ホーム > 連絡先一覧 > 白山自然保護センター > 出版物 > 「石川県白山自然保護センター研究報告」(第32集)要約
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東野外志男・辻森 樹・板谷徹丸
従来Hm-2と命名されてきたテフラの岩石記載学的特徴を調べ、その供給源について考察した。このテフラの主要構成物はアルカリ長石で、ほかに火山ガラスや重鉱物などを含む。火山ガラスは軽石型で、主要な重鉱物は角閃石、黒雲母、単斜輝石である。これらの構成物や火山ガラスとアルカリ長石の屈折率は、Hm-2が韓国の鬱陵島を起源とする可能性が高いことを示す。
「白山の弥陀ヶ原から発見されたアルカリ岩質テフラ」(PDF:76KB)
中山祐一郎・野上達也・柳生敦志
白山の高山帯および亜高山帯上部にあたる室堂、弥陀ヶ原、展望歩道のアルプス展望台および別山の別山神社において、オオバコの生育が2005年に初めて確認された。これらの地点でのオオバコは、近年の施設整備の際の建材などに種子が付着して持ち込まれた可能性が高いと考えられる。いずれの地点でもオオバコの開花や繁殖が観察されたことから、今後の個体数の増加や分布の拡大が懸念される。
「白山高山帯・亜高山帯における低地性植物の分布について(4)高山帯および亜高山帯上部で新たに確認されたオオバコの分布」(PDF:119KB)
鳥畠昭信・野上達也
白山の重要な登山道の拠点である別当出合で植生調査を行った結果、見られた植生は特に珍しいものではなかったが、石川県の絶滅危倶種I類のギンラン、絶滅危慎Ⅱ類のヒロハハナヤスリ、ノビネチドリが確認された。別当出合は多くの登山者が利用しているが、現在の利用場所は、はっきりと区分されており、これら絶滅危慎植物の保護保全には大きな問題はないと思われる。
上馬康生・堂前弘志
2005年7月5日に保護され、いしかわ動物園で治療を受けたものの1週間後に死亡したイヌワシの幼鳥は、巣立ったあと、まだ十分な飛行能力がついていない時期に落鳥し、天候不良により親鳥からの餌の供給がないまま衰弱したことが死亡原因と推定される。
「白山地域で保護され死亡したイヌワシの幼鳥」(PDF:22KB)
上馬康生・小川 悟
イヌワシは平均2個の卵を産むが、日本では孵化した雛の一方のみが成長することが多く、2羽とも順調に育っことはごく稀である。白山地域で今回はじめて2羽が順調に成長したことを確認した。巣立った幼鳥は11月まで親の生息地で確認できたが、2羽の幼鳥が同時に見られたことはなく、2羽とも順調に秋まで生活していたかどうかは分からなかった。
「白山地域のイヌワシ1巣2雛の初めての順調な発育」(PDF:51KB)
山本輝正・上馬康生・野崎英吉
1998年~2005年の間にコキクガシラコウモリ、モリアブラコウモリなど14種のコウモリが確認された。新たな発見として、クビワコウモリの日本で2か所目の繁殖が中宮温泉付近で確認されたこと、カグヤコウモリの寿命が少なくとも11年以上であること、ヒメホオヒゲコウモリとクロホオヒゲコウモリが市ノ瀬周辺では同所的に生息していることがあげられる。
「石川県内白山地域のコウモリ相調査 ―1998年~2005年の調査結果より―」(PDF:43KB)
上馬康生・徳野 力・辻 摩子望
白山の登山道で採集したキツネ、テン、オコジョの647個の糞を分析し食性を明らかにした。キツネがノウサギと小型哺乳類などの動物物質を多く、またキイチゴ類など植物物質も食べていること、テンは昆虫類中心の動物物質とドクウツギ、キヌガサソウ、キイチゴ類、マタタビ科などの植物物質を同じくらい食べていること、オコジョは小型哺乳類を中心に昆虫類、鳥類も含め動物物質がほとんどを占めていることが明らかとなった。
「白山の登山道で採集した糞分析によるキツネ,テン,オコジョの食性」(PDF:104KB)
滝澤 均・伊沢紘生・志鷹敬三
観察できた群れは16群で、この中に、下流域の佐良地区と上吉野地区の間で、由来が不明の群れが1群観察されたが、駆除により、群れ内や血縁集団内の結集力の要となる個体が除去されたことが影響して、新たな群れが形成されたのではないかと推測された。また、下流域と上流域とで、そこを利用している群れの個体数の変動に大きな違いが観察されるようになり、これは下流域の食物量等の環境収容力が上流域よりも優れている表れと推測された。
「石川県内の野生ニホンザル個体群の現状」(PDF:121KB)
林 哲・子安和弘
白山の高山帯・亜高山帯の哺乳類相(コウモリ類を除く)を検討した結果、6目10科19種の哺乳類を確認した。従来から記載されていたドブネズミを削除する一方、これまでの高山帯の哺乳類リストになかったアズミトガリネズミ、ヒミズ、ヤマネ、タヌキを追加した。
橘 礼吉
昭和初期までは、マスが日本海から手取川源流域の標高1,000m付近まで遡上しており、それを温泉の料理材料や越冬食料として利用していた。地元に残された資料をもとに、その伝統的な捕獲技術や用具について、また貴重な現金収入源や自家用食料源としてどのように活用していたかを、漁獲高や調理方法などにより具体的に紹介した。
「手取川源流域におけるマス・イワナ漁について ―奥山人の渓流資源の利用例―その1」(PDF:158KB)
白山自然保護センターが白山自然保護調査研究会に委託している委託研究事業の平成16年度分成果要約。
「白山自然保護調査研究会」平成16年度委託研究事業成果要約(PDF:26KB)
「石川県白山自然保護センター研究報告」(第32集)(PDF:773KB)
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