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本日、ここに、令和四年第四回県議会定例会が開かれるにあたり、最近の県政の状況と提案いたしました一般会計補正予算及び特別会計補正予算並びにその他の諸議案につきまして、その大要をご説明申し上げます。
この夏は、前線の停滞により、県内各地で局地的な大雨が相次ぎ、河川の氾濫や浸水被害、土砂災害等が発生し、大きな被害をもたらしました。被害に遭われた皆様方に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。
とりわけ、先月四日の加賀地方を中心とした大雨は、小松市と白山市で三時間雨量や二十四時間雨量が観測史上最大となるなど、記録的な豪雨となり、梯川等の河川が氾濫し、重軽傷者七名の人的被害、約一千五百棟の住家被害のほか、河川や道路などの公共土木施設、農地・農業用施設、白山白川郷ホワイトロードをはじめとする林道等に甚大な被害が発生いたしました。
速やかに県災害対策本部を設置するとともに、私自身、被災現場を視察し、これまでの間、自衛隊の小松市への派遣や六市一町への災害救助法の適用による応急救助、小松市への被災者生活再建支援法の適用による住宅の再建支援、さらには、事業者や農林業者に対する相談窓口の設置、被災箇所の応急復旧や流出した流木等の除去などに、国や市町など関係機関と連携し、全庁挙げて取り組んできたところであります。
また、県災害対策ボランティア本部を立ち上げ、被災地のボランティア現地本部の運営支援や災害ボランティアの募集などを行っており、これまでに六千人を超える方々が活動し、復旧の大きな力となっております。
先月八日には、私自ら国土交通省、農林水産省、環境省、経済産業省などの関係省庁に対して、復旧・復興への支援を要請いたしました。今回の大雨による全国各地の災害については、激甚災害に指定される見込みとされており、今後、国には、災害査定を速やかに進めていただくとともに、県として、被災箇所の一日も早い本格復旧に向けて、全力で取り組んでまいります。
道路の崩落により無料区間が通行止めとなっている白山白川郷ホワイトロードについては、まずは、できるだけ早い時期の暫定復旧に向けて、仮設道路の設置や安全対策工事に着手するとともに、本復旧工事に向けた工法の検討を行ってまいります。
被災された事業者の再建に向けた支援につきましては、災害救助法の適用により、中小企業支援のいわゆる五点セットが適用され、商工会議所や商工会などに特別相談窓口が設置されるとともに、日本政策金融公庫による災害復旧貸付等が実施されております。
県としても、コロナ禍や物価高騰に加え、今回の大雨災害でさらなる厳しい経営環境に置かれている事業者の再建に向けた取り組みを後押ししてまいります。
具体的には、被災された事業者からの相談にきめ細かく対応するため、専門家派遣については、無料派遣の回数上限を撤廃し、派遣枠を拡大いたします。
また、資金繰りを支援するため、災害救助法適用地域の被災された事業者を対象に、信用保証料を軽減した低利の融資制度を創設することといたしました。
さらには、被災された事業者の再建に向けた生産性向上や販路開拓などの前向きな取り組みに対する支援策も講じることといたしました。
農作物や農業機械にも大きな被害が生じており、被災された農家の営農継続が懸念される状況となっております。このため、国に対して、ハード・ソフト両面からの支援を要望しているところでありますが、国の支援を待つことなく、県独自に農業機械の再取得等や営農再開に必要な経費に対して、手厚く支援することとし、安心して営農を継続していただけるよう後押ししてまいります。
今後に備えた防災・減災対策につきましては、県下全域の河川を緊急的に総点検した結果、新たに確認された堆積土砂の除去を来年の出水期までに完了させるとともに、国の追加認証を得て、抜本的な治水対策である河川改修を県下全域で促進いたします。
今回の加賀地方を中心とした大雨では、国管理の梯川本川に加え、支川の県管理河川でも越水したほか、内水被害や土砂災害の発生など、梯川の流域全体で甚大な被害が発生いたしました。
近年、全国各地で想定を超える豪雨が多発しており、河川管理者が主体となった従来の治水対策だけでは被害を防ぎきれないことから、流域全体の関係機関が一体となった防災・減災対策である「流域治水」の取り組みが求められています。
