ホーム > 連絡先一覧 > 白山自然保護センター > 出版物 > 「石川県白山自然保護センター研究報告」(第33集)要約
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東野外志男
山頂部で最下位のテフラHm-1は、多孔質粒子、石質岩片、結晶片、変質岩片からなる。多孔質粒子は白色、灰色、褐色、黒色など様々な色を呈し、典型的な軽石やスコリアと比較して概して気孔の密度は低いが、広い意味では軽石やスコリアに属すると考えられる。多孔質粒子は本質物である可能性はあるが、その起源については、今後全岩組成、鉱物種、鉱物組成、ガラスの組織などから総合的に検討する必要がある。
酒寄淳史・鈴木美朋・中塚妙子・東野外志男・林 信太郎
白山山頂部周辺に分布する本質岩塊17試料を化学分析した。SiO2に対するCaOやK2Oなどの組成変化から、3種類の組成トレンドを識別できる。この化学組成上の特徴と鉱物の量比から、本質岩塊は3つの異なる岩石学的タイプにわけられる。各タイプの本質岩塊は地理的にも異なる分布を示し、それぞれ異なる活動中心を有した3種類のマグマの活動によってもたらされた可能性が考えられる。
「白山山頂部に分布する新白山火山本質岩塊の全岩化学組成」(PDF:709KB)
中山祐一郎・野上達也・柳生敦志
白山の南竜ヶ馬場と室堂において低地性植物の分布を調査した。南竜ヶ馬場では、これまでに報告のあるシロツメクサ、フキ、オオバコ、スズメノカタビラ、オオアワガエリの他に、エゾノギシギシ、ムラサキツメクサ、カモガヤおよびスギナの侵入を確認した。また、自然分布でないと考えられるノコンギクとオノエヤナギも生育していた。室堂ではオオバコとスズメノカタビラの他に、シロツメクサ、フキおよびセイヨウタンポポが侵入していた。
「白山高山帯・亜高山帯における低地性植物の分布について(5)南竜ヶ馬場および室堂における雑草性植物の侵入状況」(PDF:672KB)
野上達也
白山の登山道の中では最も利用者が多い砂防新道のブナ帯にあたる部分(別当出合~中飯場)において希少ラン科植物についての調査を行った。その結果、石川県の絶滅のおそれのある野生生物<植物編>(2000)の絶滅危惧I類にランク付けされているササバギンラン2個体、絶滅危惧II類にランク付けされているコケイランが65個体とノビネチドリが3個体確認された。
「砂防新道で確認された希少ラン科植物」(PDF:278KB)
鳥畠昭信
中宮展示館周辺に1990年、1991年、1995年に植栽されたブナのうち、標準的な121本について、胸高直径と樹高を3年間にわたり計測した。2006年11月調査での胸高直径の平均は6.0~8.4cm、樹高の平均は5.6~6.1mで、年ごとの生長をみると、2004~2005年にかけては樹高の伸長が大きく胸高直径の生長が小さい傾向が、2005~2006年は逆に胸高直径の生長が大きく樹高の伸長が小さい傾向がみられた。
上馬康生・中谷内 修
白山市と小松市の山林内に、1平方キロあたり1か所の割合でヘアートラップを設置し、採集したクマの毛からDNA分析により個体識別を行った。白山市の調査地域(20か所)で8月下旬から10月上旬までの4回の回収で得られたクマの毛から54頭が、また、小松市の調査地域(16か所)では、11月上旬と下旬の2回の回収で得られたクマの毛から5頭が識別された。白山市の調査地域では、8月下旬、9月上旬、下旬及び10月上旬の4回の回収時のクマの識別数はそれぞれ3、10、20、32頭と、8月下旬から10月上旬にかけて増加しており、2006年秋に起こったクマの大量出没の過程を示す捕獲数の増加と類似が見られた。
「石川県におけるツキノワグマのヘアートラップ調査(2006)」(PDF:410KB)
林 哲・野崎英吉
2002年~2006年までのニホンザルの捕獲数は292頭であったが、雌雄が判別できた249頭の雌雄比率は雌55.4%、雄44.6%であった。うち個体数調整による捕獲数は240頭であったが、加害群14群のうち5群で合計189頭(約84%)捕獲された。また、年令査定ができた107頭のうち7才以上の成獣が33.6%(36頭)、6才以下の亜成獣は66.4%(71頭)であった。
「白山麓におけるニホンザルの捕獲状況」(PDF:1,009KB)
橘 礼吉
白山麓周辺でのイワナの伝統的捕獲技術の紹介や、岐阜県側へ越境しての漁、イワナ漁が山麓の人々の生計にどのように寄与したのかについて、稀少な文献の数値をもとに具体的に紹介した。
「手取川源流域におけるマス・イワナ漁について ―奥山人の渓流資源の利用例―その2」(PDF:554KB)
小川弘司・佐川貴久
白山麓旧鳥越村(現白山市)の阿手集落に現存していた『焼畑台帳』(明治31年(1897)作成)などをもとに、阿手集落域におけるムツシ(焼畑適地または焼畑用地)の分布図を作成した。集落を中心に周囲山間地に多くのムツシが存在しており(290か所)、山間地に焼畑耕作地が広がっていた様子を伺い知ることができた。過去から現在までの山村の変容過程を理解する上で、ムツシの過去の分布記録は重要であると考えられる。
「白山麓阿手集落におけるムツシの分布」(PDF:442KB)
白山自然保護センターが白山自然保護調査研究会に委託している委託研究事業の平成17年度分成果要約。
「白山自然保護調査研究会」平成17年度委託研究事業成果要約(PDF:250KB)
「石川県白山自然保護センター研究報告」(第33集)(PDF:3,407KB)
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