ホーム > 県政情報・統計 > 知事のページ > 県議会の議案説明要旨 > 議案説明要旨(令和5年第4回県議会定例会) - 令和5年9月12日 -
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本日、ここに、令和五年第四回県議会定例会が開かれるにあたり、最近の県政の状況と提案いたしました一般会計補正予算及びその他の諸議案につきまして、その大要をご説明申し上げます。
この夏は、前線の停滞により、県内各地で局地的な大雨が相次ぎ、河川の氾濫や浸水被害、土砂災害等が発生し、大きな被害をもたらしました。被害に遭われた皆様方に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。
とりわけ、七月十二日から十三日にかけての大雨では、線状降水帯の発生により県内で初めて顕著な大雨に関する気象情報が発表され、津幡町とかほく市において一時間雨量が観測史上最大となるなど、河北郡市を中心に記録的な大雨となりました。能瀬川や宇ノ気川など六つの河川が氾濫し、約五百棟の住家被害のほか、河川や道路などの公共土木施設、農地・農業用施設、森林公園内の林道などに甚大な被害が発生いたしました。
県では、これまでの間、被災箇所の応急復旧や流出した流木の除去などに、国や市町など関係機関と連携し、全力で取り組んできたところであります。
国は、先月三十日に、本県を含む全国各地で発生した一連の大雨被害を、激甚災害に指定したところであります。指定は、被災地の復旧・復興を後押しするものであり、引き続き、関係機関と連携し、被災施設の復旧、被災された方々の生活再建、事業再建など、一日も早い復旧・復興に向けて、全庁を挙げて取り組んでまいります。
また、被災箇所の多い市町に対し、これまでに延べ七十五名の県職員を派遣し、被害状況の把握や被災箇所の応急復旧を支援してきたところであり、引き続き、本格復旧に向け、市町の災害査定及び復旧工事を支援してまいります。
被災者への支援につきましては、津幡町における被災世帯数が国の基準を満たしたことから、被災者生活再建支援法及び災害救助法を適用したところであります。また、国制度では支給対象とならない半壊世帯まで対象を拡充する県独自の支援制度も併せて適用し、生活再建に対する支援を行ってまいります。
被災事業者への支援につきましては、事業再建に向けた生産性向上や販路開拓などの前向きな取り組みに対する支援策を講じるとともに、専門家派遣制度の無料派遣回数の上限を撤廃し、事業者からの相談にきめ細かく対応してまいります。
被災農家への支援につきましては、農産物や農業機械に大きな被害が生じており、国に対してハード・ソフト両面からの支援を要望しているところでありますが、国の支援を待つことなく、県独自に営農再開や農業機械の再取得に必要な経費などに対して支援することとし、営農を継続していただけるよう後押ししてまいります。
今回の記録的な大雨により河川が氾濫し、甚大な被害が発生したことを踏まえ、その要因を検証し、同規模の洪水が起きた場合の災害防止策や被害軽減策を検討するため、先月三十一日、県央地区流域治水協議会の下に、河北郡市流域治水対策検討部会を立ち上げたところであります。国や市町など関係機関と連携し、十一月を目途に、流域全体でのハード・ソフト両面にわたる対策を取りまとめ、今後の治水対策に反映させてまいります。
また、国の追加認証を得て、県下全域での河川改修や老朽化したため池の改修など防災・減災対策を進めるとともに、橋りょうや農業用排水施設などの長寿命化対策を促進してまいります。
北陸新幹線につきましては、先般、金沢・敦賀間の開業日が来年三月十六日に決定されました。県内全線開業となる金沢・敦賀間の開業は、本県にとって「第二の開業」となるものであり、開業効果を最大限に引き出し、県内全域に波及させるべく、今後、本格化するJRの開業プロモーションに合わせ、三大都市圏への情報発信を集中的に実施するとともに、県民の皆様方の開業気運が一層高まるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
併せて、新幹線の運行本数や停車駅も発表され、かがやきの一部が小松駅や加賀温泉駅に停車する一方、東京方面からのはくたかは大多数が金沢駅止まりとなることから、今後、関係市町と連携し、小松・加賀温泉両駅を核とした誘客強化に取り組むとともに、繁忙期における臨時列車の運行を含め、停車本数を増やしていただくよう、JR西日本に働きかけてまいります。
