ホーム > 連絡先一覧 > 石川県農林総合研究センター 林業試験場 > 刊行物 > 石川県林業試験場業務報告 > 石川県林業試験場 平成10年度 業務報告 > 3.天敵によるマツ枯れ防止技術の究明 (第5報)
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予算区分 県単
研究期間 平成5年~9年
担当科名 育種科
担当者名 矢田 豊・森本 茂
これまで、松くい虫被害の拡大抑止のために、薬剤散布を主とした対策が講じられてきたが、環境に及ぼす影響を憂慮する声が強まりつつあった。そこで松くい虫被害防除対策の一環として、鳥類・昆虫・微生物などの天敵を利用した生物的手法による防除技術の有効性について検討し、恒久的な被害抑止対策におけるその位置付けを明らかにすることを目的として、本試験を実施した。
今年度は次の2点について作業を実施した。
1)マツノマダラカミキリの天敵(鳥類・昆虫・微生物)に関する既往の研究情報等を再吟味し、マツノマダラカミキリの個体数制御における天敵の位置付けについて、再検討を行った。
2)石川県林業試験場において開発した、「マツ林の枯損動態シミュレーション・モデル(富樫1989)」をWindows95上で利用できる形式にするための再構成作業を行った。
1)既往の文献等を再検討した結果、(特に被害拡大時)天敵のみのはたらきにより、マツノマダラカミキリの個体数を積極的にコントロールすることは困難であることが確認された。 ただし、マツ林生態系の種多様性を維持することは、特定種(マツノマダラカミキリ)の個体数増加に対して抑制的に働く可能性が高く、その意味でも動物全般に悪影響を及ぼす可能性のある薬剤の使用等には十分配慮する必要性があると、判断された。 また、多様な条件下での天敵や薬剤使用、あるいは抵抗性育種の効果を推定するには、シミュレーションモデルによる検討が有効であることが、改めて確認できた。
2)旧モデル(富樫1989)のFORTRANプログラムと同等の機能を、Microsoft Excel 上(VBAを一部使用)で、ほぼ実現可能であることが確認できた。来年度以降引き続き作業を継続し、適当な完成度に達した時点で、フリーで一般公開する予定である。
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