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昭和7年(1932)
金沢市末町壱字1番 外63筆等
指定面積 8万0103.18平方メートル
国指定名勝 平成22年2月22日指定
江戸時代に造られた寺津用水から分水することにより、昭和5年(1930)に開設された金沢市の最初の浄水施設であり、現在も当時の浄水施設が稼働している。特に、昭和7年(1932)に完成した浄水場の中央の空間は、噴水を伴う東屋及び幾何学的な意匠を持つ泉水から成り、浄水場全体の計画軸線及び造園的意匠を定めるに当たって基点を成したことに特徴がある。それは近代の浄水場に相応しく、噴き上げる動的な水の姿を活かした整形式の独特の造形・意匠に基づくものである。金沢の上水道計画については、大井清一京都帝国大学教授の指導の下に、大正12年(1923)に調査主任として採用された石井一夫が実施設計を行い、昭和3年(1928)以降は金沢市水道事務所長兼技師長として園地の設計に深く関わったことが想定できる。石井は名古屋市・函館市・別府市の水道設計に関わり、昭和12年(1937)に完成した名古屋市の稲葉地配水塔においては、水道施設と軸線を揃えて噴水を設置するなど、末浄水場とも共通する空間意匠の設計を行ったことが知られる。
このように、泉水・噴水施設・東屋から成る中央の空間は、浄水施設の計画軸線を定める上で重要な基点を成すとともに、浄水場全体に張りめぐらされた水の機能的な浄化経路において象徴的な意義をも持っていたものと考えられる。近代的な造園意匠を取り入れた末浄水場の園地としての芸術上・観賞上の価値は高い。
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