ホーム > 県政情報・統計 > 知事のページ > 県議会の議案説明要旨 > 議案説明要旨(令和5年第1回県議会定例会) - 令和5年2月21日 -
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本日、ここに、令和五年第一回県議会定例会が開かれるにあたり、提案をいたしました令和五年度当初予算及び令和四年度補正予算並びにその他の諸議案につきまして、その大要をご説明申し上げます。
はじめに、知事に就任以来一年が経過しようとしておりますが、この間、谷本県政を継承し、発展させるため、県議会の皆様と連携・協力するとともに、県内全市町を訪問し、住民に最も身近な基礎自治体である市町、県内各界各層や県民の皆様の声を真摯にお聞きしながら、県政の諸課題に全力で取り組んでまいりました。
また、観光誘客をはじめとする広域的な行政課題に対応するため、北陸三県の知事懇談会を初めて開催するなど、北陸三県の連携強化を図ったところです。
加えて、これまで培ってきた国とのネットワークを最大限に活用するとともに、国会議員の皆様と連携し、時機を逸することなく県政の課題を国政の場に届け、G7富山・金沢教育大臣会合の誘致やトキの放鳥候補地の選定につなげたところです。
また、新型コロナウイルス感染症、昨年六月の奥能登地方での地震、八月の加賀地方を中心とした大雨災害への対応など、危機管理に最善を尽くしてまいりました。
「幸福度日本一の石川県」の実現に向け、石川の新たな時代を切り拓く羅針盤となる「石川県成長戦略(仮称)」を策定し、これを実行に移し、「住みやすく、働きやすい、活力あふれる石川」の実現に向け、粉骨砕身、県政運営にあたってまいる所存です。
昨日、第二回となる「石川県成長戦略会議」を開催し、これまでの五つの部会での議論を報告いただくとともに、骨子案をお示ししたところです。
石川の個性・魅力・基盤を継承し、さらに発展させるため、「幸福度日本一に向けた石川の未来の創造」を基本目標とし、「石川の新たな価値の創造」と「県民が健やかに安心して暮らせる社会の構築」の二つの大きな視点で、「新たな時代を捉えて飛躍・成長する産業づくり」をはじめとする六つの戦略と、「デジタル化の推進」と「カーボンニュートラルの推進」という二つの横断的戦略からなる骨子案であり、委員からは概ね賛同いただいたところです。さらに、国民文化祭を一過性としない文化立県石川のさらなる取り組みや、高等教育機関の集積を活かしたリカレント教育の充実など、様々なご意見をいただいたところであります。
来月下旬には、市町長とのオンライン会議を開催し、ご意見をお聞きする予定であり、引き続き、成長戦略会議及び五つの部会でさらに議論を深めつつ、県議会でご議論をいただきながら、秋頃の策定を目指し、精力的に策定作業を進めてまいります。
さて、私にとって初めての通年予算となる今回の予算編成に当たっては、「石川県成長戦略(仮称)」の策定を待つことなく、産業振興をはじめ、県政各分野で先取りできるものを最大限に盛り込んだところであります。
具体的には、石川県の新たな価値を創り出していくため、飛躍・成長する産業づくりを進めるほか、北陸新幹線県内全線開業効果の最大化に向け、多彩な文化資源を最大限に活用した文化観光の推進などに取り組むこととしております。
また、県政の土台となる県民生活の安全・安心を確保するため、地震対策や流域治水対策など、防災・減災対策を強化するほか、安心して子どもを生み育てることができる環境の整備にもしっかりと取り組んでまいります。
成長戦略を先取りした新規施策を積極的に盛り込んだところでありますが、一方で、既存事業の廃止・見直しを徹底し、基金の取り崩しに頼らない収支均衡の予算としたところであります。
さらに、新幹線敦賀延伸などに伴う公債費の増加や、今後の西部緑地公園の再整備をはじめとした大型プロジェクトの本格始動も見据え、将来の財政負担の軽減を図るため、本年度に引き続き、来年度においても、県債三十億円を繰上償還することといたしました。今後とも、不断に行財政改革を進めながら、持続可能な行財政運営に努めてまいります。
また、国の補正予算への対応については、先の十二月補正予算において、防災・減災、国土強靭化対策の積極的な上積みなどを図ったところでありますが、十二月に追加交付された地方交付税を活用し、電気料金をはじめとする物価高騰対策のほか、デジタル化やグリーン化を加速させることとしたところであり、予算の最終整理を行う通常の三月補正予算と切り離し、第一次三月補正予算として編成したところであります。
本日提案をいたしました令和五年度当初予算及び令和四年度補正予算は、以上申し述べた考え方を基本に編成したところであり、以下、その主な施策につきまして概要をご説明申し上げます。
第一は、「新型コロナウイルス感染症対策、電気料金をはじめとした物価高騰対策」についてであります。
新型コロナウイルス感染症につきましては、先月、国において、感染症法上の位置付けを、五月の連休明けに季節性インフルエンザと同じ五類に移行する方針が示されました。
県としては、当面、これまでに確立した医療・検査体制を確保し、現下の感染状況に怠りなく対応していくとともに、今後国から示される公費負担や医療提供体制のあり方等に関する方針に沿って、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
物価高騰対策につきましては、原油・原材料等の価格が高止まりしている中、本年四月から北陸電力(株)が電気料金の大幅な値上げを予定しており、幅広い業種において深刻な影響が懸念されることから、厳しい状況にある事業者を支えるための緊急対策を講じることといたしました。
企業の省エネ設備導入への支援については、社会全体の脱炭素化を進める観点から一定の要件を設けたうえで、前年度当初予算を大きく上回る助成枠を確保するとともに、新たな低利の融資制度を創設いたします。
