建造物の調査(18年度)
1 城門の総合調査
本年度から平成23年度までの6か年に渡り、金沢城内の城門について、門の総数、配置に加え、それぞれの構造、規模、役割等の解明を行うこととしている。
本年度は、金沢城公園の整備などと連携し、河北門及び石川門について重点的に調査を行った。
主な成果
- 河北門については、新たに発見された個人蔵のニノ門立面図を計測し、これまでの知られている史料や発掘された遺構との比較検証を行った( 研究紀要『金沢城研究』第5号 参照)。
- 石川門については、附属太鼓塀の保存修理工事の工程に合わせ、3月5日に建造物専門委員による現地調査を行い、控柱の貫の痕などの構造を確認し、新丸向きの「出し」付近が、昭和28~34年の修理以降に大きな修理を受けていることなどが新たに指摘された。
2 建造物の基礎的調査
これまでに引き続き、鶴丸倉庫の追加調査、本丸櫓群に関する清水文庫の建築図面類の調査研究、加賀藩の御大工に関する基礎的調査を行った。
主な成果
- 鶴丸倉庫に関する調査では、鶴丸倉庫の文化財的価値を明らかにするため、1階の床下構造に関する現地調査等の追加調査を行った。その結果、この点においても成巽閣土蔵等との共通性が明らかとなった。これまでの調査成果などをもとに、鶴丸倉庫は、本年度の県文化財保護審議会に於いて「金沢城土蔵(鶴丸倉庫)」の名称で有形文化財の県指定を受ける運びとなった。
- 本丸櫓群に関する調査では、これまでの調査研究の成果を基に、清水文庫の辰巳櫓の図面類と城絵図を検討するなどし、辰巳櫓とその櫓台に関する考察を行った。その結果、安永の修理による櫓台形状の変化を明らかにすることを通じて、各型辰巳櫓がどのように櫓台に乗っていたか、櫓本体と続長屋の軸線がなぜ「振れ」ているのかなどを考察し、 『金沢城研究』第5号 に掲載した。
- 加賀藩内の大工の特徴を探る基礎的調査として、藩内の大工が手がけた社寺建築を対象とした調査等を行っており、本年度は、江戸前期の創建とされ、比較的規模の大きな大乗寺(金沢市長坂町)について建造物の現地調査を行った。
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