ホーム > 県政情報・統計 > 知事のページ > 県議会の議案説明要旨 > 議案説明要旨(令和7年第2回県議会定例会) - 令和7年6月10日 -
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本日、ここに、令和七年第二回県議会定例会が開かれるにあたり、最近の県政の状況と提案をいたしました一般会計補正予算及びその他の諸議案につきまして、その大要をご説明申し上げます。
愛子内親王殿下におかれましては、先月初めてご来県され、七尾市と志賀町において、生業再建の現状やボランティアの活動状況などをご視察いただくとともに、被災者の方々に慈愛に満ちた優しいお言葉をおかけいただきました。被災地に寄り添う殿下のお姿は、被災者の皆様方の心に深く刻まれたものと考えており、心より感謝申し上げます。
本県津幡町出身の大の里関が大相撲五月場所において、二場所連続、四度目の幕内最高優勝を果たし、本県出身力士としては輪島関以来五十二年ぶりとなる横綱に昇進されました。一昨年五月の初土俵から、わずか十三場所での横綱昇進は、史上最速となる快挙であり、まさに郷土の誇りであります。この栄誉を心からたたえるため、石川県県民栄誉賞を贈呈したいと考えており、今月十三日、選考委員会を開催することとしております。「唯一無二」の横綱として今後一層のご活躍を期待しております。
令和六年能登半島地震から一年五カ月余り、奥能登豪雨から八カ月余りが経過いたしました。被災地では、七千百六十八戸の応急仮設住宅が三月末までに全て完成し、四月には、避難所が全て解消されました。本年を「復興元年」と位置づけ、インフラの復旧や被災者の方々の生活と生業の再建を加速させるとともに、創造的復興に向け、全力を傾注しているところであります。
本年度の当初予算は、能登の復旧・復興と同時に、石川県成長戦略の実現に向けた取組を二本柱とする予算として編成し、現在、その執行に全庁を挙げて取り組んでおります。
今回、三月末に国から県に交付された「能登創造的復興支援交付金」を最大限に活用し、復旧・復興を加速させるとともに、現下の経済状況を踏まえた緊急対応に加え、成長戦略を進める事業も盛り込んだ補正予算を編成したところであり、以下、主な施策につきまして、その概要をご説明申し上げます。
まず、「能登創造的復興支援交付金」につきましては、幅広く活用できる自由度の高い交付金であり、その活用方針については、これまで、対象地域となる能登十二市町の首長と意見交換を行い、総額五百億円のうち半分の二百五十億円は市町に交付することとし、今年度分として、その三分の一にあたる八十五億円を予算計上いたしました。「交付金」と「復興基金」を車の両輪として被災地の復興に効果的に活用し、地方創生にもつなげてまいります。
能登の創造的復興には、一日も早い生活再建が最優先の課題であり、急激な人口流出が懸念される中、「恒久的な住まい」の確保に向けて、本年は正念場になると考えております。
昨年十二月から本年三月にかけて実施した住まいの再建意向調査では、仮設住宅等に入居している世帯のうち、約七割の世帯が被災前の居住市町での再建を希望し、また、約五割の世帯が新築や修繕などによる自宅の再建を希望しています。
能登地域では建築費が高騰する中、被災地での自宅再建をさらに後押しするため、市町に対する新たな支援策を講じることといたしました。
具体的には、一戸あたり「新築・購入」は二百万円、「修繕」は百万円を上限に、能登十二市町が実施する助成額の三分の二を支援することとし、これにより、被災者生活再建支援金など、現在の支援額と合わせ、新築・購入にあっては約一千万円、修繕にあっては約七百五十五万円の支援額となるものであります。
災害公営住宅につきましては、本県では「復興公営住宅」と呼称することとし、去る三月には、「石川県復興公営住宅整備指針」を策定したほか、復興公営住宅の安定供給やメンテナンス体制の構築に向け、県内の建築関係団体等からなる「石川県復興公営住宅建設推進協議会」が、県からの働きかけを受け、設立されました。
現在、九市町で約三千戸の復興公営住宅の整備が必要とされる中、順次、用地測量や設計などが進められており、引き続き、整備主体である市町を支援してまいります。
また、住み慣れた地域において、民間賃貸住宅への入居を希望される方もおられます。特に奥能登二市二町においては、従来から民間賃貸住宅が少ないことに加えて、発災以降の新築着工が進んでおらず、空室が非常に少ないことから、市町が実施する民間賃貸住宅の建設費に対する助成に対して一定額を支援することといたしました。
仮設住宅等におけるサポート拠点につきましては、高齢者や障害者等が安心して暮らすことができるよう、食事や入浴等のデイサービスや相談支援などを提供する拠点の整備を行う事業者に対し、市町と連携して支援しており、既に輪島市や珠洲市、能登町の五カ所においてサービスが開始され、残る一カ所の整備を珠洲市で進めているところであります。