加えて、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する中、県独自に信用保証料を全額免除する低利の融資制度を継続するなど、資金繰り支援にも万全を期してまいります。
また、中小企業の適切な価格転嫁や賃上げに向けた環境整備のため、県の補助事業における補助率上乗せや加点措置などを講じることといたしました。
今般の電気料金の値上げは、企業のみならず、県民生活にも大きな影響を与えることが懸念されることから、家計の電気料金の負担を軽減するとともに、家庭における省エネを推進するため、省エネ性能の高い家電製品の購入者に、省エネ性能に応じてポイントを付与することといたしました。
第二は、「新たな時代を捉えて飛躍・成長する産業づくり」についてであります。
「石川県成長戦略(仮称)」と連動して策定する新たな産業振興指針につきましては、先般の検討委員会において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や、グリーントランスフォーメーション(GX)の推進など、七つの大きな施策の方向性をお示ししたところであります。本年秋の策定に向け、今後、さらに具体の検討を進めていくこととしておりますが、今回の予算において、現時点で先取りできる施策を最大限に盛り込んだところであります。
具体的には、まず、これまで本県の産業振興策の大きな原動力として機能してきた「次世代産業創造ファンド」と「中小企業チャレンジ支援ファンド」を統合し、七百億円規模の「成長戦略ファンド」としてリニューアルすることといたしました。DX推進、GX推進、スタートアップ創出支援など、六つのメニューに再編し、複数年にわたる新たな研究、商品開発から事業化、販路開拓まで全業種にわたり支援いたします。
あわせて、産学官金連携による「いしかわ新事業創出支援コンソーシアム(仮称)」を立ち上げ、案件の掘り起こしから、採択後のフォローアップまでの一貫した支援を行ってまいります。
産業のデジタル化につきましては、生産性向上や業務効率化のみならず、将来の成長に向け、デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルを創出するDXを推進することが重要であります。こうした観点から、企業の取組状況に応じて、人材・技術・資金の総合的な支援を充実させていくことといたしました。
人材面では、早稲田大学や(株)小松製作所と連携した「スマートエスイーIoT/AI石川スクール」において、DXに意欲的な企業を対象に、最高デジタル責任者(CDO)を育成する講座を開設するとともに、幅広い業種向けに、プログラミングの入門講座を設けることとしております。
また、本県の強みである高等教育機関の集積を活かして、県内大学において、産業界のニーズに対応してデジタル時代に必要とされるスキルを習得する「リスキリング」の取り組みも進めてまいります。
技術面では、工業試験場に、最新のシミュレーション技術の活用支援や研究開発を行う「石川ものづくりDX推進センター」を整備し、ものづくり企業の競争力の強化を後押ししてまいります。
資金面では、成長戦略ファンドによりDXの研究開発を支援するとともに、DXに向けた設備導入に対する支援については、複数事業者が連携した取り組みも対象に加えるなど、引き続き後押ししてまいります。
GXの推進につきましては、企業価値の向上や成長市場の獲得など、本県産業の競争力強化につながる重要な取り組みであります。このため、成長戦略ファンドによりGXの研究開発を支援するとともに、先般採択された五年間で最大十億円の国の大型プロジェクトにより、産学官連携による環境にやさしい天然由来の素材を活用した炭素繊維等複合材料の研究開発を後押ししてまいります。
また、事業者の脱炭素化を支援するため、省エネ診断による課題の把握から、具体の削減計画の策定、省エネ設備の導入まで、切れ目のない支援を行ってまいります。
産業人材の確保につきましては、人手不足が恒常化する中、学生の県内定着のさらなる促進や多様な人材の活用を通じて、県内企業の人材確保に努めてまいります。
学生の県内定着の促進については、本県には多くの高等教育機関が集積しているという特長を活かし、学生の県内定着に取り組む意欲ある県内高等教育機関と協定を締結し、県内企業でのインターンシップなど、高等教育機関の積極的な取り組みを支援し、県と高等教育機関が一体となって、取り組んでまいります。
さらに、県内で就職する学生への奨学金返還助成制度について、理系の大学院生から理系の学部生等に拡大するとともに、対象企業を、機械・繊維・食品・ITの四業種から全業種へと広げることとし、県と企業が連携して、優秀な学生の県内就職を促進してまいります。
多様な人材の活用促進については、民間人材紹介会社と連携し、都市部の副業等の人材と県内企業とのマッチングに取り組むことといたしました。
外国人労働者の確保については、成功事例などを紹介するセミナーの開催や専門家による伴走支援により、円滑な雇用と職場定着を支援してまいります。
産業技術専門校については、離職者や新卒者等を対象に職業訓練を実施し、これまでに延べ二万人を超える人材を本県産業界に輩出してまいりましたが、金沢・七尾・能登の三校は、老朽化が進んでいる中、訓練ニーズの変化などを踏まえ、今後のあり方の検討に着手することといたしました。
スタートアップの創出につきましては、今年度から大学の研究シーズの発掘・事業化に取り組んでいるところでありますが、来年度は、成長戦略ファンドによる成長段階に応じた資金支援や、専門家による伴走支援を通じて、発掘から事業拡大まで、切れ目なく支援を行ってまいります。
首都圏のアンテナショップにつきましては、来年春の北陸新幹線の県内全線開業に合わせて、東京駅に近接する八重洲地内の新たな物件へ移転することといたしました。開業効果を最大限に引き出せるよう、今後、店舗の設えや機能の検討を行ってまいります。