こうした観点も踏まえ、今回の災害について、国や小松市、能美市などの関係機関と連携し、その要因などを検証し、ハード・ソフト両面にわたる対策を取りまとめ、今後の治水対策に反映させてまいります。
六月中旬に奥能登地方で震度六弱を観測した地震の発生から、二カ月余りが経過いたしました。この地震により、転倒等による負傷者の人的被害、住宅の一部損壊、道路や河川などの公共土木施設、農地・農業用施設等に被害が発生いたしました。被害に遭われた皆様方に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。
これまで、関係機関と連携し、被災箇所の応急復旧に取り組み、国による災害査定が概ね完了したところであり、今後、早期の本格復旧に全力で取り組んでまいります。
また、被災された事業者の再建に向け、専門家派遣による相談体制を充実させるとともに、販路開拓などの前向きな取り組みに対して支援してまいります。
政府の地震調査委員会によれば、「能登地方における一連の地震活動は当分続くと考えられる」とされております。県としては、国に対して、十分な知見が得られていない能登半島の陸域における地震調査研究の早期実施を求めるとともに、先般開催した石川県防災会議震災対策部会において、地震被害想定の見直しに向けた検討に着手したところであります。県民の皆様方におかれましては、改めて家具の固定など、地震への備えをお願いいたします。
さて、先の六月補正予算では、谷本県政の「継承」と「発展」を念頭に、準通年型予算として編成された当初予算に、政策的な肉付けを行ったところです。今回提案をいたしました補正予算においては、先に申し述べた災害復旧などの緊急を要する対策をはじめ、六月補正予算編成後における情勢の変化や事業の進捗などにより、現時点で新たな対応が必要となったものについて編成をいたしました。
以下、主な施策につきまして、当初予算、六月補正予算の取り組み状況と併せ、その概要をご説明申し上げます。
第一は、「新型コロナウイルス感染症への対応」についてであります。
新型コロナウイルス感染症につきましては、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、感染された方々に心からお見舞いを申し上げます。
また、高い使命感を持って献身的に感染者の治療を行っていただいている医療従事者や県民生活に不可欠な社会インフラを支えるため業務を行っていただいている皆様方に、心より感謝を申し上げます。
本県の感染状況については、五月下旬以降、新規感染者数は、減少傾向となっておりましたが、七月に入って、感染力が極めて強いオミクロン株BA・5への置き換わりに伴い、感染が急拡大いたしました。八月には、過去最多を更新する二千人を超える新規感染者が連日確認されるなど、これまでにない規模で感染が拡大いたしました。
こうした状況に対応するため、運用病床を最大となる五百四床まで引き上げるとともに、高齢者施設等での一斉検査や感染に不安のある無症状の方に対する無料検査について、今月末まで実施期間を延長しております。
今般の感染急拡大に伴い、発熱などの軽症者の救急要請が増加し、救急搬送困難事案も増加しております。救急搬送の集中を回避するため、コロナ病床を持たない救急病院に対し、一般の救急患者のより積極的な受け入れを要請するとともに、県民の皆様に、救急車の適切な利用を呼び掛けているところです。
また、発熱外来がひっ迫しないよう、受診先が限られる休日における当番医の拡充や、外来受診前に抗原検査キットによる自己検査を行える体制を整えたほか、重症化リスクの低い無症状の方が自己検査で陽性となった場合、医療機関を経ずに自宅療養し、健康観察を受けることができる「陽性者登録・フォローアップセンター」を明日から運用を開始することといたしました。
全ての感染者の氏名などを確認する「全数把握」の見直しについては、国から、今月中に全国一律で導入するとの方針が示されているところであり、その動向を注視し、医療関係者の皆様方のご意見もお聞きしながら対応してまいりたいと考えております。
依然として、大変多くの新規感染者が確認されており、県民の皆様方におかれましては、基本的な感染対策を徹底いただきますよう、改めてお願い申し上げます。ワクチンの追加接種により、オミクロン株に対する予防効果が回復することが確認されております。接種は強制ではありませんが、ご自身やご家族を守るためにも、若い方も含めて、積極的に接種を受けていただきますよう、併せてお願い申し上げます。
