ホーム > 連絡先一覧 > 石川県農林総合研究センター 林業試験場 > 刊行物 > 石川県林業試験場業務報告 > 石川県林業試験場 平成12年度 業務報告 > 5.クマのスギ剥皮被害防除試験(第2報)
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予算区分 国補・一般・受託
研究期間 平成11~14年度
担当科名 森林育成科
担当者名 八神徳彦・江崎功二郎
ツキノワグマによるスギ等への剥皮被害を軽減するため、被害状況の把握と忌避剤(ヤシマレント)及び防護ネットの防護効果を検討する。
剥皮による立ち枯れ木の発生状況を調査し、立ち枯れ木を指標にした剥皮被害の簡便な把握方法について検討した。
激害地およびその周辺林分で、春期の剥皮被害の発生する前に忌避剤及び防護ネットを立木に施し、剥皮の終息する秋期に防護効果を観察した。
小松市動又、西俣の4箇所の激害地において、87本のスギに忌避剤(ヤシマレント)を地上30cmに1本あたり約30~40g塗布し、無処理木及び周辺木と比較した。
小松市西俣、丸山、大杉、赤瀬の6箇所の激害地において、271本のスギ及びヒノキに5種類の防護ネット等を地際から約120cmまでに巻き付け、施工性や防護効果を比較した。
立ち枯れ木が初めて出現した年に、その数が1~2本であれば、これから累積していく被害をネットによる防護が可能だが、数本がまとまって出現した場合すでに大半の立木が激しく剥皮されていることがわかった。また、小松、山中地方の被害地では、立木の全周が剥皮され立ち枯れ木が出現するが、白山麓の被害地では、全周を剥皮されることは少なく、立ち枯れ木もほとんど出現しないため、立ち枯れ木から被害を把握することは困難であることがわかった。
全ての試験地にクマによる剥皮被害と被害にならない痕跡が見られた。剥皮被害は忌避剤処理木では発生せず、無処理木と周辺木には5%に発生していた。忌避剤処理木と無処理木・周辺木の剥皮被害率には5%の有意水準で有意な差が認められ、忌避剤(ヤシマレント)に防護効果があることがわかった。
剥皮被害はバークガード処理に1本みられたのみで、処理区分間に防護効果の有意な差は見られなかった。また、バークガードは32%にたるみが見られた。
剥皮被害の発生予測のため、被害発生環境とクマの行動の関連について明らかにしていくとともに、防護ネットの効果について引き続き調査していく。
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