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江戸時代初期
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
縦95センチ 横224センチ
県指定文化財 昭和43年2月26日指定
6曲1隻の小屏風の中央に槇と檜を配し、両端に空間をとる画面構成をとっている。金の切箔を全面にわたってこまかく蒔き、画面の上部に、銀の砂子に野毛をまじえて霞形においているが、すでに酸化して黒くなり、墨を流したようになっている。画面の中央には、わずかに藍を加えた墨で、槇と檜の若木を、たらし込みの技法で装飾的に描いている。葉の描写は、実に的確で遠近感もよく表現されており、左右の余白とともに小屏風ではあるが、奥行、広がりを感じさせ、日本特有の湿度までも感じさせる趣のある優品で、宗達のある時期の一面を示す貴重な作品である。
桃山時代 狩野永徳筆
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
左右 368.0センチ 縦 154.0センチ
県指定文化財 昭和43年2月26日指定
狩野永徳(1543~1590)は、織田信長や豊臣秀吉に仕え、安土城・大坂城・聚楽第などをはじめ、桃山時代の豪壮な建築内部を飾るにふさわしい雄大な構図の金碧障屏画を描いた画家として知られ、長谷川等伯・海北友松・雲谷等顔などとともに、桃山時代を代表する画家である。
本図は、1双の中央に、永徳独特の様式による画面からはみだす巨大な松樹を配し、その枝は右隻の4扇、左隻の5扇まで広がっている。右隻には土坡の上に遊ぶ錦鶏を極彩色で精緻に描き、岩間を流れる溪流は音をたてて流れるかのように軽快な筆法で描かれている。遠景の松林はかすかに浮かび、画面に奥行を感じさせている。左隻は、対照的に静かな仙境を表わし、樹上のつがいの小禽や水面を飛び交う様子には、細やかな配慮がみられる。ほどよく引かれた金泥も、彩色の色調とよく調和し、雄大な構図の中にも細やかな神経が行き届いた筆法から、永徳の比較的初期の作品と想像されており、永徳の作画年代を研究するうえで貴重な作品である。
昭和60年「石川の文化財」より
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