ホーム > 連絡先一覧 > 石川県農林総合研究センター 林業試験場 > 刊行物 > 石川県林業試験場業務報告 > 石川県林業試験場 平成11年度 業務報告 > 1.地域材を利用した高信頼性構造用材の開発(第2報)
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予算区分 国補
研究期間 平成10~14年度
担当科名 木材加工科
担当者名 鈴木 修治・小倉 光貴
近年、一般においても建築物の耐震・構造強度について関心を集めており、建築・住宅分野において工法や使用材料の面で大きく変化しており、木質構造物の強度性能について種々検討が行われるようになった。
本課題では、従前より行ってきた構造用材料の性能評価の結果を踏まえ、県産材による横架材の軽量化と構造用面材料の開発を主眼に試作・検討を行い、構造体まで含めた性能評価を通じて木質材料および木造建築物についての信頼と認識を高めることを目的とする。
(1) 原木の強度特性とそれから得られるエレメントの強度性能の検討
原木の打撃音固有振動数と、当該原木から採材したラミナの動的ヤング係数を比較し、原木段階での、エレメント性能の推定の可能性について検討した。
(2) 背板からのエレメント採材技術の検討
形状に統一性のない背板から木質ボード製造のためのエレメント(板材)を採取するための推定方法を検討した。
背板厚さ、投影面積、板幅のデータから背板の曲率半径を推定し、所要とするエレメントが採材可能であるか判定した。
小屋梁での使用を目的として、全長4m、梁背20cm、幅10cm、ライズ20cmのスギ集成アーチ材を試作し、スパン360cm、荷重点スパン80cmで荷重試験を実施した。 自重および積雪荷重を想定して29.42kNの垂直荷重をかけてその変位を測定および、鋼製タイロッド装着による、水平方向の変形抑制の効果を検証した。
実大のI型梁および箱型梁を試作し、曲げ強度性能を集成材や平角材のデータと比較した。ウェブにはスギLVLを、フランジはスギ平割り材またはスギLVLとし、接合は昨年度の試験結果を参考に接着剤(API)によった。スティフナの有無多少により下表のとおり7種9体の試験体を試作し、スパン360cm、荷重点スパン120cmで曲げ強度試験を実施した。
昨年度の試験結果より、ボードの総厚は24mm程度が適当と考えられたので、2プライおよび3プライの斜め貼りボードの試作を行った。
実用段階でのコスト削減を考慮して、今回はフェノール樹脂接着剤を使用して、熱圧プレス(130℃、1MPa)で接着した。
原木のfrと外周部から採材したラミナのEfrの間には相関が認められるが、中心部から採材されたラミナとの間には相関が認められなかった。
断面から推定された採材割合と実際の採材割合との間には極めて高い相関が認められた。よって、本研究で採択した推定方法から採材量を想定することは可能である。
タイロッドの装着により、撓み量は約1月2日、曲げヤング係数は約2倍の26GPaになった。
曲げ強さは表に示したが、フランジにソリッド材を使用した方が性能上優れていた。破壊性状はウェブの中立線付近でのせん断破壊若しくはフランジの節やスカーフジョイント集中が原因と考えられるものが大半であった。
ボード反りが3プライの積層ボードにおいて非常に良かったので、積層数は3プライ以上とする事とした。釘の側面抵抗は、エレメント積層方向によって、スギソリッドに対して、-3~+27%の結果が得られた。
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