被災地の子どもの居場所づくりにつきましては、新たに、市町や被災地で活動する支援団体との連携強化に向けたネットワーク会議を開催することとし、市町や団体の取組を後押ししてまいります。
液状化による被害を受けた宅地・住宅の復旧につきましては、土地の側方流動に伴い、復旧の前提となる土地の境界の確定手法が大きな課題であり、国に要望してきたところであります。これを受けて、国においては、先月二十九日、国、県、被災市町、土地境界確定の専門家からなるプロジェクトチームによる検討が開始されたところであります。
これと並行して、かほく市と内灘町では、地籍調査事業を活用した測量・調査が開始されることから、県として、市町の取組を支援してまいります。
公費解体につきましては、先月末時点で、申請棟数の約七割にあたる、二万八千棟余の解体が完了し、計画どおりに進捗しております。引き続き、本年十月末までの解体工事完了、来年三月末までの廃棄物処理完了を目指し、国や市町、関係団体と連携し、取り組んでまいります。
営農の再開促進につきましては、「奥能登営農復旧・復興センター」を中心に、農地や水路等の復旧を精力的に進めており、地震前の令和五年度の水稲作付面積約二千八百ヘクタールに対し、本年度の営農再開面積は、奥能登豪雨の影響があったものの、昨年とほぼ同等の約二千ヘクタールとなる見込みであります。
営農が再開できない農地については、センターに技術者を追加で配置するなど、復旧見通しを年内にはお示しし、復旧工事に取り組んでまいります。
奥能登の農地の約六割を担っている小規模農家については、営農基盤の維持に欠かせない集落単位での営農活動を後押しするため、センターが伴走し、集落ごとの実情に対応し、水路管理や共同利用ハウスの設置などの取組を支援してまいります。
残る約四割を担う大規模農家については、経営面の支援に向け、専門家派遣制度を拡充するほか、スマート農業技術の導入等による生産性向上の取組を支援してまいります。
漁業に利用されている港につきましては、操業が可能となった港から順次、本復旧を進めております。
輪島港については、昨日、国、県、輪島市が連携して復旧・復興プランを取りまとめ、今後は、プランに基づき復旧工事を進めることとしております。まずは、共同利用施設の移転・集約に必要な埋立地の造成を進めてまいります。
また、地盤隆起により大きな被害を受けた鹿磯漁港において、三月に仮設物揚場の整備が完了するとともに、狼煙漁港においても先月に浚渫などの応急復旧が完了し、両漁港とも水揚げが再開されております。
被災地の生業の再建につきましては、なりわい再建支援補助金の申請が本格化し、申請件数が昨年同時期の約一・七倍となっております。また、新たな業種や事業、市場にチャレンジする事業者や新たに起業する方への支援制度は、四月から順次受付を開始し、引き続き、「能登事業者支援センター」や地元商工会議所、商工会等とともに、伴走支援を行ってまいります。
輪島塗の復興につきましては、若手人材の養成施設の基本構想の策定に向け、四月に第一回目の検討委員会を開催いたしました。各委員の知見や経験に基づき、幅広い視点からご意見をいただいたところであり、夏頃までの基本構想の策定に向けて、鋭意議論を重ねてまいります。
輪島漆芸技術研修所につきましては、昨年度頂いた多額の寄附金を活用し、新たに整備する寄宿舎の設計を進めるとともに、今年度創設した成績優秀者等を対象とする給付型の奨学金を、今月から七名に対して給付することとしております。
和倉温泉の復興につきましては、温泉旅館の再建と並行して海側から護岸復旧を進めることとし、三月には、海側からの施工に必要な仮設道路の整備に着手いたしました。また、国の補助金を活用し、エネルギーコストの軽減のため、温泉熱の利活用に向けた可能性調査を実施いたします。
能登の観光振興につきましては、宿泊施設の本格的な受入再開まで数年を要するため、「今行ける能登」を発信し、誘客を進めております。今後、SNS等を活用した情報発信の充実を図るほか、観光施設などを分かりやすく表示するデジタルマップに施設の予約・決済まで行える機能を追加し、観光客の利便性向上を図るとともに、これらのデータの収集・分析による効果的な情報発信などにより、さらなる誘客につなげてまいります。
また、修学旅行の誘致については、市町と協力し、三月に震災学習プログラムを取りまとめ、三大都市圏の学校や旅行会社に対して提案するとともに、語り部の育成など受入体制の整備を進め、復興後を見据えた能登への誘致に取り組んでまいります。
