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中国明時代(16世紀から17世紀)
小松天満宮
(小松天満宮宝物館保管 小松市天神町2の3)
口径14.6センチ 胴径18.7センチ 底径16.0センチ 高51.5センチ
口径14.6センチ 胴径20.8センチ 底径16.0センチ 高51.5センチ
県指定文化財 平成19年4月27日指定
本品は、明暦3年(1657)、小松城に隠居した加賀藩主前田利常が小松天満宮の造営に際して寄進したものである。中国明代に、法花や交趾と呼ばれる三彩陶磁が数多く造られて日本に伝来しているが、本品もその1つである。器形は中国古銅器の様式に倣い、文様を線彫して焼成した上に紫、濃紺、白の色釉で彩色し、地を碧青釉で塗り埋めている。口縁の廻りは、方形の雷文を描き、金彩を施している。頸の上部には芭蕉の葉を描いた蕉葉文を、下部には唐草文を彫り、胴には前後に龍文が彫られ、唐草の割取が彫られている。口縁部や龍文などには金彩が施され、華やかで美しく、力強い作風であり、保存状態も良好で、1対が古くから伝世されてきた優品である。また、利常の寄進であることが、『梯神社寶物古器物古文書目録』(明治12年(1879))に記載されており、加賀文化の発展に数多くの業績を残した利常の偉業を感じさせる貴重な作品といえる。
17世紀
石川県
石川県立美術館保管 金沢市出羽町2の1
鞍 幅40.0センチ 奥行39.0センチ 高27.4センチ
鐙 幅13.4センチ 奥行28.5センチ 高27.0センチ
県指定文化財 平成24年9月21日指定
本品の作者は、清水九兵衛(1688年没)と伝えられている。清水九兵衛は、号を柳景といい、寛文10年(1670)に加賀藩3代藩主前田利常に江戸から招かれて、五十嵐道甫と共に加賀蒔絵の基礎を築いたすぐれた蒔絵師である。本品は永らく前田家に伝来し、重要文化財「和歌浦蒔絵見台」と並び、清水九兵衛の代表作として古くから知られていた名品である。
鞍の前輪と後輪は、尾の長い大小の「蓑亀」を黒漆地に金の高蒔絵で生き生きと描き、顔や甲羅などの細部は付描でさらに緻密に仕上げた優品である。蓑亀とは、甲羅に藻が付着し、蓑を着たように見える亀のことで、蓑は雨風から身を守るところから厄除けを意味する吉祥文の一種であり、亀は長寿の象徴であるところから、工芸文様の好題としてよく用いられる。
鐙はくぼみを一か所に設けた片笑の形式で、鳩胸から笑にかけての豪放な意匠と巧みな技法は、鞍と同じである。内面にはきわめて荒い刑部平目粉を置き、装飾的効果を高めている。
鞍の居木の裏側には「貞享三年(1686) 三月日 (花押)」と鞍工のものとみられる刻銘がある。
使用された形跡は見られないが、5代藩主前田綱紀(1643年生1724年没)の所用と伝えられており、鞍銘の年代と矛盾はない。
このように、蒔絵亀図鞍・鐙は、清水九兵衛の作品としては珍しく豪放な趣を見せながら、精緻で格調高い作風が如何なく発揮された貴重な作品であり、文化財的価値は高く、有形文化財に指定し、その保存を図ることが必要である。
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