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南北朝時代
金蔵寺 輪島市町野町金蔵
(石川県立美術館保管 金沢市出羽町2-1)
縦 104.2センチ 横 88.5センチ
県指定文化財 昭和45年11月25日指定
金剛界と胎蔵界の対をなす双幅である。金剛界図は、「九会曼荼羅」とも称されるように、方形九廊から成る図で、図の中核をなす成身会を中央に描き、その上段中央に智拳印をむすぶ金剛界大日如来一尊の一印会、その両脇に四印会と理趣会を配する。成身会の両脇に供養会・降三世羯磨会、下段の中央に三昧耶会、その両脇に微細会と降三世三昧耶会が、同じく極彩色に描かれている。胎蔵界図は、図の中央に中台八葉院、すなわち満開の八弁蓮花の中心に胎蔵界大日如来を安んじ、各花びらの上には四仏と四菩薩を配して曼荼羅の中核部をなす。この中台八葉院をめぐり、上下に遍知院と持明院、左右に金剛手院の蓮華部院の諸尊を第一重に配する。その外周に釈迦院・文殊院・除蓋障院・地蔵院・虚空蔵院・蘇悉地院の諸尊を第二重とし、さらにその外周四方の最外院に多くの神々(仏教以外のインドの神々)が極彩色に描かれている。本図は県下に遺存する多くの両界曼荼羅のうち、最も優れた作品であり、製作年代も南北朝時代を降らない貴重な仏画である。
昭和60年「石川の文化財」より
長禄元年(1457)
個人 小松市
(石川県立美術館保管 金沢市出羽町2-1)
縦 162.2センチ 横 107センチ
県指定文化財 昭和45年11月25日指定
大きな画面の中央に、金泥の「南无不可思議光如来」(9字名号)から三十四光芒を放つ。向かって左下に「南無阿弥陀仏」(6字名号)と阿弥陀如来立像、右下に「帰命尽十方无旱光如来」(10字名号)と釈迦如来立像を配し、上方左に勢至菩薩と天竺の先徳や中国浄土教の高僧、右に聖徳太子とその眷属や日本の祖師が、金泥を多用した極彩色に描かれている。
ひょう背に
(徒)
越前和田本覚御門□
加州松任本誓寺弟子
山内新保性善礼拝
(常住物)
□□□也
(禄)
長六元年十月廿五日
と裏書があり、その由緒を伝えている。この様式の光明本尊の遺例は極めて乏しく、本県では本誓寺本(白山市)や林西寺本(白山市)が知られているが、裏書によって年代を明確にできる唯一の光明本尊で、初期真宗教団の布教活動を語る遺品としてすこぶる重要である。
昭和60年「石川の文化財」より
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