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中国明時代
総持寺祖院 輪島市門前町門前1-18甲
各幅 縦 107.5センチ 横 48.8センチ
県指定文化財 昭和44年2月18日指定
羅漢は、梵語のアルハット(阿羅漢)の略であり、釈迦の説法を聞いて修行した結果、煩悩を絶ち、悟りを開いて、世間の供養を受ける資格を得た尊者のことで、この世にとどまり、三方の諸山海中にあって正法を守護するという。禅宗において特にあつく信仰され、十六羅漢・十八羅漢・五百羅漢などがある。図像の表現様式には幾つかの種類はあるが、一般的に、粗放で奇怪な容貌表現をする水墨画に多い禅月様と、流麗な線描で美しい色彩の写実的表現の李龍眠様が名高い。本図は、1幅に一尊を描いた李龍眠様の系統に属するもので、深山または室内に座す尊者の容貌は、いずれも穏やかな表情で、画面中央に大きく描き、侍者を小さく描くことで、その尊厳を強調しており、豊麗な色彩と流暢な描線が程よく調和したすぐれた作品である。わが国での作例にはなく、中国明代に描かれたものであろう。破損が著しく、昭和59年(1984)に大修復を行った。16幅の内3幅は、途中で失われ、別のものが加えられている。
昭和60年「石川の文化財」より
室町時代
正覚院 羽咋市寺家町ト-92
各幅 縦 80センチ 横 36.5センチ
県指定文化財 昭和44年2月18日指定
真言密法の相承に貢献のあった竜猛・竜智・善無畏・金剛智・不空・一行・恵果に空海を加えた8人の高僧を「真言八祖」という。竜猛は右手に三鈷を持ち左手に衣端をとり、竜智は右手に梵筴を持ち左手に衣の端をとる。善無畏は右手の指頭をもって天井を指し左手に衣端をとり、金剛智は右手に念珠を持ち左手に衣の端をとる。不空は外縛合掌し、一行は両手を衲衣の内にかくして印を結ぶ。恵果は両手を膝において合掌し童子を伴い、空海は右手に三鈷杵、左手に念珠を持っている。この真言八祖像は、人間的な感情をたたえた肖像画としての要素も濃く、室町後期の特色をよく表わした品格の高い桂作であるが、対幅であった空海像を亡失し、紙本著色像で補っていることが惜しまれる。
昭和60年「石川の文化財」より
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