収は、製造業など県内企業の業績好調を背景に、既に予算に計上している額以上の税収が見込まれることから、追加提案する予定の補正予算で、金額を精査のうえ、一定程度、財政調整基金の積み戻しを行いたいと考えております。
いずれにしても、財政調整基金の残高は、地震前に比べて極めて低い水準であり、引き続き、国へ必要な財政支援を求めるなど財源の確保に努めるとともに、事業の選択と集中を図るなど、歳入歳出両面での努力を重ね、持続可能な財政運営に努めてまいります。
次に、提案いたしましたその他の諸議案のうち、議案第三十二号につきましては、動物愛護の更なる気運醸成を図るため、本県の動物愛護の取組に対する寄附金の受け皿となる、いしかわ動物愛護基金を設置するものであります。
今月に入り、三度にわたり「顕著な大雪に関する気象情報」が発表されるなど、県内各地で大雪となっております。県では、発表と同時に災害対策本部を設置して警戒に当たり、特に、幹線道路等の交通確保を図るため、国・市町と連携して除雪を行うなど、大きな被害の未然防止に努めているところであります。
志賀原子力発電所につきましては、現在、原子力規制委員会の法律に基づく新規制基準への適合性に関する審査会合において、敷地周辺断層の活動性等に関する審査が行われております。規制委員会には、地震による影響を検証するとともに、科学的な根拠に基づき厳格な審査を行い、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかりと説明責任を果たすことを、引き続き、強く要望してまいります。
原子力発電所は安全確保が大前提であり、北陸電力(株)には、今後とも、より一層の安全対策に取り組むよう強く求めてまいりたいと考えております。
地震と豪雨からの本格的な復旧と創造的復興、さらには「幸福度日本一の石川県」の実現に向けた成長戦略の具現化に向け、国、市町と緊密に連携するとともに、産・学・官・金・労・言の「オール石川」の総力を結集させ、全身全霊を傾注して、日々精進を重ね、この難局に怯むことなく立ち向かっていく決意であります。議員各位の一層のご指導とご協力をお願いいたします。
以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なにとぞ慎重ご審議のうえ、適切なるご決議あらんことをお願いいたします。
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