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ホーム > 県政情報・統計 > 知事のページ > 県議会の議案説明要旨 > 議案説明要旨(令和3年第1回県議会定例会) - 令和3年2月24日 -

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更新日:2021年2月26日

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議案説明要旨(令和3年第1回県議会定例会) - 令和3年2月24日 -

新型コロナウイルス感染症について

予算編成の基本方針について

主な施策の概要について

予算総額および歳入について

金沢競馬について

その他の諸議案について

デジタル化の推進について

志賀原子力発電所について

「安心と躍動が進化する ふるさと石川」の実現に向けて

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(内容)

新型コロナウイルス感染症について

本日、ここに、令和三年第一回県議会定例会が開かれるにあたり、提案をいたしました令和三年度当初予算及び令和二年度補正予算並びにその他の諸議案につきまして、その大要をご説明申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症につきましては、本県で初めての感染者が確認されてから一年が経過いたしました。改めて、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、感染された方々に心からお見舞いを申し上げます。

また、高い使命感を持って献身的に感染者の治療を行っていただいている医療従事者や関係の皆様と県民生活に不可欠な社会インフラを支えるため業務を行っていただいている皆様に、心より感謝を申し上げます。

新型コロナウイルスの感染拡大により、これまでの平穏な日常生活が、ウイルスが身の回りにいることを前提とした生活へと一変し、終息の兆しが見えない中、社会全体に大きな不安が広がりました。

県においては、この間、県民の命と生活を守り、「安全で安心な石川」を取り戻すため、全庁を挙げてあらゆる対策を講じ、数次にわたる感染拡大局面を乗り越えてまいりました。特に、濃厚接触者をはじめとする関係者を迅速に調査し、幅広く検査を行うことで、感染者を早期に発見するとともに、早期に適切な治療につなげていくことが何よりも重要であることから、専門家のご意見も踏まえながら、医療関係者のご協力の下、検査・医療提供体制を充実させてまいりました。

また、県民の皆様方には、「新しい生活様式」を実践していただくとともに、事業者の皆様方には、業種別のガイドラインの遵守など、感染防止対策を徹底いただいてきたところであります。

これらの取り組みもあり、感染者が最も多かった先月においても、検査・医療提供体制がひっ迫する事態には至っていないところであります。

しかしながら、今月に入り、金沢市片町地区の飲食店などにおいてクラスターが立て続けに発生し、若年層を中心に多くの感染者が確認されるなど、極めて憂慮すべき事態となりました。

このため、これ以上の感染拡大を何としてもくい止めるべく、去る十二日には、「『飲食』『若者』感染拡大特別警報」を発出いたしました。さらに、十七日には、より強力な具体の措置として、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、一昨日から来月七日までの間、金沢市片町一丁目及び二丁目、木倉町の飲食店を対象に、営業時間の短縮を要請するとともに、この要請に応じていただいた飲食店に対し、予備費を活用し、協力金を支給することといたしました。

金沢市においても、これらの地区の飲食店関係者を対象にPCR検査を集中的に実施しているところであり、市と連携を密にして取り組んでまいりたいと考えております。

県民や事業者の皆様方におかれましては、改めて、徹底した感染防止対策を実施していただくようお願い申し上げますとともに、県としても、時機を逸することなく必要な対策を講じるなど、緊張感をもって、感染拡大の防止に万全を期してまいります。

感染症対策の決め手になると期待されているワクチンについては、去る十七日、国による医療従事者への先行接種が開始され、本県においても、十九日から接種がスタートいたしました。国を挙げたワクチン接種の取り組みは、広く国民を対象にするという前例のないものであり、これを成功させることが事態の収束の鍵を握っているものと考えております。

県としても、医療従事者等への接種体制や県民の皆様方の接種後の副反応に対する相談体制を整備することなどにより、ワクチンの円滑な接種に向けた役割をしっかりと担ってまいります。

これに加え、この一年間の経験を基に、検査・医療提供体制の確保に万全を期すことにより、感染拡大の防止に全力を挙げて取り組んでまいります。

また、新型コロナウイルスの感染拡大は、本県の地域経済に大きな打撃を与えました。

これを受け、県ではこれまで、厳しい経営環境にある事業者の皆様方を資金面から強力に支援するため、緊急的な対応として、全国でもトップレベルとなる総額百八十億円を超える資金給付を実施するなど、前例にとらわれない思い切った対策を講じてまいりました。

こうしたこともあり、最近の本県経済は、日銀金沢支店の金融経済月報では、「厳しい状態にあるが、持ち直しつつある」とされており、将来の成長に向けて前向きに取り組みたいという事業者の声を数多くお聞きしているところであります。

一方で、昨年末からの「Go Toトラベル事業」の全国一斉停止や先月来の首都圏を中心とする国の緊急事態宣言などにより、人の流れが再び停滞し、先行きを不安視する声もお聞きしております。

このような状況において、事業者を回復・成長へと導いていくためには、支援の軸足を、これまでの事業の継続に向けた緊急的な支援から、事業の発展に向けた支援へと移していくことが必要であります。

新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営環境に打ち克つため、意欲をもって取り組む事業者をしっかりと後押しし、地域経済の正常化につなげてまいりたいと考えております。

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予算編成の基本方針について

さて、これまで本県では、県政運営の羅針盤ともいえる長期構想の基本目標「個性、交流、安心のふるさとづくり」を実現すべく、質の高い文化の集積やものづくり産業の集積、高等教育機関の集積など、石川の個性ともいうべき財産に磨きをかけるとともに、陸・海・空の交流基盤を最大限に活用することにより、交流人口の拡大に努めてまいりました。

とりわけ、北陸新幹線金沢開業は、その効果が高い水準で持続し定着するとともに、想定外の効果が多方面に発現し、さらに、本県経済が全国トップクラスの水準で推移するなど、本県がかつてないほどの活況を呈していたことは記憶に新しいところであります。

しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、この勢いが見えなくなっております。このような状況にあるからこそ、今一度、原点に立ち返り、本県の勢いを復活・拡大させ、三年後の県内全線開業へとつなげていかなければなりません。