海外への販路開拓につきましては、香港とシンガポールにおいて、期間限定で開設してきたアンテナショップの開設期間を通年化し、現地消費者への県産品の売り込みを強化するとともに、ジェトロと連携し、海外ECサイトの活用促進を図ることといたしました。
中小企業等の事業基盤の強化につきましては、今年度、中小企業庁等と全国初となる伴走支援に関する連携協定を締結し、支援体制を強化しているところでありますが、来年度は、一層の充実を図ってまいります。
具体的には、商工会議所・商工会等の支援機関が効率的・効果的に経営支援を実施できるよう、企業支援のデータを分析するシステムを導入するとともに、伴走支援に意欲的に取り組む商工会議所・商工会の経営指導員の増員を支援することといたしました。
事業承継については、後継者不在による自主廃業の増加が懸念される中、個別相談会の回数を大幅に拡充し、掘り起こしを強化するとともに、売り手・買い手の双方に対して、企業価値の算定等に要する経費の一部を助成し、承継成立に向けた後押しを行ってまいります。
企業誘致につきましては、生産年齢人口の減少などを踏まえ、県内の雇用増加要件を廃止するなど、補助制度を一部見直し、限られた労働力で高い付加価値を生み出す企業を積極的に誘致してまいります。
また、コンテンツ産業の振興に向け、新たに本県ゆかりのアニメ関連企業等と連携したイベントを開催するほか、テレワーク移住やサテライトオフィスの誘致など、コンテンツ産業に携わる人材や企業の誘致に取り組んでまいります。
第三は、「収益力の高い農林水産業と次世代につなぐ農山漁村づくり」についてであります。
本県農業の主力品目である米につきましては、今後も需要の減少が見込まれており、安定した農家所得を確保していくためには、野菜など収益性が高い作物への転換を促進していくことが重要であります。このため、新たに水田で園芸品目の栽培にチャレンジする農家を支援するとともに、JAや市町と連携し、新たな産地づくりを進めてまいります。
県産米の消費拡大については、引き続き、JAと連携し、県内外での販売促進に取り組んでまいります。
また、国の「みどりの食料システム戦略」も踏まえ、農業における環境負荷の低減に継続的に取り組んでまいります。来年度は、環境保全型農業に取り組む農家向けのワンストップ相談窓口の設置や、環境に配慮して生産した「特別栽培米」の学校給食での提供など、生産と消費の両面から対策を進めてまいります。
農業の担い手の確保につきましては、高齢化や後継者不足により、農業者が大きく減少する中、農業高校の生徒や県立大学の学生、外国人労働者など多様なルートからの人材確保を促進するとともに、スマート農業の普及による省力化などを進め、農業法人等の担い手に対する伴走支援を強化してまいります。
農業のセーフティネット対策につきましては、自然災害による収量減少や農産物価格の低下などあらゆるリスクに対応する収入保険への加入を促進するため、県独自に保険料の一部を来年度に限り支援し、農業経営の安定化を図ってまいります。
本県の特色ある農林水産物につきましては、県内外で「百万石の極み」の魅力を発信し、さらなる認知度向上と販売増加につなげてまいります。
農林水産物の輸出につきましては、国の輸出拡大方針を踏まえ、新たに、海外バイヤーとのネットワークを活用した販路開拓や、輸出に意欲のある農業法人やJA等のネットワーク構築を進めるなど、取り組みを強化してまいります。
国内外での販路拡大にあたっては、ブランド価値の向上と知的財産権の保護が重要であることから、今般、農林水産分野も含めた県内事業者の知的財産の保護及び活用に関して、農林水産省、特許庁等との間で全国初となる連携協定を締結することといたしました。
第四は、「個性と魅力にあふれる交流盛んな地域づくり」についてであります。
本年五月十二日から十五日にかけて、富山市及び金沢市を開催地として、「G7富山・金沢教育大臣会合」が開催されます。先週、金沢美術工芸大学及び富山大学のご協力をいただき作成したポスターを発表したところであり、来月には富山県と合同で「富山・金沢こどもサミット」を開催するほか、四月には教育をテーマとしたシンポジウムを開催することとしており、様々な取り組みにより開催に向けた機運を醸成してまいります。
五月十四日及び十五日の会合当日には、レセプションやエクスカーション等を通じて、石川らしさや石川県の教育における先導的な取り組みを国内外に広く発信してまいりたいと考えております。
会合の開催を石川県のさらなる発展と富山県との連携強化につなげられるよう、文部科学省や金沢市、富山県及び富山市をはじめとする関係機関と連携し、準備に万全を期してまいります。
国民文化祭「いしかわ百万石文化祭二〇二三」につきましては、いよいよ本年秋に迫った開催に向けて、着実に準備を進めており、四月からは、大会旗を全市町で巡回展示し、大会への気運醸成を図るほか、スペシャルアンバサダーである野村萬斎氏が出演するPR動画等を活用した広報活動や、首都圏等でのPRイベントの開催など、大会の魅力を全国に発信してまいります。
さらに、本県ならではの文化資源を活かした多彩なイベントとして、県立美術館と国立工芸館において、地方では全国最大の約百十点が結集する「宮内庁三の丸尚蔵館名品展(仮称)」を、全国初となる二館共同で開催するほか、金沢城公園における大規模な光のアート作品の展示など、全国にアピールできる魅力的な取り組みを展開することとしております。
また、大会後を見据えて、大会の意義や成果を継承した「ポスト国民文化祭」の取り組みについても、検討を進めていくこととしております。
先般、富山県及び静岡県との間で、日本三霊山として名高い白山、立山及び富士山の歴史的・文化的価値を活用した三県の地域振興と交流拡大に向けた連携協定を締結し、文化・学術、スポーツ、経済・観光などの分野で、三県が連携して取り組んでいくことについて合意いたしました。
この連携協定に基づき、来年度は、静岡県で開催される文化フォーラムにおいて、山岳信仰の歴史等を発信するほか、金沢駅において写真展を開催するなど、日本三霊山が持つ様々な魅力について、三県で連携しながら広く発信してまいります。
