ホーム > 連絡先一覧 > 石川県農林総合研究センター 林業試験場 > 刊行物 > 石川県林業試験場業務報告 > 石川県林業試験場 平成10年度 業務報告 > 3.未利用木材の有効利用技術および用途の開発(第4報)
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予算区分 県単
研究期間 平成 7~10年度
担当科名 木材加工科
担当者名 木村 保典
従来活用されなかった広葉樹材や製材廃材等の有効利用法について研究開発を行う。本年度はスギ圧縮処理単板の製造技術の確立と、床材としての利用可能性について研究を行う。
供試材は圧密処理に県産のスギ(Cryptomeria japonica)を用いた。処理は富山県林業技術センター木材試験場の協力を得て、同場のホットプレスを用いて熱板温度 170~200 ℃、プレス圧 30~50 kg/平方センチメートルの範囲で行い、熱圧スケジュールの検討を行った。
得られた突き板は合板と張り合わせてフローリング材などに利用できる層構成とし、接着にはエポキシ樹脂接着剤、ならびに接着層による衝撃音の吸収を試みるため工業用両面テープを用い以上のの2通りとした。合板は12 mm 厚のスギ合板とコンクリート型枠用合板を用いた。
前報の製造条件では熱圧前の含水率が高いと面内での割れ、膨れがみられ、製造上の歩留まりが良くなかったが、今回の実験により熱圧の初期で10回程度の解圧を約10秒間隔で行うと材中の水分を効率良く水蒸気として排出できる事がわかった。また、解圧時に排出される水蒸気には材中に含まれる揮発成分も若干量含まれている様子が臭気などにより確認されたため、製造時には換気にも注意が必要であると考えられる。
節や入り皮部は依然として排除する必要があるが、樹脂滲出のある部位で表面性状が平滑であれば、数回の解圧時にエタノールで払拭して取り除くことができた。
製造した突き板はスギ素材と比べて若干の褐色がかり、数年を経た様な材色となるが、熱板の表面を反映して光沢を帯びた性状となった。また、水に浸漬すると辺材部において寸法の戻りをおこすものがみられ、部位によっては熱圧時間、あるいは熱圧後の加熱が変形の固定のため必要である。
フローリング材などを想定し合板と貼りあわせた試作品は、製造後大きな変形や性状の変化も無いため、今後は試験施工を行い反りや寸法変化に対してのの検討を進める予定である。
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