ホーム > 連絡先一覧 > 石川県農林総合研究センター 林業試験場 > 刊行物 > 石川県林業試験場業務報告 > 石川県林業試験場 平成11年度 業務報告 > 3.ミズナラ等の木材生産管理と自然環境の保全調査(第2報)
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予算区分 県単
研究期間 平成10~14年度
担当科名 森林育成科
担当者名 小谷 二郎・江崎功二郎
本県の冷温帯地域の代表樹種であるミズナラ等の天然生林の有効利用と自然環境を保全するため、林分構造調査や林内での更新状況に関して調査を行う。
今年度は、白峰村大嵐山のミズナラ林内で発生した当年生稚樹の生残状況と大嵐山と尾口村尾添のトチノキ林で種子の落下状況調査を行った。
ミズナラの当年生稚樹は,相対照度が2~4%と非常に暗い環境にありながら5.5~36.4本/平方メートルの発生で生存率は80%以上であった。なお,この結果の詳細は第48回日本林学会中部支部大会で口頭発表し,中部森林研究3~4頁に掲載されている。
トチノキの種子の落下量は表-1のとおりで,他の報告からすると凶作年に相当した。特に,尾添では落下数が少なかった。落下最盛期は,9月中旬であった。また,1本当たりの落下量は大嵐山で2,800個,尾添で580個であった。
表-1.トチノキ林における種子の落下状況(略)
ミズナラ稚樹は2年目以降に急激に減少することが報告されていることから,継続して観察が必要と思われる。
トチノキは年による豊凶の差があまりないとされているが,今後も場所や年度による違いを継続して調査する必要がある。
石川県においてナラ類集団枯損が平成9年に確認されて以来、被害は拡大している。現在の被害は山地に限られるが、今後、里山地域に被害が拡大する可能性がある。この被害は多数のカシノナガキクイムシがミズナラやコナラなどの自然の立木に侵入して、ナラ菌と呼ばれる病原菌を伝搬することで発生する。そこで、本研究ではこの被害拡大を防止するためにカシノナガキクイムシの生態的特性を把握して、被害拡大様式を解明して防除法を検討する。
ナラ集団枯損が発生している三谷県有林地内に約0.64haの調査区を設けた。
穿入孔調査は6~12月に立木ごとにカシノナガキクイムシの穿入孔数を2週間間隔で数えた。飛翔個体群調査はスクリーントラップ(衝突式粘着板トラップ)を用いて、1週間毎に捕獲されたカシノナガキクイムシを数えた。
新しい穿入孔が見られた期間は6月14日から12月4日で、全穿入数は11,168個で、穿孔が時間的に集中的に行われていることが解った。スクリーントラップによるカシナガが捕獲期間は6月30日から11月22日、全捕獲数は30,610頭で、林内には飛翔個体が集中する場所があることが解った。応用動物昆虫学会ではカシノナガキクイムシを多量に捕獲できるトラップ「スクリーントラップ」の捕獲特性について、林学会大会では、カシノナガキクイムシがどんな立木をどんなふうに攻撃して枯死させるのかなどのカシノナガキクイムシと立木の関係について発表した。
カシノナガキクイムシの立木への穿孔は、飛翔個体が集中する場所から発生して、発生数がピークの達するとその場所の大きさが最大になり、その範囲の全ての立木が穿入を受けることが示唆された。
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