石垣構築技術等の調査(18年度)
戸室石切丁場確認調査
戸室石切丁場確認調査は、平成15年度から5カ年計画で進めている。平成18年度は、昨年度に引き続き、戸室山西麓に分布する別所戸室権現下丁場跡南端 のトイタビラ地区で、地形測量・石材観察等の詳細調査を実施すると共に、明治時代以降に江戸時代前期の丁場跡に残された石を再利用して石材加工を行っていた様子等を把握した。
- 調査期間 平成18年5月10日~8月3日
- 調査面積 約7,300平方メートル
主な成果
- トイタビラ地区では、東西約200m・南北約300mの範囲で、径10m級の採掘坑が8群・約40基分布することを確認した。また、石材搬出路と推定される痕跡も確認した。
- 残存石材からは、約20種類の刻印が確認された。また同種類の刻印は概ねまとまって分布する傾向が見られた。
- 残存石材の加工状況や刻印の特徴と、城内石垣との比較から、本丁場跡の石材採掘開始は江戸時代前期[金沢城石垣編年第4期(寛永年間頃1624~1644)]の石垣普請を契機としたものと推定される。
- 江戸時代の矢穴痕は断面方形であるが、5 字形の矢穴痕をもつ残石を確認した。このことから、江戸時代前期の採掘坑周辺にある残石を再利用して、明治時代以降にも石材加工していたことが推定される。
<- 平成17年度の成果 平成19年度の成果 ->