ホーム > 連絡先一覧 > 石川農林総合事務所 > ほんながや通信(管内ニュース)バックナンバー > ほんながや通信(第15号)平成21年10月8日
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先日、刈取り直前の不耕起V溝直幡された田圃を見たところ、通常丸い稲の株が扁平に縦に並んでいるのを確認し“成程“と一人納得しました。
この方式は、幅2cmに切った溝に種子を入れ発芽する迄の約1ヶ月間は固い乾田のままなので溝に沿って根が張るためであり、これを利用して条間も通常30cmのところ20cmと密に植えられていました。
また、種子が鳥に食べられないよう嘴の届かない5cmに深植えすることで根がしっかり張るため、根張りを促進させるために行う中干しが必要ないことから、田圃に棲むドジョウや昆虫も生き続けられるというメリットも生まれています。
前年の刈取後の農閑期に代掻・整地を済ましておくという作業分散で省力・低コスト化が期待でき、生態系保全にも貢献出来るスグレモノであり、今後どんどん増えていく予定ですので、読者の皆さんも来年は散歩の途中にでも田圃を観察し「ほんながやー」と声を上げて頂きたいと思っています。
【第15号の話題】
平成21年10月8日
石川農林総合事務所長 中川哲夫
9月29日(火曜日)、佐藤県参事が管内の農業生産者や農林事業の現場を訪れ意見交換を行いました。
最初は、獣害対策や耕作放棄地対策で和牛放牧を初めて取組む白山市佐良で牛の搬入状況から視察し、大きい牛の取扱のむずかしさや、電気柵張り、水呑み場の設置など準備にも手間がかかることを実感してもらいました。次に、吉野のハウス内でトマト栽培を行っている古賀勝さんを訪れ、今後とも石川の地で頑張ってほしいと激励して頂き、同市剣崎で剣崎ナンバを栽培している下村正耕さんには、市伝統野菜として今後とも保存・振興に尽力願いたいとエールを送って頂きました。
その他、不耕起V溝直播圃場や険しい山中での林道開設、ストマネ手法を取り入れた分水工工事現場を視察し、当事務所職員にも労を労って頂きました。
県事業名を「基幹水利施設予防保全対策事業」と言い、今まで農業農村事業で整備してきた農業用施設を社会資本(ストック)としてとらえ、既存ストックの有効活用を図るため現在の状態を把握し、今後どのような対策を行えば施設を長持ちさせることができるかについて計画を作る事業。
搬入後、周囲の環境に慣れてきた2頭の雌牛
雑草が触れることで漏電するため電気柵の下の雑草を予め刈っておく
古賀さんが丹精込めて作ったトマトを手に「良い出来です!」
古賀さん、自慢の出来のトマトを持ちニッコリ
下村さんと中谷さんから興味深い話を聞く
険しい山を切り拓いた林道現場で疋田専門員の説明に耳を傾ける
9月5日(土曜日)に、白山市八田町にある八田農村公園横の「あじち山」で、地元八田町内会・おにゆり保存会と農林倶楽部を含めて総勢40名が保安林の下草刈りを行いました。
当地域は白山市の日本海に面し砂丘地に拓けた一大園芸産地であり、強風や飛砂を防ぐため松の防風林に守られています。
ところが近年のマツクイ虫被害で次第に歯抜け状態となり保安林機能の低下が目立ってきたことから、毎年、地元町内会が松の幼木を植えており、県農林水産部のボランティア組織である農林倶楽部も美しい海岸林の保全と合わせ優良農地を守りたいとの想いから今年はじめての参加となりました。
当日は、爽やかな秋風の吹く中、来年3月に抵抗性松を300本植える予定箇所で鎌や草刈り機で手際良く雑草を刈り、参加者一同心地よい汗を流しました。
作業前、愛機の入念な点検風景
中川八田町内会長の開会挨拶
園路沿いを鎌で丁寧に除草中
抵抗性松の補植予定地を長鎌や草刈り機でセッセと作業中
作業後、やり終えた満足感一杯の参加者
白山市八田町の松林に約一万八千本の「おにゆり」の群生地があり、夏には、オレンジ色の花が潮風に揺れ夏の青空に映えています。
群生地「おにゆりの里」は海沿いの「しおさいロード」脇の生活環境保全林内にあり、地元有志が「八田町おにゆり保存会」を組織して保全に努めています。
マツクイムシ被害(マツのザイセンチュウ病)に対して、強い遺伝子をもつ松です。
全国の林業センター等で研究されております、マツクイ虫被害によって枯れてしまった多くの松林の中で奇跡的に生き残った木を集め、その中から選りすぐれたものだけを育成しています。
さらに、これらにマツのザイセンチュウを人工的に接種検定し、生き残った木だけで採種林を造成し、その種から育てた松を抵抗性松と呼んでいます。
(被害率90%以上の激害地の中で奇跡的に生き残った健全木の中からさらに絞り込み、選抜育種 という方法で、マツクイムシ被害に強い抵抗性遺伝子をもつ松を作る方法)