広坂知事公舎につきましては、来月上旬に一般公開し、県民の方々のご意見を利活用策の検討に役立てることとしており、来月下旬には各界各層の有識者からなる検討会を立ち上げ、具体の利活用策の取りまとめに向けて作業を進めてまいります。
妙成寺につきましては、羽咋市と連携し、現地でのガイドツアーや県内各地でのパネル展の開催などを通じて、文化財としての価値と魅力を広く県民に発信し、国宝化に向けた気運の醸成を図ってまいります。
昨年秋の県内経済団体からの茶道文化を守り継承する拠点についての提言を踏まえ、本県における茶道や華道等の石川の伝統文化の継承・振興に向けた取組状況や課題について、金沢市と連携して調査することといたしました。
スポーツを通じた活力の創造につきましては、先月、県内七つのトップスポーツチーム等で構成される一般社団法人石川ユナイテッドとの間で、包括連携協定を締結いたしました。各チームへの応援気運を高めるため、新たに「県民スペシャル応援デー」を設けるなど、一層のスポーツの振興とスポーツによる地域活性化を進めてまいります。
一昨年の東京オリンピック・パラリンピックの開催により、県民のスポーツに対する関心が高まっており、これをさらなるスポーツの振興につなげていくことが重要です。
このため、国際大会の開催など、これまでカヌー競技で行ってきた大会レガシーの活用を、その他の競技にも広げていくこととし、このたび、本県の取り組みを高く評価している日本オリンピック委員会との間で、パートナー都市協定を締結する運びとなりました。
また、東京オリンピック・パラリンピックのメダリストをはじめ本県にゆかりのある著名なアスリートにスポーツ大使に就任いただき、スポーツの魅力や楽しさ、ご自身の経験を、子どもたちをはじめ県民の皆様に伝えていただくこととしております。
競技スポーツの振興につきましては、いしかわ総合スポーツセンター内に、「スポーツ医科学センター(仮称)」を設置し、国のハイパフォーマンススポーツセンターや関係機関と連携のうえ、県内のアスリートが専門家による医科学サポートを受けられる体制を整備するとともに、競技力向上に必要な情報収集や分析に努めることとしております。
また、本県の文化・スポーツの一層の振興を図るため、それぞれの分野で我が国を代表する東京藝術大学と日本体育大学の二つの大学と、包括連携協定を締結いたしました。
北陸新幹線につきましては、金沢・敦賀間の開業まで、あと一年余りとなりました。レールの敷設は概ね完了し、現在、小松駅や加賀温泉駅の駅舎内の機械設備の設置工事などが順調に進められております。
いよいよ来年度は開業年度であり、開業気運を一層盛り上げていくため、県内各地へのカウントダウンボードの設置をはじめ、カウントダウンフォーラムや小松駅、加賀温泉駅の見学会のほか、JR西日本や京都鉄道博物館と連携した「新幹線特別展」など、多彩なイベントを年間を通じて切れ目なく開催してまいります。
敦賀・大阪間については、令和五年度の政府予算案において、施工上の課題を解決するための調査等を先行的・集中的に実施するための予算が計上されたところであります。令和五年度当初の着工が困難となったことは、大変遺憾でありますが、こうした調査により、施工上の諸課題の解決に一刻も早く目処を付けて、着工五条件の早期解決を図り、一日も早い全線整備を実現していただきたいと考えております。
北陸新幹線の整備効果を最大限発揮するためには、大阪までの全線整備が必要不可欠であり、今後とも、関西圏を含めた沿線地域との連携を密にし、県議会及び関係各位のご支援をいただきながら、国に強く働きかけてまいります。
IRいしかわ鉄道につきましては、昨年十一月に策定された新たな経営計画に基づき、鋭意、金沢以西への延伸の準備を進めております。県では、JR西日本からの鉄道資産の取得や延伸時の初期投資に係るIRいしかわ鉄道の負担を軽減するため、総額九十八億円の支援を行い、同社の安定的な経営と利用者の利便性の確保を図ってまいります。
また、富山県・福井県と連携し、並行在来線を活用した周遊観光促進キャンペーンを北陸新幹線県内全線開業に合わせて実施するほか、「IRいしかわ鉄道利用促進協議会(仮称)」を設置し、サポーター制度などを通じて、市町や経済団体等とともに県全体で一丸となって、マイレール意識の醸成や利用促進に取り組んでまいります。
北陸新幹線の県内全線開業に向けた観光誘客につきましては、来月末を目途に「新幹線県内全線開業PR戦略実行プラン」の策定に取り組んでいるところであります。
新たなプランにおいては、「受け地の魅力づくり」、「効果的な情報発信」、「誘客キャンペーン」の三つを柱に、本県の強みである多彩な文化資源を最大限に活用し、観光誘客につなげる文化観光の推進や北陸三県の連携強化の観点を盛り込むことで、開業効果の最大化につなげてまいります。
文化観光の推進につきましては、文化の担い手と観光事業者の連携による、高付加価値な文化観光コンテンツの創出に向け、素材の発掘から磨き上げ、販売促進に至るまでの一貫した伴走型の支援制度を創設することといたしました。
こうした支援を効果的に実施するためには、複数年度にわたる安定的な財源確保の仕組みが不可欠であることから、県と(株)北國銀行が共同して総額百億円の「いしかわ文化観光推進ファンド」を県観光連盟に設け、その運用益を財源として活用することといたしました。
北陸三県が連携した誘客促進につきましては、首都圏のメディアに向けた三県共同の観光PRや、大手旅行会社と連携した全国的な誘客キャンペーンの展開のほか、開業年である令和六年十月からJRグループと北陸三県の自治体や経済・観光団体が一体となって誘客に取り組む北陸デスティネーションキャンペーンに向け、本年秋に、全国の旅行会社に対して、商品造成を働きかける「全国宣伝販売促進会議」を開催することとしております。
