ホーム > 県政情報・統計 > 知事のページ > 県議会の議案説明要旨 > 議案説明要旨(令和6年第1回県議会定例会) - 令和6年2月22日 -
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本日、ここに、令和六年第一回県議会定例会が開かれるにあたり、提案をいたしました令和六年度当初予算及び令和五年度補正予算並びにその他の諸議案につきまして、その大要をご説明申し上げます。
元日に発生した令和六年能登半島地震は、輪島市、志賀町で県内観測史上最大の震度七を記録するなど県政史上未曽有の大災害となりました。発災から間もなく二カ月となりますが、この地震による被害は、昨日時点で、死者二百四十一名、重軽傷者一千百八十六名、安否不明者九名、さらに県内全域で七万五千棟を超える住家被害が発生しております。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様方に対して心からお見舞い申し上げます。
また、上下水道、電気、通信といったライフラインの損傷や、のと里山海道、国道二四九号等の道路の崩壊、液状化現象の発生のほか、河川、港湾・漁港、農地・農業用施設など数多くのインフラ施設に極めて甚大な被害が発生いたしました。
県では発災と同時に災害対策本部を設置し、奥能登二市二町、七尾市及び志賀町の六市町に自衛隊の災害派遣要請を行うとともに、全国からの警察・消防の派遣部隊、国や全国の自治体の応援職員、医療・福祉の災害派遣チームをはじめとする多くの皆様の支援を頂きながら、人命救助を最優先に、市町と連携して被災者の救助、応急対策に全庁を挙げて取り組んでまいりました。
国においても、発災当日に、古賀内閣府副大臣を本部長とする政府現地災害対策本部を設置し、関係省庁から幹部級を含む多数の職員を県庁や被災地に派遣いただき、県災害対策本部と一体となって様々な業務にあたっていただいております。さらに、これまで、災害復旧事業に係る国庫補助率の嵩上げ等の措置が講じられる激甚災害、許認可等の有効期間の延長等の措置が講じられる特定非常災害、国等による災害復旧の権限代行が可能となる非常災害への指定など、被災地の実情を踏まえ、様々な要望に対して迅速に対応いただいているところであります。
また、昨年末に決定していた令和六年度の政府予算案を変更し、予備費を一兆円に倍増する異例の措置を講じていただくとともに、先月二十五日には「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」が取りまとめられ、翌二十六日にはこれに基づき、一千五百億円を超える予備費の使用が閣議決定されました。
岸田総理の強いリーダーシップのもと、政府一丸となって迅速に対応していただいていることに深く感謝を申し上げる次第であります。
県としても、国のパッケージに対応して、「生活の再建」、「生業の再建」、「災害復旧等」を柱として、復旧・復興に向けた取り組みを強力に進めてまいります。
第一の柱である「生活の再建」についてであります。
応急救助につきましては、県では、発災当日に震度五弱以上を記録した十七市町に災害救助法を適用し、国や関係機関の支援を頂きながら、被災者の捜索・救助、医療の提供、避難所の設置、炊き出しの提供などに全力で取り組むとともに、発災直後から全国から支援物資を調達し、当初はプッシュ型で、その後は被災地のニーズに対応したプル型により、被災地に輸送してまいりました。
被災者の避難先の確保につきましては、道路の寸断、上下水道の被害による衛生環境の悪化、避難所における過密や感染症のまん延等の状況に鑑み、被災者の生活環境を確保し、災害関連死を防止するため、一次避難所等から、被災地域外の二次避難所への避難を積極的に働きかけてまいりました。二次避難所については、県内外の自治体の協力のもと、金沢市以南を中心とした約二百カ所のホテル・旅館に、約五千名の避難者を受け入れていただいております。また、二次避難先の決定までの当面の避難所として、いしかわ総合スポーツセンター等に一・五次避難所を設置し、二次避難所とのマッチングや避難生活の支援を行っているところであります。
こうした取り組みにより、一時は、最大二十四地区、三千三百人余が取り残されていた孤立集落が解消するとともに、一次避難所の集約が進み、避難者数はピーク時の三万四千人余から約五分の一となりましたが、今なお六千人以上の方々が避難を余儀なくされているところであります。
一方、来月十六日に北陸新幹線の県内全線開業が控える中、二次避難されている皆様に、さらに先の住まいの確保についての見通しを示す必要があるため、今月七日から順次、説明会を開催し、仮設住宅やみなし仮設住宅等の今後の選択肢を提示させていただくとともに、今後の住まいに関する意向調査を行っているところであります。
住まいの確保に向け、被災地での仮設住宅の建設のほか、県内外のみなし仮設住宅や公営住宅の確保に努めているところであります。仮設住宅については、昨日までに、当初、来月末までの着工目標としていた三千戸を超える戸数を着工したところであり、目標を四千戸に引き上げ、希望する被災者の皆様が一日でも早く入居できるよう、引き続き、市町と連携し、仮設住宅の建設に全力で取り組んでまいります。