敦賀・大阪間については、来年度国家予算の概算要求に整備費が盛り込まれなかったことは大変遺憾であります。今年度に引き続き、施工上の課題を解決するための調査等を先行的・集中的に実施するための費用が盛り込まれたところであり、こうした調査により、建設費や工期、地元負担額などの具体的なデータを明らかにするとともに、着工五条件の早期解決を図り、一日も早い全線整備を実現していただきたいと考えております。
北陸新幹線の整備効果を最大限発揮するためには、大阪までの全線整備が必要不可欠であり、今後とも、関西圏を含めた沿線地域との連携を密にし、県議会及び関係各位のご支援をいただきながら、政府・与党に強く働きかけてまいります。
並行在来線につきましては、北陸新幹線金沢・敦賀間の開業日が決定したことを受け、IRいしかわ鉄道についても、同日に金沢・大聖寺間が開業することとなりました。今後、十二月頃に発表を予定している具体のダイヤ編成など開業に向けた準備を着実に進めるとともに、多くの方々にご利用いただけるよう、市町や経済団体等と連携し、利用促進の取り組みを進めてまいります。
先月、韓国全羅北道との友好交流に関する合意二十周年を記念するとともに、コロナ禍後の交流再開のキックオフとして、県議会の皆様方とともに、韓国を訪問いたしました。
全羅北道では、金寛永知事を訪問し、令和七年の大阪・関西万博に向けて両地域の文化交流を一層推進していくことで合意いたしました。この取り組みは、先般、国のモデル事業に採択され、来月には、道立国楽院芸能団を招へいし、国民文化祭の一環として開催される「いしかわ国際交流フェスタ」において、韓国の代表的な伝統芸能であるパンソリや舞踊、音楽をご披露いただくこととしております。
また、大韓航空本社を訪問し、小松・ソウル便の運航再開を要請してまいりました。大韓航空からは、来月二十九日から始まる冬ダイヤ期間中のできる限り早期の再開とともに、定期便再開に先立ち、インバウンドチャーター便を運航したいとの意向が示されました。インバウンドチャーター便については、先般、今月二十八日を皮切りに三往復の運航が決定したところであり、県としては、一日も早い定期便の運航再開に向け、グランドハンドリング体制の確保を要請するなど運航再開に向けた環境整備に努めてまいります。
釜山港では、金沢港との物流連携に関する合意書を締結いたしました。これを踏まえ、県内の荷主に対し、釜山港内の自由貿易地域(FTZ)内の倉庫の活用により、金沢港から釜山港経由で、世界各国の仕向地へ配送するルートへの転換を促し、金沢港の利用拡大に取り組んでまいります。
石川の新たな時代を切り拓く羅針盤となる「石川県成長戦略」につきましては、石川県成長戦略会議及び五つの部会から頂いたご意見、県議会でのご議論などを踏まえ、「幸福度日本一に向けた石川の未来の創造」を基本目標として、「住みやすく、働きやすい、活力あふれる石川県」を目指す姿とし、八つの戦略と三十八の施策を掲げ、今議会に提案しております。
成長戦略に掲げる十四の主要目標と百六十のKPIは、それらの達成状況を毎年検証するなど、不断に見直しを行い、成長戦略に基づく具体の施策を推進してまいります。
今回提案をいたしました補正予算においては、先に申し述べた大雨災害からの復旧・復興をはじめ、六月補正予算編成後における情勢の変化や事業の進捗などにより、現時点で新たな対応が必要となったものについて編成をいたしました。
以下、主な施策につきまして、六月補正予算編成後の取り組みの進展状況も併せ、その概要をご説明申し上げます。
第一は、「新たな時代を捉えて飛躍・成長する産業づくり」についてであります。
石川県の最低賃金につきましては、先般、国において、現行制度下では過去最大となる四十二円の引き上げが決定され、来月八日から適用されることとなりました。
今回、石川地方最低賃金審議会の答申を踏まえ、国の中央最低賃金審議会が示した目安額を上回る決定がされたことは、賃上げを通じて消費を拡大する経済の好循環につながるものと考えており、県として、物価高騰など厳しい経営環境にあっても賃上げを実施する事業者に対する支援を行うことといたしました。
具体的には、最低賃金と同水準にある事業所内最低賃金を一定額以上引き上げる事業者による生産性向上に向けた設備投資を支援する国の「業務改善助成金」について、県独自に上乗せ支援するとともに、事業所内最低賃金を一定額以上引き上げる小規模事業者による新たな販路開拓や商品開発を支援する国の「持続化補助金」について、県独自に対象を中小企業に拡大して支援することといたしました。
