ここから本文です。
中国明時代
総持寺祖院
石川県輪島漆芸美術館保管 輪島市水守町四十苅11
縦26.4センチ 横38.5センチ 高さ26センチ
県指定文化財 昭和50年10月7日指定
木製素地で外面は黒漆塗仕上げに鎗金加飾を施し、内面は朱漆塗である。形態は隅丸で、蓋は大きな甲盛りの蝶番開きである。施錠金具、持ち手金具が取り付けられ、使用上の配慮がうかがわれる。蓋の甲面および側面、身の側面には、たわわに実る果実をつけた桃の枝に数羽の尾長鳥が遊び、蝶、とんぼ、かまきり、蜂などが楽しげに飛び交う楽園の雰囲気で、繊細な七宝繋の地文とともにその構成は明時代の優れた吉祥の図柄といえよう。技法は鎗金で、大部分は線刻の流暢な一種の筆意刻ともいうべき技法から精妙な針刻まで、数種の点刻、線刻を駆使し、図柄を活かした運刀は非凡であり、国内にある中国明時代の鎗金の優品である。輪島の沈金の始祖とも考えられるものであり、工芸史上意義が深い。
昭和60年「石川の文化財」より
江戸時代前期
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
口径42センチ 底径21センチ 高さ11.1センチ
県指定文化財 昭和51年12月9日指定
平たい底部から、縁が立ち上がり、外側にやや反って開いた、平鉢というよりも深鉢の形をした作品である。見込みの染付の二重の円に内接して八角の弧形の枠取りをし、その枠を黄の絵具でいろどり、見込みの花鳥図を引きたたせている。見込み内部は、岩山と老樹、それに枯木にたちどまる双鳥を、豪放華麗で力強く、実に見事な筆致で描いている。縁の幅広い部分の文様は、百花といわれる文様構成で、緻密すぎるほどの画法で、菊花を小紋風に地模様として描き、そのなかに瓢箪と鳳凰を配して華やかさを加えている。しかし、こうした緻密すぎる線描のわずらわしさも、古九谷陶の色調をなす紫絵具で主題をいろどっておさえ、これに緑と黄にわずかの紺青を加え、全体を青手古九谷に近い色調で、豪快にまとめあげている。裏面は、中国景徳鎮窯の芙蓉手大皿を模した意匠構成をとっている。本著色像で補っていることが惜しまれる。
昭和60年「石川の文化財」より
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
同じ分類から探す