迅速かつ大量に供給可能な従来型のプレハブ住宅の建設に加え、市町のニーズを踏まえ、地域コミュニティを重視し、長期間の利用も想定した住宅の建設を進めてまいります。具体的には、木造長屋のまちづくり型である「熊本モデル」や、木造戸建風のふるさと回帰型である「石川モデル」の建設も進め、「熊本モデル」の第一号として、今月十七日に、輪島市で六十八戸を着工いたしました。
仮設住宅等における生活家電につきましては、災害救助法に基づく生活必需品の供与の対象外とされている洗濯機、冷蔵庫及びテレビは、被災者の生活再建に不可欠なものであるため、多数の企業からご寄附いただいた企業版ふるさと納税を活用し、提供することといたしました。
被災者の健康管理につきましては、全国から派遣いただいている医療、保健、福祉の専門職の方々と連携し、個別訪問の実施や相談窓口の開設など、高齢者や障害者などの要配慮者を中心にきめ細かく支援を行っているところであります。
被災した児童生徒につきましては、能登地域では、水道等のインフラや学校施設に甚大な被害が生じていることを踏まえ、輪島市、珠洲市及び能登町の教育委員会では、希望する中学生の金沢市内や白山市内の施設への集団避難を行うとともに、県教育委員会においても避難の必要性が高い高校生の金沢市内の宿泊施設への避難を行うなど、生活・学習環境の確保に努めているところであります。
また、児童生徒のこころのケアをきめ細かく行うため、電話相談窓口を開設したほか、被害の甚大な六市町の学校を中心にスクールカウンセラーを増員いたしました。
さらに、大学入学共通テストの受験にあたって被災により増加した経費を支援するとともに、公立高等学校入学者選抜において、金沢市内に別検査会場を開設するなど受検機会を確保したほか、世帯の被災状況に応じた県立高校の授業料や入学手数料の減免などの負担軽減も図ったところであります。併せて、これらと同様の取り組みを行う私立学校に対しても支援を行うことといたしました。
言葉の壁により情報が届きにくい外国人被災者につきましては、県国際交流協会に災害多言語支援センターを設置するなど、情報提供や個別相談を通じて外国人被災者が孤立しないよう取り組んでいるところであります。
被災者のペットにつきましては、獣医師会等の関係機関やボランティアと連携し、避難所に飼育スペースを確保するとともに、飼育困難なペットについて、動物病院における一時預かりを実施しているところです。また、避難生活の長期化を見据え、「いしかわ動物愛護センター」が四月に開設するまでの措置として、来月上旬に一時保護施設を設置することとしております。
被災地の治安対策につきましては、震災に便乗した窃盗事件等の発生が確認されていることから、警察官による被災地でのパトロール活動を強化するとともに、避難所等における防犯カメラの設置・運用が順次開始されているところであります。
被災者の生活再建につきましては、先月六日、県内全市町を対象に、被災者生活再建支援制度を住家被害認定調査の結果を待たずに特例的に適用し、中規模半壊以上の世帯に対する支援を行うとともに、国制度では支給対象とならない半壊世帯まで対象を拡充する県独自の支援制度も併せて適用することといたしました。
さらに、国において、能登地域の六市町を中心に、高齢者や障害者がいる半壊以上の世帯等を対象とした「新たな交付金」を創設する方針が示されました。この制度の対象とならない若者・子育て世代などへの住宅ローンの利子補給による新たな支援策とともに、現在、国と調整を行っております。調整が整い次第、予算措置を行い、被災者の生活再建を後押ししてまいります。
発災直後から、国、全国の自治体からの応援職員をはじめ、医療・福祉の災害派遣チームなど多数の方々により様々な支援を行っていただいておりますが、被災地のホテル・旅館も大きな被害を受けており、現地での宿泊場所が不足しております。このため、国や地元市町と連携し、公共施設等の空きスペースにおいてキャンピングカーを活用するなど宿泊拠点の確保を進めてまいりました。今後の復旧・復興に係る作業の本格化を見据え、さらに宿泊拠点を確保するため、のと里山空港ターミナルビル横の県有地に、他県からプレハブ式の宿泊施設を移設することとし、来月中の運営開始に向け、準備を進めてまいります。
災害ボランティアにつきましては、発災直後から、全国の被災地で活動経験が豊富な百三十を超える専門ボランティア団体に、自己完結型で、避難所運営への助言や重機による災害ごみの撤去など様々な専門的な支援を実施いただいております。一般ボランティアについては、先月二十七日からボランティアバスを運行し、家屋の片付けや物資の仕分け、災害ごみの運搬などこれまで約三千七百人の方々に活動いただいております。多くの皆様のご支援に心より感謝申し上げます。
ボランティア活動を希望される方には事前登録をお願いし、県内外の二万七千人を超える方々にご登録いただいております。今後、ニーズが一層高まることが見込まれることから、奥能登二市二町での活動時間を確保するため、穴水町に宿泊拠点を設置し、今月二十六日から運用を開始することといたしました。引き続き、安全に活動できる環境の確保を前提に、ボランティア活動を支援してまいります。
災害弔慰金につきましては、市町の要望を踏まえ、支給事務が円滑に進むよう、災害関連死の認定に係る審査会の合同開催や委員の選定など、市町の支援を行うこととし、今月二十六日に、全市町を対象に、災害関連死の認定基準や支給マニュアル等についての説明会を開催いたします。
