―上海駐在員便り 2024年5月―

上海食品スーパーでの石川復興応援フェア開催について

4月19日から5月5日の17日間、日本人が多く住む上海の虹橋エリアにある日系食品スーパー「APITA」において、「石川復興応援フェア」が開催されました。APITAでは日本食品や日用品等を多く取り揃えているほか、和食レストランやダイソーなど日系小売店舗が入居するショッピングモールの中にあり、いつも多くの人で賑わっています。ここは、上海に住む日本人にとって安心や癒しをもたらしてくれる存在であるほか、中国人や外国人にとっても人気の場所の一つになっています。

このフェアは、中国石川県人会のメンバーの発案がきっかけで開催されました。この発案者は、ご両親及びご親戚が輪島在住で地震の被害を受けており、2月に一時帰国した際に避難所でご親族が落ち込んでいる様子を目にし、何か明るい話題を届けて元気を与えたい、中国にいる自分ができることをしたい、と思い立ち、石川県上海事務所に相談にいらっしゃいました。そして、被災地の復興応援につながるイベントを国籍問わず多くの人が集まるAPITAで石川県人会のメンバーで協力開催しよう、ということになりました。

このイベントの目的は、(1)復興に向けて進んでいる石川県の現状についての情報発信、(2)中国から被災地への応援メッセージを目に見える形にして届ける、(3)県産品の販売プロモーションの3つです。

(1)は、被災地の様子や前向きに活動している現地の写真をパネルにして展示しました。期間中、じっくりと写真に見入る人の姿やお子様に石川県で起きた出来事について説明している親御様の姿が見られました。(2)については、応援メッセージの寄せ書きコーナーを設置し、カードを用意してそれぞれメッセージを書いて頂くことにしました。皆さん積極的に書いて頂き、中には、書き足りないからもう一枚書くといって2枚、3枚と書いていかれる方もいました。中国語で「希望石川人民早日从地震灾害中振作、重建幸福生活（石川の人々が一日も早く震災から立ち直り、幸せな生活を再建することを願っています）」や、「石川のみなさん、じしんにまけないようにがんばってください。私は石川がだいすきです」など、500以上のメッセージが集まりました。これは被災地を元気づける一助になると思いますので、県人会として被災地へお届けする予定です。(3)の県産品販売については、地酒や菓子、伝統的工芸品等のほか、輪島の特産品である串揚げ「かかし」を再現した総菜も一緒に販売しました。この「かかし」を珍しがって写真に撮る方が多く、輪島のソウルフードだと説明すると多くの方が購入されました。また、能登の特産を使用した飲料や伝統的工芸品の器は特に人気で、期間途中で完売となりました。また、期間中は日系メディアの取材もあり、Webニュースおよびテレビのニュース番組で取り上げていただきました。報道を通して中国現地からの応援の声を石川の人に届けられたことを嬉しく思います。

今回、店頭に立つ販売員については、県人会メンバーによるボランティアで行いました。皆さん多忙な中、ふるさと石川県のために時間を調整し、総勢10名以上の方々が参加しました。中には、遠路から新幹線で上海まで来た方や、ご家族で参加される方もいました。みなさん販売のプロというわけではありませんが、石川に対する思いは強く、お客様にもそれが伝わるので話が盛り上がり、お互いが笑顔になる場面がたくさんありました。加えて、来店されたお客様の中には、「実は石川出身なんです」という地元出身者の方や、中国人の方で「昔石川県の大学に留学していたことがあります」という方がいらっしゃって、石川にゆかりのある方と新たな接点を持つことができ、県人会メンバーの新規発掘にもつながりました。また、県人会においても、今回のイベントをきっかけにコミュニケーションが活発になり、より親交が深まったのではないかと思います。

今後も県人会の活動を継続していくとともに、能登の復興につながるイベント等を企画していきたいと考えています。

（画像1：石川復興応援フェアのブースの様子）

（画像2：県人会ボランティアによる接客の様子）

（画像3：被災地への応援メッセージ）