のとじま水族館につきましては、三月二十二日に営業を完全再開し、ゴールデンウイーク期間中の入館者は、約二万七千人と地震前の約七割まで回復いたしました。現在、能登への誘客の本格再開を見据え、魅力向上に向けた計画策定を進めているところです。
昨年三月に移転オープンした首都圏アンテナショップ「八重洲いしかわテラス」につきましては、応援消費の効果もあり好調に推移し、年間の来店者数が旧店舗と比較して約一・四倍の約四十五万人、売上高は約一・五倍の約四億六千万円となりました。今後もJRグループと連携して、駅構内等での「能登復興応援フェア」の開催などを通じて、本県の魅力発信と応援消費の持続・拡大に努めてまいります。
(一社)能登官民連携復興センターにつきましては、ロックユニット「COMPLEX」 などから頂いた多額の寄附金を活用し、能登の未来を創る先導的な取組に対して、三年間で最大一億円を支援していくこととしております。二月に開始した事業計画の公募には、二百五十三件もの応募があり、六件が基本事業計画の審査を通過し、今後、採択を決定していくほか、夏頃には、二次公募を予定しております。
地震被害想定調査につきましては、国の長期評価や専門家の意見を踏まえ、本県に大きな影響を及ぼすと考えられる九つの断層帯を対象として、先月、調査結果を取りまとめ、二十七年ぶりに見直しを行いました。
能登半島地震の経験から、正月など通常より人が多くなる季節や時間帯での想定や宅地の液状化なども加えて、断層帯ごとの被害予測の算定を行い、併せて、被害を軽減する自助の対策として、建物の耐震化、家具の転倒防止、感震ブレーカーの設置に係る具体的な効果についても、お示ししたところであります。
これを受け、住宅耐震化の支援制度の助成対象に補強計画の作成経費を加え、助成額を全国トップの支援水準となる最大二百十万円に拡充するとともに、新たに、地震火災の防止に有効な感震ブレーカーの設置についても支援することといたしました。
初動対応の検証につきましては、先月末に第四回目の検証委員会を開催いたしました。各委員をはじめ、県議会や市町、県民の皆様からいただいたご意見も踏まえ、夏頃を目途に検証結果を取りまとめたいと考えており、被害想定の見直しと合わせて、地域防災計画に反映させるなど、災害対応力の強化につなげてまいります。
消防防災ヘリにつきましては、四月から新たな機体での運航を開始し、一回の飛行での長時間の活動や、より高い山岳地での救助活動を可能とするなど、機能強化を図りました。今後とも、安全運航に留意し、災害時の救助活動などに対応してまいります。
看護師の災害対応力の強化につきましては、県立看護大学に全国初となる災害実践看護学の寄附講座を開設し、先月、キックオフイベントを開催いたしました。防災に関する幅広い知識を有し、避難所等で活躍する看護師の育成に取り組んでまいります。
出水期への備えにつきましては、能登地域の河川において、先月末までに、豪雨により被災した三十八河川の応急復旧や流木、堆積土砂の除去を完了いたしました。本格復旧についても、順次、工事に着手しており、国と連携して早期復旧に取り組んでまいります。また、能登地域以外の県管理の三十河川においても、先月末までに堆積土砂の除去を完了しております。
洪水浸水想定区域につきましては、能登半島地震による地盤の隆起など地形変動を踏まえた見直し作業を進めており、先月、顕著な変動が生じた外浦の十六河川について、見直し結果を公表し、対象となる地区の全戸に新たな区域図を配布いたしました。引き続き、残る河川や土砂災害警戒区域の見直しについても作業を進め、来年の出水期までの完了を目指してまいります。
関係人口の創出・拡大につきましては、先月、県、市町、民間団体等からなる「関係人口官民連携協議会」を立ち上げ、関係人口の登録システムの年内運用開始に向け、国からの財政支援を受け、具体の準備を進めております。
いしかわサテライトキャンパスにつきましては、学生による地域課題の解決や各種ボランティア活動を併せた地域との交流を促進するプログラムを設けており、今年度は受入学生数を七百名に倍増することを目標に掲げ、現時点で、既に県内外の二十五大学、約四百五十名の学生の参加が見込まれております。順次、フィールドワークの実施など受入作業を進めており、引き続き、県内外への積極的なPRを展開してまいります。
能登の財産、地域の絆となっている祭りにつきましては、「祭りお助け隊」として、キリコの担ぎ手や運営ボランティアを県内外から募集しており、現時点で三百名を超える個人と、十三の団体から登録をいただいております。各地で祭りが本格化する来月に向けて、新たにマッチング専用のホームページを開設したところであり、一つでも多くの祭りが再開できるよう取り組んでまいります。
能登駅伝につきましては、数年後の開催に向け、今年度は基本計画の検討を進めることとしており、先月、陸上競技関係者や関係市町からなるワーキンググループを開催し、コースの設定において考慮すべき点や開催の季節などについて幅広くご意見をいただいたところであります。記録より記憶に残る大会を目指し、引き続き検討を進めてまいります。