加えて、県民生活の安全・安心の確保は、片時も停滞させることが許されない行政の最も基本的な責務であり、これまでも、防災・減災対策や少子高齢化対策はもとより、医療、福祉、環境、教育などのあらゆる分野において取り組みを充実・強化してまいりました。

新型コロナウイルス感染症の影響が続く中にあっても、県民の皆様方が安心して暮らし、心豊かに生涯を過ごすことができるよう、先に申し述べた感染拡大の防止と地域経済の正常化を最優先に、安全・安心のさらなる確保に万全を期してまいりたいと考えております。

さらには、社会の変化を的確に捉えながら、様々な分野におけるデジタル化の推進や新産業の創出など、将来の本県の飛躍・発展に向けた取り組みも着実に進めてまいります。

こうした施策を実行していくための基盤となる本県の財政状況につきましては、これまでの行財政改革の取り組みにより、財政の健全化が図られてきたところでありますが、来年度は、新型コロナウイルス感染症対策や経済対策をはじめ、災害に強い県土の基盤づくりなど、大規模な財政出動が求められております。

さらに、県税収入においては、実質県税ベースで、平成二十二年度以来十一年ぶりに前年度の当初予算を下回る、百九十億円の大幅な減収が見込まれるところであり、今年度において既に大半を取り崩した財政調整基金について、ほぼ全てを取り崩さざるを得ない極めて厳しい予算編成を余儀なくされたところであります。

財政調整基金の残高がないという状況は正常ではなく、速やかに解消すべきものと考えており、今年度において、減収補填債の対象税目の拡大をはじめとする財源の確保や、事業の執行見直しによる歳出の削減などを実施し、少しでも基金の取り崩しを取りやめたいと考えております。

今回の予算は、こうした財政状況の下、国の総合経済対策にも呼応し、令和三年度当初予算と令和二年度補正予算を実質的な当初予算として一体的に編成したところであり、以下、主な施策につきましてその概要をご説明申し上げます。

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主な施策の概要について

「新型コロナウイルスの感染拡大の防止」について

第一は、「新型コロナウイルスの感染拡大の防止」についてであります。

検査・医療提供体制につきましては、引き続き、医療従事者や関係の皆様方のご理解とご協力をいただき、これまで拡充してきた体制をしっかりと確保してまいります。

具体的には、身近な医療機関における検査などにより、一日あたり最大四千七百件の検査が可能な体制を確保するとともに、感染者専用の病床と無症状や軽症の感染者に療養いただく宿泊施設を合わせ、五百九十八床の受け入れ病床を確保してまいります。

さらには、感染者の受け入れに伴い、医療機関の経営が悪化することがないよう支援するとともに、国に対し、引き続き、専用病床を確保する全ての医療機関が必要な支援を受けられるよう、制度のさらなる拡充を要請してまいります。

ワクチンの接種につきましては、先般、国において、医療従事者等に優先接種するワクチンが来月一日から出荷されることが決定され、本県にも約一万人分のワクチンが配布されることとなりました。

これを受け、まずは、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れている五つの中核的な大規模医療機関から接種を開始することとし、順調にワクチン等が到着することを前提に、来月五日頃から順次、接種を開始できるものと考えております。

県内すべての医療従事者等に対する優先接種は、四月以降とされている市町による住民接種のモデルケースとなるものであり、今後、順次配布されるワクチンについても速やかに接種できるよう、医療機関や市町などの関係者とも連携を密にし、その準備に万全を期してまいります。

また、国を挙げたワクチンの接種は、私たち一人ひとりの感染予防はもとより、感染拡大を防ぐことにより、社会経済活動の正常化につながるという意義を有していることから、一人でも多くの方々に接種いただくことが重要であります。

このため、市町による住民接種の開始に先立ち、県民の皆様方にワクチン接種についてご理解いただくため、本日から、まずは県ホームページ等において、ワクチンの効果や副反応、接種手続きなどの情報を分かりやすく発信することとしており、今後も様々な媒体を活用して、積極的に広報を行ってまいります。加えて、県民の皆様方から副反応等に関する専門的な相談を受けるコールセンターを来月二十日にも開設することといたしました。

さらに、県内医療機関のご協力をいただき、県民の皆様方が接種後に副反応を疑う症状が出た場合の受診窓口を四月のできるだけ早い時期に設置したいと考えております。

今後とも、県内全域において円滑にワクチンを接種できるよう準備を加速させてまいります。

感染症対策に持続的に取り組んでいくには、医療や福祉の現場を支える人材の確保・育成が必要であります。

このため、濃厚接触者等の調査で中心的な役割を担う保健師を緊急募集し、通常の募集分も含めて、今年度は既に前倒しで八名を採用し、四月には六名を採用することとしております。これにより、保健所の体制の強化を図ってまいります。

また、感染者を受け入れる全ての医療機関において、院内感染対策の主導的な役割を担う感染管理認定看護師を確保するため、日本海側で唯一、この資格を取得できる教育課程を有する県立看護大学において、来年度から二年間、集中的に感染管理認定看護師を養成することといたしました。

このほか、重症化リスクの高い方々がおられる高齢者施設等において、感染防止対策の強化を図るため、感染管理認定看護師を派遣し、各施設の実態に応じた具体の指導・助言をいただくこととしております。

さらには、医療機関や高齢者施設等において感染が確認された場合には、感染症を専門とする医師や感染管理認定看護師等からなる「いしかわクラスター対策班」を速やかに派遣することにより、感染管理の徹底を図り、感染拡大の防止につなげてまいります。

加えて、高齢者施設等において、クラスターが発生した場合においても、必要なサービスの提供を続けることができるよう、応援職員を相互に派遣する体制を継続するとともに、児童養護施設においても同様の体制を整えたところであります。

新型コロナウイルスへの対応にあたる医療機関や医療従事者の皆様方を応援したいとの想いから、県内外の皆様方より一億円を超えるご寄附をいただいております。改めて、ご寄附をいただいた皆様に感謝を申し上げます。こうした想いに応えるため、関係者のご意見も踏まえ、最前線で入院患者の治療を行う医療従事者にギフトカードを贈呈することといたしました。