第二は、「コロナ禍や物価高騰等により厳しい状況にある事業者への支援と将来の成長に向けた後押し」についてであります。
地域経済の再生に向けて、先の六月補正予算では、「新型コロナウイルスの影響の長期化への対応」と「原油・原材料価格のさらなる高騰への対応」の二つの側面から経済対策を講じたところであり、現在、全力を挙げてその執行に取り組んでおります。
最近の本県経済は、全体としては持ち直しているものの、感染拡大の影響に加えて、原材料価格の高止まりや電気料金などエネルギーコストの上昇、さらには、最低賃金の引き上げにより、幅広い業種において、経営への影響が深刻化することが懸念されております。
こうした状況を踏まえ、厳しい経営環境に置かれている事業者への支援を強化してまいります。
まず、新型コロナウイルスの影響により厳しい状況に置かれている事業者への支援については、全国トップクラスの支援である「石川県事業復活支援金」により、多くの事業者の皆様の事業継続を後押ししている中、想定を大きく上回る申請があったことから、所要の補正を行っております。
飲食の需要喚起については、先の六月補正予算において、「飲食店応援食事券」を追加発行し、総額九十億円の需要喚起を図っているところであります。感染拡大により、厳しい状況にある飲食店を引き続き支援するため、九月末としていた販売・利用期限を十二月十五日まで延長することといたしました。
観光の需要喚起については、先般、北信越・中部地域を対象とした「県民旅行割」を今月末まで延長したところであります。全国を対象とした需要喚起策「全国旅行支援」については、国の方針が決定され次第、速やかに対応したいと考えております。
金融面のセーフティネットについては、六月補正予算において、いわゆる「ゼロゼロ融資」を対象とした融資期間十五年以内の借換融資制度を創設したところでありますが、原油・原材料価格の高騰が続く中、収益が圧迫されている事業者等の資金繰り支援に万全を期すため、「ゼロゼロ融資」以外の融資を対象とした、融資期間十五年以内の新たな借換融資制度を創設することといたしました。
企業の省エネへの支援については、六月補正予算において、省エネ投資を追加支援したところでありますが、電気料金などエネルギーコストが急激に上昇する中、再度、支援することといたしました。これにより、コスト削減による企業の競争力強化はもとより、社会全体のグリーン化に不可欠な産業部門の脱炭素化にも資するものと考えております。
最低賃金については、先般、石川地方最低賃金審議会において、現行制度では過去最高となる三十円の引き上げが答申されたところであります。物価高騰の中で賃上げに取り組む県内中小企業を支援するため、「専門家派遣制度」について、無料派遣の回数上限を撤廃し、相談体制を充実させるとともに、国の「業務改善助成金」に県独自に上乗せ支援することといたしました。
本県では、これまで、様々な経営課題に直面する事業者に寄り添ったきめ細かな支援、いわゆる「伴走支援」に積極的に取り組んでまいりました。
具体的には、コロナ禍を契機として、多種多様な経営課題に対応する「専門家派遣制度」を大幅に拡充したほか、支援機関の職員の資質の向上を積極的に支援しており、商工会における中小企業診断士資格の取得率は全国トップとなっております。加えて、先の六月補正予算においては、商工会議所・商工会の体制強化も図ったところであります。
こうした取り組みを国に高く評価いただき、先般、中小企業庁等との間で、全国初となる「伴走支援」に関する連携協定を締結し、全国のモデルとなる取り組みを実施していくことで合意したところであります。
この連携協定に基づき、国・県双方の施策やノウハウを伝える事業者向けのセミナーや、国の人材情報を活用した高度専門家の派遣、支援機関職員のさらなる資質向上などに取り組んでまいります。
農業や畜産業については、ウクライナ情勢などにより、化学肥料や配合飼料の価格が高騰し、経営に多大な影響が生じております。
肥料・飼料価格の高騰は全国的な課題であり、原料を海外に依存している我が国にとっては、構造的かつ中長期的な課題であることから、全国知事会などを通じて、国において恒久対策を講じるよう求めるとともに、県独自に、現下の厳しい状況を踏まえ、前例のない規模で肥料・飼料の価格高騰対策を講じることといたしました。
