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桃山~江戸時代初期
金沢市
(金沢市立中村記念美術館保管 金沢市本多町3-2-30)
縦23.0センチ 横22.0センチ 高さ5.5センチ
県指定文化財 昭和59年7月10日指定
硯箱の構造は、丸角の被せ蓋造りで、蓋は甲が盛り上がった袋形であり、身は左方に水滴と硯を寄せ、右方に懸子を置いている。甲面は対角線と平行に鉛板の橋を渡し、金の高蒔絵で橋上を行く主従2人の南蛮人を表わしている。先頭はカピタンと思われ、帽子をかぶり、鉤鼻の下に髭をたくわえ、襞襟を巻き、短いマントを肩にかけ、剣の柄頭を握り威張って歩いている。従者は帽子もかぶらず、傘をかざし、顔や姿も貧相に見える。容貌や姿態の対照的な点がユーモラスで、このような特徴を巧みにとらえて表わした作者の手腕が並々ならぬものであることがわかる。また右下に金蒔絵で忍草を配し、蓋裏には橋に忍と蔦を、実の懸子に忍を配している。材料の用法や形体には、光悦一派の特徴と相通うものが認められ興味深い。
昭和60年「石川の文化財」より
江戸時代中期
石川県立歴史博物館 金沢市出羽町3-1
県指定文化財 昭和61年3月22日指定
加賀藩老の長家に伝わる具足で長氏4代尚連(1662~1703)が着用したものである。兜は鉄製の柘榴型、梅の折枝錣と唐草包に銀の鳩2羽の模様を施し、胴は金の唐草包に総金物の金獅子牡丹を散らし、金具に菊の折枝の模様を入れ、上下の板は朱塗で中3枚は平目地等の特徴を備えている。他に頬当・籠手・佩楯・臑当・袖や陣羽織・上帯・軍扇等の一式が完全に揃っており、保存状態もよく加賀藩の甲冑を代表する優品である。作者は変り兜の作風で著名な雲海光尚(元禄~亨保頃の人)でその作品中でも最高傑作に数えることができる。
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