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石川農林総合事務所では、白山・石川地域の農業振興の取組について外部の方々のご意見や評価を頂き、それらを反映しながら施策を進めています。今回は10カ年計画で白山・石川の農業の展開を目指す「石川地域ビジョン」実現のための石川地域ビジョン推進会議と、普及指導の取組についてご意見を頂く農業普及事業中間評価会、そして普及事業に協力を頂いている農業改良推進協議会の3会議合同で、10月19日(月曜日)に、現地検討会を行いました。
視察先は、1 白山市河合町の新規就農者によるブロッコリーの栽培ほ場、2 同市安吉町の集落営農の複合経営事例、3 JA松任のカントリーエレベータに併設された大豆大規模乾燥調製施設、4 同市末正町の農業用水路の改修工事で、事業の経緯・現況や実施上の課題について関係者からの説明を受けました。
視察の後、白山市民交流センターで意見交換会を行い、新規就農者の確保やフォローアップ体制、安定的収入確保のための事業展開などについて意見や質疑が交わされました。
年度末には、それぞれの年度末評価会を予定しており、今回の現地検討会の内容も踏まえて検討が行われます。
ブロッコリー栽培ほ場の視察状況
ねぎの選別・出荷準備状況
用水路(水門)の改修状況
意見交換会の模様
石川農林総合事務所では、里山地域の活性化を図る取組の一つとして、毎年「里山地域の協働活動促進セミナーin白山」を開催しています。
このセミナーは、里山づくりや環境保全活動の推進には、地域住民はもとより企業や大学、NPO団体等との協働が必要となることから、互いの理解と関心を深めるため開催するもので、今年で4回目となります。
今回は11月7日(土曜日)に、白山市立吉野谷公民館を会場として「里山の資源を活かす多様な主体と視点」をテーマに、木滑地区での牛・羊放牧による耕作放棄地解消の取組について石川県立大学の石田元彦教授から基調講演をいただき、続いて同地区でイベント「山笑い」や高倉山の登山道や樹林整備を通じて里山の環境改善と交流人口の拡大に取り組んでいる木滑里山保全プロジェクト代表の田島一三氏らによる活動報告、また、後半は約50名の参加者を5つのグループに分けて「里山を次世代に繋ぐために今できること」と題して、ワークショップを行いました。
講演や報告では、耕作放棄地対策と食肉や乳製品生産の一石二鳥の効果が期待できる点や、里山に人を呼び込むための地道な活動を参加者に知って頂くことができ、ワークショップでは、ヒツジとのふれあいや毛刈り・搾乳体験、スキー場跡地を利用した放牧やブドウ栽培とワイナリーなど、里山地域の可能性や夢について様々な意見が出されました。
ワークショップの様子
石川農林総合事務所では、10月の定植から約1カ月の生育状況を確認するため、11月11日(水曜日)に県オリジナルのフリージア新品種『エアリーフローラ』の現地検討会を開催しました。
当日は生産者、JA担当者、普及指導員、農林総合研究センターの研究員12名が参加し、管内4軒の生産農家ハウスを巡回して10月に定植した『エアリーフローラ』の生育状況を検討し、順調な生育を確認しました。
農林総合研究センターの研究員からは、球根の増殖技術や害虫のネダニ対策など試験の状況について報告がありました。
検討会には今年から新たに栽培を開始した農家も参加しており、適正な定植時期やその方法、温度管理方法などについて、他の生産者や研究員と積極的に情報交換を行っていました。県では来春までに約40万本の出荷を目指しており、今年は、石川農林管内で昨年よりも40%多い約17万球の球根を定植し、12月中旬からの出荷を予定しています。
石川農林総合事務所では、今年度から白山市の里山地域において、「他産業との連携による簡易な基盤改良普及事業」を活用した基盤整備を実施しています。
簡易な基盤改良普及事業は、旧河内村、旧鳥越村、旧吉野谷村などの里山地域を対象として、収益の向上を図るため、農作業の省力化につながる簡易な農地改良を普及するもので、多数の整備メニューがあります。