まず、肥料については、国において創設された価格高騰分の一部を補てんする支援制度に県独自に上乗せ支援することにより、安心して営農を継続できる環境を整えることといたしました。
併せて、中長期的に肥料コストを低減させるため、肥料効果を有する地力増進作物の作付け支援や鶏糞堆肥の活用に向けた調査など、環境保全型農業の推進に向けた取り組みを進めてまいります。
また、飼料については、配合飼料の価格高騰分の一部を支援するとともに、県内で自給可能な稲発酵粗飼料の活用を促進するなど、県内の稲作農家と畜産農家が連携した、いわゆる「耕畜連携」による持続可能な経営体制の構築に取り組んでまいります。
第三は、「グリーン化、デジタル化による新たな価値の創造」であります。
カーボンニュートラルの推進につきましては、世界的な課題であると同時に、県民の皆様全てに関わる身近な問題でもあります。今月中に改定する環境総合計画において、国の削減計画を踏まえて、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標を、二〇一三年度比で現行のマイナス三十%からマイナス五十%に大幅に引き上げることといたしました。
削減目標の達成には、全国に比べて温室効果ガスの排出割合の高い家庭部門や運輸部門において、その特性を踏まえた取り組みが不可欠であり、六月補正予算においては、運輸部門の対策を講じたところであります。
今般、家庭部門の対策を講じるため、他県に比べて普及が進んでいない省エネ、創エネ住宅の普及促進を図ることといたしました。
具体的には、新たに「ゼロエネ住宅アドバイザー」を育成するとともに、築後十年以上が経過している「いしかわエコハウス」を最先端の省エネ、創エネのモデルハウスとして機能強化を図ることといたしました。また、省エネ、創エネ住宅の新築やリフォームなどに対する国の制度に上乗せした支援制度を創設いたします。
さらに、県自らが率先して温室効果ガス削減の取り組みを強力に推進するため、「県庁グリーン化率先行動プラン」の削減目標を、国のマイナス五十%を上回るマイナス六十%に引き上げることといたしました。
このように、温室効果ガスの削減に向けた目標を定めるとともに、本県の特性を踏まえた施策を推進していくこととし、今月一日に、二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロを目指す、いわゆる「カーボンニュートラル宣言」を行いました。
トキの放鳥につきましては、先般、能登地域が放鳥候補地として選定されました。令和八年度以降に予定されている放鳥の実現に向けて、国では、年内を目途に、佐渡市や放鳥候補地などとともに「トキと共生する里地づくり協議会(仮称)」を設置し、佐渡市の取組事例等について、情報共有を図ることとされております。
県では、これに先立ち、専門委員会を設置し、放鳥に必要となる具体の取組内容や時期などをまとめた「能登地域トキ放鳥推進ロードマップ」の策定に着手するとともに、トキの餌となる生物の生息環境調査を実施することといたしました。
また、能登地域の四市五町において、トキの餌場となる水田をモデル的に整備し、その効果を検証することとしております。
今後、県民をはじめ、県、市町等が連携し、カーボンニュートラルを推進していくことや、トキなどの希少な野生の動植物が生息できる自然環境の再生・保全に取り組むことを「ふるさと石川の環境を守り育てる条例」に明記することとし、今議会に条例の改正を提案しております。
デジタル化の推進につきましては、来月にも、私と県内全ての市町長で構成する「石川県デジタル化推進会議」を設置し、県全体のデジタル化やデジタル技術を活用した好事例の横展開を図るプラットフォームを構築することといたしました。
専門的な知見を有するアドバイザーにもご協力いただきながら、県と市町が連携し、県全体のデジタル化を推進してまいります。
第四は、「北陸新幹線県内全線開業効果の最大化」であります。
北陸新幹線につきましては、金沢・敦賀間について、先月、小松駅の駅舎の建築工事が完了し、今月には加賀温泉駅の駅舎の建築工事が完了する予定であるなど、令和五年度末の開業に向けて順調に工事が進められているところであります。
先般開催した小松駅、加賀温泉駅の見学会には、多数の県民の皆様にご参加いただいたところであり、今月十七日から、金沢・敦賀間をリレーでつなぐウォーキングイベントを開催するなど、今後も多彩なイベントを開催し、県内全線開業に向けた気運の醸成を一層図ってまいります。