トキの放鳥につきましては、来年度上半期中の放鳥が決定し、先月二十四日には、気運醸成を図るため、放鳥決定記念イベントを開催いたしました。現在、国や能登の四市五町、関係団体と連携し、来月の放鳥場所決定に向けて検討を進めているほか、トキを活用したブランド化に向けたロゴマーク等の検討も進めているところであります。
ジオパークなど震災遺構の地域資源化につきましては、白山手取川ジオパークの取組事例も参考としながら、能登地域の六市町において地域資源の概要を把握するための文献及び実地調査に今月中にも着手いたします。
「のとSDGsトレイル(仮称)」につきましては、能登の豊かな自然や風土に触れながら歩くことができる自然歩道の整備に向けて、四月から先行事例の調査に着手したところであり、国と連携し、ルートや運営方法などの課題の整理を進めてまいります。
ふるさと教育につきましては、創造的復興をテーマとした活動を全ての県立高等学校で行うこととしております。来月から、奥能登の五校においては、高校と地域をつなぐ復興探究コーディネーター二名が巡回し、民間のノウハウも活用して復興に向けた探究活動の充実を図るとともに、その他の高等学校についても、震災遺構の見学をはじめ、能登でのフィールドワークなどを開始してまいります。
創造的復興に向けた私と子どもたちとの意見交換につきましては、地域の未来を考えるきっかけとなる意義深いものと考えております。二月の飯田高等学校に引き続き、来月以降順次、奥能登の小中学校や高等学校で実施し、今後の復興に向けた取組に反映してまいります。
半島沿岸部の道路である「能登半島絶景海道」の整備につきましては、現在、ルートや眺望ポイント等の検討を進めており、併せて、ブランド化に向けたロゴマークの作成や道の駅を活用した情報発信の強化、サイクルツーリズムの推進に取り組んでまいります。
能登地域の道の駅につきましては、防災機能の強化を図るため、太陽光発電、蓄電池、急速充電器を一体的に導入し、非常時の電力供給を確保するとともに、再生可能エネルギーを活用して能登を電気自動車で周遊できる環境を、民間活力と国の交付金を活用し、整備してまいります。まずは、先月「防災道の駅」に選定された「織姫の里なかのと」から整備に着手することとしております。
現在通行止めとなっている「ツインブリッジのと」につきましては、七尾市から県が受託し、実施している復旧工事が順調に進んでおり、今月十六日より、車両の重量規制を行ったうえで、片側交互通行による暫定供用を開始いたします。
能登地域の公共交通につきましては、県、能登の四市五町、国、交通事業者、利用者等で構成する法定協議会において、三月に、能登と金沢を結ぶ広域基幹交通に係る第一次計画を取りまとめました。
今年度は、市町間を結ぶ地域幹線交通に係る第二次計画の策定に取り組むこととしており、今般、県と奥能登二市二町によるAIオンデマンド交通の広域的な導入の取組が、国の先導的プロジェクトとして採択されました。国や市町などとも連携し、共通システムの構築や広域運営体制の検討を進めてまいります。
さて、今回提案をいたしました補正予算においては、これまで申し述べた地震・豪雨からの復旧・復興に係る施策に加えて、当初予算編成後における情勢の変化や事業進捗などを踏まえ、現時点で新たな対応が必要になったものについて編成いたしました。
以下、主な施策につきまして、当初予算編成後の取組の進捗状況も併せ、その概要をご説明申し上げます。
まず、「現下の経済状況への対応」についてであります。
米国の追加関税につきましては、本県経済に大きな影響が懸念されることから、四月の追加関税発表後、速やかに相談窓口を設置するとともに、業界団体、金融団体、支援団体、国及び県の五者による「石川県米国関税対策会議」をこれまで二回開催し、関税による影響等に関する情報共有を図ったところです。さらに先月来県された石破総理をはじめ、政府・与党関係者に対し、私から直接、影響を受ける事業者への支援を要請したところであります。
現時点で県内事業者への影響はわずかではあるものの、業界団体等からは、米国関税に関する正確な情報提供や、不透明な先行きを懸念して支援を求める声があることから、県として、先手の対策を講じ、県内企業のセーフティネット対策に万全を期してまいります。
具体的には、最新の関税措置の内容や支援策を紹介するセミナーや個別相談会を開催するほか、経営環境の急変に備え、伴走支援のための専門家の派遣制度を拡充いたします。また、経営安定支援融資に米国関税枠を設け、貸付要件を緩和するとともに、融資期間の延長や金利の引き下げなど、全国トップレベルの手厚い支援を講じてまいります。
