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江戸時代前期
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
口径30.8センチ 底径18.6センチ 高さ6.9センチ
県指定文化財 昭和42年10月2日指定
鶉図は、桃山時代以降、とくに土佐派の画題として、しばしば描かれている。古九谷の題材もこうしたなかからとられて描かれており、この作品は、粟に鶉を描いた古九谷の名作として古くから知られている。素地は比較的薄造りで、硬く焼きしまっているが、焼成温度の関係か、ややいびつな形となっている。古九谷の色調の中心をなしている紫絵具で鶉のつがいを描き、黄と緑でいろどった動きのある粟の穂を、円形図案風に配し、紺青・緑・黄・紫・赤の五彩の絵具で草花と土坡を、背景の余白の空に雲を赤で土佐派風な筆致で緻密に描いている。周囲は八稜形で間取り、地模様を呉須の線描で七宝文と卍の入った四方襷文を交互に配して、紺青と黄・緑の絵具でそれぞれいろどっている。古九谷陶のなかでは、五彩の絵具の色調が最も整った代表作として知られている。裏面は染付で牡丹唐草文が描かれてる。
昭和60年「石川の文化財」より
建長6年(1254)
総持寺祖院 輪島市門前町字門前1-18甲
高さ20センチ 口径7センチ 口縁の厚さ2センチ
県指定文化財 昭和43年2月26日指定
鋳銅製。鈴部と杵部別鋳式で、鋒の基部近くに嘴形突起をつくり、把部と鈴身部に連珠文帯をめぐらす。鈴体、ことに駒爪部が厚く、総体的に重厚な作で、鍍金もよく残る。鈴内に比較的大型の金銅八角茄子形舌が吊るされている。口縁に 大慈寺別当房流通物 建長六年四月廿四日と銘が刻まれてあり、鎌倉前期の建長6年(1254)に、大慈寺別当房流通物として製作されたことが知られる。銘に見える大慈寺は、道元の法嗣寒巌義尹が九州肥後国に創建した寺で、そのとき道元から与えられ、さらに総持寺開祖瑩山紹瑾に贈られたものと、寺伝では記されている。ともあれ、本県に伝存する仏教法具で製作年代を明確にする最古の優品である。
昭和60年「石川の文化財」より
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