この整備メニューは、他産業である建設機械メーカーのコマツと連携して省力化を実証したものであり、担い手のニーズに合わせて複数のメニューを組み合わせることも可能です。
本事業の整備メニューの中で、今回は白山市河内町で実施した「畦越スロープ」を紹介します。「畦越スロープ」とは、隣接した小さな区画の水田において、畦を乗り越えて隣の水田に移動できるようにスロープを設置し、擬似的に水田を大区画化するものです。畦を越して横の水田に移動することにより田植えや刈取りの外周の作業が簡略化され、機械作業時間を短縮することができます。
近年、米価が下落傾向にありますが、田植え・刈取り・水管理等の作業の省力化により、よりいっそう生産コストを低減させ経営の安定を図ります。本事業により農林総合事務所も里山地域の農業を応援しています。
2010年10月に愛知県で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催され、日本は人がかかわる自然環境の資源管理モデルとしてSATOYAMAイニシアティブを提唱しました。SATOYAMAイニシアティブとは日本の「里地・里山」のように、農林水産業を中心とした人間の手が加わることによって、長きにわたり維持されてきた環境と、そこに存在する生物多様性を保全し、持続的に利用してゆくことです。
これを契機に、JICAでは石川県を中心に里山研修を開催しています。
この研修は、日本の里地里山における生物多様性の保全と持続可能な利用の実践事例を習得し、様々な利害関係者が協働して取組む活動を学ぶことにより、自然環境の保全と住民の生計向上の両立という視点から、各国における地域振興を導くための業務に活用することが目的です。
石川農林管内へは10月23日(金曜日)に「手取川流域森林施業視察」 として、8カ国10人の研修生が訪れました。
はじめに石川農林総合研究センター林業試験場内の県有林において、間伐の重要性と、材の搬出方法や利活用について、現在取り組んでいる状況について紹介しました。
また、人工林への侵入竹伐採地区では、生物多様性を阻害する竹の猛威や、竹伐採後の森林環境改善の状況について紹介しました。
研修生は、日本の里山保全の取り組みや、森林を育てて利活用する手法を熱心に学んでいました。
国では、木材自給率50%以上を目指す「森林・林業再生プラン」が策定され、これを受けて県のビジョンでは、平成32年の県産材供給量を30万立方メートルとする目標を立てています。その中で、間引いた木を木材として搬出し利用する利用間伐による材は、県産材供給量の多くを占めています。
しかしながら、石川農林管内の森林は、地形が急峻なため木材を搬出する林道や作業道が少なく、車輌による低コストでの木材生産が困難なため、利用間伐が伸び悩む一方で、人工林の高齢化が進行しています。また、切り出した木材の価格が安い(特に大径材)ために収益性が上がらないので、森林所有者の意欲も減退しています。
このことから、効率的で収益性の高い木材の切り出し法として、小面積の木を全て伐採する皆伐方式による出材量の増加と、採算が合わないため林地に放置される残材の有効活用、また、伐採後の再造林の推進が必要とされており、急傾斜地でこれらに対応した出材方法として、架線を使った集材法が注目されています。
そこで、10月20日(火曜日)に管内の鴇ヶ谷(とがたに)県有林において、林業事業体や森林組合、素材生産業者、製材業者、白山市職員など総勢約60名の関係者が集まり、人工林の皆伐における架線集材研修会を開催しました。
研修会では、最初に集材機の基礎知識の講座を行い、現場においては、軽架線集材の実演、集材機による集材視察、話題のドローンを使ったリードロープ(架線を張るために予め渡すロープ)の設置実演などの研修を行いました。
集材機の基礎知識
軽架線(繊維ロープ)による集材実演
集材状況の視察
集材状況の視察
今後、小面積皆伐・再造林のコスト分析や複数(車輌・架線)の施業モデルなどを作成し、森林所有者などに普及していきたいと考えています。
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