酒造業につきましては、昨年から続く米の価格高騰に伴い、酒米も急激に価格が上昇しており、製品への価格転嫁が追い付かず、経営に多大な影響が生じております。そのため、酒米の価格上昇に伴う負担軽減を図るとともに、石川の地酒の消費拡大プロモーションや県産酒米の生産拡大の取組を支援してまいります。
電気料金をはじめとする物価高騰につきましては、国の予備費による追加物価高騰対策に呼応し、厳しい状況にある生活者、事業者に対する緊急対策を、昨年度の三月補正予算に引き続き、講じることといたしました。
具体的には、国の支援の対象外となる、LPガス料金の負担軽減、特別高圧契約等の事業者の電気料金の負担軽減、学校給食費の保護者負担の軽減、医療機関、社会福祉施設等の負担軽減について、国の対策期間にあわせ七月から九月の三カ月分を支援し、前回同様に家計や事業者の負担軽減を図ることといたしました。
次に、「石川県成長戦略の更なる推進」についてであります。
北陸新幹線の県内全線開業から一年が経過いたしました。昨年三月からの年間利用者数は、過去最多の九百九十万一千人となり、昨年の加賀地域の観光入込客数の増加率が県内で最も高くなるなど、開業効果が現れております。今後は、この効果を持続・発展させるとともに、能登の復興にもつなげてまいります。
IRいしかわ鉄道につきましては、金沢以西開業以降の利用者数は、経営計画の予測を上回って好調に推移し、令和六年度の決算は、二年ぶりに黒字となりました。今月中には、会社設立以来の利用者数が一億人を達成する見込みであり、さらなる利用促進に向け、関係者一丸となって取り組んでまいります。
北陸新幹線の敦賀・大阪間につきましては、先月十二日に開催された北陸新幹線建設促進大会において、決議文に「京都府等が示した課題について解決することは不可欠であり、その上で一日も早い全線整備に向けて取り組むこと」との文言が盛り込まれるとともに、昨年七月の北陸新幹線建設促進石川県民会議の決議文を基に、本県の考えを述べたところであります。
政府・関係国会議員においては、これ以上、認可着工が先送りとならないよう、京都府等が示した課題の解決に年内にも目途をつけていただきたいと考えております。
北陸新幹線の整備効果を最大限発揮するためには、何よりも、一日も早い大阪までの乗換なしでの全線整備の実現が必要不可欠であり、今後とも関西圏を含めた沿線地域との連携を密にし、県議会及び関係各位のご支援をいただきながら取り組んでまいります。
四月に開幕した大阪・関西万博につきましては、八月二十七日から三十一日までの五日間において、本県の魅力である「祭り」や「食文化」をテーマとした催しを開催し、国内外からの来場者に本県の魅力を私からトップセールスするとともに、これまでの地震や豪雨に対する多くの皆様のご支援に対し、感謝の気持ちをお伝えしたいと考えております。
加賀料理につきましては、本年秋頃の国無形文化財への登録を目指し、来月末には、登録に必要な保持団体として「加賀料理技術保存会(仮称)」が設立予定であり、次代を担う若手料理人の確保・育成のための特別講座の開催や魅力発信に向けた動画作成など、保持団体による加賀料理の保存・活用の活動を支援してまいります。
ガルガンチュア音楽祭につきましては、二年目となる本年は「世界をつなぐハーモニー」をテーマに、世界各地の様々な音楽を楽しめるプログラムを展開したほか、能登出身者による公演など復興支援の取組も実施し、過去最高となった昨年と並ぶ約十二万三千人の方にご来場いただきました。来年度は、「あなたが選ぶ十大作曲家」をテーマに、より一層多くの皆様に親しんでいただける音楽祭となるよう準備を進めてまいります。
また、本県で三度目の開催となる「日本スポーツマスターズ二〇二六石川大会」につきましては、先月、大会実行委員会を立ち上げたところであります。県民のスポーツや健康に対する関心をさらに高めるとともに、能登の復興を全国に発信する大会となるよう、来年九月の開催に向けて、準備に万全を期してまいります。
海外誘客につきましては、昨年の本県における外国人宿泊者数が初めて百万人泊を超え、過去最高となるなど、円安を背景に外国人旅行者が順調に増加しており、誘客効果を県内全域に波及させ、能登の復興にもつなげてまいります。
オーバーツーリズムの予防的対策については、先般、観光団体などと意見交換会を開催したところであり、今後、金沢市と連携し、観光客の分散化に向けた人流データを活用した観光地の混雑状況の可視化やSNS広告によるマナー啓発などに取り組んでまいります。
小松空港につきましては、四月から運航を再開した香港便の安定的な需要の確保を図るため、航空会社と連携して、SNSを活用したPRを実施するなど、インバウンド・アウトバウンド双方での利用促進に取り組んでまいります。