公立小中学校及び高等学校における感染症対策につきましては、消毒作業などを行うスクール・サポート・スタッフを全ての学校に配置するほか、県立学校においては、トイレの洋式化と手洗い場の自動水栓化を計画的に進めてまいります。

感染者や医療従事者などの関係者とその家族などに対する差別や偏見につながる行為は、断じて許されないものであり、これまでも、県民の皆様方に対し、このような行為を厳に慎むよう、機会あるごとに周知・啓発してまいりました。こうした中、昨年十月に示された県議会からの政策提言の趣旨も踏まえ、県民意識のさらなる向上を図るため、「石川県新型コロナウイルス感染症に係る差別の解消の推進に関する条例」を今議会に提案しております。

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「地域経済の正常化に向けた対応」について

第二は、「地域経済の正常化に向けた対応」についてであります。

先に申し述べたとおり、厳しい経営環境に打ち克つために意欲をもって取り組む県内企業を強力に支援するため、リーマンショック時の三倍を超える総額三十億円の事業規模で総合経済対策を講じることといたしました。

これまでの数次にわたる経済不況下も含め、企業支援で高い実績を残してきた「石川県産業創出支援機構(ISICO)」が中心となり、様々な経営課題を抱える数多くの企業を回復・成長へと導いてまいりたいと考えております。

具体的には、リーマンショック時をはじめ、過去の対策で設置してきた複数の専門家派遣制度を再編するとともに、新商品・新サービス開発といった「生み出す」段階から販路開拓といった「売る」段階に至るまで、さらには、需要の創出やセーフティネットの確保など、企業活動を一貫してきめ細かく支援してまいります。

特に、新商品・新サービス開発については、今年度、新分野への進出に対する支援を行ったところ、数多くの成功事例が生まれたことから、この制度を拡充することといたしました。

また、販路開拓については、県内企業が国内外での展示会等へ積極的に出展できるよう、新たな助成制度を創設し、一件でも多くの受注の獲得につながるよう支援してまいります。

さらには、商品やサービスを実際の需要につなげていくことも重要であり、とりわけ、国の「Go Toトラベル事業」の停止に伴い、裾野の広い産業である観光産業が再び苦境に立たされていることから、事業が再開した際には、これに連動して、本県の特産品をプレゼントするキャンペーンを実施し、観光需要をしっかりと取り込んでまいります。

加えて、事業終了後の反動減対策として、切れ目なく観光需要を喚起するため、プレゼントキャンペーンを継続するほか、北陸三県で連携し、このキャンペーンに替えて、三県の皆様方を対象とした石川県内宿泊応援キャンペーンを実施することといたしました。

セーフティネットの確保については、引き続き、県内企業の資金繰りの支援に万全を期すため、信用保証料を免除する低利の融資制度を創設することといたしました。

雇用面については、県内の直近の有効求人倍率は一・二三倍と三カ月連続で回復しておりますが、雇用調整助成金の特例措置が雇用の維持に大きく寄与していることから、これを県内企業に円滑に活用いただけるよう、きめ細かく支援してまいります。また、今後の雇用情勢を注視しながら、必要に応じて、特例措置の延長を国に要請してまいります。

離職された方々への再就職支援については、「いしかわ就職・定住総合サポートセンター(ILAC)」において、企業の求人を積極的に開拓し、雇用を創出してまいります。また、人手不足の職種もあることから、離職者をこうした職種に適切に誘導し就業の促進を図るなど、雇用のミスマッチの解消にも努めてまいります。

こうした新たな総合経済対策により、新型コロナウイルスに立ち向い、乗り越えようとする意欲ある県内企業の取り組みをしっかりと後押ししてまいります。

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「魅力が輝き交流が盛んな地域づくり」について

第三は、「魅力が輝き交流が盛んな地域づくり」についてであります。

北陸新幹線につきましては、残念ながら金沢・敦賀間の工期が一年程度遅延することとなりました。国土交通大臣からは、これによる沿線地域への影響を軽減するため、国土交通省を挙げて対応するとともに、並行在来線に対しても支援を行うとの方針が示されたところであります。

また、県議会や地元経済界を含む北陸三県の数次にわたる要望により、事業費の増加分の一部について、地方負担の軽減措置が講じられたところであります。

先月には、沿線自治体をはじめとする関係者と鉄道・運輸機構との間で定期的に情報共有する連絡会議が設置されたほか、本年四月からは、同機構本社と直結する「北陸新幹線建設局(仮称)」が石川・福井両県に設置されることとなりました。

新たな体制の下、国土交通省によるしっかりとした指導監督をいただきながら、着実に工事を進め、令和五年度末までの確実な開業を実現いただきたいと考えております。

また、敦賀・大阪間については、先月二十五日、与党プロジェクトチームに、令和五年度当初の着工に向けた技術的課題や財源確保等を検討する新たな委員会が設置されました。国土交通大臣からは、この委員会と緊密に連携しながら、着工五条件の早期解決を図る方針が示されており、去る十七日には、初めて委員会が開催されたところであります。

北陸新幹線は、東海道新幹線の代替補完機能という役割を超えて、日本海側の大動脈の役割を果たしております。この役割を最大限に発揮するためにも、金沢・敦賀間の令和五年度末までの確実な開業及び敦賀・大阪間の令和五年度当初の着工とフル規格による全線整備に向けて、引き続き、関西圏を含めた沿線地域との連携を密にし、県議会及び関係各位のご支援をいただきながら、国に強く働きかけてまいります。

新幹線県内全線開業の一年延期を、地域資源をさらに磨き上げるための期間と捉え、民間団体による地域の特色を活かした先導的なプロジェクトを追加で募集することといたしました。既存のプロジェクトも含め、旅行商品化へとつなげていくなど、開業後の交流人口のさらなる拡大を図ってまいりたいと考えております。