事業者の資金繰り支援につきましては、今年度は、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済開始が本格化することを踏まえ、県独自に信用保証料を全額免除する低利の融資制度を継続し、資金需要に対応してきたところでありますが、借換需要のみならず、物価高騰等の影響により新規の資金需要も高まっていることから、融資枠を拡充し、資金繰り支援に万全を期してまいります。
県内産業の成長に不可欠な新事業の創出につきましては、今年度新たに七百億円規模の「成長戦略ファンド」を創設し、案件の掘り起こしから採択後のフォローアップまで、産学官金の連携により一貫した支援を行う「いしかわ新事業創出支援コンソーシアム」を七月末に設置いたしました。
コンソーシアムにおいて、ファンドによる支援メニューを、DXの推進、GXの推進、スタートアップの創出などの六つに決定し、先月公募を開始いたしました。
多くの新事業の創出に向け、県内事業者による意欲ある取り組みを支援してまいります。
県内大学生の県内定着の促進につきましては、今年度新たに、意欲的な取り組みを行う県内高等教育機関と県が個別に協定を締結し、必要な支援を行う制度を設けたところであり、既に協定を締結した金沢学院大学に続き、来月三日に北陸大学と協定を締結いたします。
学内での県内企業による就職ガイダンスの開催等を支援することとしており、こうした取り組みが県内の他の高等教育機関にさらに広がることを期待しております。
県内四カ所の産業技術専門校につきましては、新卒者や離職者、在職者を対象に職業訓練を実施し、これまでに延べ二万人を超える人材を本県産業界に輩出してまいりましたが、施設の老朽化や訓練ニーズの変化などを踏まえ、先月、石川県職業能力開発審議会を開催し、今後求められる施設や機能について、検討に着手したところであり、年内を目途に審議会での議論を取りまとめてまいります。
第二は、「収益力の高い農林水産業と次世代につなぐ農山漁村づくり」についてであります。
本県の特色ある農林水産物につきましては、先月、県内や首都圏において、ルビーロマンや加賀しずくを中心にトップセールスを行いました。
引き続き、「百万石の極み」をはじめ、本県の特色ある農林水産物の認知度向上や販売促進に取り組んでまいります。
県産品の海外における販路開拓・拡大につきましては、来年一月十一日から二十四日まで、台北市内の高級百貨店三店舗において「石川フェア」を開催することといたしました。
本県の特色ある農林水産物や加工食品、伝統的工芸品の販売のほか、和菓子の製作実演を行うなど、石川の食文化の魅力を発信し、観光誘客にもつなげてまいります。
林業振興につきましては、五月に「能登のアテ林業」が林業遺産に認定されたことを契機に、県民の皆様にアテ林業や能登ヒバへの理解を深めていただけるよう、アテの複層林が現存する輪島市の健康の森において、案内板等の展示の充実を図ることといたしました。
第三は、「個性と魅力にあふれる交流盛んな地域づくり」についてであります。
国民文化祭「いしかわ百万石文化祭二〇二三」につきましては、いよいよ開会まで三十二日となりました。
来月十四日から十一月二十六日までの四十四日間にわたり、「文化絢爛」をキャッチフレーズに、県内十九市町全てを舞台として、百五十一の多彩な文化イベントを実施いたします。
来月十五日の開会式では、開閉会式総合ディレクターの野村萬斎氏をはじめ、石川の文化の担い手による華やかなステージで大会の開幕を告げることとしております。
市町や文化団体、関係機関と連携を密にし、本県の質の高い文化の魅力を全国に発信するとともに、国内外の文化団体との交流を図り、本県文化の一層の振興につなげてまいります。
今月八日、韓国全州市で開催された日中韓文化大臣会合において、日本・中国・韓国それぞれが毎年文化都市を選定し、文化交流を通じた相互理解を図る「東アジア文化都市」の令和六年の開催都市に本県が選定されました。
「ポスト国民文化祭」の取り組みとして、来年一月から一年間、七尾市を中心に県内各地において、多彩なイベントや日中韓の交流事業を展開し、本県の文化芸術の振興を図るとともに、北陸新幹線県内全線開業効果の県内全域への波及にもつなげてまいります。