また、三月に取りまとめた小松空港中期ビジョンに基づき、ターミナルビル改築等に関する基本構想の策定に向けて、施設規模や機能などの具体的な内容や、民間活力を導入した空港の運営手法について検討を進めてまいります。
国が来年度中の創設を目指す防災庁につきましては、先月、赤澤防災庁設置準備担当大臣と小野寺自民党政調会長に対し、小松空港周辺への分局設置に向け要望を行ったところであります。小松空港周辺は、首都圏有事の際にバックアップ機能を果たせることに加え、自衛隊との連携による支援体制が構築できるなど強みを有しており、今後とも、こうした優位性を国に対して積極的にアピールし、誘致に向けて強く働きかけてまいります。
上海便が昨年で就航二十周年を迎え、今年で中国江蘇省との友好交流に関する合意書を締結して三十周年を迎えます。八月には、県議会の皆様とともに中国東方航空を訪問し、これまでの運航に対する御礼と今後の利用促進に向けた協力を要請するとともに、江蘇省を訪問し、省政府関係者とさらなる交流促進について意見交換を行ってまいります。
のと里山空港につきましては、先般、全日空との間で、開港二十二年目について、地震や豪雨の影響を踏まえ、昨年に続き、搭乗率保証制度を適用しないとの合意に達しました。
また、四月には、全日空により、のと里山空港と関西国際空港とを結ぶ「能登・関西相互チャーター便」が初めて運航され、七尾特別支援学校の生徒等七十五名が大阪・関西万博に招待されました。また、この便を活用した関西からの災害ボランティアツアーには、関西圏を中心に全国から定員一杯となる三十名の方が参加し、大変好評をいただきました。
今後は羽田便においても、旅行会社に対し、支援活動と能登観光を組み合わせた復興支援ツアーの造成を働きかけ、羽田便の利用促進や関係人口の拡大にもつなげてまいります。
のと里山空港では、今年度、脱炭素化推進計画を策定し、二〇五〇年のカーボンニュートラル空港の実現を目指すこととしており、太陽光発電や蓄電池の整備、空港施設への省エネ設備の導入、空港車両の電動化などの調査を実施いたします。
金沢港につきましては、今般の地震で液状化被害を受けた戸水ふ頭については、三月までにふ頭用地の地盤改良を終え、現在、国直轄で岸壁の本格復旧が進められており、来年春頃の供用開始を目指してまいります。
クルーズにつきましては、これまでの長年にわたるクルーズ船各社とのネットワークを活かした積極的な誘致活動により、本年の金沢港への寄港数は、初寄港の十本を含む五十五本が予定されており、過去最多に並ぶ見込みであります。受入れに万全を期すとともに、今後とも、誘致活動に積極的に取り組んでまいります。
広域道路ネットワークの整備につきましては、小松市と白山市を結び、加賀地域の交流拡大や、災害時の緊急輸送道路として重要な道路である国道三六〇号について、先月には、山間部の交通の難所である小松市中ノ峠町から白山市三坂町間の整備に向けた期成同盟会が設立されたことも踏まえ、この度、ルート検討に向けた調査に着手することといたしました。また、先般、本道路の整備に多額の寄附金を頂いたところであり、感謝を申し上げるとともに、県有施設整備基金に積み立てることといたしました。
このほか、長年の懸案であった国道四一五号の石川・富山県境部の羽咋市菅池町から氷見市論田間について、国による権限代行として、今年度より事業着手されたところです。
白山白川郷ホワイトロードにつきましては、過去二度にわたり発生した斜面崩落の復旧工事が完了し、先月七シーズンぶりに無料区間が完全二車線で開通いたしました。石川県側の有料区間については、今月二十七日に開通見込みであり、積極的に利用促進を図ってまいります。
金沢城二の丸御殿につきましては、三月に起工式を執り行い、今年度末の御殿本体の躯体工事着手を目指し、まずは、素屋根の建設を進めております。
また、被災した石垣の復旧過程を紹介するため、いもり堀園地に見学ルートや解説板を整備し、夏休み前に公開するほか、被災した国の重要文化財に指定されている鶴丸倉庫において、伝統的な左官工事による修復工程の見学イベントを来月に開催いたします。
地震被害により休館し、復旧工事を進めていた石川四高記念文化交流館につきましては、想定を上回る損傷があることが判明したことから、詳細調査を行うこととし、今後、調査結果を踏まえ、復旧方針を検討してまいります。
産業のDXにつきましては、昨年度設置した工業試験場の「デジタル活用ものづくり支援センター」内にロボット導入のワンストップ支援体制を構築いたしました。今月六日に開催したキックオフセミナーを皮切りに、普及啓発から、現地指導、ロボット操作の人材育成等を一気通貫で支援し、県内企業のロボット導入を後押ししてまいります。
産業人材の確保につきましては、人手不足が恒常化する中、県内企業の新卒採用が文理を問わず、困難な状況を踏まえ、奨学金返還助成制度の対象を従来の理系学生から文系学生にも拡大し、三月から学生・企業向けの募集を開始いたしました。