関西圏での情報発信につきましては、来年春の北陸新幹線県内全線開業や再来年の大阪・関西万博の開催に加え、将来の大阪開業も見据えた機能強化が重要であります。そのため、私から富山・福井の両県知事に対し、大阪駅に隣接する大型複合施設内に、北陸三県で連携して情報発信拠点を設置することを提案し、今般、両県と協議が整い、合意に達したところです。
今後、北陸三県で、コンセプトや効果的な運営方法等について協議を進め、開設後には、食や文化など厚みのある北陸の魅力を、関西圏はもとより、関西国際空港からの訪日外国人観光客にも発信し、北陸への誘客につなげていきたいと考えております。
海外誘客につきましては、米国において新たにメディアPRを行う観光レップを設置するなど、市場の特性やニーズに応じた情報発信を強化するとともに、旅行会社の招へいなどを通じて、商品造成を働きかけ、本県への一層の誘客促進を図ってまいります。
小松空港の国内線につきましては、北陸新幹線県内全線開業も見据え、福井県での情報発信やビジネス利用キャンペーンを強化するほか、羽田空港での乗り継ぎ利用の拡大を図ってまいります。
また、国際線につきましては、エバー航空の小松・台北便が、来る四月一日からデイリー運航で再開されることとなりました。四月には、私自ら台湾を訪問し、エバー航空本社や現地の旅行会社に対し、今後の利用促進に向けた協力要請等を行ってまいります。さらに、その他の既存路線についても、各航空会社に運航再開を働きかけるほか、新規路線の開拓に向けた誘致活動にも取り組んでまいります。
のと里山空港につきましては、本年七月に開港二十周年を迎えます。開港以来、首都圏との交流の拡大、空港を核とした地域振興の拠点としての役割を果たしており、二十周年を機に記念式典の開催やイベントの実施により、マイ空港意識のさらなる醸成を図るとともに、引き続き、首都圏からの誘客拡大に取り組んでまいります。
金沢港につきましては、コンテナ船の大型化やカーボンニュートラルポートの形成促進など、今後の金沢港を取り巻く環境変化に的確に対応するため、長期的な視点に立った港の目指すべき姿を描く「将来ビジョン」の策定に取り組むこととし、金沢港周辺の土地の利活用や分区制度のさらなる活用についても検討してまいります。さらに、令和六年度には、ビジョンを具体化するため、「港湾計画」の改訂を行うこととしております。
クルーズ船については、今般、三年ぶりに国際クルーズが再開され、来月十日の「アマデア号」を皮切りに、現時点で外国船、日本船合わせて四十本の寄港が見込まれております。関係機関や船会社等と連携し、受け入れに万全を期すとともに、誘致活動に積極的に取り組んでまいります。
広域道路ネットワークの整備につきましては、のと里山海道の上棚矢駄インターチェンジから徳田大津ジャンクション間及び加賀海浜産業道路の小松市城南町から村松町間の四車線化に新たに着手するほか、金沢外環状道路海側幹線などの整備を推進してまいります。
サイクリングルートにつきましては、富山県とルートをつなげるため、県境部の走行環境を整備するほか、北陸三県でモバイルスタンプラリーを開催するなど、三県の連携を強化し、観光誘客を推進してまいります。
金沢城二の丸御殿につきましては、復元対象となる建物の設計や、障壁画の再現に向けた検討を進めており、「金沢城二の丸御殿復元整備専門委員会」の指導・助言を踏まえ、文化庁と協議しながら、令和六年度の工事着手を目指してまいります。
また、三十間長屋の鉛瓦の修理や二の丸御殿の発掘調査を体験できるツアーの実施のほか、御殿全体のVR映像の制作・公開など、情報発信を強化するとともに、金沢城の情報発信計画を策定し、復元事業の進捗に合わせた効果的なPRにつなげてまいります。
西部緑地公園の再整備につきましては、昨年末に、構想検討委員会と県立野球場及び産業展示館の各部会を開催し、県民向けアンケートの結果等を踏まえ、再整備の方向性について、ご議論いただいたところであります。今後、春頃には骨子案を作成のうえ、民間活力の導入可能性調査を実施し、年内には構想の最終取りまとめを行ってまいります。
森林公園につきましては、五月に、バーベキュー場やフィールドアスレチック、見晴台をリニューアルオープンするとともに、開園五十周年記念式典を開催し、その際、生物多様性の保全の重要性を発信している歌手のMISIAさんに名誉園長を委嘱することといたしました。
また、四月には屋内木育施設の工事に着手し、遊びを通じて木と触れ合い、楽しみながら学べる施設となるよう、来年夏休み前のオープンに向けて整備を進めてまいります。
「いしかわ動物愛護センター」につきましては、来月十九日に起工式を執り行う予定としており、来年春の開所を目指してまいります。センターでは、動物に配慮した飼育環境を備えた本館のほか、雨天時でも楽しめる屋根付きの広場を備えたドッグランを整備することとしており、動物愛護の拠点施設となるよう取り組んでまいります。
木場潟公園の東園地につきましては、全国でも例のない新たな里山再生のモデルとなる公園のみならず、再生可能エネルギー利活用の学習拠点として、ゴールデンウィーク前の四月二十三日に開園することとし、鋭意、準備を進めております。
また、北陸新幹線県内全線開業に向け、新たに、中央園地において潟と桜、新幹線を一望できる展望デッキを整備することとしており、木場潟公園がより多くの皆様にご利用いただけるようさらなる魅力向上に努めてまいります。
のとじま水族館につきましては、能登地域有数の観光拠点として重要な役割を担っており、今後の集客力をさらに強化するため、魅力アップに向けた中長期的な整備構想を策定することといたしました。
移住・定住の促進につきましては、コロナ禍を契機として地方での暮らしに関心が高まり、移住体験への参加者が過去最多で推移する中、新たに、参加者が地域住民と交流できる多彩なプログラムを提供し、地域との関係性の構築を支援することで、本県への移住につなげてまいります。
第五は、「石川の未来を切り拓く人づくり」についてであります。