金沢港につきましては、クルーズ船の寄港がない中にあっても、民間事業者による様々なイベントの開催や港内のライトアップなどに取り組んできた結果、新たな賑わい創出の拠点であるクルーズターミナルでは、冬期においても多くの来館者で賑わっており、これまでに六十万人に迫る方々にお越しいただいております。

また、クルーズ船については、国において、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえながら、まずは国内クルーズから再開していくこととされております。本県においても、四月以降、金沢港発着クルーズを中心に、日本を代表するクルーズ船すべてを含む七本のクルーズ船の寄港が予定されており、昨年延期した県民の皆様方を対象とする一泊二日の「ワンナイトクルーズ」を含め、再開に向けた準備を進めているところであります。

さらには、クルーズターミナルでは、現行の制度では対応できない飲食や物販などのサービスを求める声があり、また、水産ふ頭との連携といった新たな動きも生まれております。

こうした状況を踏まえ、金沢港のさらなる賑わいの創出を図るため、港湾法に基づく「分区」制度を導入することとし、今議会に関係条例を提案しております。これにより、クルーズターミナルでは、飲食や物販を伴う多彩なイベントを実施することが可能となります。

加えて、水産ふ頭でも、飲食を提供できることとなるほか、県漁協と連携し、今年度好評を得たセリ見学ツアーを拡充するとともに、ライトアップを追加し、港内全体を包み込むような夜間景観を創出したいと考えております。

これらの取り組みにより、クルーズターミナルを中心とするエリア一帯のさらなる賑わいの創出を図ってまいります。

金沢港の昨年のコンテナ取扱量は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響により、大幅な減少を余儀なくされましたが、足元では回復傾向となっております。

来年度は、物流企業のノウハウを活用し、荷主の利便性やコスト面に優れた、コンテナを利用した小口混載貨物の輸送体制の確立に取り組んでまいります。また、温室効果ガスの排出抑制などに対応するため、㈱小松製作所が取り組んでいる鉄道と海上輸送を組み合わせたトライアル輸送を支援することといたしました。

こうした取り組みにより、コンテナ取扱量の回復と将来の需要拡大を図ってまいります。

今後とも、貨物、クルーズ、賑わいの三つの機能を最大限に発揮させ、日本海側の拠点港として、金沢港のさらなる飛躍を期してまいります。

小松空港及びのと里山空港につきましては、国内線・国際線ともに依然として減便・運休が継続するなど、厳しい状況が続いておりますが、全国の感染状況を踏まえながら、ビジネス・観光の両面から利用促進に取り組むとともに、利用状況等の動向を注視しながら、早期の復便に向け、関係機関へ働きかけてまいります。

小松空港の国際貨物便については、旅客便で輸送されていた貨物を貨物専用機に転換する動きが加速しております。この機を捉え、小松空港の優位性を活かせる分野を中心に、新たな市場の開拓を図り、さらなる国際物流拠点化に向けた取り組みを進めてまいります。

並行在来線対策につきましては、新幹線県内全線開業の延期等に伴い、本年度に予定していた経営計画の策定時期を来年度以降とすることといたしました。これにより、新型コロナウイルスの感染拡大による利用動向の変化を見極めるとともに、国やJR西日本などから十分な支援と協力が得られるよう、しっかりと協議を行い、安定的な経営の確保に向けて検討を進めてまいります。

観光誘客につきましては、先に申し述べた足元の需要喚起策のほか、新幹線県内全線開業も見据え、県下全域で受け地の魅力づくりを進めてまいります。

広域道路ネットワークの整備につきましては、「ダブルラダー輝きの美知」構想に基づき、のと里山海道の四車線化、金沢外環状道路海側幹線、加賀海浜産業道路などの幹線道路の整備を推進しているところであります。このうち、七尾外環状道路とかほく東西幹線道路二期区間については、五月にも工事に着手することとしており、一日も早い完成・供用に向けて、着実に整備を進めてまいります。

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「個性と魅力にあふれる文化と学術の地域づくり」について

第四は、「個性と魅力にあふれる文化と学術の地域づくり」についてであります。

金沢城復元の総仕上げともいえる二の丸御殿の整備につきましては、昨年二月の「二の丸御殿調査検討委員会」の報告を受け、今年度は、政務や儀礼の場であった「表向」の復元整備を目指し、埋蔵文化財や史料等の調査を実施するとともに、復元整備に向けた基本方針の策定を進めてまいりました。

これまでの調査・検討の成果を踏まえ、来年度からいよいよ復元整備に取りかかることとし、整備にあたっては、「表向」のうち御殿の特徴となる造りや装飾が見られる部分を対象に段階的に進め、まずは、御殿の正面である玄関や式台周辺から着手することといたしました。また、完成を待つことなく、工事の節目節目で、県民の皆様方に建物を見学していただけるよう、工程にも工夫を凝らしてまいります。

さらには、各分野の専門家からなる委員会を設置し、技術的な指導や助言をいただきながら基本設計を進めるほか、復元整備を推進する体制を強化するため、土木部に「金沢城二の丸御殿復元整備推進室」を設置いたします。

史跡金沢城の保存・活用のマスタープランともいえる「金沢城跡保存活用計画」については、二の丸御殿の復元整備を盛り込んだ計画として、年度内にとりまとめることとしております。

今後とも、県民共有の財産である金沢城の価値や魅力を格段に高めるため、二の丸御殿の復元を着実に進めてまいります。

加賀百万石回遊ルートにつきましては、そのシンボルである金沢城公園のさらなる魅力の向上を図るため、重要文化財の石川門、三十間長屋、鶴丸倉庫の公開日を拡大するとともに、夜間開園とライトアップを通年で実施することといたしました。

本年、県立音楽堂は開館から二十周年を迎えます。これを記念し、九月には、コンサートホールにおいて開館記念特別公演を開催いたします。また、四月から、邦楽監督として、和泉流狂言師であり、舞台や映画で広くご活躍されている野村萬斎氏に就任いただくこととなり、十月には、邦楽ホールにおいて就任を記念する特別公演を開催いたします。