近年、全国的に異常気象等による災害が頻発しており、多くの尊い人命や家屋等に被害を及ぼしていますが、県農林水産部では9月1日の「防災の日」を挟む一週間を「秋の農地・林地防災週間」と位置付け、毎年、災害防止に向けた様々な取組みを実施しています。
当管内では、これに合わせ用水の可動堰の一斉点検や治山施設と山地災害危険地区を重点的に市町、土地改良区、森林組合、地元住民とともにパトロールを実施しました。
現場では、水門の開閉を実際にやってみたり、人家裏山にある治山施設の安全確認を関係者が力を合わせて行いました。
手動水門の開閉具合を確認
電動水門の動作確認
落石防護壁の歪みや腐食の点検
防潮護岸の沈下や損傷の点検
白山麓の遊休農地で、今年で4年目となる和牛放牧が始まりました。この取組は、近年急増しているイノシシやサル等の獣害に悩んでいる農家と牛の飼養の省力化や飼料高騰に悩む畜産農家の双方の悩みが解消されるとともに、耕作放棄地の雑草を一掃でき景観にも貢献出きることから実施しており、今年は白山市瀬波と佐良の2地区で10月下旬頃まで放牧中です。
牛は全て妊娠した雌牛で広い原野でストレスなくのんびりと草を啄ばんでいます。
読者の皆さんも近くへ足を運ばれた際に是非見学して見ては如何でしょうか。
瀬波地区では牛に「なみ」「ももこ」と名付けかわいがっています
いっぱいの草の中で満足そう(佐良地区)
9月1日(木曜日)に里山保全・活用を考える集いが白山市木滑で開催されました。この取組は県の「先駆的里山保全事業」の中でモデル地区を選定し、住民が自発的に行う里山里海の利用・保全に関する活動に対して支援するもので、当管内では白山市上木滑地区がモデル地区になっており、当日は住民12名が参加して今年度の取組内容について意見交換を行いました。
住民からは「自分達だけで遊休地の解消は難しい。」「石積みの棚田を直すために休日に石を積むぐらいならできるかも。」「事業が終わった後はどうするのか」等、率直な意見も出る一方「これを契機に山ウド等、地域特産物の栽培を増やしたい」等前向きな意見が多く出されました。
県からは、「蛍やメダカといった物にこだわらずとも、当地区にはギフチョウなどもいるのではないか」(自然保護課)、「山菜については白山の振興作物として支援したい」(石川農林)といったアドバイスもなされました。
上木滑地区では、今後も住民を主体とした話し合いを行い、今年度中に里山保全計画の策定を行うこととしており、当事務所でも支援内容について検討していきたいと考えています。
活発な意見交換風景
白山市の中山間部、鳥越地区では古くからそばの栽培が盛んで、近年は水田転作物として取り組まれ、今年は42haで栽培されています。
当地区では地元産のそばを使ったそば店もたくさんあり、その中の一つ、三ツ屋野地区の「にわか工房」周辺で、9月20日に「鳥越そば花まつり2009」が開催されました。
そば畑に囲まれた会場では、家族連れが満開のそば畑を背景に記念写真を撮る姿が見られ、地元産の農産物や手打ちそばの実演販売に行列ができるなど賑わいました。
そばの収穫は10月中旬から始まり、11月には新そばを味わえる「新そばまつり」も予定されています。
当事務所ではこれからも、そばや特産野菜の生産加工など、中山間地の農業振興に取り組んで行く所存です。
満開のそば畑に囲まれた会場(白山市三ツ屋野町)
手打ちそばの実演販売
地元産野菜や手作り加工品の販売
剣崎なんばは、白山市剣崎町に古くから伝わる伝統野菜で、一般的なとうがらしよりも細長い形をしており、味は辛い中にも旨みがあります。
今年6月には、これまで4つの生産グループに分かれていた農家7名が集まって「剣崎なんば保存愛好会」を設立し、色や辛さにこだわって、昔のままの剣崎なんばの栽培に力を入れています。
9月5日(土曜日)には、会として初めて現地を巡回し、各圃場の生育状況や実の色や形などを確認しました。
今年は栽培初期の天候が悪く、生育が遅れ病害も多く発生しましたが、その後の適切な防除や排水対策により後半は回復し、よい出来となりました。
また、春から取り組んできた接ぎ木苗の普及も効果を発揮し、不良気象でも青枯れ病による立ち枯れが少ないことが確認されました。
これから、剣崎なんばの収穫がピークとなり、JA松任まいどさん市場やAコープなどで販売されます。
乾燥させた剣崎なんばだけでなく、粉にした一味とうがらしや、昔ながらのわらで編んだもの、鉢植えなどの商品があります。どれも鮮やかな紅色が美しく、見て楽しんだあと料理に使えば味を引き上げます。わらで編んだものは魔除けになるとの言い伝えもありますので飾るのみでもオーケーです。
これからの寒い季節にぴったりの剣崎なんば、熱いソバに一振りなど様々な料理でぜひ一度ご賞味ください。
当事務所では、出荷規格の統一や、新たな用途開発、販路拡大等、これからも剣崎なんばを支援してまいります。
現地巡回で生育状況を確認(9月5日、白山市剣崎町)
鮮やかな赤色に色づき始めた剣崎なんば
