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重要無形文化財 「沈金」(ちんきん)保持者
西 勝廣(にし かつひろ) 輪島市 ※「廣」は正しくは「广」+「黄」
〔沈金作業〕
〔沈金箱「梅花空木」〕石川県輪島漆芸美術館所蔵
令和6年10月9日認定
沈金は、漆芸の加飾(装飾)技法の一つで、漆の塗面に模様を彫り、その窪みに漆を摺り込んで、金属箔や金属粉等を埋めて意匠を表すものである。中国では鎗金(戧金、創金)と呼ばれ、宋代から行われていた技法で、室町時代には我が国でも始められたと考えられる。近世以降、現在の石川県輪島等で高度な発達をみた。
西勝廣は、昭和30年に石川県輪島市で生まれた。昭和48年から、漆芸作家の三谷伍市(雅号 三谷吾一)に師事して輪島の伝統的な沈金技法を学ぶとともに、石川県立輪島漆芸技術研修所沈金科で、前得二((雅号 前大峰)昭和30年重要無形文化財「沈金」(各個認定)保持者)や松田権六(昭和30年重要無形文化財「蒔絵」(各個認定)保持者)等から沈金をはじめとする伝統的な漆芸技法について指導を受けた。その後、技法を研鑽しながら、表現に独自の創意工夫を加えて研究を重ね、沈金の技法を高度に体得した。
同人は、沈金の多様な彫刻技法のうち、点彫りを主たる技法として用いている。点彫りは、点の大きさ、深さ、密度等を変えることで立体感豊かな表現を可能とする技法である。また、窪みへの素材の埋め方によって、より複雑な表現が可能であり、同人は、金属の組成による色彩の差や、金属粉と金属箔による光沢の違いなどで素材をとりわけ細やかに使い分け、かつ、埋める量を加減することで、繊細な描写を行う。
同人は、身近な花を題材にして、それらを写生を生かした自然な姿形で表した作品を制作している。特に、花を箱の複数面に数多く均一に展開する意匠を得意としており、こうした意匠には、作品全体にわたって一定の調子で彫りを施す卓越した技量が欠かせない。
同人の緻密な作品は、彫りと埋めという基本的な技術を研鑽することで沈金の表現の効果を高め、それを意匠に生かした芸術性あふれるものとして、高く評価されている。
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