ホーム > 連絡先一覧 > 石川県農林総合研究センター 林業試験場 > 刊行物 > 石川県林業試験場業務報告 > 石川県林業試験場 平成12年度 業務報告 > 1.環境調和型森林病害制御技術に関する調査(第3報)
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予算区分 国 補
研究機関 平成10年~12年度
担当科名 森林育成科
担当者名 江崎功二郎・矢田 豊
マツノマダラカミキリの捕食性天敵としてコメツキムシ類、カッコウムシ類、コクヌスト類などが記録されているが、これら天敵の生息する部位が地際付近に集中する傾向があるため、防除に利用するには困難であると考えられていた。しかし、この問題点はこれら天敵がマツノマダラカミキリに遭遇しやすい環境を整備することにより解決される可能性がある。そこで、マツノマダラカミキリが寄生するマツ枯損木の主幹が地面に接するように伐倒施行を行い、捕食性天敵の防除効果を検討する。
マツノマダラカミキリの天敵が比較的多く見られる山地のアカマツ林2箇所(津幡町及び富来町)に試験地を設定した。両方の試験地で合わせて自然枯死のマツノマダラカミキリ産卵木計10本を調査木とした。それぞれの供試木の産卵数を数え、そのうち5本を伐倒玉切り処理を行い林床に設置した。翌年の夏季に立木および丸太を回収して、それぞれの幼虫の丸太への侵入孔数および成虫の脱出孔数を調査した。
処理及び無処理グループの各丸太において、産卵痕数→侵入孔数の減少率が高く、侵入数→脱出数は比較的低かった。これは卵や若齢幼虫の死亡率が高く、老熟幼虫や蛹になると死亡率が比較的低くなるというマツノマダラカミキリの生命表でも知られている共通した傾向を示した。処理木と無処理木の脱出孔数との間に統計的な有意差は認められなかった。
今回の調査では伐倒処理によるマツノマダラカミキリの脱出を抑制する効果は明らかにされなかった。従って、防除効果を高めるには伐倒処理後にくん蒸処理まで行うことが重用である。
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