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江戸時代前期 喜多川相説筆
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
左右 410.0センチ 縦 160.0センチ
県指定文化財 昭和43年2月26日指定
萩・薄・芙蓉・菊などを、円弧をえがくように配して、その手前には女郎花や秋海棠・擬宝珠・葉鶏頭などを、並列的に没骨法の技法で描いている。各隻に、「相説法橋」の款記と「宗雪」の朱白文小方印、「伊年」の朱文円印があるところから、宗雪・相説同1人説も出ていたが、宗雪の作品には、「宗雪」朱白文小方印が使用されておらず、相説が、宗雪の後継者として認められるようになった頃より使用されたと思われる。また宗雪画が、金地の効果を生かしながら華麗で洗練された装飾性をもっているのに対し、相説画は、紙本で墨と淡彩を主調とし、淡白で平板な趣に終っているものが多い。しかし、この作品は、多くの草花を盛り込みながら、それぞれ花の特性を素直にとらえ、すみずみまで丁寧に描きこなし、穏やかな色調と相まって、気品のある作品にまとめており、相説の落款のある草花図のなかでは最もすぐれた作品である。
昭和60年「石川の文化財」より
室町時代
総持寺祖院 輪島市門前町門前1-18甲
縦 144.0センチ 横 80.0センチ
県指定文化財 昭和44年2月18日指定
双幅に仕立てられている花鳥図であるが、もと襖絵であったものを掛幅にしたものであろう。右隻は漢画風な謹直な筆法で、音を立てて流れるような溪流と、そこにのぞむけわしい岩を、皴法(山、崖、岩などのひだを立体的にかく技法)もあざやかに表現し、樹木・花卉や禽鳥を実直に描いている。左隻は、遠景が遠くかすみ、空間を大きく取った宏大な画面構成で、近景には、岩につつじと牡丹をやはり謹直に描いている。中央に空間を取っていることが特に画面の広がりを感じさせ、単なる掛幅の為に描いたのではなく、横への広がりをみせる襖絵を想起させる。全体に緊密な表現の中にあって、色彩は温雅で、装飾性がある。狩野元信筆と伝えているが、狩野派初期の、所伝に近い画人の作品であろう。
昭和60年「石川の文化財」より
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