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江戸時代前期
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
口径32.4センチ 底径19.0センチ 高さ5.5センチ
県指定文化財 昭和45年11月25日指定
色絵古九谷陶の代表作であるばかりでなく、人物を絵付した作品として特に優れ、古くから知られているものである。器形は縁を鐔状にし、口縁部をわずかに立ちあがらせた円形の鉢で、この器形の古九谷陶は数点を数えるにすぎない。見込みに染付線描きで円窓をあらわし、そのなかに布袋に稗をあしらった構図は、まことに軽妙で奇抜であるが、また禅画をみる趣をもみせている。黄と緑の二彩の絵具を基調に、わずかに稗の穂の部分に赤を点じているのみであるが、三彩とは思えぬ色彩効果をかもし出している。筆致に少しの渋滞も見られず、のびのびとして柔らかく、構図の巧みなところから、この作品の下絵は、当時加賀藩に在住した狩野派の絵師久隅守景が描いたのではないかとの伝説を生んでいる。明治年間に取扱いの不注意で2つに割れ、つなぎの線が残っているが、苦にならない程の見事なできばえをみせている。
昭和60年「石川の文化財」より
桃山時代
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
高さ66.0センチ 巾72.3センチ 奥行32.7センチ
県指定文化財 昭和45年11月25日指定
桃山時代の茶人で千利休の高弟だった古田織部の好みに応じ、蒔絵師が創始したものと伝えられる。上段1の棚板には梅樹を大胆に力強く、2の棚板には、中国の説話で宋時代以降画題として我が国でも多く描かれた虎溪三笑の図を、また3の棚板には香包を、4の棚板には香炉をそれぞれ高蒔絵を主調に描き、側面および外部、厨子内部、引戸内部には撫子紋を平蒔絵で散らしている。棚の正面扉には柴垣を蒔絵しているが、それらは何れも従来の形式にとらわれることなく自由で溌剌としている。豪快な形と奇抜な模様は、厨子棚としての格式の高さと共に佗びの深さもあり、桃山時代の代表的な棚である。
昭和60年「石川の文化財」より
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