少人数学級の実施につきましては、国において、令和七年度までに小学校全学年を三十五人学級とすることとされておりますが、県独自に、来年度は小学校四年生に加え小学校五年生、令和六年度は六年生を三十五人学級とし、国より一年前倒しで小学校全学年を三十五人学級とすることといたしました。
県立高等学校における「ふるさと教育」の推進につきましては、本県ゆかりの偉人・先人の功績等と関連付けながら、自然や歴史、伝統文化、産業などの地域の特色を活かして、生徒が主体的に学ぶことを通じて、郷土に対する誇りと愛着を育むとともに、将来、地域に貢献できる人材の育成に努めてまいります。
特別支援学校の教育環境の整備につきましては、いしかわ特別支援学校の知的障害教育部門高等部の新校舎の建設工事に着手いたします。令和七年四月の開校に向け、全国のモデルとなる本格的なインクルーシブ教育の実施に向けてハード・ソフト両面からの諸準備を進めてまいります。
夜間中学につきましては、県及び市町教育委員会で構成する検討会での「県による設置が望ましい」との結論を踏まえ、県の中心部に県立の夜間中学を設置することとし、令和七年四月の開校に向けて準備を進めてまいります。
近年、本県においても不登校児童・生徒が増加傾向にあることから、早期の学校生活への適応を図るため、校内の別室に登校する児童・生徒にきめ細かく対応する専任教員を県独自に配置することといたしました。
第六は、「温もりのある社会づくり」についてであります。
周産期医療体制の確保につきましては、昨年十二月の赤ちゃん協議会の中間とりまとめにおいて、来年度は「産科医不足地域の体制強化」と「妊産婦にやさしい環境整備」に取り組むべきとのご意見をいただきました。この中間とりまとめを踏まえ、金沢大学においては、大学自らの取り組みにより、市立輪島病院への産科医の複数配置に向けて調整いただいており、県としても、能登北部等から妊婦を救急搬送する際の安全性向上を図るため、遠隔で胎児モニタリングを行うシステムの導入を支援することといたしました。また、中長期的観点から、大学と連携し、県立中央病院で臨床経験を重ねた若手医師が、県下全域で勤務する「循環型サイクル」の構築に向けた取り組みを支援することとしております。
妊産婦への支援につきましては、里帰り出産をする方を含む県内全ての妊婦の不安や負担の軽減を図るため、新たに「いしかわ妊娠・出産サポートセンター(仮称)」を立ち上げ、助産師による母子の健康に関する専門相談支援のほか、全国で初めて、里帰り出産をする妊婦への個別訪問などプッシュ型の相談支援を行うことといたしました。
子どもの医療費につきましては、県全体の子育て支援の水準をさらに引き上げるため、来年度から、乳幼児医療費助成制度における通院の対象年齢を、入院と同様に就学前まで引き上げるとともに、所得制限を撤廃することといたします。
現在、各市町では、来年度の当初予算において、軽減される財源を活用し、子育て支援策の拡充を検討いただいており、今後、各市町の具体の施策をとりまとめ、公表することとしております。
ヤングケアラーの支援については、ヤングケアラー本人に対する心理的なサポートの実施や、公的サービスの利用に消極的な保護者を支援する保護者カウンセラーの配置など、支援体制を拡充するとともに、一般県民に対しても普及啓発を図り、社会全体でヤングケアラーの家庭を支援していく環境づくりに取り組んでまいります。
子どもの居場所づくりについては、子ども食堂の全市町での設置に向け、開設準備の支援やアドバイザー派遣による運営支援等に取り組んでまいります。
ひとり親世帯の支援については、離婚された方の約半数があらかじめ養育費や面会交流の取り決めをしていない実態を踏まえ、離婚前の親に向けた支援講座や個別相談を通して離婚により子どもの権利や最善の利益が損なわれることのないよう取り組んでまいります。
ヤングケアラーや子どもの貧困に対する支援などの取り組みについては、「いしかわ子ども総合条例」に盛り込むこととしており、今議会に条例の改正を提案しております。こども基本法の施行やこども家庭庁の設置など、国とも歩調を合わせながら、「こどもまんなか社会」の実現に向けた本県の取り組みの充実につなげてまいります。
子育て環境の充実につきましては、保育士不足が深刻な奥能登地域における保育士の確保を図るため、修学資金の貸与額を上乗せするなど対策を強化することといたしました。
また、障害児保育の充実を図るため、障害児の受け入れのために手厚く保育士を配置している保育施設に対して県独自の補助制度を創設することといたしました。
保育の質の向上につきましては、これまで東京大学と連携し、保育教諭の研修体系の構築などに取り組んでまいりましたが、今般、東京大学との間で、幼児教育・保育に関する連携協定を三月下旬に締結することといたしました。来年度は、認定こども園における教育内容を充実させるため、0歳から2歳児の教育の質を向上するためのガイドラインを作成いたします。
能登地域の病院に勤務する薬剤師の確保につきましては、能登地域の病院への出向を組み込んだ人材育成プログラムと修学資金返済支援制度を創設し、地域医療に貢献する病院薬剤師の確保と育成を図ることといたしました。
がん患者の外見変化への支援であるアピアランスケアにつきましては、市町と連携し、ウィッグ等の購入助成を県下全域で実施するほか、医療や美容の関係者と連携し、研修の実施や情報発信の充実を図ることといたしました。
障害者芸術の普及支援につきましては、「いしかわ百万石文化祭二〇二三」開催による機運の高まりを捉えて、県内企業や県庁舎などの身近な施設で、障害者アートを展示し、県民が障害者アートに接することができる機会の拡大を図ることといたしました。
老朽化が進む社会福祉会館につきましては、学識経験者や福祉関係者からなる検討会を立ち上げ、新たな会館が果たすべき機能や役割の検討に着手し、本年秋頃を目途に取りまとめることとしております。
