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更新日:2018年2月1日

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絹本著色涅槃図 無分筆・紙本金地著色観桜・観楓図六曲屏風

 絹本著色涅槃図 無分筆 (1幅)

室町時代  
長壽寺  七尾市
(石川県七尾美術館保管  七尾市小丸山台1-1)
縦166.0センチ  横115.0センチ


nehanzu
県指定文化財  平成26年1月10日指定

 

  七尾市小島町の日蓮宗寺院である長壽寺は、室町時代の長禄元年(1457)開創とされ、長谷川等伯の養家である長谷川家の菩提寺である。
  「涅槃図」は仏教の開祖・釈尊が、沙羅双樹の下で宝台に身を横たえて最後の説法を終えて入滅し、完全な悟りの境地に至る場面を描いたものである。
  本図は、横幅40cm弱の絵絹を三枚つなぎ合わせたものに描かれており、室町時代中期から後期頃の制作とされ、保存状態は極めて良好である。
  宝台の四方にはそれぞれ沙羅双樹が2本ずつ描かれ、頭を北に向け右脇を下にしてゆったりと横たわる釈迦の姿が豊潤な筆線で描かれている。また、嘆き悲しむ会衆や鳥獣たちの躍動感にあふれた描写、熟達した筆致や落ちついた色調からは、優れた技量が窺える。
  箱には「等伯之画」と記されており、かつては等伯筆として伝承されてきたが、画面右下方に捺された朱文二重方形印の文字が「無分」と解読された。
  この「無分」は、等伯の語った画事に関する事柄を本法寺 第十世 日通上人が書き留めた『等伯画説』(重要文化財)において、「雪舟」から始まり、「等春」、「無分(無文)」、「宗清」、「等伯」へと連なる画系図に記載されており、本図は、その「無分」の現存する唯一の作例である。
  永禄11年(1568)、等伯が三十歳の時に制作した妙成寺蔵「絹本著色涅槃図」(県指定文化財)と比較して、動物の数などに若干の違いはあるものの構図は全く同じであるなど、長谷川派の涅槃図制作に大きな影響を与えた基本作品であり、能登の長谷川派を研究する上でも、極めて貴重な作品である。 

 紙本金地著色観桜・観楓図六曲屏風  (1双)

江戸時代(17~18世紀)  
石川県立美術館  金沢市出羽町2-1
縦117.7センチ  横296.8センチ

k-27-2-1

k-27-2-2

県指定文化財  平成30年1月30日指定

  左隻は、満開の桜を楽しむ人々が描かれた観桜図、右隻は、満月と紅葉のもと輪踊りに興じる群衆とそれを取り巻く人々を描いた観楓図で一双を構成している。
  左隻観桜図では、少なくとも六組におよぶ一行が観桜のために訪れた様を描いており、桜の下に絨緞、毛氈などが敷かれ、豪華な行楽の様相をうかがうことができる。右隻観楓図では、満月の夜の輪踊りの様相が描かれている。踊りの輪の中央には毛氈が敷かれ、そこに締め太鼓を叩く者、笛を吹く者、床几に腰かけて三味線を弾く者、鼓を打つ者などが描かれている。
  本作品は、「金沢士庶遊楽図屏風」として『金沢図屏風』豊田武監修 文一総合出版(1977)に紹介されているが、金沢を描いたとするには多少無理があるように思われる。しかし、本作品は少なくとも江戸時代末期頃から金沢に伝世しており、武士や町人をともに描いた初期風俗画のひとつとして貴重である。描かれている人物や樹木の描写に見られる筆致から、江戸狩野派の画家による制作と考えられる。
  以上のことから、本作品は江戸時代前期(17~18世紀)に描かれた数少ない初期風俗画の極めて貴重な作品であり、保存状態も良く、県指定有形文化財としての価値を十分に有するといえる。

 

お問い合わせ

所属課:教育委員会文化財課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1841

ファクス番号:076-225-1843

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