ホーム > 連絡先一覧 > 白山自然保護センター > 出版物 > 「石川県白山自然保護センター研究報告」(第24集)要約
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野上達也・東野外志男・小川弘司
白山山頂部の室堂ビジターセンター(標高約2,450m)で、1994年9月14日~1995年7月19日の約10ヶ月間、1時間ごとに測定した気温のデーターを表としてまとめて示した。測定期間中の最低気温は2月3日の-18.5℃で、月平均最低値は2月の12.5℃であった。
白山室堂平における1994年9月-1995年7月の気温観測資料(PDF:12,020KB)
中村雅彦・上馬康生
白山はイワヒバリの日本列島の中での繁殖分布の西限に位置するが、その主な生息地である高山帯は面積が狭い上に、登山者の集中利用等による環境の変化によって、その生息におよぼす影響が心配されるので、保護の基礎資料とするために分布と個体数を中心に調査した。標高2,000m以上に分布し、特に山頂部に集中しており、少なくとも成鳥を16群71羽確認した。高山帯のみならず、亜高山帯上部にも生息していることがわかったが、その要因として白山の豊富な残雪や、残雪上に低地から吹き上げられた多量の昆虫、亜高山帯の高山的環境が重要であると考えられた。
白山山系で繁殖するイワヒバリの分布と個体数(英文)(PDF:6,607KB)
子安和弘・林 哲
白山高山帯で1996年と1997年にネズミ類とモグラ類の調査を行った結果、ヒミズ、アズミトガリネズミなどのモグラ類2科4種24個体と、ハタネズミ、ヒメネズミなどのネズミ類2科3種56個体、計80個体を採集した。室堂平で1978年に確認されていたヤチネズミは本調査では認められなかった。また、過去に記録のあるヒメヒミズも本調査では確認できなかった。
滝沢 均・伊沢紘生・志鷹敬三
1987年以降継続している暖冬により、冬期間に死亡する個体が激減している。その上、繁殖に参加する個体も増加し、ますます増加傾向を強くしてきている。今年度の出産率も例年に比べて高く、オトナメスに対するアカンボウの割合は、フルカウントできた群れで、49%から89%で、中には100%になった群れもあった。群れの遊動域も徐々により下流域に移してきており、今後猿害等、人とのトラブルの発生が増加するだろうと予想される。
今秋はおしなべて山の木の実が不作なため、早い時期から里に下りて農作物に被害を与えることが多かった。これも原因してか、今まで確認されていなかった犀川上流域の金沢市・熊走集落でも猿害が発生した。冬の調査ではこの群れに関して直接観察はできなかった。
白山地域に生息するニホンザルの個体数の現状(PDF:8,163KB)
橘 礼吉
近世初期、白峰村白峰では、焼畑・出作りに必要な林野が飽和状態となり、遠く離れた他集落・他国へ出かけて生活する越境出作りを余儀なくされた。行先の遠隔地では、現山中町今立・小松市大杉地区、さらに国境を超えた現勝山市平泉寺、浄土寺の領域である。出作り先では、地元の稲作中心の人々との対立を生む。冬季豪雪が降るので地元の目が届かないこともあり、遊休山地・森林を有効に活用し、たくましく生きていた。
矢ヶ崎孝雄
岐阜県下の白山麓も深雪地帯で、焼畑も多く猪害も著しかった。猪垣(ししがき)はあまりなく、シシ小屋で夜間、音声を発しイノシシを追った。初雪時に南下するイノシシをヤリで捕獲もし、鉄砲も用いた。興味深いのは、焼畑の周辺にといって溝・土手を造りイノシシの進入を防いだこと、またシシクワズと呼ばれたの長いヒエを多く栽培したことで、これらは特色のある猪害防除の方法であった。
岐阜県下白山東・南麓における猪害防除(PDF:9,757KB)
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