今後とも、県立音楽堂が多くの方に愛され、本県の音楽文化の交流発信拠点として、地域の賑わい創出に一層貢献できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

昨年十月の国立工芸館の開館により、日本海側初の国立美術館が誕生し、本県の質の高い文化の土壌にさらなる厚みが加わりました。今後は、兼六園周辺文化の森に集積する文化施設が連携し、相乗効果を発揮させながら、本県文化のさらなる魅力の創出につなげてまいりたいと考えております。

「国際北陸工芸サミット(仮称)」については、文化振興の観点のみならず産業振興の観点も踏まえ、「生活の中で活かす工芸」をテーマに八月から十二月にかけて開催いたします。特に、北陸三県の人間国宝及び日本芸術院会員全員の作品を展示する「北陸三県名品展(仮称)」では、独立行政法人国立美術館や文化庁が所蔵する作品の展示を大幅に増やすなど、昨年の計画から内容の充実を図ったところであります。改めて、一連の工芸サミットの掉尾を飾るにふさわしいものとなるよう、準備に万全を期してまいります。

併せて、工芸サミットが開催される秋頃には、国立工芸館とも連携し、県立美術館や歴史博物館において、国内外の美術工芸の名品を一堂に集めた特別展を開催することとしております。

国民文化祭については、名称を「いしかわ百万石文化祭二〇二三」とし、令和五年秋の開催に向け、本年度内に基本構想を策定することとしており、来年度は、県の実行委員会を立ち上げ、本大会の詳細を盛り込む実施計画の策定に着手するとともに、開催に向けた気運の醸成を図ることとしております。今後とも、市町や文化団体、関係機関と緊密に連携しながら、県民総参加による石川ならではの文化の祭典を目指してまいります。

また、本大会が開催される令和五年度には、宮内庁三の丸尚蔵館所蔵の皇室ゆかりの美術工芸品を多数展示する大規模な特別展の開催が予定されており、県立美術館と国立工芸館が候補施設となっております。このような施設が隣接するのは本県ならではの強みであり、今後、国立工芸館と連携し、より多くの名品が展示されるとともに、政府関係機関の地方移転の効果を県内外に発信できるものとなるよう、準備に万全を期してまいります。

「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭」につきましては、今年は例年どおり、ゴールデンウィーク期間中に開催することとしております。現下の感染状況や日本への入国制限等を踏まえ、当初出演を予定していた海外アーティストを国内在住者に変更することとし、来月上旬には、公演プログラムを決定することとしております。石川の春を彩る音楽祭として、待ちわびている皆様に、より一層楽しんでいただけるよう努めてまいります。

新たな県立図書館につきましては、順調に工事が進捗し、年内にも建物の本体部分が完成する予定であり、県民の皆様方が親しみを持ち、繰り返しご利用いただける図書館となるよう、工夫を凝らしてまいります。

まず、館内の案内機能を充実させるため、加賀五彩を用いて館内をゾーニングするとともに、本を検索すると詳細な案内図が表示されるシステムを導入することといたしました。

さらには、新たな図書館に関心や愛着を持っていただけるよう、愛称を公募するほか、建物の本体部分の完成後に、図書が並ぶ前の館内を見学する、まさに開館前にしか見ることのできない見学会を開催することといたしました。

本年十月には、現図書館を閉館し、本格的な移転作業に入ることとしており、今後とも、ハード・ソフト両面において創意工夫を凝らしながら、令和四年度前半の開館を目指し、着実に整備を進めてまいります。

東京二〇二〇オリンピック聖火リレーにつきましては、五月三十一日及び六月一日に県内十九市町全てを聖火が巡ることとなっており、明日にも大会組織委員会から感染防止対策に関するガイドラインが示される予定であります。昨年十一月の聖火の巡回展示に続き、県民の皆様方が大きな感動を分かち合うことができるよう、準備に万全を期してまいります。

また、パラリンピック聖火フェスティバルにつきましても、「共生社会の実現」を目指すパラリンピックへの気運を高めることができるよう、方針が示され次第、しっかりと対応してまいります。

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「地域の強みを活かし成長する産業づくり」について

第五は、「地域の強みを活かし成長する産業づくり」についてであります。

新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、社会全体のデジタル化の推進が求められており、特に産業分野においては、企業の競争力の強化につながるものとして、その重要性が一層高まっております。

本県ではこれまで、AI・IoTの活用による県内企業の生産性向上を図るため、全国に先駆けて、企業の具体のニーズや取り組みの段階に応じて、きめ細かく支援してまいりました。その結果、多くの企業でAI・IoTの導入につながっているところであり、これまでの支援策をさらに充実させ、本県産業のデジタル化をより一層推進してまいります。

具体的には、導入に関心を持ち始めた企業を幅広く支援するため、「デジタル化実践道場」に、実践的な研修の前に基礎的な内容を学べるコースを追加することといたしました。

また、導入を検討する企業を支援するため、技術面のみならず経営面も含めた助言を行う「いしかわデジタル化推進経営アドバイザー」を新たに設け、「デジタル技術支援工房」とも連携させながら、具体の導入へとつなげてまいりたいと考えております。

さらには、具体に導入する企業について、製造工程のデジタル化による生産性の向上と、デジタル技術を活用した付加価値の高い製品開発を支援するため、助成枠を大幅に拡大し、将来の成長へとつなげてまいります。

早稲田大学を代表校とする「スマート・エス・イーIoT/AI石川スクール」については、今年度、東京以外で初めて本県で開講し、参加者から好評をいただいたところであります。引き続き、より高いレベルでデジタル化を進める企業の高度人材の育成を支援してまいります。

これらの施策の推進にあたっては、有識者からなる研究会を設置し、県内企業の取り組み状況も含め、大所高所から総合的に評価いただくこととしており、今後とも、こうした取り組みを通じてデジタル化を推進し、本県産業の競争力の強化を図ってまいります。

