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江戸時代 (17世紀)
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
口径45.3センチ 底径22.5センチ 高さ9.3センチ
県指定文化財 平成17年3月25日指定
古九谷は、加賀藩の支藩である大聖寺藩内の山中町九谷において、明暦元年(1655)頃に生産が開始されたと言われており、重厚な色彩と大胆な構図、豪放華麗な趣を特色とする。青手と色絵の様式があり、青手は素地を塗り埋め、二彩あるいは三彩で彩色したもので、色絵は白素地を生かして五彩で彩色したものである。青手の技法は、初期の素地が粗雑であったため、素地の悪さをカバ-するために、緑や黄の絵具で素地全面を覆いかくす方法として生まれたと考えられている。本品は、古九谷青手様式の平鉢であり、黒呉須の線で重ね菊小紋を全面埋めつくし、緑一色をかけており、あたかも地面の上を被う苔のやわらかさを感じさせ、その上に木から落ちた桜花と葉を配して、紺青で彩っており、まことに静そのものの瞬間を捉えているような印象を与える。
また、口縁部には口紅をさし、裏面は菊唐草を縁から高台際まで全面に描き、裏全体を高台内まで黄を施している。銘は二重角の「福」字である。青手古九谷の中でも、他に類例を見ない極めて貴重な作品である。
室町時代
石川県立歴史博物館 金沢市出羽町3-1
胴高24.5センチ 胴廻(腰手)75.8センチ 草摺高28.5センチ
県指定文化財 平成17年3月25日指定
本品は、加賀藩年寄役であった長家(八家の1つ)に伝来し、昭和26年以降、行方不明となっていた腹巻である。腹巻とは甲冑の1形式で、本品は、室町時代前期独特の整った古様を保ち、いわゆる「都仕立て」で保存状態も良好であり、当初の姿を伝える貴重なものである。背板は特色のあるもので、後年の臆病板と称する背面防御の背板と異なり、腹巻に大袖を使用するために必要な、総角の大座鐶を取り付けた装具である。立拳前後2段白糸威、長側4段のうち1段紅糸威、他は黒韋で鉄革1枚交。草摺5段7間。肩上、胸板、押付板、脇板は藻獅子韋に紅五星韋を伏組にして、小縁として包む。背板は2段。1段目上部に菊唐草透かし彫の四角大座に、奈良菊頭の鐶を打つ。本品は、長家伝来というのみならず、本県に現存する最古の色々威腹巻(県指定有形文化財(歴史資料)「本多政重・正長関係資料 附 火事装束」(藩老本多蔵品館所蔵)・室町時代後期)の年代を、さらに遡る室町時代前期の優品である。
また、中世能登の有力武士であった長谷部氏の後裔である長家に伝来した唯一の腹巻であるとともに、古制背板を具えた類例をみない、極めて希少な甲冑資料である。
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