敦賀・大阪間については、本年は、令和五年度当初の着工に向けて、山場となる重要な年であり、先般発表された来年度国家予算の概算要求では、事項要求として盛り込まれたところであります。速やかに環境影響評価を進めるとともに、技術的課題や財源確保等の着工五条件の早期解決に向けて検討を加速させ、令和五年度当初の着工を確実に実現していただきたいと考えております。
北陸新幹線は、沿線地域の飛躍的な発展に大きく寄与するものであり、その真価を最大限に発揮するためにも、大阪までの一日も早い全線開業が必要であり、今後とも、金沢・敦賀間の令和五年度末までの確実な開業及び敦賀・大阪間の令和五年度当初の着工と早期全線整備について、関西圏を含めた沿線地域との連携を密にし、県議会及び関係各位のご支援をいただきながら、国に強く働きかけてまいります。
並行在来線につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、金沢以西延伸後の経営は非常に厳しくなると見込まれる中、JR西日本に対して、積極的な支援と協力を求め、粘り強く協議を続けてきた結果、先般、同社との間で、金沢駅高架下用地を含めた鉄道資産の譲渡や、人件費の一部負担等について合意に達することができたところであります。
これにより、金沢以西延伸後は、毎年、金沢駅高架下用地の貸付収入等を得ることができるなど、IRいしかわ鉄道の経営基盤の強化に繋がる大きな成果が得られたものと考えております。
この合意を踏まえ、先般、「金沢以西延伸対策検討会」を開催し、今後のIRいしかわ鉄道の経営の大要を定める、新たな経営計画について、素案をお示ししたところであります。金沢以西の運賃水準は、JR西日本、IRいしかわ鉄道、県、市町の四者が力を合わせ、協力することで、金沢以東と同程度に抑制できることとなったところであります。
引き続き、金沢以西の延伸区間の営業開始に向け、安定的な経営と利用者の利便性の確保に努めてまいります。
北陸新幹線の県内全線開業に向けた観光誘客につきましては、先般、観光関連業界や学識経験者等からなる「新幹線県内全線開業PR戦略実行プラン策定委員会」の第一回会合を開催したところであります。
金沢開業時の経験を活かし、「受け地の魅力づくり」、「効果的な情報発信」、「誘客キャンペーン」を三つの柱とし、北陸三県の連携による誘客を強化するとともに、新たに、文化観光を強力に推進することを盛り込む方向で策定作業を進めてまいります。
七月には、初めて北陸三県の知事が一同に会した懇談会を本県で開催し、北陸三県が連携した広域観光の具体の取り組みを進めていくことなどについて合意いたしました。
また、同月、富山県、静岡県の知事とも懇談し、石川県の白山、富山県の立山、静岡県の富士山の「日本三霊山」を活用し、広域観光や文化などの分野で三県が連携して取り組んでいくことについても合意いたしました。
小松空港につきましては、六月から国内線が通常運航に戻り、利用者数も回復傾向となっており、引き続き、観光・ビジネスの両面から利用促進に取り組んでまいります。
小松空港の第二滑走路については、国において、その必要性に関する調査を実施するよう、先月、私自ら国土交通省、防衛省などへ要望したところであります。県においても、想定される空港施設の配置案や整備に係る概算費用など基礎的な調査を行い、年度内に取りまとめたいと考えております。
のと里山空港につきましては、この七月から開港二十年目に入ったところであり、引き続き、市町や関係団体と一丸となって首都圏からのさらなる誘客を図るとともに、地元利用の促進に取り組み、需要の確保を図ってまいります。
金沢港につきましては、今月、金沢港・神戸港連携協定記念クルーズとして「ぱしふぃっくびいなす」が寄港する予定であるなど、今年は、七本の寄港が見込まれております。引き続き、船会社と連携し、寄港数の増加に努めてまいります。
西部緑地公園の再整備につきましては、県内外の有識者からなる構想検討委員会を立ち上げ、先般、第一回の会議を開催いたしました。また、園内の大規模施設である県立野球場と産業展示館の整備については、それぞれ部会を設け、検討を開始したところです。
今後、検討委員会でのご意見を踏まえつつ、西部緑地公園が県内外から多くの方が訪れる、さらなる賑わいの拠点となるよう、構想の策定を進めてまいります。