次世代産業の創造につきましては、中長期的な観点から成長産業の芽を育てるべく、産学官で構成する「次世代産業創造会議」の下に、新たな研究会を設置し、脱炭素化など炭素繊維分野に続く次世代産業を育成してまいりたいと考えております。

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「成長する農林水産業と農山漁村づくり」について

第六は、「成長する農林水産業と農山漁村づくり」についてであります。

特色ある農林水産物のブランド化につきましては、価格の下落が懸念されていた、ルビーロマン、加賀しずく、のとてまりが初せりで過去最高値を付けるなど、市場から高い評価をいただきました。さらには、ブランド品目の販売額は、新型コロナウイルス感染症の影響下においても、過去最高となる三十億円に達する見込みであります。

こうした農林水産物のブランド価値を一段と向上させるためには、栽培技術や種苗の管理を徹底するとともに、魅力の発信に取り組むことが重要であります。

このため、本県独自の取り組みとして、栽培技術の維持向上と種苗の厳格な管理について、「石川県の特色ある農林水産物を創り育てるブランド化の推進に関する条例」に規定し、明確化することといたしました。

加えて、有識者のご意見を踏まえ、「いしかわ百万石食材」を認定し、ブランド品目の魅力をさらに発信することとしており、今後とも、本県農林水産物のブランド化を一層推進し、農林水産業の成長産業化を図ってまいります。

「世界農業遺産国際会議2021(仮称)」につきましては、本年、「能登の里山里海」が先進国で初めて世界農業遺産に認定されて十年の節目を迎えることから、国際機関や国の協力の下、本年秋に、認定地域である能登において開催することといたしました。

本県では、認定を契機に、「能登」という面的な広がりをもった地域が一体となり、様々な地域振興の取り組みが進み、この効果が、観光やものづくりといった産業にも波及しております。今回の会議では、これまでの本県の取り組みや成果に加え、世界農業遺産が有する価値を国内外に広く発信することとしており、開催の準備に万全を期してまいります。

里山里海地域では、地域資源を活用した商品・サービスが生まれるなど成果が表れる一方で、高齢化や人口減少が進み、生業の担い手の確保・育成が課題となっております。このため、県内金融機関のご協力の下、「いしかわ里山振興ファンド」の規模を百八十億円に拡充し、新商品・新サービスの開発に対する支援をさらに充実させるほか、チャレンジ精神旺盛な担い手の参入を新たに支援することといたしました。

木場潟公園の東園地につきましては、㈱小松製作所のご協力をいただきながら、新たな里山再生のモデルとなる公園として整備を進めております。来年度は、里山学習などの活動拠点となる「里山交流ハウス(仮称)」や、年間を通して野菜の収穫体験が楽しめる「農業体験ハウス(仮称)」、未利用間伐材を活用した資源の循環を学習できる「里山資源再生ハウス(仮称)」の建設工事に着手いたします。

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「人を惹きつける生涯居住の地域づくり」について

第七は、「人を惹きつける生涯居住の地域づくり」についてであります。

新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、人が密集する都会から地方への移住に関心が高まっており、地方で就職を希望する学生が増加するとともに、都市部の企業が地方にオフィスを設ける動きが加速しております。本県においては、昨年、転出超過が大幅に縮小し、特に子育て世代が転入超過へと転じたところであり、また、東京の企業が能登地域に移転する動きも生まれました。

この機を捉え、充実した子育て環境や良好な居住環境、豊かな自然などを積極的に発信し、移住・定住や学生の県内就職を一層促進するとともに、都市部にある企業のサテライトオフィスの誘致を強化してまいります。

具体的には、全国から気軽に参加でき、人と人との接触機会も回避できるというオンラインのメリットを最大限に活かし、移住セミナーを実施するとともに、移住体験の機会を倍増させることにより、移住・定住を促進してまいります。

また、これまで、県内外に進学する学生に対し「ふるさと石川就職学生カード(ISica)」を配布し、地元就職への意識の向上を図ってきたところでありますが、さらに、これをスマートフォンと連動させ、学生の県内企業の情報収集から応募までをワンストップで支援する全国初のアプリ「いしかわ就活スマートナビ」を開発し、県内就職を一層促進させていくことといたしました。

先月、国内屈指の医薬品商社であるイワキ㈱から、珠洲市にテレワークの拠点を置き、東京都にある本社機能の一部を移転する旨の報告をいただきました。本県の自然災害の少なさ、能登の豊かな自然や食などが評価され、進出が決定したものであり、こうした本社機能の移転は、魅力的な雇用の場を創出し、UIターンの促進にもつながるものと期待しております。

また、都市部にある企業のサテライトオフィスの誘致をより一層加速させていくため、能登地域等にオフィスを設ける企業を助成する制度について、その適用を県下全域に拡大することといたしました。

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「少子高齢化を見据えた希望と安心の社会づくり」について

第八は、「少子高齢化を見据えた希望と安心の社会づくり」についてであります。

少子化対策につきましては、「いしかわエンゼルプラン2020」に基づき、当面の目標である出生率一・八の達成に向け、結婚から妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない支援をさらに充実することとしております。

結婚を希望する若者に対する支援については、「縁結びist」によるお見合いを新たにオンラインでも実施するなど、出会いの機会の充実を図ることにより、成婚数の増加につなげてまいりたいと考えております。

妊娠や出産に関する支援については、結婚後の早い段階において、夫婦で妊娠や出産を含めたライフプランを考えていただく機会を提供するため、産婦人科において、健診に加え、妊娠に関する正しい知識を学べる全国初の取り組みを開始することといたしました。

保育の質のさらなる向上については、東京大学等と連携し、保育教諭を対象とした研修体系の構築を進めているところであり、来年度は、これに基づく研修を実施することにより、保育教諭の一層の資質向上を図ってまいります。このような保育教諭を対象とした体系的な研修は、全国でも類を見ないものであります。

今後とも、若者の結婚や出産に対する希望をかなえ、安心して子どもを生み育てることのできる社会の実現に向け、エンゼルプランの着実な推進に努めてまいります。

介護・福祉人材の確保につきましては、業務負担の軽減による介護職員の定着を促進するため、施設におけるICT・IoT機器の導入を支援してきたところでありますが、感染症対策として、人と人との接触機会を低減するという効果も期待できることから、来年度は支援枠を大幅に拡充することといたしました。