義援金につきましては、先月四日から受け付けを開始し、国内外から既に三百二十億円を超える額が寄せられております。改めて、心から厚く御礼申し上げます。先に開催した配分委員会において、第一次配分として、上下水道、道路、電気、通信等のインフラの被害が極めて甚大であり、過酷な生活を強いられてきた六市町の全住民に対して五万円を配分するとともに、県内全市町を対象に、人的・住家被害に応じた配分を行うこととされたところであります。六市町の住民への配分については、今月二十六日にもオンラインや郵送による申請の受け付けを開始するほか、来月中旬には各市町において窓口を設置し、受け付けを開始できるよう準備を進めており、人的・住家被害に応じた配分については、各市町において順次申請の受け付けが開始されているところであります。
さらに、ふるさと納税や企業版ふるさと納税により、本県に対して二十二億円を超える寄附金が寄せられており、温かい応援をいただいた皆様に感謝を申し上げます。
第二の柱である「生業の再建」についてであります。
今般の地震により、輪島塗等の伝統工芸産業や酒造業、宿泊・観光業、製造業など様々な事業者に加え、農林漁業者についても、農地や農業用施設・機械、漁港や漁船、畜舎、木材加工設備などに大きな被害が生じているところであります。
能登の地域経済を支え、能登の生活・文化を形成するこれらの基幹産業の再建なくして、能登の復興は成し遂げられないことから、事業者や農林漁業者が、生業の再建に取り組めるよう、全力で支援してまいります。
被災事業者への支援につきましては、施設等の復旧について、「なりわい再建支援補助金」により、一社あたり最大十五億円を支援するとともに、被災した小規模事業者を対象とした国の支援に加え、県独自に、中小企業を対象に、販路開拓や商品開発等の前向きな取り組みを支援することといたしました。
伝統工芸産業については、輪島塗や七尾仏壇などの国指定の伝統的工芸品を対象とした国の支援に加え、県独自に、珠洲焼、七尾和ろうそくなどの県指定の伝統的工芸品、稀少伝統的工芸品を対象に、事業の継続・再開に必要な道具や原材料の確保などを支援することといたしました。
商店街については、国と連携し、共同施設の復旧や集客イベントなどの賑わい創出の取り組みを支援することといたしました。
資金繰りへの支援については、当初五年間無利子かつ信用保証料を免除する融資制度を創設するとともに、事業者の二重債務問題に対応するため、中小企業基盤整備機構や地元金融機関等と共同で総額百億円規模の官民ファンドを設立することといたしました。
被災事業者への伴走支援については、金沢と能登に経営指導員等による特別相談窓口を設置するとともに、専門家派遣制度の無料派遣回数の上限を撤廃し、事業再建の相談から補助申請のサポートまで、きめ細かく支援してまいります。
被災事業者の雇用維持については、国において、雇用調整助成金の補助率の引き上げ等の特例措置が講じられたところであり、専門家派遣制度を活用しながら、事業者や労働者の皆様からの相談にきめ細かく対応してまいります。
また、休業に伴う事業者の雇用維持に係る負担軽減や従業員の収入の下支えに有効な在籍型出向制度の積極的な活用に向けた周知を行うほか、避難先での一時的な生活を支えるため、短期派遣に関する出張相談やあっせん等を実施することといたしました。
被災した農林漁業者への支援につきましては、ステージごとに支援策を講じることとし、応急支援として、地震による停電や断水、施設の被害により生業継続が困難となった畜産農家、漁業者に対して、発電機や水、飼料、氷、燃油の運搬に要した経費などを支援することといたしました。
農業機械や共同利用施設等の復旧については、国の支援に県と市町で協調して上乗せ補助を行い、残る自己負担分についても日本政策金融公庫などの無利子・無担保又は保証料免除の融資の活用により、当面、自己資金ゼロで復旧を可能とする制度といたしました。
生業再開に向けた環境整備については、種苗の調達や災害ごみの撤去などを支援するとともに、津波により被災した農地の除塩や集落が実施する農道、用排水路等の補修などについても支援することといたしました。
生業再開までの就労先の確保については、農協や漁協等と連携し、被災した農林漁業者の就労先確保に向けたマッチングを行うことといたしました。
加えて、今後、農道の補修や用排水路の土砂撤去、漁港周辺のごみ撤去などの様々な作業に人手が必要となることから、「能登農林水産業ボランティア」制度を創設し、早期の再開を支援してまいります。
今般の地震により、農村のコミュニティ機能が低下し、農地などを維持管理する共同活動の中断や営農意欲の低下が懸念されることから、担い手農家と高齢農家などが協働し、地域コミュニティ機能の維持に取り組む地域をモデル的に支援することといたしました。
観光需要の喚起につきましては、被害が甚大であった能登地域のみならず、県内全域で多くのキャンセルや予約控えが発生するなど本県の観光産業に大きな影響が及んでいることから、旅行・宿泊代金の割引を行う「いしかわ応援旅行割」を実施することといたしました。実施時期については、二次避難の状況や、全国からのインフラ復旧事業者、行政関係者等の宿泊状況も見極めつつ、国とも相談しながら、今月中を目途に判断してまいります。なお、能登地域については、復興状況を見ながら、国において検討いただいている、より手厚い需要喚起策の方向性を踏まえ、対応してまいります。
