石垣構築技術等の調査(17年度)
1 戸室石切丁場確認調査
戸室石切丁場確認調査は、平成15年度から5カ年計画で進めている。平成17年度は、戸室山西麓に展開する別所戸室権現下丁場跡南端 のトイタビラ地区で、地形測量・石材観察等の詳細調査を実施すると共に、戸室山山頂域の分布調査を行った。
- 調査期間 平成17年6月29日~10月11日
- 調査面積 約9,000平方メートル
主な成果
- トイタビラ地区では、東西約200m・南北約300mの範囲に、8群・約40基の石材採据跡が分布することを確認した。
- 採掘跡は、径10m級の中型採掘坑群で構成され、周囲には加工痕のある石材のほか自然礫が多量に遺存していた。夥しい礫の集積はキゴ山域の石切丁場には見られない特徴である。また平場や道跡と推定される地点も認められ、平成18年度実施予定の調査で詳細を確認したい。
- 一部近代にも石材採掘が行われた痕跡が残るが、現地に残存する石材の特徴から、江戸時代前期[金沢城第4期(寛永年間頃)]の石垣普請に伴って形成された石切丁場跡と考えられ、戸室本山域での石材採掘の地域的特徴や変遷を明らかにする上で典型的な事例となると考えられる。
2 石垣構築技術等の基礎的調査
近世後期の石引道について、明治期の地籍図(『石川県河北郡戸室別所村地図』明治 20年)の分析と現地踏査等を実施し、戸室別所地内において、旧状をよくとどめている箇所を確認した。
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