北陸新幹線県内全線開業に向けた気運醸成の取り組みにつきましては、開業日の決定を受け、今月七日に、開業までの日数を刻むカウントダウンボードを県庁一階エントランスホールに設置したところであり、今後、金沢駅、小松駅、加賀温泉駅など県内各地に設置いたします。
また、今月三日には、カウントダウンフォーラムを能登で開催したほか、今月二十三日から始まる新幹線車両の走行試験に合わせ、来月一日には、小松駅、加賀温泉駅において、県民の皆様とともに新幹線車両を歓迎するセレモニーを開催するなど、県内全域で開業に向けた気運を一層盛り上げてまいります。
北陸三県が連携した誘客促進につきましては、県内全線開業を見据え、首都圏のメディアに向けた共同の観光PRや、大手旅行会社と連携した全国的な誘客キャンペーンに加え、JR三社と連携した「ジャパニーズビューティー北陸キャンペーン」を例年の十二月より前倒しして、来月から実施することとしております。
さらに、開業直前の出控えも懸念される来年一月から開業直前の三月上旬までの間、三県共同で、北陸エリア内の相互誘客を促すキャンペーンを実施することとし、北陸全体の観光需要の喚起を図ってまいります。
文化観光につきましては、現在、県が強力に推進している文化観光の取り組みを「いしかわ文化振興条例」に位置付けることとし、今議会に条例の改正を提案しております。
今年度新設した「いしかわ文化観光推進ファンド」による文化観光コンテンツの造成支援については、観光事業者はもとより、文化団体からも高い関心が寄せられ、四十件を超える多くの応募があったところであります。
有識者等による審査を経て、今月中にも事業の認定を行い、本県の優れた文化資源を活用した誘客の取り組みを加速してまいります。
また、来年夏に県立美術館において、奈良国立博物館が所蔵する至高の仏教美術が一堂に会する特別展「まるごと奈良博」を開催することといたしました。
奈良国立博物館の至宝を展示する展覧会としては、過去最大規模となる国宝七点、重要文化財八十点以上を含む約二百点の展示を予定しており、本特別展の魅力を県内外に発信するなど、準備に万全を期してまいります。
四高記念文化交流館においては、本館内のレトロ衣装の体験ルームとともに、旧門衛所を改修したミュージアムショップを、国民文化祭の開催に先駆け、今月三十日にオープンし、レトロ文化の魅力発信の拠点として活用してまいります。
食文化につきましては、料理技術や盛り付けを担う高度な技術を有する人材は、石川の食文化の重要な要素であります。
一方、国の重要無形文化財保持者の対象は、芸能や工芸の分野に限られていることから、石川県食文化推進本部の設立を契機として、「いしかわの食の巨匠顕彰制度」を創設することといたしました。
また、本県では四回目となる「伝統的工芸品月間国民会議全国大会」が、来年十一月に開催されることが決定いたしました。
この機会を捉え、「いしかわクラフト×フードフェス二〇二四 (仮称)」として、本県をはじめ全国の伝統的工芸品の展示即売会等の開催のほか、県立美術館では四季に応じたテーブルコーディネートの展示などを行う「食を彩る工芸展(仮称)」を開催し、食文化に係る多彩なイベントを集中的に展開することといたしました。
同時期に実施される「北陸デスティネーションキャンペーン」との相乗効果を図り、本県の食文化の魅力発信や伝統産業の振興はもとより、誘客促進につながるよう、準備を進めてまいります。
海外誘客につきましては、国の事業採択を受け、アジアや欧米豪の高付加価値な外国人旅行者の誘客を図るため、特別感のある旅行商品造成に向け、金沢城の五十間長屋における饗応料理、氣多大社における伝統的な神事の体験などを含むモニターツアーの実施を通じてコンテンツの磨き上げを行うことといたしました。
スポーツを通じた活力の創造につきましては、新たに、本県にゆかりのある著名なアスリート三十名、トップスポーツチーム及びパラスポーツチーム十団体に、「石川県スポーツ大使」を委嘱することといたしました。
これまでに、ウエイトリフティングの元日本代表の八木かなえ氏など四名のほか、スポーツチーム十団体に委嘱状を交付したところであり、大使の皆様には、それぞれの活動を通じて、スポーツの魅力や楽しさなどを、県民の皆様にお伝えいただくことを期待しております。
小松空港につきましては、国内線の利用者数は、新型コロナウイルス感染症の影響から着実に回復しており、引き続き、観光・ビジネスの両面から利用促進に取り組んでまいります。