消費による応援の気運醸成につきましては、地震の影響を受けている県内の飲食店や小売業、食品製造業などの事業者を、消費という形で応援することで、本県経済の活性化を図ることが、ひいては能登の支援につながるとの認識のもと、「能登のために、石川のために応援消費おねがいプロジェクト」を進めているところであります。先週開催された「いしかわ伝統工芸フェア」をはじめとする首都圏での物産展の開催や、県内外の店舗、商品へのロゴマークの表示を通じて、応援消費の気運を高めてまいります。
第三の柱である「災害復旧等」についてであります。
道路の被害状況につきましては、県管理道路では最大四十二路線八十七カ所で通行止めとなり、奥能登へのアクセスルートが遮断され、奥能登全体が孤立状態となりました。
発災直後から、国と連携し、二十四時間体制で道路啓開を実施し、発災三日後の先月四日には、金沢と奥能登二市二町を結ぶ主要幹線ルートを確保いたしました。
能登の大動脈であるのと里山海道については、順次復旧が進んでおり、今月十五日に輪島方面へ向かう横田インターチェンジから越の原インターチェンジまでの通行止めが解除となり、残る穴水インターチェンジまでの三月中旬の啓開に向けて、鋭意、復旧作業を進めているところであります。
また、被害の大きかった国道二四九号の外浦沿岸や主要地方道輪島浦上線などについても、被災された皆様がお住まいの集落に一日でも早く戻れるよう、引き続き、啓開を進めてまいります。
このほか、河川や港湾などについても、被災箇所の多さや被害の大きさから、今後の本格復旧には相当の期間を要することが想定されるため、国による権限代行のほか、全国の自治体からの技術職員等の派遣などのご協力も頂きながら、国、市町と一体となって、全力で取り組んでまいります。
これらの被災箇所については、今月十九日から国による災害査定が開始されたところであります。
今般の地震の特徴の一つである液状化につきましては、現在、国において被害範囲や地盤の状況を把握するための調査が進められておりますが、用地境界のずれや道路・宅地の高さの変化など多くの課題があります。そのため、まずは、市町において、地域住民の意向を踏まえたまちづくりの方針を決める必要があり、県としても、国と連携して、後押ししてまいります。
水道の被害状況につきましては、発災直後、十六市町で最大約十一万戸の断水が発生し、今なお、七市町で約二万二千戸が断水しております。県では、発災直後から自衛隊に給水活動の要請を行うとともに、国や日本水道協会、全国の自治体からの応援を頂きながら、被災市町への給水支援を行っているところであります。
今回の震災では、浄水場等の被害に加え、アクセス道や、各地区への配水管も広範囲で被害を受け、復旧に時間を要しております。日本水道協会、全国の自治体からの応援により、被災した浄水場の機能を概ね回復させたところであり、順次、配水管の漏水調査や修繕を行いながら、通水エリアの拡大を進めております。
県水の供給につきましては、発災後、内灘町以北への送水を停止し、南側から順次、送水管の点検・補修に取り組んでまいりました。先月四日に中能登町までの送水を再開し、その先の七尾市にかけては、被害が集中し、復旧に時間を要しましたが、先月二十九日には七尾市の藤橋供給点まで送水を再開いたしました。耐震化工事が完了している七尾市藤橋から和倉温泉間は被害はなく、本日、県水供給の終点である能登島須曽まで送水を再開したところであります。
下水道につきましては、能登地域を中心に県内十七市町で公共下水道施設の被害が発生するとともに、集落が分散する能登地域に多くある集落排水や合併処理浄化槽、個人の有する浄化槽などにも、多数の被害が発生したところであります。公共下水道については、国、日本下水道事業団、日本下水道管路管理業協会、全国の自治体などからの応援により、今月四日に被災箇所の点検を終え、応急復旧を進めているところであります。集落排水や合併処理浄化槽等については、国、地域環境資源センター、全国浄化槽団体連合会などからの応援により、順次点検・応急復旧を進めているところであり、「上下水道一体」での早期復旧に全力で取り組んでまいります。
農林水産業の生産基盤についても、農地・農業用施設の損壊や山腹崩壊、港の地盤隆起、船の転覆など広範囲に甚大な被害が発生しております。
特に港については、漁業活動に利用されている漁港や港湾の七十二カ所で被害を受け、外浦の港二十三カ所については地盤の著しい隆起により港の機能が失われ、深刻な被害となっております。復旧には、相当の期間を要するものであることから、漁業者の声を丁寧にお聞きしながら、国や地元市町とともに、復旧に向けた調査・検討を進めてまいります。
のと里山空港につきましては、滑走路のひび割れ等の大きな被害を受けましたが、国からの支援も頂きながら応急復旧を進め、先月十一日には自衛隊機の離発着が可能となり、二十七日からは、能登・羽田便が、週三日、一日一往復の臨時便として運航を再開しております。のと里山空港は、能登と首都圏を結ぶ交流基盤として復興に不可欠な存在であることから、国に権限代行を要請し、早期の本格復旧に取り組んでまいります。
のと鉄道につきましては、発災以降、運休しておりましたが、今月十五日から、七尾・能登中島間での運行を再開したところであります。残る穴水までの区間についても、現在、JR西日本と連携し、四月上旬の運行再開に向けて、鋭意、復旧作業を進めているところであります。