ハウスではこんなに大きく育ちます(9月5日、下村会長)
コンパクトに育てた鉢植え
9月9日(水曜日)から3日間、翠星高校生3人が職場体験のため当事務所を訪れ、土地改良部で現在、水路改修を進めており、手取川扇状地の農業や地域住民の生活に密着している手取川七ヶ用水を題材に体験学習しました。
まずは用水を管理する手取川七ヶ用水土地改良区の重要な仕事の一つである施設の管理について、台帳の整理や施設点検といった基礎的な業務内容の体験や、改良区の重要な施設である白山管理センターや小水力発電所を見学しました。
最終日には来年度に新規採択が予定されている山島用水(4-8号支線)で生き物調査を実施し普段は水量が多く入ることのできない水路に入り、土砂の堆積やゴミの投棄といった問題点と、七ヶ用水に生息する多様な生態系について調査確認を行いました。
こういった職場体験を通して改良区の仕事の大変さや、用水やその管理の重要性を理解してもらうことで、将来の進路決めにも参考になったものと考えています。
台帳整理について手取川七ヶ用水土地改良区の今本課長から説明をうける
胴長を履いて生き物調査中
9月25日(木曜日)から一週間の七ヶ用水の停水にあわせ、ストックマネジメント事業の一環で水路の状況を点検する現地調査を実施しました。
今年は当事務所土地改良部職員の他、県内各農林総合事務所をはじめ関係市町や土地改良区合わせて30名の参加を得て全調査延長48.7kmを8班に分かれて実施し5日間の調査を無事終えることができました。
手取川扇状地を潤す手取川七ヶ用水は昭和30年代に建設されてからすでに40年以上経過している水路もあり、老朽化による水路機能の低下が懸念されています。
今回の調査結果と昨年度の調査結果をあわせ、水路の健全度を確認し、来年度は今後の七ヶ用水の管理及び改修計画について方針を示すこととしています。
出発式の様子
水路の変状を確認
9月6日に白山市白峰地区の御前山(おまいやま)で、(社)石川の森づくり推進協会が環境税を活用したいしかわ県民参加の森づくり推進活動を行いました。
御前山や白峰地区周辺では、カシノナガキクイムシの被害で多くのミズナラの木が真っ赤に枯れています。
これらの枯損木はいずれ幹や枝だけが白く残り、景観上の問題もさることながら、集落周辺では雨などで枯死木の根が腐り、倒伏して林道や民家などに被害を及ぼす可能性もあります。
そのような被害を未然に防ぐとともに、林内の広葉樹の実生や稚樹がいち早く成長して世代交代がスムーズに行われるよう、協会の会員を中心に約31名が参加して枯損木の伐採・整理や除伐作業を行い、森づくりを楽しみました。
10月はいしかわの森づくり推進月間で、県内各地で様々な森づくりイベントが行われます。石川農林森林部では10月24日(土曜日)に白山市中宮のスーパー林道周辺で、県民森づくり大会「みんなで育てようブナの森」を実施します。多くの方々の参加をお待ちしております。
作業前にカシノナガキクイムシの説明を聞く
真っ赤に枯れたミズナラ
伐採した枯損木を集積整理中
森林の恵みを受ける全ての人が森づくりに参加していこうと平成8年に社団法人として設立、森林に関わりの弱かった企業の社員等が会員の中心となり、植樹や育樹活動に取り組んでいる。
体長5ミリ程のカシノナガキクイムシが病原菌となるナラ菌を伝搬することで、ミズナラを主としてナラ・カシ類が枯れる現象。
うまいもん みぃ~っけコーナー
食欲の秋到来、新米の美味しい季節になってきました。今回紹介するJA白山鶴来加工グループのお母さん達が作っている粕漬けをごはんのお供にすれば、更に食が進むこと請け合いです。
お母さん達が作っている粕漬けは、通常より1回増やし、3回酒粕へ漬け込むことで、深い味わいを醸し出しています。また、粕漬けの味の決め手はなんといっても「酒粕」ですが、酒粕の善し悪しによって粕漬けの味が違ってくるそうで、お母さん達が使用している「酒粕」は品質の確かな地元(鶴来)の酒造メーカーから入手しています。加工グループの商品としては、カタウリ、キュウリを漬けこんだ「粕漬け」の他に、旧鶴来町の特産品でもあるナスを使用した「芥子ナス」があり、グループのお母さんの中にはナスを生産者としてJAへ出荷しながら、漬け物作りにも取り組んでいる方もいます。
いずれの商品も添加物を使用しておらず、安心して召し上がっていただけます。JA白山の直売所や地域特産物販売所の「くろゆりの里」で周年販売している他、地元のイベントでの販売も行っています。手作り漬け物を作り続けて20年以上、地元の特産物を活用したお母さん達の自慢の一品を召し上がれ!
残念ながらグループは解散してしまい、現在粕漬けはありません。(令和2年11月追記)
私たちが作っています。
1袋200g入り400円です。
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