ホーム > 連絡先一覧 > 白山自然保護センター > 出版物 > 「石川県白山自然保護センター研究報告」(第40集)要約
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野上達也
白山国立公園内の市ノ瀬地区再整備のための基礎的資料とするために市ノ瀬地区のニセアカシアの分布状況について調査した。その結果、540本のニセアカシアが確認され、白山公園線の道路脇や駐車場内、市ノ瀬野営場内のほか市ノ瀬園地内にも分布が確認され、特に市ノ瀬園地内のニセアカシアは大径木のものが多く見られた。道路脇や駐車場内、市ノ瀬野営場内のみならず市ノ瀬園地内にも分布が確認されたことから、その完全な除去は容易ではないと推測できる。市ノ瀬におけるニセアカシアをどう管理していくのかを、国、県、市を含めた多くの関係する機関が連携しながら検討し、長期的に実施していくことが必要である。
「白山国立公園 市ノ瀬におけるニセアカシア(Robinia pseudoacacia)の分布」(PDF:928KB)
野上達也・中村こすも・小谷二郎・野崎英吉
ブナ、ミズナラ、コナラなど堅果類はツキノワグマの秋季の重要な餌資源で、これらの豊凶はクマの出没と関連すると考えられる。クマ出没予測のため、これらの結実予測について石川県が石川県自然解説員研究会に委託して実施した2013年の調査結果をまとめた。各種約20か所の調査の結果、雄花序落下量調査では、コナラは並作、ミズナラは豊作、ブナは凶作と予測された。また、着果度調査ではコナラ、ミズナラは並作、ブナは凶作という結果であった。ブナ,ミズナラ,コナラの着果度調査の豊凶判定の結果からは大量出没の可能性は高くないと判断されたが、石川県環境部自然環境課では、8月までの出没件数が2004年以降で最も多かったことからクマの出没注意情報の発令を行った。しかしながら、9月以降はクマの出没件数は増加しなかった。
「石川県のブナ科樹木3種の結実予測とクマの出没状況,2013」(PDF:1,193KB)
野上達也
白山公園線(風嵐~市ノ瀬までの約10.6km)及び白山公園線に沿って道路から枝分かれする工事用道路、市ノ瀬園地においてセイタカアワダチソウの分布調査を行い、2012年の除去の効果等について検証した。その結果、道路沿い29地点、工事用道路31地点、市ノ瀬園地1地点の計61地点で確認され、道路沿いや市ノ瀬園地では2012年に比べ、分布地点は減っており、除去の効果が確認できた。分布地点確認後に除去作業を実施し、78.8kgのセイタカアワダチソウを除去した。2012年に比べると除去量は39.1%となっていた。また、開花茎数は830本、非開花茎は1,922本、計2,752本で、2012年に比べ減少していた。しかしながら、残存した地下茎から再生した個体は除去前の個体と個体サイズに違いは見られず、わずか1回の除去では個体を小さくするような効果はないといえる。
「白山公園線(石川県)におけるセイタカアワダチソウ(Solidago altissima)の分布と除去(2)」(PDF:1,310KB)
平松新一
極小生息地におけるゴミムシ類の生息状況について明らかにするために、2013年夏から秋にかけて石川県白山自然保護センター敷地内の緑地においてピットフォールトラップ法による調査を実施し、737個体のゴミムシ類を採集した。隔離区では種数、個体数が少なく、多様度H’が小さかった。森林隣接区では種数、個体数は多く、多様度H’が大きかった。隔離区は隣接区、森林区に比べてナガゴミムシ亜科およびゴモクムシ亜科が少なく、森林隣接区は隔離区および森林区に比べてゴモクムシ亜科が多かった。全ての体サイズで、隔離区よりも森林隣接区の方が種数が多くなる傾向にあった。隔離区に比べ森林隣接区は長翅型、無翅・短翅型とも多かった。一方、森林隣接区よりも攪乱の少ない森林区では長翅型の種が少なく、無翅・短翅型種が多かった。
「小規模生息地におけるゴミムシ類(オサムシ科およびホソクビゴミムシ科)の出現状況」(PDF:656KB)
江崎功二郎・有本勲・平松新一・野崎亮次・八神徳彦
石川県加賀地域にニホンジカの糞塊密度調査ルートを12か所設置し、糞塊密度とシカによる剥皮や角研ぎなどの被害出現頻度との関係について解析を行った。その結果、2012年および2013年の平均糞塊密度は同じ1.4糞塊/kmを示し、この地域全体としてシカが低密度で分布していることが明らかになった。また、各調査ルートにおける糞塊密度と樹木の被害出現頻度との関係は正の相関関係を示し、定着初期の地域ではシカの生息密度と樹木被害出現頻度との間に関係があることが示唆された。
「ニホンジカ低密度分布地域における糞塊密度と樹木被害出現頻度の関係」(PDF:628KB)
有本勲・江崎功二郎・野崎亮次・八神徳彦
箱ワナによるイノシシの捕獲を推進するために、箱ワナ正面および周辺地域に自動撮影カメラを設置し、里山におけるイノシシの生息状況および箱ワナに対するイノシシの行動を調査した。里山におけるイノシシ撮影頻度は9 月~ 10月に高くなり、年変動も見られた。また、箱ワナ訪問頻度は、場所、季節、年によって異なり、成獣は幼獣よりも箱ワナに対する警戒心が高かった。以上により、箱ワナを設置する際には、イノシシが農地周辺に出没しやすい場所、年、季節を把握することや、警戒されにくい箱ワナの設置方法を工夫することなどにより、効率的な箱ワナによる捕獲に努めるべきと考える。
「里山におけるイノシシの生息状況と箱ワナに対する行動」(PDF:1,144KB)
白山自然保護センターが白山自然保護調査研究会に委託している委託研究事業の平成24年度分成果要約。
「白山自然保護調査研究会」平成24年度委託研究事業成果要約(PDF:567KB)
「石川県白山自然保護センター研究報告」(第40集)(PDF:3,153KB)
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