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江戸時代前期
石川県立美術館 金沢市出羽町2の1
口径34センチ 底径20センチ 高さ7センチ
県指定文化財 昭和57年1月12日指定
海外にまで広く知られている古九谷陶の代表的傑作である。鉢面一杯に瑞鳥である鳳凰を、ただの1羽描いたのみの作品であるが、その意匠効果が抜群で、古九谷色絵の特色を見事に発揮している。紺青と紫を主調とし、緑・黄・赤を加えた彩色の組合わせは、五彩とは思えぬ色彩の豊かさを見せている。とくにこの作品をひきたたせているのは構図の見事さである。胸部の張り、写生に徹した足部の力強さ、片足をもたげた動きのあるポーズ、やや上を見上げた鳳凰のするどい目付きとくちばし、華やかな羽毛と尾先の動きなど、実に計算し尽された意匠構成の妙が、見る人の心をとらえて離さないものがある。こうした造形と色調とが相まって、豪華絢爛な趣を呈しており、しかも余白の白釉の素地が、これ程生かされている作品は、日本の他の焼きものには全く見られないといってよい。裏面は紺青の絵具で、豪快な牡丹唐草文が濃彩に描かれている。
昭和60年「石川の文化財」より
明治42年(1909) 山田宗美作
個人 加賀市
(石川県立美術館保管 金沢市出羽町2の1)
阿形 高さ122.5センチ 吽形 高さ122.0センチ
県指定文化財 昭和57年7月12日指定
打出は鎚起や鍛金と同じく、銅や銀などの伸展性の強い金属板で浮彫や立体造形をつくる金工技法である。しかし山田宗美の「鉄打出」は、硬い薄鉄板を用い、熱を加えやわらげながら。内外から鎚などの工具で次第に立体化し、細部を「たがね」で仕上げ、熔接加工などを一切しない独自の技法である。宗美は、大聖寺藩の甲冑鍛冶師の家柄である山田宗光の四男長三郎として生れ、打出と象嵌の技法を父に学んだが、明治24年(1891)に、1枚の鉄板から彫刻的な立体造形をつくる「鉄打出」の技法を開発した。この巨大な狛犬の1対は、それぞれ1枚の大鉄板を打出し、完成に半年を要した大作で、明治43年(1910)の日英博覧会に出品され、名誉大賞を受けた。
昭和60年「石川の文化財」より
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