木場潟公園の東園地につきましては、令和五年春の開園に向けて整備を進めており、本園地の利用拠点となる「里山交流ハウス」などの整備を今年度中に完了させることとしております。新たな里山再生のモデルとなる公園として、引き続き、ハード・ソフトの両面から準備を進めてまいります。
広域道路ネットワークの整備につきましては、金沢外環状道路海側幹線の金沢市大河端町から福久町間及び南加賀道路の加賀市細坪町から熊坂町間について、工事が順調に進捗していることから、本年十一月に供用することといたしました。
第五は、「石川ならではの文化の創造と発信」であります。
令和五年秋に開催される国民文化祭「いしかわ百万石文化祭二〇二三」につきましては、本年五月に策定した大会の実施計画に基づき、鋭意、事業の具体化に向けた取り組みを進めており、本県の多彩な文化の魅力を全国へ発信できるよう、石川ならではの工夫を凝らすなど、開催準備に万全を期してまいります。
また、開催一年前となる来月十四日には、金沢駅東広場にカウントダウンボードを設置するほか、大会のスペシャルアンバサダーである野村萬斎氏のご協力のもと、加賀・能登・金沢でのプレイベントを開催するなど、幅広いPR活動を展開し、開催に向けた気運の醸成を一層図ってまいります。
金沢城二の丸御殿につきましては、復元対象となる建物の基本設計や、障壁画の再現に向けた検討など、令和六年度の工事着手を目指し、鋭意、取り組みを進めております。
御殿に関する情報発信については、案内所を「二の丸情報館」として改装し、御殿の歴史や復元整備の取り組みを紹介する発信拠点として、来月十五日に公開することとしており、御殿復元への気運を高めてまいりたいと考えております。
オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)につきましては、国内外のオーケストラの首席指揮者等を歴任された広上淳一氏が、今月一日に新たにアーティスティック・リーダーに就任いたしました。OEKが広上アーティスティック・リーダーのもと、より多くの皆様に愛され、国内はもとより国際的にも一層評価されるオーケストラとして発展していくよう取り組んでまいります。
新たな県立図書館につきましては、七月十六日の開館から、八月末までの間で、二十万人を超える方にお越しいただくなど、連日、多くの皆様にご利用いただいております。
図書の貸出のみならず、国立科学博物館と連携した特別展や食文化体験、モノづくり体験など、様々なイベントを開催しているところであり、新図書館が「知の殿堂」として、より多くの皆様にご利用いただけるよう取り組んでまいります。
第六は、「スポーツを通じた活力の創造」であります。
昨年の東京オリンピックの開催により、県民のスポーツに対する関心が高まっており、今後はこれを本県スポーツの振興につなげていくことが重要であります。
今月二十九日から四日間、カヌー競技の国際大会である、アジア・パシフィック・カヌースプリント大会が、国内で初めて、八カ国約二百三十名の選手等が参加し、小松市の木場潟で開催されます。この大会は、東京オリンピックに向けた木場潟での合宿を契機に、若手育成を目的として創設された国際大会であり、この大会を通して、より一層の本県カヌーの競技力向上と参加国との交流促進に努めてまいります。
また、東京オリンピックで正式種目に採用されたスケートボードをはじめとするアーバンスポーツについて、来月二十三日に、金沢港クルーズターミナルにおいて、複数種目を一堂に集めた、著名な選手によるデモンストレーションや体験会を一体的に実施するイベントを開催いたします。こうしたイベントを契機に、県民の皆様にアーバンスポーツを身近に感じていただけるよう、普及啓発に一層取り組んでまいります。
第七は、「成長する農林水産業づくり」であります。
本県は、量は少ないものの、特色ある農林水産物が数多くあり、これらのブランド価値を一段と向上させるため、「石川県の特色ある農林水産物を創り育てるブランド化の推進に関する条例」に基づき、先月、ルビーロマンや能登牛など、本県のブランド農林水産物としてふさわしい二十品目を「百万石の極み」として認定いたしました。
これに合わせ、東京大田市場や東京食肉市場の卸売業者の方々等へ私自身がトップセールスを行ったところであり、引き続き、県内外で旬の品目を集めたPRイベントを実施するなど、「百万石の極み」の魅力を広く発信し、さらなる認知度向上や販売増加につなげてまいります。
