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重要無形文化財 「沈金」(ちんきん)保持者
山岸 一男(やまぎし かずお) 輪島市
〔沈金作業〕
〔沈黒緑陰箱「能登有情」〕
平成30年9月25日認定
沈金は漆芸の加飾(装飾)技法であり、漆の塗面に文様を彫り、漆を摺り込んで金箔や金粉等を窪みに埋めるものである。中国では鎗金(戧金、創金)と呼ばれ宋代から行われていた技法で、室町時代には我が国でも始められたと考えられ、近世以降、特に石川県輪島では高度な発達をみた。
山岸一男は、昭和29年、石川県輪島市に生まれた。同48年から、沈金師・福光文次郎に師事して伝統的な沈金技法を学ぶとともに、石川県立輪島漆芸技術研修所沈金科で、前得二(雅号 前大峰、重要無形文化財「沈金」(各個認定)保持者)や松田権六(重要無形文化財「蒔絵」(各個認定)保持者)等から沈金をはじめとする漆芸技法について指導を受けた。その後、技法表現に独自の創意工夫を加えて研究を重ね、その技を高度に体得した。
こうした沈金技法の体得に加え、沈金の一種で彫溝を黒く仕上げる沈黒や、輪島で沈金の応用として発展した「沈金象嵌」と呼ばれる技法を積極的に用いる作風を確立し、沈金の表現の可能性を広げた。同人の技法には独自の工夫が重ねられており、彫溝に漆を摺り込む沈黒は繊細な質感表現を、彫溝に色漆等を埋めて研ぐ「沈金象嵌」は複雑な色彩表現を可能としている。これらの技法を効果的に織り交ぜ、北陸の自然や風景を大胆に抽象化して表す作品は、現代感覚溢れるものとして高く評価されている。
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