外国人材の確保については、首都圏で開催される留学生を対象とした就職フェアに本県として初めて出展するほか、先月、石川県自動車販売店協会及びベトナムのハイフォン社との間で締結した連携協定に基づき、ベトナムからの自動車整備人材の受入れを進めており、これを業界団体と行政との連携のモデルケースとして、他の業界にも横展開を図りたいと考えております。
金沢産業技術専門校の整備につきましては、三月に基本構想を策定し、先月から基本設計に着手したところであり、現在地での建替えに向けて鋭意取り組んでまいります。
新たな「いしかわの食と農業・農村ビジョン」の策定につきましては、農業者の減少・高齢化や耕作放棄地の増加、気候変動への対応に加え、地震・豪雨からの能登の農業の復旧・復興など、本県の農業を取り巻く情勢は大きく変化しており、先般、開催した第一回検討委員会では、幅広い視点からのご意見をいただきました。今後、ワーキンググループで議論を重ね、来年五月の取りまとめに向け、検討を進めてまいります。
本県教育の総合的な指針である教育振興基本計画につきましては、国の第四期計画への対応やGIGAスクール構想の推進、教職員の多忙化改善に加え、復旧・復興など、諸課題に対応する計画とするため、今年度中に新たな計画を策定することとしており、来月にも学識経験者等からなる検討会議を立ち上げることとしております。
四十七年ぶりに本県で開催される全国高等学校総合文化祭につきましては、先月、令和九年七月三十一日から八月五日の六日間にわたり開催されることが決定したことを受け、今月四日、実行委員会を設立したところであります。
大会には、全国から約二万人の高校生が集い、全二十二部門の舞台や展示の発表に加え、震災遺構の見学や能登の高校生等との交流を行う震災学習プログラムを計画しており、本県の高校生の文化芸術活動の発展のみならず、地震・豪雨からの復興を全国に発信する機会となるよう、開催準備に万全を期してまいります。
県立あすなろ中学校につきましては、関係各位のご尽力により、四月に十代から七十代までの幅広い年代の二十二人が入学し、開校いたしました。北陸初の県立夜間中学として、生徒一人ひとりの状況に応じた学びの支援をしっかりと行ってまいります。
いしかわ特別支援学校の知的障害教育部門高等部につきましては、新校舎が四月に開校し、金沢向陽高等学校の生徒と、体育や音楽などの授業を合同で実施しているほか、先月には特別支援学校の生徒が運営し、地域住民や両校生徒が利用できるカフェを開設するなど、全国のモデルとなる本格的なインクルーシブ教育に取り組んでまいります。
男女共同参画社会の実現につきましては、今年度改定予定の国の基本計画にあわせて、本県の男女共同参画プランを改定することとしており、来月にも審議会を開催し、委員のご意見なども踏まえ、改定作業を進めてまいります。
プレミアム・パスポート事業につきましては、今年度から対象を、第一子世帯を含めた全ての子育て家庭に拡大することとしており、十一月中旬からのサービス開始に向け、準備を進めてまいります。
社会福祉会館の建替えにつきましては、先般、公募型プロポーザル方式により建物の基本設計者を決定したところであり、今後、設計作業を進めることとしております。移転先である金沢西高等学校第二グラウンドについては、校舎西側に隣接する県有地への移転に向け工事を進めてまいります。
能登北部保健福祉センターの建替えにつきましては、先般、基本設計に着手したところであり、大規模災害や感染症に的確に対応できる機能を備えた保健福祉の拠点とすべく、のと里山空港隣接地への移転に向けて、着実に整備を進めてまいります。
奥能登における医療提供体制の確保につきましては、二月に第二回目の公立四病院機能強化検討会を開催し、のと里山空港周辺に新たな基幹病院を建設するとともに、そのサテライト医療機関として既存の奥能登二市二町の四病院を位置づけ、新病院とサテライトが一体的に地域医療を支えるとの方向性について、奥能登二市二町と合意いたしました。八月には第三回目の検討会を開催する予定であり、新病院とサテライトの役割分担、医療機能などの検討を進め、遅くとも今年度中には、奥能登地域の医療機能強化の方向性を取りまとめてまいります。
デジタル化の推進につきましては、石川県デジタル化推進計画の計画期間が今年度で終了するため、行政に限らず、産業等も含めた、あらゆる分野での「デジタル改革」の実現に向け、これまでの取組の成果や課題の検証を行い、改定作業を進めてまいります。
カーボンニュートラルの推進につきましては、国の計画改定を踏まえ、今年度、県環境総合計画と県再生可能エネルギー推進計画を統合して一体的に改定することとしております。来月にも環境審議会を開催するとともに、新たに「再生可能エネルギー推進部会」を設置し、改定作業を進めてまいります。