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「安全・安心と豊かな里山里海に包まれる環境づくり」について

第九は、「安全・安心と豊かな里山里海に包まれる環境づくり」についてであります。

この冬は、県内各地で平年の降雪量を大幅に上回る大雪となりましたが、平成三十年の記録的な大雪を踏まえ、道路の除雪体制に万全を期してきたことから、交通面で大きな混乱は生じなかったものと考えております。引き続き、この体制をしっかりと確保するため、平成三十年の大雪の際と同水準の予算を確保することとし、所要の補正予算を計上しております。

加えて、県内全域でビニールハウスの倒壊が相次いだことから、生産者の方々が早期の復旧を図り、今後も意欲をもって営農いただけるよう、平成三十年と同様に、JAや市町と連携し、国の制度に上乗せで助成を行う県独自の制度を創設することといたしました。

近年、大雨による河川の氾濫などが、全国各地で毎年のように発生しております。

このため、国に対し、来年度以降も、国土強靭化を強力に推進するよう強く要請してきたところ、新たに、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が実施されることとなりました。県としては、これを最大限に活用し、ハード・ソフト両面から、災害に強い県土の基盤づくりを加速させてまいります。

具体的には、引き続き、抜本的な治水対策である河川改修を県下全域で促進させることに加え、即効性のある災害予防対策である河川の堆積土砂の除去については、これまでに得られた知見を基に、土砂の堆積が見込まれる箇所をあらかじめ計画的に除去することとし、来年度は三十五の河川において工事を進めることといたしました。

また、大規模な河川である水位周知河川以外の河川においても、洪水浸水想定区域図の作成が法律で義務化される見通しであることから、これを待つことなく、直ちに作成に着手することとし、令和五年の出水期までには公表したいと考えております。市町においては、これに基づき、早期に洪水ハザードマップを見直し、住民の避難態勢の強化につなげていただきたいと考えております。

地域防災力の向上につきましては、市町や防災活動に積極的な民間企業、災害応援協定を締結している団体等と連携し、自主防災組織のリーダーとなる防災士のさらなる育成に取り組むとともに、実践的な研修を通じて、防災士活動の質の向上を図ってまいります。

また、避難所における新型コロナウイルス感染症対策を強化するため、本年の出水期前までに、市町の職員や自主防災組織等の方々を対象に、感染症を想定した、避難所の開設や運営研修を実施することといたしました。

地球温暖化の防止につきましては、昨年十月、国において、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を実質的にゼロとするカーボンニュートラルを実現するとの目標が示されました。これに対し、地方としてもしっかりと取り組む必要があることから、本年秋にも改定が予定されている国の「地球温暖化対策計画」の内容も踏まえながら、環境総合計画の改定に着手したいと考えております。

今回の改定にあたっては、温室効果ガスの大幅な削減が求められる見込みであることから、これまで以上に官民一体で取り組みを進めることが必要となります。このため、まずは、県民や事業者の皆様方の地球温暖化や省エネに対する意識について調査を行うことといたしました。

さらには、環境総合計画の改定を待つことなく、温室効果ガスの排出割合が全国に比べて高い家庭などの民生部門における取り組みを推進するとともに、削減率が全国に比べて低い産業部門においても、省エネ・再エネ設備の導入により、脱炭素化に向けた取り組みを進める事業者を支援することといたしました。

昨年、市街地への出没が相次いだツキノワグマへの対応につきましては、ドローンを活用したブナの豊凶予測調査を実施することにより、より早期に警戒を呼びかけてまいりたいと考えております。加えて、今後の大量出没に備え、市町の捕獲体制の強化を図るため、捕獲檻の増設や捕獲隊員の確保を支援するとともに、市街地での出没を想定した実地研修を充実させることといたしました。

今後とも、市町や関係機関と連携し、人身被害防止にしっかりと取り組んでまいります。

高病原性鳥インフルエンザにつきましては、昨年十一月に香川県で発生して以降、感染が拡大しており、先月には、岐阜県及び富山県でも発生が確認されたことから、県では、直ちに警戒本部会議を開催し、県内全ての養鶏農家で緊急消毒を実施するなど、感染予防対策の強化を図ったところであります。

老朽化、狭隘化が著しい県立高松病院の管理診療棟につきましては、現在地で外来診療などを続けながら順次建て替えを行っているところであり、本年秋頃には外来部門の機能強化を図る第二期工事が完了いたします。これにより、認知症や発達障害をはじめとする精神科医療の中核病院にふさわしい施設となることから、新たな診療棟の供用・開始に併せ、病院の名称を変更し、新たに「石川県立こころの病院」とすることといたしました。

治安対策の強化につきましては、現在建設中の七尾警察署新庁舎を完成させ、本年秋に供用を開始したいと考えております。

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「みんなで支えるやすらぎと絆の社会づくり」について

第十は、「みんなで支えるやすらぎと絆の社会づくり」についてであります。

障害のある方もない方も、互いにその人格と個性を尊重し、共に支え合いながら、安心して生活できる共生社会の実現に向け、年度内にも、共生社会づくりに先進的に取り組む県内の地域コミュニティを初めて認証するとともに、今後、こうした優れた取り組みを県下全域に波及させてまいりたいと考えております。引き続き、障害の有無によって分け隔てられることのない石川県づくりに取り組んでまいります。

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「未来を拓く心豊かな人づくり」について

第十一は、「未来を拓く心豊かな人づくり」についてであります。

「GIGAスクール構想」の実現に向け、タブレット端末などのICTをツールとして、児童・生徒の学びの質を高めていくには、教員一人ひとりについて、ICTを活用した指導力の向上を図ることが重要であります。このため、校内研修の充実を図るとともに、新たに教員総合研修センターに「GIGAスクールサポート課」を設置し、校内研修のバックアップ体制を強化することといたしました。