多文化共生の推進につきましては、本県に居住する外国人が過去最多となる中、日本語教育のさらなる充実や、市町が行う多文化交流事業への支援を行うとともに、外国人住民の生活実態やニーズを調査し、外国人と日本人がともに生き生きと安心して暮らせる社会づくりに向けた取り組みを推進してまいります。
女性活躍の推進につきましては、今年度開設した「いしかわ女性も輝く企業創造塾」を拡充するほか、女性管理職のネットワーク構築に向けた交流研修会を開催いたします。また、就業意欲はあるものの、家庭の事情などで未就業となっている女性に対して、在宅ワークのキャリア支援や就業機会の提供などを行うほか、家事のアウトソーシングに関する普及啓発など、男女がともに活躍できる石川県の実現に向けて取り組んでまいります。
第七は、「安全・安心かつ持続可能な地域づくり」についてであります。
昨年八月に加賀地方を中心に発生した大雨災害から、半年が経過いたしました。昨年十一月には、国や県、市など関係機関と「梯川水系緊急治水対策プロジェクト」を取りまとめ、流域全体の関係機関が一体となって、ハード・ソフトの両面から、防災・減災対策を講じているところであります。
全国各地で想定を超える豪雨が頻発する中、来年度は、こうした流域治水対策を県下全域に拡大することといたしました。
ハード面では、河川改修を県下全域の十八の河川で促進し、このうち、西川において工事に着手するとともに、米町川、御祓川、高橋川の三河川において、改修区間の上流部への延伸に向けた調査に着手することといたしました。
また、県下全域の二十七の河川で計画的に堆積土砂の除去を進めるほか、越水時の河川堤防の決壊を遅らせて住民の避難時間を確保するため、小規模河川においても、堤防上部の舗装を五カ年計画で進めていくことといたしました。
ソフト面では、水田に一時的に雨水を貯める「田んぼダム」や、降雨前にため池を事前放流する取り組みを推進してまいります。
また、小規模河川の洪水浸水想定区域図を今年の出水期までに公表し、市町における洪水ハザードマップの早期見直しにつなげてまいります。
奥能登地域を中心とした地震活動は、依然として継続しており、「石川県防災会議震災対策部会」での地震被害想定の見直しに向けた手法などの検討結果を踏まえ、来年度は、地震被害想定の調査に着手することといたしました。中間報告などの機会を通じて、県民の防災意識の啓発を図るなど、地震対策の強化に取り組んでまいります。
災害対応力の強化につきましては、災害発生時に生活再建支援を速やかに行うことができるよう、被害状況の把握から生活再建までを一元的に管理する、市町が共同利用するシステムを導入することといたしました。
消防学校につきましては、これまで有識者や消防関係者からなる検討会において、機能強化に向けた議論を重ね、先般、検討結果の報告を受けたところであります。これを踏まえ、来年度は、消防学校を核とした総合的な防災拠点の整備指針となる基本構想の策定に着手することといたしました。
立地場所は、必要な機能が確保できる十分な面積を有し、県内外からの交通利便性の高い金沢市二日市町地内の県有地といたしました。
昨年十二月下旬の大雪では、奥能登地域において、積雪による倒木により、道路の通行止めや電線の断線が発生するなど、県民生活に甚大な影響が出たところであります。
こうした事態の再発防止を図るため、重要なインフラ施設周辺の森林を対象に、市町による樹木の事前伐採を支援することといたしました。早速、来月中を目途に、モデル的に事前伐採を実施し、来年度からの県下全域での本格実施につなげてまいります。
先月二十四日からの記録的な寒波の影響により、能登地域を中心に水道管の凍結・破損による漏水が相次ぎ、七市町で断水が発生いたしました。
県では、自衛隊に対し、輪島市での給水活動について派遣要請を行うとともに、日本水道協会石川県支部と協力し、市町への給水支援を行ったほか、今月四日に、私自ら岸田内閣総理大臣に、市町の水道事業や災害の未然防止への支援を要望したところであります。現在、市町とともに今回の寒波に対する対応などの検証を行っているところであり、今後の対策に活かしてまいりたいと考えております。
高病原性鳥インフルエンザにつきましては、全国の養鶏場などで発生が相次いでおり、今季の家きんの殺処分数が過去最高となる一千万羽を超えるなど、感染拡大に歯止めがかからない状況にあります。本県としても、「鳥インフルエンザ対策警戒本部」を設置し、県内全ての養鶏農家で緊急消毒を実施するなど、発生予防対策の強化を図っているところであります。
治安対策の強化につきましては、深刻化するサイバー空間の脅威に的確に対処するため、官民連携による被害防止対策に取り組むなど、サイバー犯罪対策を強化してまいります。
カーボンニュートラルの推進につきましては、その実現に向けて、県民や市町、事業者など、あらゆる主体の実践につなげていくことが重要であります。
このため、省エネ・創エネ住宅のさらなる普及に向け、「いしかわエコハウス」を省エネや創エネにより、実質的なエネルギー使用量をゼロにする住宅(ZEH)に改築するとともに、エネルギー消費量の見える化を図るなど、展示内容を充実することといたしました。
また、電気自動車のさらなる普及を図るため、県独自に住宅用の充電設備を補助対象とするほか、引き続き、電気自動車等の購入を支援してまいります。
トキの放鳥につきましては、放鳥までに必要となる取組内容等をまとめた「能登地域トキ放鳥推進ロードマップ」の年度内の策定に向けて、作業を進めております。来年度を実行元年と位置づけ、早ければ、令和八年度となる能登地域での放鳥の実現に向けて、取り組みを本格的に進めてまいります。
餌場の確保については、能登の四市五町が選定したモデル地区における減農薬による水稲栽培や農薬を使用しない畦の除草などの取り組みを支援するとともに、耕作放棄地を活用し、餌場の確保や農家の負担軽減につながる民間技術の効果を検証するほか、ねぐらとなる営巣環境の保全に向け、営巣候補林の選定にも着手することとしております。