国際線については、先に申し述べたように、訪韓の折に大韓航空からソウル便の冬ダイヤ期間中の運航再開に向けた意向が示されたところであります。
さらに、先月三十一日には、中国東方航空の日本支社を訪問し、上海便の早期の運航再開を要請したところ、冬ダイヤ期間中のできる限り早期に運航を再開したい旨の回答を得たところであります。
ソウル便と上海便の運航再開を見据え、インバウンド・アウトバウンド双方での利用促進に取り組んでまいります。
また、四月に再開された台北便については、日本からの利用割合が低下していることから、県内及び福井県内でPRイベントを実施し、利用促進を図ることといたしました。
第二滑走路については、国において、必要性に関する調査を実施し、方針を示していただくことが不可欠であることから、先般も国土交通省及び財務省に要望したところであり、今後も国に働きかけながら、年度内に結論を出したいと考えております。
のと里山空港につきましては、令和五年奥能登地震の影響もあり、利用が伸び悩んでおり、冬季の利用促進に向け、首都圏からの団体ツアーをターゲットとして、能登ならではの観光資源を組み込んだ旅行商品の造成を支援し、さらなる誘客を図るとともに、市町や関係団体と一体となって地元利用の促進に取り組んでまいります。
また、台北からのインバウンドチャーター便が、チャイナエアラインにより今月二十九日を皮切りに六便運航されることが決定したところであり、受け入れに万全を期してまいります。
地域公共交通の利便性向上につきましては、北陸鉄道グループが、北陸新幹線県内全線開業を契機として、クレジットカード等によるタッチ決済システムを県内全域のバスや鉄道に令和七年度までに順次導入することとしたところであり、国や沿線市町と連携して支援を行うことといたしました。
北陸鉄道(株)の鉄道線については、先日開催された沿線市町の首長会議において、石川線の鉄道での存続が合意されました。
県としては、沿線市町の決断を尊重し、北陸鉄道(株)による最大限の自助努力を前提として、鉄道の存続に向けた支援策について、沿線市町の検討に積極的に協力してまいります。
金沢港の「将来ビジョン」につきましては、県民へのアンケートや企業、関係団体へのニーズ調査を実施し、基本方針やゾーニングについて、検討を進めているところであります。
来月三十一日には第二回検討委員会を開催することとしており、年度内の策定に向け、引き続き取り組んでまいります。
先般、ホテル等を全国展開するリゾートトラスト(株)において、日本海側初となる同社の会員制高級リゾートホテルを、金沢港に隣接するゴルフ場敷地内に建設する計画が表明されました。
金沢港周辺に滞在型の観光拠点が生まれることは、金沢港を核とした賑わいの創出、観光誘客の促進につながるものと期待しております。
広域道路ネットワークの整備につきましては、能越自動車道輪島道路ののと三井インターチェンジからのと里山空港インターチェンジ間が今月十六日に開通するほか、国道四一五号羽咋バイパスの宝達志水町杉野屋から羽咋市神子原町間を来月二十八日に供用することといたします。
知事公舎の利活用につきましては、七月に第二回の検討会を開催し、利活用の基本的な考え方の素案をお示しし、ご議論いただいたところであります。
年内に、第三回の検討会を開催し、具体の利活用策の取りまとめに向け、さらに検討を進めてまいります。
金沢城公園につきましては、二の丸御殿の来年度の工事着手を目指し、引き続き、復元対象となる建物の設計や、障壁画の再現に向けた検討を進めてまいります。
また、城の魅力をより実感していただくため、二の丸御殿の埋蔵文化財調査により発掘された出土品の洗浄作業などを体験できるツアーを、夏休み期間の七月と八月に計六回開催したところ、定員を上回る応募がありました。
ツアーには、子どもから大人まで幅広い年齢層の方にご参加いただき、好評いただいたところであります。
さらに、国民文化祭の開催に合わせ、今月と来月に、三十間長屋において全国的にも珍しい鉛瓦の修理工事や、石垣の博物館とも言われる金沢城の石垣を守る取り組みなど、伝統技術の技を体験いただくツアーを、計九回開催することとしております。
金沢城の魅力を国内外に効果的に発信する情報発信計画の策定については、七月に有識者等からなる検討会を開催いたしました。
委員からは、史跡としての歴史的かつ文化的な価値を正確に伝えることの重要性や、入園者の属性等に応じた効果的な発信の必要性などのご意見を頂いたところであり、年度内の策定に向け、鋭意、検討を進めてまいります。