電力につきましては、発災直後は広範囲にわたり停電が発生いたしましたが、北陸電力送配電(株)など関係機関による懸命な復旧作業により、概ね復旧に至っております。今なお停電が続く立ち入りが困難な一部地区におきましても、現場へのアクセス改善に応じて、順次復旧作業を進めていただいているところであります。
携帯電話通信につきましては、発災直後は六市町における通信可能なエリアが最大で二割から三割まで減少いたしましたが、現在は、立ち入りが困難な一部地区を除いて応急復旧が概ね終了し、順次本格復旧が進んでおります。
学校につきましては、県内の公立小中学校、高等学校及び特別支援学校の約八割を超える二百九十二校に被害が発生しており、緊急修繕を実施するとともに、被害が甚大な建物は国と連携し、一日も早い本格復旧に努めてまいります。
文化財につきましては、百四十五件の国・県指定の文化財等に被害が発生しており、国や市町、関係機関と連携し、緊急に保全措置が必要な動産文化財の救出・応急措置、一時保管を実施するとともに、建造物については専門家による技術的支援を実施するほか、修復に係る費用を支援することで、適切な保全を図ってまいります。
また、金沢城公園や兼六園の文化財である石垣にも、崩落などの被害が発生いたしました。今後、国と協議し、専門家の指導や助言を頂きながら、復旧を進めてまいります。
被災地の生活環境の保全につきましては、各市町の廃棄物処理施設が多数被災したことから、発災直後から国、全国の自治体、県内外の事業者からの応援により、避難所等で発生する生活ごみ、し尿の回収や処理の支援を行っているところであります。
被災した建物の解体撤去については、特定非常災害への指定により、全壊に加えて半壊の建物についても市町による公費解体の対象とされました。県としても、国や被災経験を有する自治体とともに市町への人的・技術的支援を行い、迅速に解体撤去が進むよう取り組んでまいります。
災害廃棄物の処理につきましては、推計で平成十九年能登半島地震の十倍に相当する約二百四十四万トンの災害廃棄物の発生が見込まれております。これらを市町単独で処理することは困難であることから、今月六日に災害廃棄物処理の基本方針を策定し、可能な限り分別や再生利用等により最終処分量の低減を図るほか、陸上輸送に加え、海上輸送を活用し県内外で広域処理するとともに、県としても、市町への人的・技術的支援や、事業者の確保を行い、令和七年度末の処理完了を目指すことといたしました。今月末には、具体的な処理体制などを定めた災害廃棄物処理実行計画を策定し、国や市町、関係団体と連携して取り組んでまいります。
創造的復興に向けた取り組みにつきましては、厳しい状況にあっても、被災者が前を向いて生活と生業を再建していくために県としてビジョンを示すため、発災から一カ月の節目となる今月一日に「石川県令和六年能登半島地震復旧・復興本部」を設置いたしました。
能登には、世界農業遺産「能登の里山里海」として認められた、農林漁業による多くの恵み、美しい自然景観、守り伝えられてきた祭りや伝統文化、素朴な人情、日本屈指の伝統工芸や温泉など数えきれない魅力があります。復旧・復興に際しては、被災地の思いに寄り添い、単なる復旧にとどめない、全国に誇るべき能登ブランドの価値を高めるビジョンをお示ししたいと考えております。
被災地である能登の市町は、少子高齢化や過疎化の進展が著しい地域であります。こうした点にも十分配慮し、被災地の首長や住民、事業者の皆様の声を丁寧にお伺いしてまいります。また、過去の震災を教訓に大所高所からご助言を頂くため、今月中には有識者によるアドバイザリーボードの人選を終え、来月のできるだけ早い時期に第一回目の会合を開催することとしております。
国の「令和六年能登半島地震復旧・復興支援本部」との連携を密にし、創造的復興の実現に向けたプランを早期にお示しするため、年度内には骨子案を取りまとめるべく、作業を加速してまいります。
さて、今回の当初予算は、昨年策定した石川県成長戦略を具体化する諸施策を盛り込むべく、昨年の秋以降、検討を進めてまいりました。しかしながら、発災以来、多くの職員が災害対応に注力し、通年予算を編成することが難しい状況となったことから、職員費や社会保障関係経費などの義務的経費や継続事業のほか、地震対策、新幹線開業対策など、年度当初から対応する必要のある経費のみを盛り込んだ、いわゆる骨格的な予算として編成したところであり、その他の政策的経費は六月補正予算において対応することといたしました。
以下、これまで申し述べた地震対策を除く主な施策につきまして、その概要をご説明申し上げます。
県民の五十年来の悲願である北陸新幹線の県内全線開業まで、いよいよ残すところ二十三日となりました。先月二十六日には、鉄道施設が国による完成検査に合格し、今月一日からは、試乗会が開催されるなど、開業に向けた準備が最終段階を迎えております。間もなく待望の日を迎えることができますのは、ひとえに永きにわたり県民の声を一つにした粘り強い取り組みの賜物であり、これまでご尽力いただきました多くの方々に心から感謝を申し上げます。
開業日には、沿線市町とも連携し、金沢駅、小松駅、加賀温泉駅の三駅において、一日を通して多彩なイベントを開催し、本県にお越しになる観光客の皆様をおもてなしするとともに、県民の皆様とともに開業をお祝いしたいと考えております。
各駅では、和装姿の方々によるお出迎えのほか、金沢駅では加賀鳶、小松駅では大獅子、加賀温泉駅では山中節といった地域の伝統芸能の実演、観光PRブース、地元の食を堪能できる飲食ブースの設置など、石川らしい趣向を凝らしてまいります。
