ホーム > 連絡先一覧 > 石川県農林総合研究センター 林業試験場 > 刊行物 > 石川県林業試験場業務報告 > 石川県林業試験場 平成09年度 業務報告 > 4.県産木材を用いた住宅用エンジニアリング部材の研究開発(第1報)
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予算区分 県単
研究期間 平成9~10年度
担当科名 木材加工科
担当者名 鈴木 修治
住宅を建てようとするエンドユーザーは,平成7年に発生した阪神淡路大震災を機に,高い耐震性を住宅に求めるようになった。その一方で,大きな部屋や大きな窓といった建築設計上耐震性を低下させる要素を求めてきている。
そもそも木質住宅の場合,建築設計上の構造計算を正しく行えば,耐震性が損なわれることはない。このことは,阪神淡路大震災の被害調査報告でも明らかにされている。しかし,先に述べたようにエンドユーザーは耐震性を低下させる要素を求める。
そこで必要になってくるのが耐力壁の壁倍率を上げることとなる。 現在,壁倍率を大きくする方法として筋交いによるものとボードによるものが考えられる。ボードによるものとして,合板・パーティクルボード・OSBなどがあるが,今後主伐および間伐を迎える県産材の主力であるスギやヒバなどの構造用ボードはまだ開発されていない。
そこで本研究は,県産材であるスギを用い,高い壁倍率を見込める高い信頼性のある構造用ボードの開発を目的とする。本年度はまず,どの様なデザインが耐力壁に適しているかについて,検討し試作した。
通常,合板やOSBなどの積層された構造用材の繊維走向方向は,奇数層では柱と平行になり,偶数層では梁と平行になるようになっており,そのような設定で奇数層重ね合わせてある。
この様な繊維走向および積層方向の場合,柱に掛かる水平耐力を土台及び胴差に木材の特性(繊維走向方向や繊維の結合力)をうまく使っているとは考えられない。
そこで,柱が受けた力効率よく土台及び胴差に伝える角度として,柱に対して繊維走向方向を45゜傾けてエレメントを配置し,スギ(Cryptomeria japonica)で,ボードを試作することにした。
エレメントの厚みは,製材工場の背板の有効利用を考え薄く(8mm),長さは極力長く取るようにし,幅は80mmとした。また,試作ボード寸法は 1000×2000 mm とした。
試作したボードは,ねじれが大きかった。理由として,接着剤の水分によるボード内での含水率やエレメント形状などが考えられる。
そこで今年度は,接着剤,エレメントの形状などについて予備実験を行い,その因子を検討することが必要と考えられる。
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