兼六園につきましては、桂坂、蓮池門、真弓坂の三料金所について、窓口の増設やキャッシュレス対応の充実などリニューアル工事を進めてきたところであり、今月三十日から順次、供用いたします。
西部緑地公園の再整備につきましては、四月に開催された第三回目の構想検討委員会でお示しした骨子案に基づき、民間活力の導入可能性調査を実施しているところであり、県議会でのご議論も踏まえ、引き続き、構想の取りまとめに向け、鋭意、検討を進めてまいります。
妙成寺の国宝化に向けては、先般、文化庁に対して文化財鑑査官と文化財調査官の現地派遣を要望し、前向きな回答が得られたところであります。
この派遣は、国宝化に向けての大きな一歩であり、県としては、引き続き、羽咋市と連携し、取り組んでまいります。
第四は、「石川の未来を切り拓く人づくり」についてであります。
本年度の全国学力・学習状況調査につきましては、本県は全教科において、小学校・中学校ともに、全国トップクラスの高い水準を維持したところであります。
引き続き、金沢大学や市町教育委員会、学校と連携・協力して、授業改善をさらに進め、児童生徒一人ひとりの個性や適性に応じたきめ細かな指導に努めるなど、学力の維持向上に取り組んでまいります。
夜間中学につきましては、令和七年四月に県立金沢中央高等学校内に開校することとし、これに向けた改修工事に着手することといたしました。
校名については、県教育委員会において、公募により頂いた約百二十件の応募の中から、教育関係者からなる校名検討会におけるご議論を踏まえ、「石川県立あすなろ中学校」に決定したところであり、引き続き、開校に向けた諸準備を進めてまいります。
いしかわ特別支援学校の知的障害教育部門高等部の新校舎の整備につきましては、来月三十日に、起工式を執り行うこととしており、令和七年四月の開校に向け、全国のモデルとなる本格的なインクルーシブ教育の実施に向けてハード・ソフト両面からの諸準備を進めてまいります。
育休から復帰した女性教職員等のための職場環境づくりにつきましては、母乳育児中の女性等が安心して搾乳や体のケアを行うことができるよう、モデル事業として、県立金沢錦丘中学校にマザーズルームを整備することといたしました。
第五は、「温もりのある社会づくり」についてであります。
里帰り出産をする妊婦への支援につきましては、七月に「いしかわ妊娠・出産サポートセンター」を立ち上げ、登録者の情報をもとに、助産師による個別訪問などの相談支援を開始したところであります。
里帰り出産は、全国どの地域でも支援を受けられることが重要であり、先の全国知事会議において、本県の取り組みを紹介するとともに、国において、妊産婦に対する切れ目のない支援を早急に実現するよう求めたところであります。
保育所等において朝や夕方などに保育士に代わり配置できる子育て支援員の養成につきましては、保育士の負担軽減に有効であることから、保育現場からの要望も踏まえ、新たに県で養成研修を開催することとしており、十一月からの開催に向け、鋭意、準備を進めているところであります。
ヤングケアラーにつきましては、四月から保護者等の相談支援を行うカウンセラーを配置するとともに、来月には、ヤングケアラー本人に対する心理的なサポートを行うため、ヤングケアラー経験者によるSNSを活用した相談支援を開始いたします。
また、学校現場においても、ヤングケアラーへの理解を深めるため、先月に管理職向けの研修を行ったところであります。
新型コロナウイルス感染症につきましては、夏以降、感染者数が増加傾向にあることから、県民の皆様方におかれましては、高齢者と会う際のマスクの着用や換気・手洗いなどの基本的な感染対策を徹底いただきますよう、改めてお願い申し上げます。
今後の感染症対策については、感染症法の改正に基づき、学識経験者、関係団体等からなる「感染症連携協議会」を設置し、先月、第一回の協議会を開催いたしました。
これまでの新型コロナウイルス感染症対策を検証し、感染症危機に備えた「感染症予防計画」を策定することとしており、新たな感染症の発生時に、円滑に保健・医療体制を確保できるよう、年度内の策定に向け検討を進めてまいります。
社会福祉会館の建て替えにつきましては、在り方検討委員会をこれまで二回開催し、新たな会館のコンセプトや機能について、ご議論いただいたところであります。
来月十六日に、第三回の検討委員会を開催し、最終的な意見を取りまとめることとしております。