また、小松駅、加賀温泉駅の上空では、航空自衛隊のブルーインパルスの展示飛行により、開業に花を添えていただくこととしているほか、金沢駅ではオーケストラ・アンサンブル金沢、小松駅では航空自衛隊中部航空音楽隊、加賀温泉駅では市民によるタップダンスなど、多彩なステージイベントを実施し、開業日を大いに盛り上げてまいります。
加えて、金沢駅では発災後初となる御陣乗太鼓の実演や、能登の特産品の特設販売ブースを設置するほか、各駅に能登・石川にゆかりのある著名人の方々による復興メッセージボードを設置するなど、地震からの復興を後押しする機会としたいと考えております。
観光誘客については、開業一カ月前となる今月十六日から、JR西日本が開業をPRする第二弾のテレビCMを開始するとともに、これに先立って、JR東日本の主要駅においては、南加賀の温泉地等をPRするポスターが掲出されております。
県としても、北陸三県で連携し、開業直後から切れ目ない誘客キャンペーンを展開することとし、まずは、四月から半年間は、大手旅行会社のJTBグループによる大規模キャンペーンを実施いたします。また、開業効果が一段落することが想定される十月からは、JR六社と北陸三県の自治体や経済・観光団体が一体となって全国からの誘客に取り組む北陸デスティネーションキャンペーンが予定されており、誘客キャンペーンや様々な取り組みを年間を通じて実施することで、開業効果の最大化につなげてまいります。
さらに、これらの誘客キャンペーンを能登の復興に向けたキャンペーンにも位置付け、全国からの能登の応援につなげてまいります。
今年夏に県立美術館で開催する特別展「まるごと奈良博」につきましては、奈良国立博物館の至宝が館外で公開される展覧会としては過去最大規模となる予定であり、国宝や重要文化財を含む約二百点を展示いたします。加えて、仏教美術等をテーマとした多彩なイベントを開催し、兼六園周辺文化の森における文化観光の推進に取り組んでまいります。
「伝統的工芸品月間国民会議全国大会」につきましては、十一月七日から四日間にわたり開催されることとなりました。伝統的工芸品の展示即売会等のほか、県立美術館では四季に応じたテーブルコーディネートの展示などを行う「食を彩る工芸展(仮称)」を開催するなど、多彩なイベントを集中的に展開することで、今般の地震により大きな被害を受けた伝統工芸産業の復興を後押しするとともに、北陸デスティネーションキャンペーンとの相乗効果も図り、誘客促進にもつなげられるよう、しっかりと準備を進めてまいります。
首都圏アンテナショップ「八重洲いしかわテラス」につきましては、来月九日、東京八重洲に移転オープンし、私自身も出席してオープン記念式典を開催いたします。北陸新幹線の県内全線開業をPRするブースのほか、能登の地酒や食品、輪島塗などの工芸品を販売・展示する「復興応援ブース」を設け、アンテナショップを拠点に、首都圏での県産品の応援消費を促進するとともに、地震からの復興状況についても随時発信してまいります。
北陸三県連携による関西圏での情報発信拠点につきましては、七月に大阪駅に隣接する大型複合施設内にオープンいたします。将来の北陸新幹線の大阪開業も見据え、食や文化など厚みのある北陸の魅力を、関西圏はもとより、関西国際空港からの訪日外国人観光客にも発信し、北陸への誘客を図るとともに、能登の地酒や食品、輪島塗などの工芸品を販売することで復興を後押ししてまいります。
敦賀・大阪間につきましては、施工上の課題を解決するための調査等が進められており、令和六年度の政府予算案において、今年度に引き続き、調査に必要な予算が計上されたところであります。この調査費を最大限活用し、建設費や工期、地元負担額などの具体的なデータを明らかにし、着工五条件の早期解決を図り、一日も早い全線整備を実現していただきたいと考えております。
北陸新幹線の整備効果を最大限発揮するためには、大阪までの全線整備が必要不可欠であり、今後とも、関西圏を含めた沿線地域との連携を密にし、県選出の国会議員、県議会及び関係各位のご支援を頂きながら、政府・与党に強く働きかけてまいります。
並行在来線につきましては、先月、IRいしかわ鉄道(株)が金沢以西延伸後の運行ダイヤを発表したところであり、利用者の利便性向上に最大限配慮し、運行本数を九本増便することとなりました。今後、並行在来線を活用した北陸三県連携周遊観光促進キャンペーンや、県内の鉄道事業者が連携したイベントを実施するなど、県や市町、経済団体、交通事業者など関係者で一丸となって利用促進に取り組んでまいります。
事業者の賃上げ環境の整備につきましては、昨年十一月に成立した国の補正予算に盛り込まれた持続的な賃上げに向けた取り組みに呼応し、一定の賃上げを行う企業を対象に、生産性向上や収益力強化に向けた取り組みを支援する補助制度を創設するとともに、融資制度を活用して設備投資をする場合の金利の優遇措置を行うことといたしました。
県産品の海外における販路開拓・拡大につきましては、先月、台北市内の高級百貨店三店舗において「石川フェア」を開催し、特色ある食材や発酵食品など、三十二社の百八十商品を販売いたしました。本フェアを通じて、現地の方からは大変好評な声を頂いたところであり、来年度も引き続き、フェアを継続して開催するなど、海外における県産品の魅力発信と販路拡大に取り組んでまいります。
