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石川県では、加賀藩主前田家による文化奨励策がとられてきたことから、数々の伝統工芸や文化が生まれ、今も暮らしの中に息づいています。輪島塗や山中漆器、九谷焼、加賀友禅、金沢箔など国指定の伝統的工芸品をはじめとした、全36種の伝統工芸が産地として受け継がれており、石川県はこれら工芸品の一大産地として広く世界に知られています。しかし、生活様式の変化による需要の減少や担い手不足など、伝統工芸に限った話ではありませんが、産業として継続していくためには課題も残されています。海外に販路拡大していくことも方策の一つになりますが、今回、阪急百貨店の中国1号店「寧波阪急(ねいははんきゅう)」において、石川の伝統工芸品を集めた「いしかわフェアin寧波阪急」を2022年12月17日から開催しておりますので、その内容を今月号と来月号の2回に渡りお伝えいたします(フェア期間は2023年3月19日まで)。
寧波阪急は2021年4月にオープン、大阪の阪急本店を上回る売り場面積11万7,000平方メートルの巨大店舗であり、特徴的なのは、モールのように横に長く、1フロア当たりの面積が広いことです(地上6F、地下1F)。コンセプトが「百貨店とSC(ショッピングセンター)を融合させた“体験型デパートメンモール”」となっていることから、所々に販売商品と関連した体験施設があり、そして大きなイベントスペースや休憩スペースも備えてあります。単純に日本の百貨店を海外にもってくるのではなく、現地の人に親しまれるような施設づくりを目指し、様々な工夫が展開されていることが窺えます。また、寧波市は人口850万人を抱える浙江省の沿岸部にある港湾都市で、会社オーナーや経営者、文化人など富裕層が多く住むエリアとしても知られ、また、世界有数の貿易港である「寧波・舟山港」を抱え(2022年の世界のコンテナ取扱量で3位。1位は上海港、2位はシンガポール港)、今後ますますの発展が期待される地域でもあります。
その寧波阪急4階の核テナントとして、茶道具や家具を販売する専門店「尚合院(しょうごういん)」があります。尚合院では、国内や日本から調達した上質な陶磁器、木製家具、美術品等を、まるで美術館のように演出された展示方法で商品を並べて販売しています。オーナー(中国人)がセレクトした商品を、その特徴を伝えるために展示の仕方にこだわり、1品1品をお客様に丁寧に説明しながら販売するスタイルで、本県の工芸品をPRする場として適しているのではないかということで、フェアのご相談をして開催に至ったものです。
今回のフェアでは、九谷焼や輪島塗、山中漆器、金沢箔、水引などの商品を石川から直送し、既に上海に在庫があるものと合わせて300品目を超える工芸品を取り揃えて展示販売しております。初日の12月17日には、40名を超えるゲストを招いたオープニングイベントを開催し、地元メディアのweb記事やSNSでも取り上げられるなど期待が持てるスタートを切ることができました。しかし、直後の中国国内での感染爆発の影響が直撃し、尚合院はおろか寧波阪急自体が開店休業状態となってしまったため、12月中は残念ながらほとんど営業できませんでした。この状態がいつまで続くのかと不安でしたが、1月に入ってからは通常通りにお客様が戻り始め、中旬から2月上旬にかけての春節休暇には、地元の人や帰省客、観光客ら大勢の人で賑わいました。
店舗に来るお客様は、中国人の中でも器や伝統文化に興味がある方ばかりですが、石川県のことやその伝統工芸品の特色については、まだまだ知られておりません。そのため、石川県の地方ならではの魅力、そして工芸品のことについて関心を持ってもらうきっかけづくりが必要です。本来であれば、石川県から事業者や職人の方に来てもらい、PRしてもらうのが最も効果的ですが、日本からの往来が難しいため、オンラインでの工芸体験イベントを開催することにしました。
来月号では、販売の状況やオンラインイベントの様子等についてお伝えしたいと思います。
(写真1:寧波阪急_外観)
(写真2:寧波阪急_外観)
(写真3:展示の様子1)
(写真4:展示の様子2)