県立こころの病院につきましては、老朽化、狭隘化が著しい管理診療棟の建て替えを順次進めてまいりましたが、各種依存症患者向けの外来棟を整備する第四期工事が来月末に完了し、十一月二十日から供用開始いたします。
これにより、令和元年度に着工した建て替え工事が全て完了することとなり、本県の精神科医療の中核病院として、認知症や発達障害をはじめとする様々な患者の診療に対応してまいります。
性の多様性に関する理解増進条例につきましては、議会の常任委員会やパブリックコメント等におけるご意見を踏まえ、今議会での提案を見送ることといたしました。
条例の必要性や意義について、議会や県民のご理解をいただけるよう、様々な方法で、普及啓発に取り組んでまいります。
第六は、「安全・安心かつ持続可能な地域づくり」についてであります。
珠洲市で震度六強を観測した令和五年奥能登地震の発生から、四カ月余りが経過いたしました。
これまで、国や市町など関係機関と連携し、道路や河川などの被災箇所の応急復旧に取り組み、国による災害査定も概ね完了したところであります。
引き続き、早期の本格復旧工事に全力で取り組んでまいります。
令和五年奥能登地震に対しては、日本赤十字社及び共同募金会に寄せられた分を含め、全国各地から二億八千万円を超える義援金が寄せられており、心から厚く御礼申し上げます。
第一次配分として一億三千万円余を、義援金配分委員会において決定した配分基準に基づき、八月上旬から市町を通じて被災された方々にお配りしているところであります。
義援金は今月二十九日まで受け付けることとしており、未配分の義援金については、年内にはお配りできるよう取り組んでまいります。
渇水対策につきましては、梅雨明け以降の降雨が少なく、生活用水や農業用水などの利水機能を有するダムの貯水量が減少しております。
犀川ダムにおいては、今後の天候による渇水が懸念されることから、先月二十四日、県をはじめ、水利権者である金沢市、土地改良区、発電事業者からなる「犀川水系渇水調整連絡会」を開催し、利用量の削減に向けた協力要請を行ったところであり、手取川ダムについても、管理する国や関係市町など関係機関との連携を密にして、今後の状況を注視してまいります。
消防学校を核とした総合的な防災拠点につきましては、整備指針となる基本構想の策定に向け、七月に有識者や防災関係者、地元関係者からなる策定委員会を立ち上げたところであり、年度内の構想の取りまとめに向け議論を重ねてまいります。
カーボンニュートラルの推進につきましては、五月にカーボンニュートラル推進本部を設置し、石川県環境総合計画に掲げる二〇五〇年の温室効果ガス排出実質ゼロに向け、部局横断で取り組みを進めているところであります。
本県は家庭部門で全国に比べて温室効果ガスの排出割合が高いことを踏まえ、省エネ・創エネ住宅のさらなる普及を図るため、「いしかわエコハウス」の機能強化に向けた工事に着手いたしました。
実質的なエネルギー使用量をゼロにする住宅(ZEH)に改築するとともに、エネルギー消費量を見える化するなど、展示内容の充実を図ってまいります。
トキの放鳥につきましては、早ければ令和八年度となる能登地域での放鳥の実現に向け、野生復帰の意義や今後必要となる取り組みについて農業関係者や県民の皆様の理解促進を図り、具体の取り組みにつなげるため、七月に能登地域トキ放鳥推進シンポジウムを開催したところであります。
また、減農薬栽培等に取り組む農業者をサポートする「トキめきボランティア」には、六月から七月までの間、延べ四十名以上の多くの方にご参加いただいたところであります。
餌場の確保には、こうした取り組みを継続的に行う必要があることから、先日、来月に実施するボランティアの募集を開始したところであります。
霊峰白山は、優美な山岳景観を有し、高山植物や広大なブナ林など貴重な自然が多く残されております。
昨年十一月には、国立公園指定六十年の節目を迎え、今年五月には、白山手取川ジオパークが、北陸三県で初めて、ユネスコの世界ジオパークに認定されたところであります。
これを契機に、ハード・ソフト両面から白山に親しむ環境づくりを進めるため、今月五日に、国や白山市などの関係機関や有識者からなる検討会を立ち上げたところであり、年度内の計画策定に向け、検討を進めてまいります。
第七は、「社会全体のデジタル化の推進」についてであります。