小松空港につきましては、地震の影響により、先月の国内線の利用状況は前年を下回りましたが、引き続き、観光・ビジネスの両面から利用促進に取り組んでまいります。
国際線については、昨年十二月に中国東方航空の上海便及び大韓航空のソウル便が再開されたところであり、台北便も含めて、引き続きインバウンド・アウトバウンド双方での利用促進に取り組んでまいります。
広域道路ネットワークの整備につきましては、のと里山海道の四車線化、金沢外環状道路海側幹線、加賀海浜産業道路などの幹線道路の整備を進めているところであります。このうち加賀海浜産業道路につきましては、白山市小川町から松本町間を四月に供用することとしております。
「ガルガンチュア音楽祭」につきましては、新たな春の音楽祭として、国内外の一流オーケストラや音楽家によるクラシック音楽を中心に、新たにアニメ・映画音楽、昭和歌謡等のプログラムを充実させるほか、全公演の入場料収入の一部を義援金とするなど、被災地支援にも取り組んでまいります。
東アジア文化都市事業につきましては、今般の地震により、大会の主会場に予定していた七尾市を含め、県内全域で被害が生じ、式典や各種イベントの開催が困難であることから、先月、文部科学大臣に開催中止を申し入れたところであります。七尾市の意向も踏まえ、能登復興の記念事業として、数年後の開催を目指してまいります。
金沢城公園につきましては、城の魅力を国内外に効果的に発信する情報発信計画を年度内に策定することとしており、その一環として制作を進めている復元後の二の丸御殿をリアルに体感できるVR映像を、北陸新幹線の県内全線開業に合わせて、来月十六日から鶴の丸休憩館において一般公開することといたしました。
木場潟公園につきましては、中央園地において、潟と桜、新幹線を一望できる展望デッキが来月八日に完成・供用する見込みとなりました。県内全線開業を機に、より多くの皆様にご利用いただけるよう、さらなる魅力向上に努めてまいります。
少人数学級の実施につきましては、国において、令和七年度に小学校全学年を三十五人学級とすることとされておりますが、県独自に、来年度は小学校六年生を三十五人学級とし、国より一年前倒しで小学校全学年を三十五人学級とすることといたしました。
いしかわ特別支援学校の知的障害教育部門高等部の新校舎の整備につきましては、工事が順調に進捗しているところであり、来年四月の開校に向け、全国のモデルとなる本格的なインクルーシブ教育の実施に向けてハード・ソフト両面からの準備を鋭意、進めてまいります。
夜間中学につきましては、来年四月の「県立あすなろ中学校」の開校に向け、校舎として活用する県立金沢中央高等学校の改修工事を進めるとともに、気運醸成のためのシンポジウムの開催や学校案内リーフレットの配布など県民への周知を図ったところであります。
奥能登における医療提供体制の確保につきましては、奥能登二市二町の首長の皆様からの要望や今般の地震の影響も踏まえ、過疎化・高齢化が進む中、県民の命を守る病院機能の強化を図るため、「奥能登公立四病院機能強化検討会(仮称)」を設置し、まずは、医療機能の維持に必要な具体策の検討を進めることといたしました。
性の多様性に関する理解増進条例につきましては、条例の必要性や意義について県民の皆様にご理解いただけるよう、セミナーやタウンミーティングを実施しているところであります。
流域治水対策につきましては、近年、大雨災害が激甚化・頻発化する中、梯川流域や河北郡市において記録的な大雨による河川の氾濫や浸水被害が発生しており、流域治水の考えに基づいたハード・ソフト両面での対策を、関係機関と一体となって取り組んでまいります。
地震被害想定につきましては、今年度から見直しに向けた調査に着手し、来年度中に結果を取りまとめる予定としておりましたが、今般の地震を受け、専門家のご意見や国において実施される調査等を踏まえた上で、改めて今後の方針を決定することといたしました。
消防防災ヘリにつきましては、映像による迅速な被災状況の把握や、より高い山岳地での救助活動を可能とするなど、機能を強化して更新することとしており、来年春には運航を開始できるよう準備を進めてまいります。
カーボンニュートラルの推進につきましては、本県の家庭・運輸部門における温室効果ガスの排出割合が全国に比べて高いことを踏まえ、県民の皆様による実践を促すことが重要であり、引き続き、省エネ・創エネ住宅の普及に向けた新築やリフォーム等への支援とともに、電気自動車の普及に向けた車両購入等への支援を行ってまいります。
トキの放鳥につきましては、今般の地震により、農地をはじめ、農林漁業者に甚大な被害が発生したところであり、今後、能登の四市五町などの関係団体の皆様の声を丁寧にお聞きしながら、取り組んでまいります。
森林公園につきましては、昨年七月の大雨被害に加え、今般の地震でも園内の林道に一部被害が発生しましたが、現在建設工事中の屋内木育施設への被害はなかったことから、予定どおり今年の夏休み前のオープンに向けて整備を進めてまいります。
動物愛護の拠点施設として森林公園内に整備している「いしかわ動物愛護センター」につきましては、四月からの開設に向け、鋭意、準備を進めているところであります。
県庁のデジタル化の推進につきましては、セキュリティレベルを強化しつつ、民間事業者が提供する利便性の高いインターネットサービスを最大限に活用できるよう、新たなネットワーク環境への移行に着手することといたしました。