昨年夏、韓国国内でルビーロマンと称するブドウが生産・販売されているとの報道があり、県では、このブドウのDNA鑑定に向けて準備を進めてまいりました。先月、韓国国内で販売されていたこのブドウを入手し、国の検査機関でDNA鑑定を行ったところ、ルビーロマンと遺伝子型が一致していることが判明しました。
ルビーロマンの苗木が、本県から韓国に流出したと考えざるを得ないものであり、これまで生産者とともに、苗木の厳格な管理を徹底してきたにもかかわらず、このような事態が生じたことは誠に遺憾であります。
県としては、ルビーロマンの生産者に対し、苗木の厳格な管理を徹底するよう、改めて指導してまいります。また、海外での商標登録を進めるなど、国内外において、ルビーロマンをはじめとする県産ブランド農林水産物の知的財産権の保護に取り組んでまいります。
全国育樹祭につきましては、森林資源の利活用や森を守り育てることの大切さを全国に発信するため、令和十二年の本県での開催に向け、先般、主催者である国土緑化推進機構等に要請を行ったところであります。
第八は、「県民の誰もが心豊かに安心して暮らせる社会づくり」であります。
女性活躍の推進につきましては、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」地域シンポジウムを、国と共同で、来月十八日に開催いたします。女性活躍推進における組織トップの役割をテーマに、県内企業のリーダーらによるパネルディスカッションなどを行い、県内全体の気運を盛り上げ、本県の女性活躍のさらなる加速につなげてまいりたいと考えております。
周産期医療体制の確保につきましては、輪島病院で新生児が亡くなった医療事故を受け、県内全市町、産科医を派遣する大学、県立中央病院、県医師会等の関係者からなる「赤ちゃん協議会」を設置し、県内の産科医の確保や地域偏在の解消に向けた検討を進めているところであります。
七月に開催した第一回協議会においては、関係者の方々と現状の課題共有と意見交換を行ったところであり、現在は、協議会の下に設けた二つのワーキンググループにおいて、具体の検討を進めております。県民が安心して出産できる環境づくりは、県民生活の根幹をなすものであり、引き続き、関係者の方々と丁寧な議論を重ね、年内にも今後の取り組むべき方向性をお示ししたいと考えております。
本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている児童・生徒、いわゆるヤングケアラーにつきましては、現在、県内の実態調査を行っているほか、すでに教員向け研修を実施したところであり、来月には、福祉関係者向け研修も実施いたします。引き続き、今回の調査結果を踏まえ、早期発見と適切な支援に向けた体制づくりに取り組んでまいります。
いわゆるひきこもりの方への支援につきましては、現在の金沢に加え、能登と加賀にも新たな支援拠点を、来月から開設いたします。今後はそれぞれの支援拠点において、県、市町、学校、民間支援団体が連携し、いわゆるひきこもりの方の自立に向けた支援に取り組んでまいります。
難聴児の支援につきましては、早期に切れ目のない適切な療育を受けられるよう、今月一日に金沢大学附属病院内に「いしかわ難聴児相談支援センター」を開設いたしました。
消防学校につきましては、先月、有識者や消防関係者からなる検討会を立ち上げ、機能強化に向けた検討を始めたところであり、教育訓練拠点のみならず、総合的な防災拠点としての機能についても、議論を重ねてまいります。
ツキノワグマ出没への対応につきましては、目撃件数が過去最多ペースで推移し、この秋は、人里での大量出没が予想されます。そのため、出没の危険性が高い地域に自動撮影カメラを緊急配備し、AIによる識別システムを活用し、出没情報を市町や猟友会に迅速に提供することで、被害防止対策を強化することといたしました。
引き続き、市町や関係機関と連携し、人身被害の防止を第一としてしっかりと取り組んでまいります。
交通安全対策につきましては、自転車利用者が加害者となる事故が後を絶たず、全国で高額賠償が請求される事案が発生しております。自転車損害賠償保険の加入義務化など、自転車の安全で適正な利用に関する条例の制定に向け、学識経験者や関係団体等で構成される懇話会を設置し、早ければ十二月議会での提案を目指し検討を進めていくことといたしました。