県職員の採用につきましては、即戦力の人材として、国や都道府県などの公務員経験者を対象としたカムバック採用の募集を開始したほか、地震・豪雨からの復旧・復興の推進にあたって、特に不足している技術職の採用を強化するため、任期付職員の募集を随時行うこととするなど、有為な人材の確保に努めてまいります。
また、県獣医師職員の確保については、全国的に公務員獣医師の確保が困難となっていることから、一定期間以上勤務いただくことを条件に、奨学金の返還を助成する制度を新たに設けるほか、中長期的な確保対策として、修学資金貸与制度の募集枠を拡大することといたしました。
県政情報の発信につきましては、新たに、私自身が講師を務める「はせ、参じます。」の第一回目を先月三十一日に実施いたしました。現在、学校や公民館等から既に二十件以上の申し込みがあり、県の取組を県民の皆様に直接説明し、ご意見をいただく場として、できる限り多くの機会を設けたいと考えております。
以上が、今回の一般会計補正予算の大要でありまして、総額で百六十二億二千九百万円余となっており、このうち、地震及び豪雨に係る予算は百四十一億一千万円余となっております。財源については、国庫支出金十五億三千万円余などを充てるほか、能登復興応援基金を九十八億七千八百万円余、復興基金を三十五億五千二百万円余取り崩すこととしており、補正後累計は八千五百四十二億四千八百万円余となるものであります。
金沢競馬につきましては、令和六年度の決算は十三年連続の黒字となりました。黒字分については、きゅう舎の建替えを着実に進めていくため、九億五千万円を公営競馬特別会計の施設整備基金に積み立てたほか、一千万円を一般会計に繰り入れいたしました。
また、先般、地方競馬最大の祭典であるJBC競走の来年の金沢競馬場での開催が決定し、金沢競馬と本県の魅力に加え、地震・豪雨からの創造的復興に取り組む本県の姿を全国に発信できるよう、開催準備を進めてまいります。
志賀原子力発電所につきましては、現在、原子力規制委員会の法律に基づく新規制基準への適合性に関する審査会合において、敷地周辺断層の活動性等に関する審査が行われております。規制委員会には、地震による影響を検証するとともに、科学的な根拠に基づき厳格な審査を行い、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかりと説明責任を果たすことを、引き続き、強く要望してまいります。
原子力発電所は安全確保が大前提であり、北陸電力(株)には、今後とも、より一層の安全対策に取り組むよう強く求めてまいりたいと考えております。
北朝鮮は、再三にわたる国際社会の警告を無視し、弾道ミサイルの発射を繰り返しております。本県の漁船に被害はなかったものの、度重なる弾道ミサイル発射は、国民の生命・身体・財産、我が国の領土・領海の安全を脅かし、一連の国連安保理決議に違反する行為であり、国においては、国際社会と連携し、外交・経済等あらゆる手段を通じ、断固とした対応をとっていただきたいと考えております。
令和六年度の決算につきましては、好調な企業業績を背景とした過去最高の税収や地震・豪雨に対する国の手厚い財政措置がなされたことなどから、財政調整基金八十億円全額の取崩しを取り止め、基金残高を地震前の水準に復元いたしました。また、成長戦略の実現に向け、今後、大規模プロジェクトを進めていく備えとして、県有施設整備基金へ三十億円を積み立てるとともに、財政健全化に向けて、県債三十億円の発行を取り止めることといたしました。
一方、地震・豪雨への対応に伴い県債残高は急増して一兆二千億円を超え、公債費が増加することに加えて、人件費、社会保障関係経費など義務的経費の増加も見込まれ、今後、厳しい財政状況が続くこととなります。引き続き、国に財政措置の拡充等を要望するとともに、事業の選択と集中を図りながら、持続可能な行財政運営に堅実に取り組んでまいります。
今年に入り、長年にわたり県議会議員を務めてこられた中村勲議員、稲村建男議員が、相次いで現職でご逝去されました。お二人のこれまでの県政発展への多大なご功績に深く敬意を表し、改めて感謝を申し上げるとともに、心から哀悼の意を表する次第であります。
創造的復興の歩みを進めるとともに成長戦略の実現は、私に課せられた責務であることを胸に刻み、データを踏まえ、また、県議会のご意見や県民の声に真摯に耳を傾けると同時に、国や市町と緊密に連携し、県政の舵取り役として、全身全霊で取り組んでいく決意であります。
以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なにとぞ慎重ご審議のうえ、適切なるご決議あらんことをお願いいたします。