県庁のデジタル化につきましては、七月までに全職員がテレワークすることのできる環境を整備したほか、来月から固定席を定めないフリーアドレスを順次導入するなど、デジタル技術を活用した働き方改革を進めているところであります。
市町のデジタル化への支援につきましては、先月から、市町の職員向けに、生成AI等のデジタル技術の活用により業務の効率化を図るための研修を開始したところであります。
また、私が地方自治体では唯一の委員となっている国の「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」は、六月に第一回目の会合が開催されました。私からは、県内で実証を進める自動運転バスやドローン配送の社会実装に向けた取り組みなど県内市町におけるモデル事例のほか、県と奥能登二市二町が共同で取り組んでいる「奥能登版デジタルライフライン」について紹介し、国に必要な支援を求めたところであります。
戦略的な広報につきましては、生成AIを活用した広報キャラクター「AI石川県知事デジヒロシ」が、県政に関する情報を動画により紹介する取り組みを先月から試行的に開始いたしました。
また、私自らが県内各地に出向き、県民の皆様と直接対話をするタウンミーティング「はせ、参じます。」を、先月から開始したところであり、今後も幅広い層の県民の皆様と、双方向で意見交換を行ってまいります。
県職員の兼業につきましては、これまでも許可要件を定めておりましたが、地域の福祉活動やスポーツ指導など公益性の高い活動との兼業により、地域課題の解決に寄与するとともに、職員の資質を向上させ、行政サービスの質の向上につなげるため、許可要件を明確化することといたしました。
以上が今回の補正予算の大要でありまして、一般会計補正総額は百二十九億六千九百万円余、現計予算と合わせて六千二百十二億七千九百万円余となるものであり、財源としては、国庫支出金七十億八千万円余、繰越金六億四千八百万円余、県債四十八億一千百万円などを充てております。
次に、提案いたしました議案及び報告のうち、報告第八号から第四十九号は、いずれも地方自治法の規定により、石川県公立大学法人や県民ふれあい公社など四十二法人の経営状況をご報告するものであります。
北朝鮮は、再三にわたる国際社会の警告を無視し、弾道ミサイルの発射を繰り返しております。本県の漁船に被害はなかったものの、度重なる弾道ミサイル発射は、国民の生命・身体・財産、我が国の領土・領海の安全を脅かし、一連の国連安保理決議に違反する行為であり、国においては、国際社会と連携し、外交・経済等あらゆる手段を通じ、断固とした対応をとっていただきたいと考えております。
中国政府により、先月二十四日以降、日本産水産物の輸入が全面的に停止される事態となりました。本県から中国への水産物の輸出実績は少なく影響は限定的であるものの、水産事業者のみならず、食品加工業においても一部影響が生じていることから、全国知事会を通じ、国において一刻も早い輸入停止措置の解除等に向けた取り組みを行うよう、申し入れを行ったところであります。
志賀原子力発電所につきましては、三月に、原子力規制委員会の法律に基づく新規制基準への適合性に関する審査会合において、敷地内断層の活動性はないとする北陸電力(株)の評価が概ね妥当とされたところであり、現在は、敷地周辺断層の活動性等に関する審査が行われております。
規制委員会には、科学的な根拠に基づく厳正かつ迅速な審査が行えるよう体制の拡充・強化を図るとともに、審査結果はもちろん、審査の方法や手続きを含め、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかりと説明責任を果たすことを引き続き強く要望してまいります。
原子力発電所は安全確保が大前提であり、北陸電力(株)には、今後とも、より一層の安全対策に取り組むよう強く求めてまいりたいと考えております。
知事に就任して一年半近くが経過し、これまでいくつもの大きな災害に対応してきた中、県政の要諦は、県民の安全を守る「危機管理」であることを肝に銘じているところであります。
今後、「石川県成長戦略」を実行に移し、「幸福度日本一の石川県」の実現に向けて、積極果敢に取り組んでまいる所存です。
以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なにとぞ慎重ご審議のうえ、適切なるご決議あらんことをお願いいたします。
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