第九は、「石川の活力と発展を支える人づくり」についてであります。
本年度の全国学力・学習状況調査につきましては、本県は全教科において、小学校・中学校ともに、全国トップクラスの高い水準を維持したところであります。引き続き、金沢大学や、市町教育委員会、学校と連携・協力して、授業改善をさらに進め、児童生徒一人ひとりの個性や適性に応じたきめ細かな指導に努めるなど、学力の向上に取り組んでまいります。
開設十周年を迎えた「いしかわ師範塾」につきましては、県内外から高い評価をいただいており、本県の高い教育力の維持向上のため、県内外へのPRをさらに強化するなど、引き続き、実践的指導力を身につけた教員の確保・養成に取り組んでまいります。
特別支援学校の教育環境の整備につきましては、いしかわ特別支援学校の知的障害部門高等部の新校舎の実施設計を進めているところであり、金沢向陽高等学校北校舎の解体工事に着手いたします。全国のモデルとなる本格的なインクルーシブ教育の実施に向けた具体の検討を進め、令和七年度の開校に向け、諸準備を進めてまいります。
様々な事情で義務教育を修了できなかった方などに対して教育の機会を保障する「夜間中学」につきましては、七月に、県及び市町教育委員会で構成する「公立夜間中学開設検討会」を立ち上げ、現在、県内におけるニーズ調査を行っているところであり、引き続き、公立夜間中学の設置に向けて、具体の検討を進めてまいります。
以上が今回の補正予算の大要でありまして、一般会計補正総額は二百十七億五千二百万円余、現計予算と合わせて六千三百二十四億六千五百万円余となるものであり、財源としては、国庫支出金八十億五千九百万円余、繰越金九億一千百万円余、県債五十四億九千二百万円、諸収入七十一億八千八百万円余などを充てております。
このほか、港湾整備特別会計及び中央病院事業会計において、所要の補正を行っております。
次に、提案いたしましたその他の諸議案のうち、主なものについてご説明申し上げます。
議案第四号は、職員の定年年齢を国家公務員に準じて引き上げるなどの改正を行うものであります。
議案第六号は、運航開始から二十五年が経過した消防防災ヘリコプターの更新機を取得するものであります。
報告第六号から第四十七号は、いずれも地方自治法の規定により、石川県公立大学法人や県民ふれあい公社など四十二法人の経営状況をご報告するものであります。
志賀原子力発電所につきましては、現在、原子力規制委員会において、法律に基づく新規制基準への適合性に関する審査が行われております。規制委員会には、科学的な根拠に基づく厳正かつ迅速な審査が行えるよう体制の拡充・強化を図るとともに、審査結果はもちろん、審査の方法や手続きを含め、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかりと説明責任を果たすことを引き続き強く要望してまいります。
原子力発電所は安全確保が大前提であり、北陸電力(株)には、今後とも、より一層の安全対策に取り組むよう強く求めてまいりたいと考えております。
「幸福度日本一の石川県」の実現に向けて、石川県の基本的方向性を示す「石川県成長戦略(仮称)」につきましては、一昨日、各界を代表する方々にご出席をいただき、第一回「石川県成長戦略会議」を開催いたしました。委員からは、石川県の個性であり強みでもある文化のさらなる磨き上げと発信や、あらゆる分野におけるデジタル技術の活用とその人材の育成・確保など、様々なご意見をいただいたところであります。今後、成長戦略会議及び五つの部会のご意見や県民意識調査の結果等を踏まえ、また、県議会でご議論をいただき、来年秋頃の策定を目指し、作業を進めてまいります。
去る七月八日、元内閣総理大臣安倍晋三氏がご逝去されました。安倍晋三氏は、歴代最長の期間、卓越したリーダーシップと実行力をもって、内閣総理大臣の重責を担い、内政・外交で大きな実績を残されました。地方創生の推進をはじめ、安倍晋三氏の残された様々なご功績に敬意を表し、心から哀悼の意を表する次第であります。
以上をもちまして、私の説明を終わりますが、議員各位の一層のご指導とご協力をお願いいたしますとともに、なにとぞ慎重ご審議のうえ、適切なるご決議あらんことをお願いいたします。
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