来年度の組織につきましては、地震からの創造的復興及び被災者の生活再建を図るため、「能登半島地震復旧・復興推進部」を新設するとともに、部内には、被災地のニーズを現地で把握する「復旧・復興現地対策室」を奥能登行政センター内に設置いたします。また、北陸新幹線の県内全線開業を機に、文化・観光・スポーツの三分野の連携により、さらに相乗効果を発揮させるため、「文化観光スポーツ部」を新設するとともに、県観光連盟には、専門マネジメント人材の採用など体制強化を図り、観光地域づくりを推進する司令塔としての役割を担っていただくこととしております。さらに、総務部内に「デジタル推進監室」を設置し、デジタル化の推進体制を一層強化してまいります。
以上が、令和六年度当初予算及び令和五年度補正予算における主要施策の概要であり、令和六年度一般会計当初予算の総額は、一兆一千百一億三千百万円となっており、県政史上初めて、一兆円を超える予算となっております。
この財源といたしましては、県税一千五百七十一億円、地方交付税一千五百四十二億九千五百万円、国庫支出金四千四百十七億二千七百万円余、地方債一千八百八十億六千八百万円などを充てております。
また、本日併せて提案いたしました令和五年度補正予算につきましては、二千百二十七億四千三百万円余を追加計上しており、令和六年能登半島地震に係る予算総額は、令和六年度当初予算と令和五年度補正予算を合わせて七千七百十八億一千七百万円余となっております。
地震からの復旧・復興に向けた取り組みに対しては、国により手厚い財政措置が講じられているものの、事業費の規模が極めて大きいことに加え、被災地の実情に応じ、きめ細かく県独自の施策を実施することとしたことから、令和六年度予算と令和五年度補正予算を合わせて、財政調整基金の現在の残高の約八割となる百十億円を取り崩さざるを得ない厳しい予算編成を余儀なくされたところであります。
今後、復旧・復興に向けてさらなる財政需要が見込まれることから、県としては、事業の見直しや効率的な執行による歳出削減を徹底するとともに、国に対しても、さらなる財政措置の拡充などを要望してまいります。
西部緑地公園の再整備をはじめ、予定していた大規模プロジェクトについても、本予算には計上せず、地震対策の県財政への影響を見極めた上で、今後の対応を検討してまいります。
令和六年度当初予算の特別会計といたしましては、公営競馬、病院事業、流域下水道事業など十六の特別会計や事業会計において、総額三千四百六十七億一千五百万円余を計上しております。
金沢競馬につきましては、現在地移転五十周年を記念したイベント等の取り組みにより、本年度も黒字となる見通しであり、引き続き、関係者のご協力をいただきながら、さらなる魅力の向上と経営基盤の強化に努めてまいります。
昨年十一月に発生した照明消灯事故については、怪我をされた騎手や安楽死処分となった馬の所有者等への損害賠償について、誠実に協議を進めてきたところ、治療中の騎手を除く関係者の合意が得られたことから、関係議案を今議会に提出しております。
次に、提案いたしましたその他の諸議案のうち、主なものについてご説明申し上げます。
議案第三十一号は、被災者の税負担の軽減を図るため、災害等により保有する自動車が滅失し、代替自動車を取得した場合等における自動車税環境性能割の減免措置を創設するものであります。
議案第五十三号は、「GIGAスクール構想」により、各小中学校において整備した一人一台のタブレット端末が更新時期を迎えることから、市町教育委員会と連携して、計画的に端末の共同調達を行うため、国の交付金を原資として公立学校情報機器整備基金を設置するものであります。
志賀原子力発電所につきましては、今般の地震により変圧器の油漏れ等が確認されましたが、発電所の安全確保に影響のある問題は生じていないとの報告を受けております。県としては、来月下旬にも開催予定の原子力環境安全管理協議会において北陸電力(株)から説明を受け、対応状況をしっかりと確認してまいりたいと考えております。
原子力発電所は安全確保が大前提であり、北陸電力(株)には、今後とも、より一層の安全対策に取り組むよう強く求めてまいりたいと考えております。
現在、原子力規制委員会の法律に基づく新規制基準への適合性に関する審査会合において、敷地周辺断層の活動性等に関する審査が行われております。
規制委員会には、今般の地震による影響もしっかりと検証するとともに、科学的な根拠に基づき厳格な審査を行い、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかりと説明責任を果たすことを、引き続き、強く要望してまいります。
これまで、被災地や金沢市以南の避難所などを訪れ、被災された方や事業者の切実な声を直接お聞きしてまいりました。能登の復旧・復興は、これまで本県が経験したことのない長く険しい道のりとなります。今後も、被災市町、被災者、事業者の声をしっかりと受け止め、一日も早く、被災者の生活と生業を再建し、能登の創造的復興の実現に向け、私が先頭に立って、全庁総力を挙げて取り組んでいく決意であります。議員各位の一層のご指導とご協力をお願いいたします。
以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なにとぞ慎重ご審議のうえ、適切なるご決議あらんことをお願いいたします。
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