また、トキの学名である「ニッポニア・ニッポン」にちなみ、かつ「国際生物多様性の日」でもある五月二十二日を「いしかわトキの日」に制定するほか、トキの生息環境づくりに携わるボランティアの参加を募り、県全体でのトキの放鳥に向けた気運醸成につなげてまいります。
加えて、トキとの共生を活かした地域活性化を図るため、ブランド化専門委員会を設置し、ブランド戦略の策定に取り組んでまいります。
また、こうした本県の特色ある環境施策の全国への発信と資金調達手段の多様化のため、全国型市場公募地方債である「グリーンボンド」を発行することといたしました。
第八は、「社会全体のデジタル化の推進」についてであります。
県民の誰もがデジタルサービスの恩恵を享受できるようにするには、様々なデータをつなぎ合わせ、県民のニーズに応じたサービスを提供できる仕組みが必要であることから、官民の様々なデータを連携して活用する「広域データ連携基盤」を構築することといたしました。この基盤を、県や市町のみならず広く民間事業者にも活用いただき、県民生活の利便性向上につながるサービスの創出につながるよう取り組んでまいります。
近年多様化する県民等のニーズを把握し、的確な政策立案につなげるためには、前例や経験といった要素ではなく、合理的な根拠に基づき政策立案を行うEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)の手法を用いることが効果的であります。
来年度は、このEBPMの手法を本格的に導入することとし、庁内に配置する専門家の知見を活用しながら、データを根拠とした政策課題の把握、施策の立案や効果検証を全庁的に実践してまいります。
特に、観光分野については、人流データやSNSなどのビッグデータを活用したデジタルマーケティングを推進し、多様化した旅行者ニーズをきめ細かく、かつタイムリーに把握し、本県の観光情報を効果的に発信してまいります。
県庁のデジタル化については、職員の仕事の効率化と質の向上を図るため、固定席を定めないフリーアドレスの導入やテレワーク環境の整備など、デジタル技術を活用した新たな働き方を進めてまいります。
市町におけるデジタル化への支援については、二十の基幹業務システムの標準化と国が整備するガバメントクラウドへの円滑な移行を推進するため、外部専門家を活用し、市町へのサポート体制を構築することといたしました。
来年度の組織については、戦略的に広報を推進するため、広報機能を県民文化スポーツ部から総務部に移管し、知事直轄の組織である知事室に、秘書課、政策調整課、戦略広報課の三課を置く体制を整備するほか、カーボンニュートラルの推進などの諸課題に、より効果的に対応するため、組織の改編を行うこととしております。
以上が、今回提案した予算における主要施策の概要であり、令和五年度一般会計当初予算の総額は、六千百七十億九千四百万円となっております。この財源といたしましては、県税一千五百六十四億円、地方交付税一千三百四十八億円、国庫支出金一千五億七千七百万円余、地方債五百四十八億四千五百万円などを充てております。
特別会計といたしましては、公営競馬、病院事業、流域下水道事業など十六の特別会計や事業会計において、総額三千九百五億九千八百万円余を計上しております。
金沢競馬につきましては、本年度も黒字となる見通しであり、近年の堅調な経営状況に鑑みて、平成十年度以来二十四年ぶりに一般会計に繰り入れを行うことといたしました。来年度は、年間を通じた薄暮レースの開催や、現在地移転後五十周年を記念したイベントを行うなど、競馬関係者のご協力をいただきながら、さらなる魅力の向上と経営基盤の強化に努めてまいります。
次に、提案いたしましたその他の諸議案のうち、議案第二十号につきましては、職員の定年年齢を二年に一度段階的に引き上げることに伴い、退職手当の支給に要する財源を安定的に確保するため、退職手当基金を設置するものであります。
議案第三十一号は、本県における飲酒運転の状況等に鑑み、社会全体で飲酒運転根絶の取り組みを推進しようとするものであります。
北朝鮮は、再三にわたる国際社会の警告を無視し、昨年から弾道ミサイルの発射を繰り返しております。本県の漁船に被害はなかったものの、度重なる弾道ミサイル発射は、国民の生命・身体・財産、我が国の領土・領海の安全を脅かし、一連の国連安保理決議に違反する行為であり、国においては、国際社会と連携し、外交・経済等あらゆる手段を通じ、断固とした対応をとっていただきたいと考えております。
志賀原子力発電所につきましては、現在、原子力規制委員会において、法律に基づく新規制基準への適合性に関する審査が行われております。規制委員会には、科学的な根拠に基づく厳正かつ迅速な審査が行えるよう体制の拡充・強化を図るとともに、審査結果はもちろん、審査の方法や手続きを含め、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかりと説明責任を果たすことを引き続き強く要望してまいります。
原子力発電所は安全確保が大前提であり、北陸電力(株)には、今後とも、より一層の安全対策に取り組むよう強く求めてまいりたいと考えております。
課題が山積する中、新たな時代の潮流を的確に捉え、石川県の新たな活力を創造するとともに、県政の基本である県民生活の安全・安心を確保し、「幸福度日本一の石川県」の実現に向け、積極果敢に挑戦してまいります。同時に、県議会との対話や県内全市町への訪問の機会を通じて、県政に対する様々なご意見に真摯に耳を傾け、より一層政策の実効性を高めてまいります。県政の舵取り役としての重責を果たすため、全身全霊を傾けてまいる所存であります。議員各位の一層のご指導とご協力をお願いいたします。
以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なにとぞ慎重ご審議のうえ、適切なるご決議あらんことをお願いいたします。
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