ホーム > ―上海駐在員便り 2021年7月―
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■貴州での日本酒プロモーション等
石川県上海事務所では、昨年10月に貴州省において初めてビッグデータ産業視察及び貴州省政府との交流を行ったところですが、その継続イベントに参画するため、今年5月25~27日にかけて再び貴州省を訪問しました。今回は、日本貿易振興機構(JETRO)成都事務所及び日本国駐重慶総領事館等が連携して企画し、石川県を含む9つの自治体事務所が参加しました。今回の主な目的は、貴州省政府との交流及び日本酒プロモーション、そしてビッグデータの最新動向把握です。
貴州省政府との交流においては、蔡副省長をはじめとする政府幹部との会見の場が設けられ、1 経済貿易、2 農業技術、3 ビッグデータ、4 酒類等商品の分野で日本と協力したい旨の意向が示されました。なお、酒類等に関しては、貴州省は世界三大蒸留酒の一つである白酒(50度以上の高いアルコール度数と独特な芳醇な香りが特徴)の本場であり、高級白酒の「茅台(マオタイ)酒」は特に高いブランド力を誇ります。一方、石川県も古くから酒造りが盛んな全国でも屈指の銘醸地ですので、中国の「酒の本場」で日本酒等を売り込んで反応を見たいと考えました。
そこで、県事務所では、県産酒を扱う上海の代理店(総経理は石川県人)と連携し、初めて貴州における日本酒のPR・商談会に参加しました。80名の来場者に対して石川県の日本酒等の特徴を紹介するとともに、現地バイヤーとの商談を行いました。参加した代理店からは、「貴州は白酒の生産地であるが故に、まだまだ他の酒類の参入が出来ておらず、日本酒や果実酒に対して新鮮味もあり、非常に興味を持ってもらうことができた」との言葉通り、梅酒を中心として複数件の成約見込となっております。
また、現在、貴州省の代名詞ともなっているビッグデータに関しては、貴州省政府はインフラを整備して「総合試験区」を構築し、ビッグデータ関連企業を誘致・サポートしており、テンセントやファーウェイ、アップルなど、多くの世界的企業のデータセンターが建設されております。省都の貴陽では、毎年、約10万人規模の来場者がある「ビッグデータ博覧会」が開催されており、今年は世界各国の企業225社が出展しました。なお、当博覧会開催期間中は全国各地から(コロナ前は世界各国から)関係者が集まるため、貴陽市の主要ホテルはほとんど満室となるほか、市民は祝日となります。広大な会場では、要人が集まり開幕式が盛大に行われるとともに、交通や医療、政府ガバナンスなど様々な分野での応用事例が展示されており、日本の企業では、東芝や富士フィルム等が出展し、ビッグデータに欠かせない大量データの保存技術など自社の強みをPRしておりました。
■深圳でのファーウェイ本社等視察
同月、「中国のシリコンバレー」と呼ばれて久しい深圳において、世界有数のICTインフラ機器及びスマート端末メーカーであるファーウェイの本社等を視察しました。ファーウェイは、多様な国籍の従業員が19万人以上おり、170カ国以上で事業を展開するまさにグローバル企業です。研究開発への莫大な投資額(直近10年で約9兆円以上)や特許数(8,5000件以上取得)にも表れているように、はやりその強みは高度な技術力にあると考えておりますが、東莞松山湖の研究開発施設は圧巻です。広大な敷地には、エリアごとにパリやヴェローナ、ハイデルベルクなどヨーロッパの町並みが再現されており、構内には列車も通っています。そこでは現在2万3000人の研究者が働いています。
また、深圳の本社から東京のファーウェイ・ジャパンとテレビ会議システムを繋いでの意見交換も行いました。日本市場においては、サプライチェーンの一環として、約100社から年間1兆円を超える調達(2019年)を行ってきましたが、米中摩擦の影響による貿易制限等により、取引が困難になってきている状況も伺えました。このような状況の中でも、日本の地方メーカーとの協業関係や地方自治体との協力も模索しており、例えば、学校などの教育現場に専門家を派遣してトレーニングを実施するなど、地方のICTニーズに応じた連携事例も出てきているとのことです。日本では、デジタル庁の設置が予定されているとともに、石川県でもデジタル化推進本部が立ち上がり、今後、国や地方行政のIT化・DXが推進されていくことと想定されますが、日本の地方と(ファーウェイに限らず)グローバルIT企業との連携の可能性を考えるうえで良い機会となりました。
(写真1:貴州省副省長との面会)
(写真2:貴州での日本酒等プロモーション)
(写真3:ビッグデータ博覧会開幕式)
(写真4:ファーウェイ本社視察)
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