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ダニ媒介感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体を保有するダニに刺されることによって起こる感染症です。ダニ媒介感染症には、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱、ツツガムシ病などがあり、全国的に多くなっています。
SFTSとは | 日本紅斑熱とは | ツツガムシ病とは |
主なダニ媒介感染症 | 予防のために | 医療機関の皆様へ |
SFTSは、主にSFTSウイルスを保有するマダニ(フタトゲチマダニやタカサゴキララマダニ等)に刺されることで感染します。最近では、SFTSを発症したネコやイヌ等の動物からヒトへの感染事例も報告されています。
フタトゲチマダニ タカサゴキララマダニ
(出展:国立感染症研究所ホームページ)(外部リンク) (出展:国立感染症研究所ホームページ)(外部リンク)
発症するまでの潜伏期間は6日~14日です。主な症状は、発熱、全身倦怠感、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)で、ときに腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などを伴います。重症化し、死亡することもあります(致死率10%~30%)。
SFTSは、治療に有効な薬剤がないため、対症療法が主体となります。しかし、最近、抗インフルエンザウイルス薬として承認されているファビピラビルの有効性が報告されています。
また、予防に有効なワクチンがないため、マダニによる刺咬を防ぐことが重要です。
SFTSは、主に西日本で発生しています。近年は増加傾向にあり、2013年以降、約900件の発生が報告されています。県内では、2015年に2件のSFTS患者が確認されていますが、それ以降は患者の発生はありません。
日本紅斑熱は、リケッチアの一種であるリケッチア・ジャポニカ(Rickettsia japonica)という細菌を保有するマダニ(キチマダニ、フタトゲチマダニ、ヤマアラシチマダニ等)に刺されることで感染します。
発症するまでの潜伏期間は2日~8日で、頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症します。発熱、発疹(四肢末端部)、刺し口を主要三徴侯とし、ほとんどの症例にみられます。
日本紅斑熱でみられた発疹 日本紅斑熱でみられた刺し口
(出展:国立感染症研究所ホームページ「日本紅斑熱とは」)(外部リンク)
日本紅斑熱は、適切な抗菌薬(テトラサイクリン系など)の投与により治療が可能ですが、予防に有効なワクチンがないため、マダニによる刺咬を防ぐことが重要です。
日本紅斑熱は広域的に発生しており、近年では毎年300件~500件程の報告があります。県内では、2017年に初めて日本紅斑熱の患者が報告されてから、毎年0件~1件で推移していましたが、2023年は3件の発生が報告されています。
ツツガムシ病は、オリエンティア・ツツガムシ(Orientia tsutsugamushi)という細菌を保有するツツガムシ(ダニの一種)に刺されることで感染します。
発症するまでの潜伏期間は5日~14日間で、全身倦怠感、食欲不振、頭痛、悪寒、発熱(39℃以上)などを伴って発症します。発熱、発疹(顔面、体感部)、刺し口を主要三徴侯とし、刺し口近くの所属リンパ節あるいは全身のリンパ節の腫脹がみられます。
ツツガムシ病でみられた発疹 ツツガムシ病でみられた刺し口
(出展:国立感染症研究所ホームページ「ツツガムシ病とは」)(外部リンク)
ツツガムシ病は、適切な抗菌薬(テトラサイクリン系など)の投与により治療が可能ですが、予防に有効なワクチンがないため、ツツガムシによる刺咬を防ぐことが重要です。
ツツガムシ病は全国的に発生しており、毎年300件~500件程の報告があります。県内では、毎年0件~4件の報告があり、10月~11月にかけて多く発生しています。
ダニが媒介する感染症は他にもあります。詳しくは、各リンクをご確認ください。
(1)石川県でも感染の報告があるダニ媒介感染症
(2)その他のダニ媒介感染症
予防には、マダニに咬まれないことが重要です。特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては、マダニに刺される危険性が高まります。草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、以下のことに気をつけましょう。
(1)マダニから身を守る服装 |
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(2)マダニから身を守る方法 |
(3)忌避剤(虫よけ剤)の利用 |
マダニに対する忌避剤(虫よけ剤)が、2013年から新たに認可されました。マダニの付着を完全に防ぐわけではありませんが、付着しにくくする効果があります。 |
マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血します。吸血中のマダニを無理に引き抜こうとすると、マダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液が逆流して病原体が体内に入りやすくなる恐れがありますので、医療機関(皮膚科など)で適切な処置を受けてください。
マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意してください。発熱等の症状が出た場合は、すみやかに医療機関を受診し、 マダニに刺されたことを医師に説明して下さい。
「国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に対する診断・治療・予防法の開発及びヒトへの感染リスクの解明等に関する研究」(研究代表者:西條政幸)」において、医療機関等からのSFTSに関する診療の相談が可能な医療機関がとりまとめられました。
SFTSは、治療法がまだ確立しておらず、早期診断および早期対応が重要であるため、治療経験のある当該医療機関への迅速な相談をお願いします。
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