特別支援学校につきましては、近年、専門的指導や就労支援を期待する保護者の増加などを背景に、知的障害のある児童・生徒の在籍数が全国的に増加しており、本県でも同様の傾向であります。特に、いしかわ特別支援学校及び明和特別支援学校の児童・生徒数が大きく増えており、今後も増加が見込まれることから、教室不足による教育環境の悪化が懸念されるところであります。

こうした状況を踏まえ、両校の教育環境の向上を図るため、いしかわ特別支援学校知的障害部門について、同校と近接する金沢向陽高校の敷地内に新校舎を建設し、高等部を現校舎から移転することといたしました。加えて、同高校との間で、全国でも例のない、日常的に様々な場面で両校の生徒同士が交流を図るインクルーシブ教育の実施を目指してまいります。

また、この高等部の移転に併せ、明和特別支援学校知的障害部門についても、通学エリアを見直すことにより、教育環境の向上を図ることといたしました。

来年度は、いしかわ特別支援学校高等部新校舎の令和七年度の開校を目指し、基本計画の策定など、準備に着手いたします。

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予算総額および歳入について

以上が、令和三年度当初予算及び令和二年度補正予算における主要施策の概要であり、両予算を合わせた実質的な来年度当初予算の総額は、六千四百九十億五千二百万円となり、平成十四年度以来十九年ぶりに六千億円を超える予算となっております。

この財源といたしましては、県税一千四百二十七億円、地方交付税一千二百四十六億五千万円余、国庫支出金九百九十九億八千九百万円余、地方債一千三十七億五千五百万円などを充てるほか、当初予算では平成二十五年度以来八年ぶりに、財政調整基金十六億円の取り崩しを行うことといたしました。

予算総額の内訳は、令和三年度当初予算が六千百五十八億五千九百万円、令和二年度補正予算が三百三十一億九千三百万円となっております。

特別会計といたしましては、公営競馬、病院事業、流域下水道事業など十六の特別会計や事業会計において、総額三千五百五十億二千五百万円余を計上しております。

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金沢競馬について

金沢競馬につきましては、無観客開催や入場制限を余儀なくされたところでありますが、インターネット販売が好調であったことから、本年度も黒字となる見通しであり、先般、金沢競馬経営評価委員会において、来年度の収支均衡を達成できるとの見通しをご了承いただいたところであります。引き続き、競馬関係者のご協力をいただきながら、経営の健全化に努めてまいります。

また、本年十一月には、地方競馬最大の祭典であるJBC競走を開催することとしており、金沢競馬の収益確保や知名度向上につながるよう、準備を進めてまいります。

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その他の諸議案について

次に、提案いたしましたその他の諸議案のうち、議案第三十四号につきましては、社会全体で犯罪被害者等を支え、再び平穏な生活を営むことができる社会の実現を図るため、「石川県犯罪被害者等支援条例」を制定しようとするものであります。

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デジタル化の推進について

先に申し述べたとおり、社会全体のデジタル化の推進が求められる中、本県においても、行政分野はもとより、産業をはじめ、あらゆる分野においてデジタル化を加速させる必要があることから、去る八日、部局横断の「デジタル化推進本部」を立ち上げました。

行政サービスの向上を図るため、取り扱い件数の多い行政手続からオンライン化を進め、できるだけ早期に県民の皆様方の利便性向上につなげてまいります。また、行政手続における押印については、年度末までに、国の法令等に基づくもの以外は、原則、廃止することとしております。さらには、行政の効率化を図るため、デジタル技術を積極的に活用し、業務の見直しや働き方改革を進め、行政の質の向上につなげてまいります。

加えて、農業を含めた産業や福祉、教育といった行政以外の分野についても、デジタル化に向けた取り組みを一層加速させ、本県の活力の向上を図ってまいります。

これらを推進する司令塔として、総務部に「デジタル推進課」を設置し、年内を目途に「石川県デジタル化推進計画」を策定することとしております。

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志賀原子力発電所について

志賀原子力発電所につきましては、現在、原子力規制委員会において、法律に基づく新規制基準への適合性に関する審査が行われております。規制委員会には、科学的な根拠に基づき厳格な審査を行い、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかりと説明責任を果たすことを引き続き強く要望してまいります。

原子力発電所は安全確保が大前提であり、北陸電力㈱には、今後とも、より一層の安全対策に取り組むよう強く求めてまいりたいと考えております。

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「安心と躍動が進化する ふるさと石川」の実現に向けて

未曽有の危機ともいえる新型コロナウイルスの感染拡大により、国民の間に大きな不安や閉塞感が漂っております。

こうした先行きの見通せない時代にあるからこそ、地方自治体が、自らの判断と責任の下、創意工夫を凝らした施策を推し進めることにより、住民の命と生活を守ることはもとより、夢や希望に満ちた将来像を示していかなければなりません。今まさに、地方の力量が問われているものと考えております。

幸いにも、本県は、藩政期以来、先人により培われてきた豊かな歴史と文化、高い技術力を有するものづくり企業の集積など、石川の個性ともいうべき数多くの財産を有しております。加えて、他の地域にはない高い優位性をもつ北陸新幹線をはじめ、充実した陸・海・空の交流基盤を持ち合わせております。

これらの本県の強みにさらに磨きをかけ、最大限に活かしていくことで、明るい未来を切り拓いてまいりたいと考えております。

さらには、私たちの平穏で豊かな暮らしを脅かす新型コロナウイルス感染症への対応や激甚化・頻発化する災害への備えなどに万全を期し、県民生活の安全・安心をしっかりと確保していかなければならないことは、申し上げるまでもありません。

今後とも、「個性」、「交流」、「安心」を旨に、「安心と躍動が進化する ふるさと石川」の実現に向け、全身全霊を傾けてまいる所存でありますので、議員各位の一層のご指導とご協力をお願いいたします。

以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なにとぞ慎重ご審議のうえ、適切なるご決議あらんことをお願いいたします。

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お問い合わせ

所属課:知事室秘書課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1221

ファクス番号:076-225-1222

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