建造物の調査(21年度)
1 城門の総合調査
平成18年度から23年度までの6か年にわたり、金沢城内の城門について、門の総数、配置に加え、それぞれの構造、規模、割等の解明を行うこととしている。
本年度は、三御門を中心に、金沢城に存在した城門について、総合的な調査を実施し、変遷や構造上の特色等を検討した。
2 建造物の基礎的調査
これまでに引き続き、金沢城建造物の技術・意匠の検討、加賀藩の御大工に関する基礎的調査等を行った。調査成果については、研究紀要等で随時報告している。
主な成果
- 金沢城移築建造物に関する調査
旧江戸村に保存されている旧玉泉院丸二重塀の現地調査を行い、江戸時代の旧材がが使用されており、金沢城二重塀の唯一の遺構と確認された。
- 加賀藩内の大工に関する基礎的調査
藩内の大工が手がけた社寺建築及び藩御大工の残した大工技術書を対象とした調査等を行っている。本年度は、渡部家文書(小松市文化財)の『先祖 一門付之覚栗林又七→一色瀬兵衛』や清水文庫(金沢市立玉川図書館)の『御大工知行帳』『御大工頭御大工被召出候名前等覚書帳』等の検証を進めた。
- 辰巳櫓の図面を詳細に検討し、図面に存在する問題点を把握した。
- 渡部家文書の史料を検証し信頼性を確認したことで、池上右平に関する従来の通説が異なっていた可能性を示すとともに、富山藩立藩時に加賀藩お抱え大工の家系も移っていたことを確認した。
- 御大工に関する史料を検証し直すことにより、御大工頭及びお抱え大工制度についての新知見を得た。
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