ホーム > 連絡先一覧 > 白山自然保護センター > 出版物 > 「石川県白山自然保護センター研究報告」(第23集)要約
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東野外志男・野上達也・小川弘司
白山高山帯の室堂平(標高2,455m)において、1993-1995年夏季・秋季(7月中旬~10月上旬;1993年は秋季のみ)に行われた降水量の観測結果を、毎正時ごとに集計し、月報としてまとめた。各年の観測期間中の総降水量を、白峰・鳥越・金沢と比較すると、金沢から鳥越・白峰・室堂平へと標高が高くなるにしたがって降水量が増加することが、いずれの年でも認められ、室堂平の降水量は白峰の2倍前後であった。
白山高山帯の室堂平における1993-1995年夏季・秋季の降水量観測資料(PDF:8,568KB)
小川弘司・竹井 巖
1996年冬季に発生した雪崩により、中宮展示館が被害を受けた。館内には大量の雪が侵入し、多大な被害を与えた。雪崩は、館内に設置してあった自記湿温計のタイマー記録から1996年2月1日に発生したことがわかり、全国的に雪崩が発生した時期と一致していた。また、この雪崩のタイプは、現地調査や気象データから、「乾雪表層雪崩」であったことが推察された。
石川県白山自然保護センター中宮展示館の1996年雪崩災害(PDF:5,140KB)
滝澤 均・伊沢紘生・志鷹敬三
1995、96年冬季は、天候不順による遊動の制限、雪崩のような物理的傷害、発生した雪崩による採食地出現等の影響で、各群れは各水系の上流域を主に利用し、従来利用していた下流域まで移動せず、全群の確認はできなかった。
カムリA群やC群、F群では1995年5月12日から餌付けが中止され、カムリA群は30頭ほど少ない個体数(59+α頭)しか観察できなかった。これは、餌付けの中止により、人工的な良質の食物が多量にある採食地としての餌場に魅力がなくなり、かつ餌付けにより個体間距離が縮小したことから個体間緊張が高まり、個体同士のつながりが希薄になったことで、群れへの求心性が薄れ、群れから離れて行動している個体がいることによるものであろう。ただし、これが群れの分裂に発展するかは様子を見ていかなければならない。
白山地域に生息するニホンザルの個体数と遊動域の変動-その10-(PDF:5,309KB)
林 哲
手取川流域の19集落で1991年から6年間、スズメの繁殖状況を調査し、集落の動態との関連について考察した。その結果、9集落でスズメの繁殖を認めたが、10集落には認められなかった。スズメは、スキー場などがある「にぎわい」のある集落に繁殖し、孤立性が高く、まわりに森林の多い、まばらに家が点在する集落には繁殖しない傾向があった。人口の多寡、若齢率の低下、高齢率の上昇、耕地面積の減少等、人の動態が、スズメの生息地の選択条件に関与していることが示唆された。
白山麓の集落とスズメの生息地選択2-手取川及び尾添川、大日川、梯川流域の状況(PDF:12,287KB)
湊 宏・上馬康生
白山とその周辺地域の陸産貝類(マイマイ類)の採集・研究史、および主要な種類について解説を加えた目録についてまとめた。今までに、この地域から13科40種の陸産貝類が記録されている。その中で、ハクサンマイマイ、クロイワマイマイ、トノサマギセル、カガキビ、ミドリベッコウ、ハクサンベッコウ、ハクサンケマイマイの7種はこの地域の固有種である。これまで白山地域の陸産貝類(マイマイ類)を総括的にまとめた報告はなく、今回が初めてのものである。
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