ホーム > 連絡先一覧 > 白山自然保護センター > 出版物 > 「石川県白山自然保護センター研究報告」(第34集)要約
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東野外志男・酒寄淳史
南竜ヶ馬場の展望歩道沿いに産出する、カンラン石に富むスコリアを含む火山灰の産状とスコリアの記載岩石学的特徴を示した。この火山灰を含む火山灰層は層厚が厚く,鬼界アカホヤ火山灰の下位に位置することから,弥陀ヶ原火山灰の活動期に噴出したものと考えられる。スコリアはカンラン石の斑晶や微斑晶に富み,山頂西方の千才谷上流に分布する溶岩と同じマグマから放出した可能性が高い。
「南竜ヶ馬場のカンラン石に富むスコリアを含む新白山火山の火山灰」(PDF:2,344KB)
野上達也・中村こすも・小谷二郎・野崎英吉
ブナ、ミズナラ、コナラなど堅果類はツキノワグマの秋季における重要な餌資源で、クマの出没予測を行うため、これらの樹種の豊凶について石川県が石川県自然解説員研究会に委託し、実施した調査の結果をまとめた。各種約20か所の調査の結果、雄花序の落下量調査では、ブナが凶作、ミズナラ、コナラは並作で、着果度調査では3種とも並作という結果であった。そのうちミズナラは調査場所により凶作~豊作のばらつきが大きかった。
「2007年の石川県加賀地方のブナ科樹木3種の結実状況」(PDF:855KB)
中山祐一郎・野上達也・柳生敦志
室堂と南竜水平道でオオバコの個体数とサイズを経年調査したところ、どちらの場所でも出芽の翌年には、個体数は減少したが、生存個体のサイズは大きくなっていた。また、室堂と南竜ヶ馬場でオオバコは出芽後3か月から2年で開花・結実する個体が確認されたことから、亜高山帯・高山帯での工事箇所については、工事終了後から低地性植物の侵入状況を監視し、侵入が確認された場合には早急に除去していくことが必要である。
「白山の室堂と南竜ヶ馬場に侵入したオオバコの個体数とサイズの年次変化」(PDF:1,077KB)
上馬康生・佐川貴久
高地の湿原では長期にわたって遷移が進みにくく、稀少な動物の生息地となっていることがあるが、白山ではあまり知られていない。今回、白峰の標高1,400mにある湿原のトンボ類を中心とする調査の結果、カオジロトンボ、カラカネトンボなど稀少な種類の生息が明らかとなった。ともに国内での分布としては最も西の端にあたる新しい記録である。
「白山判官堂湿原のトンボ類を中心とする動物相」(PDF:549KB)
上馬康生
白山スーパー林道開通時とその後10年おきに鳥類各種の数を調べてきて平成19年に4回目の調査を行い、今までのデータと比較した。3回目の調査から出現したイワツバメが最も多く、キセキレイをはじめとする優占種の構成にはあまり変化がないことと草原性、林縁性の鳥が多いことなど、30年経っても大きな変化のないことが明らかとなった。
「白山スーパー林道周辺における繁殖期の鳥類群集の30年間の変化」(PDF:316KB)
上馬康生・山田孝樹・林 哲・藤川恭子
発信機を装着したニホンザルの追跡により、白山では最も長距離にわたる季節移動をしている群れが明らかとなった。この群れは夏期には中宮道のゴマ平周辺で生活しており、標高2,020mまで上がっていること、10月下旬に1週間前後の短期間に白山市河原山町まで移動し、周辺の山の中で過ごしていることが分かった。
「石川県白山地域におけるニホンザル群れの長距離季節移動」(PDF:571KB)
小川弘司・納口恭明・神田健三・和泉 薫
白山の雪形は、山の残雪模様をものや動物、人などに見立てて、農作業の開始や豊凶の目安などとして雪国に伝承されたものである。これまで、その実態が不明であった白山を中心とした県内の雪形について、形や位置、伝承地などについて整理するとともに、伝承形態について調べた。その結果、雪形の伝承は世代交代に伴い、人知れず途絶えようとしていたことがわかった。
林 哲・巣守関次郎・藤川恭子
福井県大野市和泉地区で行なわれているアジメドジョウの「タキワケ」といわれる捕獲法と「ナレズシ」の製法について調査した。和泉地区では川に小さい人工的な滝など特別な「装置」をつくってアジメドジョウを捕獲し、これをいったん塩漬けし、その後、塩ぬきして米とアジメドジョウを醗酵させて食べるものである。これは日本のブナ帯に広く分布していた食文化の一つと考えられる。
白山自然保護センターが白山自然保護調査研究会に委託している委託研究事業の平成18年度分成果要約。
「白山自然保護調査研究会」平成18年度委託研究事業成果要約(PDF:22KB)
「石川県白山自然保護センター研究報告」(第34集)(PDF:5,116KB)
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